戻る TOPへ

ウ ル ト ラ マ ン パ ワ ー ド

〜 NO.1 銀河の追跡者:バルタン星人登場 〜


※ 日米合作、初代マンのアメリカ版リメイク的存在の「ウルトラマンパワード」。
『ヘァッ!』などというウルトラマンの声、怪獣の声、カラータイマーその他効果音は、
初代マンのものを使用しているらしい。
この作品、第1話には『銀色の巨人』というだけで、
『ウルトラマン』という言葉自体は出てこない。
第2話の最後で、初めてその名前は登場する。
また、このウルトラマンの大きな特徴である「青い目」だが、
怒ると赤くなる…ということも、一言書き添えておこう。




宇宙

地球は、防衛組織I.D.Cの無人戦略衛星によって
地球に害を及ぼすような衛星や宇宙船から守られていた。
その地球に、今、巨大宇宙船のような衛星(?)が接近、
先端から、3つの緑色に光る何かを地球に向かって放出した。


WINR(特別調査ネットワーク機関)アメリカ支部

司令室の真ん中には、何かの繭(?)が置かれている。
繭のデータを抽出し、解析を進めている隊員たち。
「カイ!スペクトル分析の結果は出た?」
白衣を着たベック隊員(女性)が、
繭のすぐそばで分析中のケンイチ・カイ隊員に尋ねた。
「今、そっちのモニターに送る。
…なんだと思う?」
カイの転送したデータを見るベック。
「う〜ん…、花木じゃないわね。」
「ヤングはどう?生物か鉱石かわかる?」
顕微鏡を覗いて、ヤング隊員(女性)は首をかしげる。
「…主成分は、クチクラに似た高分子化合物。
近いのは…昆虫かしらね。」
うなずくベック。
「ベック、これを見て。」
ベックのモニターにデータを送るヤング。
そこへ、エドランド隊長がやってきた。
「遅れてすまん。何かわかったか?」
隊長と共に、ベックのところへ移動しながらカイが言った。
「キャップ、虫ですよ。」
「おお、そうか。それで?」
「見てください。」
ヤングの言葉に、ベックのモニターを見る隊長。
データについて、説明し始めるベック。
「実際、かなり昆虫に近いんです。
表面のクチクラが、地球の物とよく似ています。」
「クチクラって?」
「いわゆるキチンです。蟹の外骨格に含まれる物質です。」
「地球の物と似てるってことは…つまり…?」
尋ねるヤングにうなずいてみせるベック。
「…地球の物じゃないってこと。」
繭の近くに寄って、もう一度繭を観察する隊長。
「ベック!この焼け跡は?」
「大気圏突入の時に。」
と、メガネを外しながらベック。
「宇宙からの、お客さま。」
ちょっぴりおどけたようにヤング。
「…これは何なのか。いつ着陸したのか。
中にいた何かは今どこなのか…?
君の経験から判断してどうだ。」
隊長の質問に、ベックは答えた。
「…何も。確かなのは、高等生物だということ。
それが友好的かどうかわかりませんが、
私のカンでは、あまりありがたくないもののような気がします。」
ベックの顔を見るみんな。


工事中の地下トンネルの入り口の小屋

2人の警官が乗ったパトカーが到着。
鼻をかむ女性警官。
もう1人の警官が、無線連絡。
「こちらアダム37。今、現場に着いた。中に入ってみる。」
『了解』
「本当にここなの?何も聞こえないわ。」
「ま、とにかく行ってみよう。」
パトカーを降り、小屋に入ってゆく2人。
「うわっ!何だ、この臭い?!」
懐中電灯を持って中へ入るなり、男の警官が叫んだ。
「ほこりじゃないの?」
「いや、そうじゃなくて…、なんて言うか、虫の死骸みたいな…。
臭わないか?」
「私、鼻炎だからわかんない。」
…そういえば、さっき鼻をかんでいた。
暗い小屋を進んでゆく女性警官。
「サム?」
ふと、女性警官が男の警官の方を振り返ると、
男の警官は、天井を懐中電灯で照らしたまま、
顔をこわばらせて動けないでいる。
その表情に、女性警官が恐る恐る天井を見上げると…!!

『フォ、フォ、フォ、フォ…』

そこに、甲羅で覆われたような、おおきなハサミを持った生物が…!
いくつもの不気味な赤い目が、暗い天井に光っているではないか!
「いったい何なのよ、あれ!!??」
「こいつはWINRの仕事だぞ。」
『フォ、フォ、フォ、フォ…』
2人は銃を構え、笑うような声を上げているその生物に連射。
しかし…
「うわぁーーーーっ!」
「ぎゃあああああっ!!」


WINR司令室

ビービービービー…
警戒ランプが点滅し、警報が鳴り響く。
「まただ。」
サンダース隊員が、モニターを操作しながら
「キャップ!」
隊長を呼び、モニター画面を指差した。
「I.D.Cの衛星はここです。
で、コイツがさっきから出たり消えたりしてるんです。」
「目を離すな。ソイツの座標を捕捉しろ。」
「やってます。」
警報を聞きつけ、カイとヤングとベックも司令室にやってきた。
「カイ!この正体不明の衛星を分析してくれ。
ヤング!SPCを調べろ、動力源が知りたい。
ベック!スペクトルスキャンを頼む。例の繭と関係があるかもしれん。」
「了解。」
みんなは、それぞれ隊長の命令に従い、作業開始。
「サンダース!未確認衛星の座標はまだ出ないか?」
「待ってください。」
「待ってる暇はないぞ。」
「動きが激しくて、座標を固定できないんです。」
「言い訳はいい!早くしろ。」
やれやれ…といった表情で、再びモニターに向かうサンダース。
すると、ヤングが言った。
「通常の衛星ではありません。全長は1.6キロ。」
続いて、ベック。
「あの繭とよく似た属性を示しています。
…やはり、関係ありそうですね。」
モニターに表示されている、赤く点滅しているものは、いったいなんなのか?
「なんなんでしょう…」
カイも、今まで見たこともないその動きに戸惑っていた。
「わからん…。この3日間、宇宙局とI.D.Cが追跡してるんだが、
信じられんような動きで姿をくらますそうだ。」
困惑気味の隊長。
「よぉし、じっとしてろよ…。
じっとしてろってのに!
まるで俺から逃げようとしてるみたいだぞ…、まったく。」
動きが速くて座標がうまく測れず、イラつくサンダース。
「地球のモノである可能性はないんですか?」
「ネットワーク加入者の誰も所有を認めていない。」

その頃、I.D.Cの衛星は、
近づきつつある未確認物体にレーザーの発射口を向けていた。

「キャップ!I.D.Cより通達。衛星から威嚇射撃を行うそうです。」
ベックの報告に、隊長はじめ全員に緊張が走った。
が、モニターに突如現れたまた別の何か。
それは、正体不明のモノのほうではなく、
I.D.Cの衛星に向かって進んでいる!
「あの、キャップ!」
「キャップ!コイツを見てください!!」
それを見て驚く隊員たち。
「I.D.Cの衛星の方へ向かって、まっすぐ進んでいます!」

宇宙では、真っ赤に輝く光の玉が、
どこからかすごいスピードで飛んできて、I.D.Cの衛星に接近。
そして、衛星から未確認物体に向かって発射されたビームの行く手をさえぎり、
そのままビームを押し返すように飛び続け、
ついには、I.D.Cの衛星を破壊してしまった。

モニターを見ていた隊長は、しばし絶句。
「…くそぅ。サンダース、コイツの軌道を割り出せ。
どこに降りるのか知りたい。」
「…了解。」
「カイ!ヤング!ビートルで現場に向かえ。
座標は、コックピットに転送する。」
「了解!」
カイとヤングは、スーツを準備し、戦闘機ビートルの格納庫へ向かった。
「座標が出ました。セクター、ジャクソン6です!」
サンダースが、赤い光の玉の着地点を割り出し、報告した時、
司令部に電話がかかってきた…受話器を取るベック。
「WINR司令部です。」
「I.D.Cからか?」
「市警察です。巡査が2名、行方不明だそうです。
通信が途絶える直前の言葉が…『たくさんの目』とか。」
「…たくさんの目?」


ビートルに乗り込むカイとヤング。
「ストライクビートル、発進します。」
地下の格納庫から地上に姿を現し、
WINRの戦闘機ストライクビートルは、飛び立った。


一方、市警察の依頼で、行方不明の警官の捜索のため、
地下トンネル入り口の小屋に到着した隊長とサンダースの両名は、
止まったままのパトカーを発見、横で車(ローバー)を止めた。
「パトカーを発見した。中に入る。」
『了解。』
「以上。」
隊長は司令室のベックに通信、
サンダースと共に、小屋の内部に入っていった。


ビートルは、I.D.Cの衛星を破壊した赤い光の玉の落下地点を、
コックピットのレーダーで捜索。
しばらくして、サンダースの割り出した地点に差し掛かると、
レーダーに反応が!
「こ、これは…!!」
愕然とするカイ。
ポイントへ近づくと、そこには巨大なクレーターが!


銃と懐中電灯を手に、ゆっくり小屋に入ってゆく隊長とサンダース。
静まり返った内部に、
ガシャ…
進行方向右斜め前から聞こえたその音に、
さっと銃口を向ける2人。
しかし、懐中電灯に照らされた物音の主は、ネズミだった。
「キャップ、鈍くなってますね。
やっぱり、反射神経と歳は関係あるんですね。」
「おまえに人のことは言えんぞ。」
その時、天井から別の物音が!
2人が、懐中電灯の明かりを向けると、
そこになんと、甲羅のような体といくつもの赤い目が!
「あの繭でやって来たのはコイツらか!?」
『フォ、フォ、フォ、フォ…』
「待ってください。キャップ!セレクターを切り替えて。」
ゴーグルのセレクターを切り替えるサンダース。
…と、突然、その生物が攻撃をしてきた。
「危ない!!」
サンダースに向かって叫ぶ隊長。
ババーン!
間一髪、左右に飛んで、その爆発物を避けた2人。
「いったい何匹いるんだ?」
「セレクターを赤外線に!エイリアンは1匹だけで他は幻です!」
「よし。」
隊長が、ゴーグルのセレクターを切り替えてみると、
今まで複数に見えていたソイツは、実は1匹だったことが判明した。
バキューン!
サンダースが、銃を一発打ち込むと、ソイツの姿は見えなくなった。
「…しとめたかな?」
「そうは思えんな。…あれは?」
奥にある階段の方に明かりを向けると、何かが落ちている。
そばへ行ってみると、それは、警官の帽子だった。
2人は無言でうなづき合い、
「よし、行くぞ。」
その階段を、慎重に降り始めた。


クレーターのそばへ降り立ったカイとヤング。
底に目をやるが、想像より遥かに大きく深いため、何も見えない。
「これじゃ、何も残ってないわね。」
「よし、スキャンしてみよう。」
ゴーグルを下ろしてみるカイ。
ヤングが、空を見上げと、美しい月が輝いている。
「こんなに月が明るいのに、どうして底が見えないのかしら。」
「オレたちに見られたくないのかな。」
カイは、赤外線でスキャンしてみたが、やはり何も見えなかった。
「降りてみる。」
「待って!応援を待った方がいいわ。」
「いや、何時間かかるかわからない。大丈夫さ。」
カイは、腕の通信機に向かって言った。
「カイより司令部へ。応答願います。」
『こちら司令部、どうぞ。』
司令部に残ったベックが応えた。
「今、クレーターの縁にいる。特に異常なし。
目に付くものはない。これから降りてみる。」
『了解。気をつけて。』
カイは無線を切り、クレーターの中へと降り始めた。
何度か足を滑らせるカイ。
少し降りたところで、心配そうにカイを見ているベックに、
親指を立ててみせるカイ。
その時、クレーターの底から、目を開けていられないほどの
激しい真っ赤な光の柱が立ち上り、カイの体を包み込んだ。
目を覆うカイ、そしてヤング。
やがて、その光は、カイの体を取り込むようにして消えてしまった。
「…?カイ?……カイ!!」
…が、カイの返事はない。
腕の通信機で呼びかけてみたが、結果は同じだった。
「カイ!!!返事して!!!!!」


工事中の地下トンネルの中、あの生物を追う隊長とサンダース。
注意しながら、二手に分かれてゆっくり進んで行く。
『フォ、フォ、フォ、フォ…』
サンダースの前を、一瞬横切って行く謎の生物。
「キャップ!こっちです!!」


クレーターに1人残されたヤングは、司令室のベックに通信。
「わからないわ…。消えちゃったのよ!」
『そのエリアの、カイの識別行動はチェックした?』
「2回ね…。だけど反応なし。」
すると、またさっきと同じ赤い光の柱が!!
「あ!ちょっと待って!まただわ!!」
『どうしたの?』
「光がっ!!」
『ヤング?どうしたの?よく聞こえないわ!』
次の瞬間、さらに強い真っ赤な光が、
まるで噴き上げるマグマのような勢いで立ち昇った!
その衝撃で、ヤングは気を失ってしまった。
『ヤング!応答して!』

カイは、真っ赤な光の中をさまよっていた。
ここはどこなのか…?
クレーターの底へ落ちてしまったのか…?
その時カイの耳に、どこからともなく不思議な声が聞こえてきた。
『カイ、君に協力をお願いしたい。』
「誰だ?!」
『私は、M78星雲からやって来た、
銀河の平和を守るための組織に属する者だ。』
「あの繭や、正体不明の衛星はおまえのものか?」
『いや、あれはバルタン星人のものだ。』
「バルタン星人…?」
『宇宙の侵略者だ。彼らは多くの文明を滅ぼしてきた。
これ以上の侵略と、侵略による悲劇を防ぐために、
私は、バルタン星人を追って、この太陽系に来た。
カイ!君たちの星への侵略は、すでに始まっている。』


地下トンネルに降りた隊長とサンダース。
通路の向こうから、
『フォ、フォ、フォ、フォ…』
ヤツの…バルタン星人の不気味が声がこだました。
しかし、姿は見えない。
「何がおかしい!!」
怒鳴るサンダース。
「(このトンネルは)どこに通じている?」
サンダースは、腕の小型通信機のふたを開け、情報を検索。
「ええと…、浄化槽から西へ折れて…、
ハンソン水路の北側へ向かっています。」
その時、正面の壁面に、おおきなハサミ型の手をあげて歩く、
バルタン星人のシルエットが横切った。
「あそこだ!!」
急いで追いかける2人。


赤い光の中で、何かの声と話し続けるカイ。
「侵略者を追ってきたのなら、なぜ地球の衛星を破壊した?」
『バルタンの母船を攻撃しようとしていたからだ。
そんなことをしたら、地球はすぐさま、彼らの総攻撃を受けていただろう。』
「俺にどうしろというんだ!!」
『バルタン星人と戦うために、君の身体を貸して欲しい。
私の身体は、この星での活動に向いていない。
だが、君と同化することで、3分間は戦うことができる。
決して君の心に立ち入るようなことはしない。
カイ…!時間がないのだ。』


バルタン星人を追って、地下トンネルを走る隊長とサンダース。
通路の真ん中に、点けっぱなしの懐中電灯が落ちているのを発見。
「キャップ、あれ…」
「ああ。」
サンダースが、それを拾い上げた時、
『フォ、フォ、フォ…』
遠くからあの声が!
再び走り出す2人。
しかし、しばらく行くと、通路が2つに分かれているではないか。
「あ…、チキショウ…」
「見失ったら事ですよ。トンネルは町中に…」
「そうだな…」
しばし立ち止まり考える…右か、左か?
すると、右通路に、またあのシルエットが!
「いたぞ!あっちだ!!」
隊長が走り出した。
「キャップ!待ってください!!」
後に続くサンダース。


「どうすればいい?」
そう尋ねるカイの目の前に、
『カプセルを使うのだ!』
光の中から、その声が“カプセル”と言った、
細長い何かが現れた。
次の瞬間、突如飛び立つウルトラマン。


トンネルを走り続ける隊長とサンダース。
走って、走って、外へ出てみると、
目の前の草原に、バルタン星人が3匹!!
『フォ、フォ、フォ、フォ…』
それぞれが声を上げ、その不気味に笑うような声が、
二重にも三重にもなって、あたり一面にこだました。
「3匹はいるわい。」
「なら3匹しとめてやる!」
バン!バン!バン!…
2人は、3匹に向けて銃を連射!
土煙が上がって、バルタン星人が見えなくなったと思ったのもつかの間、
なんとソイツは、あっという間に巨大化し、
誇らしげに両手のはさみを突き上げた。
『フォ、フォ、フォ、フォ…』
その声も、夜空を震わすほどデカい。
「な…、なんてヤツだ……」
想像を絶するその大きさに、
あんぐり口を開けて、ただ見上げている隊長とサンダース…。
「ふっ…、デカい方が狙いやすいってもんです!」
「ああ、そうだな…」

巨大化したバルタン星人は、街の中を歩き回り、次々とビルを破壊してゆく。
街は、あっという間に火の海に包まれた。
サンダースは、車に戻ると、バズーカ砲を準備。
隊長は、司令室のベックに通信。
「ベック!カイたちから連絡は?」
『ありません。』
「あの2人、何してる…」
「よぅし、見てろよ…」
サンダースは、狙いを定め、バズーカー砲を発射!
それは見事に、バルタン星人の眉間に命中した。
ものすごい地響きを立てて倒れるバルタン星人。
「よし、やった!!」
「イヤッホー!!ハッハッハッ!ざまぁみろって!
デカくなったのが運のツキだ!ハッハッハ…??」
すっかり有頂天になるサンダースだったが、
顔色の変わった隊長の目線の先の方を振り返って見ると…!!
バルタン星人は、まるで何事もなかったかのように身を起こし、
『フォ、フォ、フォ、フォ…』
元の通りに立っているではないか!
「…起き上がったって、またぶっ倒されるだけだぞ!!
わかっとんのか!?」
サンダースはそう怒鳴り、再びバズーカの準備に取り掛かった。
その時!!
どこからともなく真っ赤な光が飛んできた。
それは、バルタン星人の目の前で止まったかと思うと、
今度は、白く輝く人型に姿を変え、ゆっくりと空から降りてきた。
「サンダース…、装填は急いだほうがいいぞ…」
サンダースが、隊長の言葉に顔を上げると、
バルタン星人の前に、それと同じくらいの大きさの…
そう!青い目のウルトラマンが立っていた!!!
すぐさまバルタン星人は、ウルトラマンに向かって突進。
1対1の、激しい戦いが始まった。
地上で、空中で、お互い一歩も譲らぬ戦いが続く。
それを、ただボー然と見ていた隊長とサンダースだったが、
2体が街から飛び去るのを見て、
急いで車に乗り込んだ。
「追いかけましょう!」
「記録を忘れるな。」
2体を追って、車を走らせるサンダース。
「ケンカなら、地球から離れたところでやってもらいたいもんですね。」
しばらく行くと、建物の間に2体を発見。
「あそこだ!」
車を降り、再びウルトラマンの方を見上げると、
ウルトラマンが、なぜかこちらをじっと見下ろした。
「…俺たち、友だちに見えるかな?
それとも、虫けらでしょうかね…?」
あっ!バルタン星人から、強力な反重力波が!!
まともにそれをくらい、後ろに吹っ飛ぶウルトラマン。
「うわっ!」
それを見て、慌てて車に乗り込む隊長とサンダース。
「銀色の巨人を援護しますか?」
「彼が味方だとなぜ言える?」
「ハサミを持ってる方は、明らかに敵ですから。」
その時、ウルトラマンの胸のランプが点滅しだした。
カラータイマー…この星で活動できる3分間が過ぎようとしている知らせだ。
ウルトラマンは、残りのパワーの全てを込め、
片ひざをつくと、顔の前で両腕を十字に合わせた。
『ヘァッ!!!』
ウルトラマンの必殺技、『メガ・スペシウム光線』が、バルタン星人に炸裂!!
バルタン星人の身体は、ついに消滅した。
立ち上がって、ローバーの天井から顔を出す隊長とサンダース。
銀色の巨人、ウルトラマンは、2人にちょっと目線を落としたかと思うと、
『シュワッッ!!』
あっという間に、夜空の彼方へ飛び去っていった。
「何者でしょう…?」
「さあな、だが、敵じゃなくてよかった。」
『キャップ!』
ベックからの通信だ。
「なんだ?ベック。」
「あ、テレビの取材だ。」
車を降りてゆくサンダース。
『今、I.D.Cの発表が入りました。
謎の衛星は、地球の軌道より退却したそうです。
危険は、回避されました。』
「了解!…ところで、カイたちから連絡は?」
『はい、無事だという連絡がさっき入りました。
クレーター内の物体が、電波妨害を起こしたそうですが、
それも収まったようです。』
「わかった。以上だ。」


クレーターの縁に倒れているヤングに駆け寄るカイ。
「ヤング!ヤング!しっかりしろ!」
目を覚ますヤング。
「カイ…、あなた、どうしたの?あぅ!」
ヤングは起き上がろうとして、頭を抑えた。
「ムリするな。…言っても信じないよ。」
「あ…、頭が…。あの光は?」
「さ、さあ…、落下物が気化して…光ったのかな?」
ちょっと微笑むカイ。
「??何…??」
「…立てる?」
カイの手を借りて立ち上がるヤング。
「気化して光ったって、何?」
ヤングは、どうも合点がいかないらしい。
「基地に戻ろう。」
その時、またカイの耳にウルトラマンの声が…。
『カイ、バルタン星人は、まだ地球侵略をあきらめていない。
地球の安全が確認されるまで、留まりたいのだが…』
「オーケー。」
カイが、ウルトラマンに対して思わず口に出した言葉だったが、
「うん、大丈夫。」
ヤングは、自分に向けられたものと思ってそう返事した。
ちょっぴり微笑み、ヤングを支えて歩き出すカイ。


〜 END 〜

inserted by FC2 system