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ULTRAMAN(ウルトラマン)のオープニング (2004年特撮映画)


ぼくのお父さんは、飛行機に乗っています。
その飛行機はF15イーグルという名前で、とてもすごいスピードで空を飛びます。

ぼくは、イーグルにのるお父さんが、ものすごくカッコいいと思います。
ぼくは、飛行機に乗るお父さんが大好きです。


航空自衛隊基地の滑走路から1機のF-15イーグル戦闘機が、空へ飛び立ってゆく。


一方、海岸に設けられた施設の中。
薄暗い通路を、身長数メートルの異形の怪物がのし歩き、大勢の人々がそれを追う。
別室では白衣の女性が、拳銃に特殊な弾丸を装填している。

「撃て!」

怪物に銃弾が浴びせられるが、怪物はそれをものともせず、人々をなぎ倒す。
追っ手を一掃した怪物が、壁を叩き割って外に飛び出そうとするが、1発の銃弾が撃ち込まれる。
振り向くと、銃を手にした先の女性。

怪物の銃痕が蠢き、苦悶にゆがむ人間の顔となる。
それを見た女性が微かに動揺し、銃の引金にかけた指が緩む。
その隙を突き、怪物が壁の穴から外へ飛び出す。

とっさに女性が追うが、怪物はすでに眼下の海の中へ──


再び航空自衛隊基地、夕暮れ。主人公・真木舜一と、同僚の倉島。

倉島「いよいよ、今週で最後だな」
真木「あぁ」
倉島「真木。お前、根っからのイーグル・ドライバーだろ? 退官の意志、変らんのか?」
真木「もう、決めたことだ」

倉島「継夢(つぐむ)くん、いくつになった?」
真木「再来月の誕生日で、6歳だ」
倉島「へぇ、月日の経つのは早いな。出産祝いだって朝まで飲み明かしたのが、つい昨日のようだよ」
真木「歳とると早く感じんだよ」
倉島「あ! こいつ、人のこと、中年オヤジみたいに言いやがって!」
真木「ハハッ!」
倉島「……なぁ、真木。俺たちは、選ばれた人間じゃなかったのか?」
真木「……」
倉島「365日、高度3万フィート、6.5Gの過酷な世界で、戦闘機を飛ばすことだけ考えてきた、特別な人間じゃなかったのかよ」
真木「……」
倉島「ここで降りちまって、本当に後悔しないか?」
真木「初めて戦闘機を見たのは…… 7歳のときだった。夏休みに、親戚の家に遊びに行ったときだ。釣りに行く途中、従兄弟たちとはぐれた俺は偶然、空自のベース近くまで来てたんだ」

7歳のときの真木の回想。草原の道を駆ける真木少年。頭上を、1機の戦闘機が飛び去って行く。

真木「すごかったよ。青空にまっすぐ飛んで行く翼が、太陽にキラキラ輝いていた。まるで、銀色の流星みたいに……」
倉島「銀色の流星か……」
真木「あのときの体験が、俺の人生を決めた。俺は戦闘機に憧れ、パイロットになることを夢見て、そして、実現した」
倉島「だったら、なおさら」
真木「でも息子は…… 継夢は、俺が将来を決めた歳に、なれる保証すらないんだ」
倉島「例の病気、思わしくないのか?」
真木「継夢が倒れたとき、医者にはっきり言われたよ。今度発病したら、助かる確率は20パーセントだって」
倉島「……」
真木「長くても、たった……1年しか…… 俺は夢を叶えたんだ。せめてこれからは、息子と一緒に過ごしたい。少しでも、家族と一緒に……」

非常ベルの音。ただちに真木たちが談話を打ち切り、格納庫へ走る。

管制室も緊張に包まれる。

「新たな飛行情報は入っていないか?」
「引き続き、情報ありません。完全なアンノウンです」
「スクランブル機、間もなく離陸します」

真木と倉島の乗ったF-15イーグル戦闘機が、基地を飛び立つ。


真木家の夜。真木の妻・蓉子と、息子の継夢。

蓉子「継夢。パパ、今夜お仕事で遅いから、そろそろ寝なさい」
継夢「ねぇ、ママ。パパ、もうイーグルに乗らないの?」
蓉子「えっ?」
継夢「どうしてかなぁ……」
蓉子「……その話は、パパが帰って来てから聞こうね。さ、ご本読んであげるから、ベッドに入りなさい」
継夢「うん!」


空を行く真木と倉島の戦闘機。レーダーには正体不明の飛行体が映っている。

真木「こいつ…… 本当に航空機か?」

突如、倉島機の計器が乱れ始める。

倉島「何っ!?」
真木「どうした、倉島?」
倉島「わからん! 突然、計器が」
真木「倉島、すぐに帰投しろ!」
倉島「しかし……」
真木「アンコントロールになれば墜落だ。後は任せろ!」
倉島「すまん、真木……」

倉島機が真木に後を任せ、帰投する。

真木「パーチ・ポジションだ。もうすぐ見えるぞ」

しかし、レーダー上の光点が突然、消えてしまう。

真木「ロストした!?」

目の前に突如として迫る、巨大な火の玉。

真木「わああぁぁ──っっ!?」


気づくと、そこは光に包まれた謎の空間。真木は体一つで、空間内を漂っている。

真木「死んで……たまるか……」

嵐のように膨大なエネルギーの奔流が、真木の体を貫いてゆく。

真木「俺はまだ死ぬわけにはいかないんだぁぁ!!」

目の前に現れる、火の玉のような発光体。光が形を変え、光の巨人の姿を形作ってゆく。

真木「あ…… あれは……!?」


ULTRAMAN
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