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ウルトラマンレオの第1話



セブンが死ぬ時!
 東京は沈没する!



城南スポーツクラブ。

主人公・おゝとりゲンが見事な体操の演技を披露。
さらに空手の組み手で、黒帯の相手数人を次々に倒していく。
その活躍ぶりに、責任者の大村正司を始め、センターに通う小学生たちが拍手を送る。


おゝとりゲン 20歳 彼がこの物語の主人公である


東京沖の海上。双子怪獣レッドギラスとブラックギラスが暴れ回る。
かつて地球を守って戦ったウルトラセブンが今また、地球上で怪獣相手に戦いを繰り広げている。


今 ウルトラセブンは 東京の南250kmの洋上 黒潮島で
宇宙からやって来た双子怪獣と戦っていた
セブンは単身 地球を守る任務を帯びて 地球に来ていたのだ


レッドギラスとブラックギラスの合体攻撃の前に、苦戦を強いられるセブン。
さらに落雷ととも新たな敵、マグマ星人が現れる。


悪賢いマグマ星人が 双子怪獣を使ってセブンを襲ってきた


マグマ星人の攻撃を必死にかわすセブン。隙を突いてブラックギラスがセブンの足を捕え、捻り上げる。
バキバキと鈍い音が響き、セブンが苦しみもだえる。

そのとき、空から真っ赤な火の玉が飛来。
火の玉の中から新たな赤い巨人、ウルトラマンレオが現れる。


セブン絶体絶命のとき 現れたのは
そう 我らがヒーロー ウルトラマンレオである


強烈なキックとともに、レオがマグマ星人に立ち向かう。
レオの猛攻を浴び続けるマグマ星人が、口笛で双子怪獣を呼び寄せる。
マグマ星人の助太刀に向かおうとする双子怪獣を、セブンが必死に押さえつける。

だがそのセブンに、マグマ星人の放ったビームが直撃し、力なく倒れる。
マグマ星人が宙へと消え、双子怪獣も海中へと姿を消す。

セブンの変身が解け、地球人の姿であるモロボシ・ダンとなる。
レオも体を宙へ踊らすと、その姿がおゝとりゲンとなり、地上に降り立つ。
倒れているダンに駆け寄るゲン。

ゲン「モロボシさん、大丈夫ですか!? しっかりして下さい!」


ゲンに介抱されたダン。血の滲む右足に包帯を巻き、杖を突きつつゲンと語る。

ダン「私を、モロボシ・ダンと知って助けてくれたのか?」
ゲン「あなたはウルトラセブンであり、地球の宇宙パトロール隊・MAC(マック)の隊長であることも知っています」
ダン「君は一体、誰だ?」
ゲン「ウルトラマンレオです」
ダン「ウルトラマン……レオ?」
ゲン「僕の故郷は、あの獅子座です」

ゲンが空を指差す。

ゲン「1ヶ月前まで、あの獅子座にはもう一つの星がありました。この地球のように美しい自然に恵まれた、L77星です。ところが、凶悪なマグマ星人と双子怪獣に、L77星は全滅させられてしまいました! 父も、母も、そして兄弟も…… それから僕は、故郷にそっくりな星・地球で生きようと決心しました。地球は僕の第2の故郷です。おゝとりゲンと名乗って平和に暮してきたのに……またマグマ星人たちがやって来た!」
ダン「ゲン。君は愛する地球を、君自身の手で守るんだ」
ゲン「愛する地球を僕自身の手で?」
ダン「宇宙パトロール隊に入隊するんだ」
ゲン「……だってモロボシさん、あなたがいるじゃないですか?」
ダン「私には君が必要だ。しかも、君にも私が必要だ!」
ゲン「しかし、ウルトラセブンがいるではありませんですか!?」
ダン「……セブンはもういない」
ゲン「何ですって!?」
ダン「見るがいい」

ダンがウルトラアイをかざす。
しかし変身どころか、ウルトラアイは火を吹いて砕け、ダンは崩れ落ちる。

ゲン「あぁっ、セブン!? モロボシさん、大丈夫ですか!?」
ダン「はぁ、はぁ…… やってくれるな? ……やってくれるな?」
ゲン「……はいっ!」

ダンが沈み行く夕日を差す。

ダン「あそこに沈む夕日が私なら、明日の朝日は…… ウルトラマンレオ、お前だ!」
ゲン「やらせて下さい」

ダンの差し出す手を、ゲンが握り返す。
ところがダンはゲンを、いきなり投げ飛ばす。咄嗟に受身を取るゲン。

ゲン「何をするんですか!?」
ダン「どんなときでも油断は禁物だ。わかったな?」
ゲン「……はいっ!」


かくて 2人の宇宙人が地球を守るため 心を一つにして戦うことになった


東京上空の宇宙空間に浮かぶ、巨大な宇宙ステーション。


MAC 通称マックと呼ばれる宇宙パトロール隊の本部は
この巨大な宇宙ステーションの中にある
MACは 宇宙からの侵略や
遠く宇宙へ旅する宇宙船の安全を守るために作られた
国際的な組織である


ステーション内の隊員たちのもとに、ダンがゲンを連れて現れる。

ダン「みんな、集まれ」
隊員たち「はい!」
ダン「新隊員を紹介する。おゝとりゲン隊員だ」
ゲン「おゝとりです。よろしくお願いします!」
隊員たち「よろしく!」
ダン「それじゃ、隊員たちを紹介しよう」
隊員たち「黒田です、よろしく」「青島です!」「赤石(あかし)です」「白川です」「桃井です。よろしくお願いします!」
ゲン「よろしく!」


後日、ゲンが隊員姿で城南スポーツセンターを訪ねる。
大村や、指導員の山口百子と野村猛、センターに通う小学生・梅田カオルらが迎える。

大村「やぁ、おめでとう、おめでとう。この大村正司も嬉しいぞ! とにかく、スポーツクラブからMACの隊員が誕生したとなると、子供たちもおゝとりくんを目指して今まで以上に、スポーツにも勉強にも身が入るだろうな!」
猛「いやぁ、子供たちばかりじゃありませんよ。僕だっておゝとりさんの跡を追って、MACに入ろうと思ってるくらいです」
百子「まぁ! 野村さん、困るわ。みんなMACに入ってしまったら、スポーツクラブの方はどうなるの?」
大村「そらぁそうだ。百ちゃんの言うとおりだ。みんなMACに行っちゃったら困るな。ハッハッハ!」
カオル「おゝとりさん、スポーツクラブをやめちゃうのぉ?」
ゲン「カオルちゃん、心配することないんだよ。MACの仕事がないときにはね、スポーツクラブにいてもいいことになってるんだ」
カオル「ほんと? あぁ、良かった! また宿題教えてもらえるのね」
大村「あれ? おゝとりくんはカオルちゃんの宿題を見ていたのか? ここはスポーツクラブなんだよ」
百子「大村さん、ご存知なかったんですか? カオルちゃんばかりじゃありませんのよ」
大村「本当? おぉい、おゝとりくんに宿題を見てもらったことがある者は手を上げて!」

スポーツに励んでいる子供たちが、次々に手を上げる。

子供たち「は──い!」
大村「あらぁ……!」


ゲンの自宅。シャワーを終えたゲンが自室にもどると、カオルがいる。

ゲン「あぁ、さっぱりした。なんだカオルちゃん、来てたのか」
カオル「お花持ってきてあげたのよ。きれいでしょ?」
ゲン「わぁ、本当にきれいだ。どうもありがとう」

カオルの持ってきたチューリップを眺めながら、2人が仲良く「チューリップ」の歌を歌う。

2人が海岸を散歩しながら、しりとりを楽しむ。
怪獣たちとの戦いとは無縁な、平和なひとときが流れてゆく。


しかしその頃 ウルトラマンレオに追い返された双子怪獣は
再び恐ろしい企みを持って 黒潮島へ迫っていた


双子怪獣レッドギラスとブラックギラスが黒潮島に出現。
怪獣たちの巻き起こす大津波に、建築物や住民たちが次々に飲み込まれてゆく。

ゲンのもとにMACからの通信が届く。

ゲン「こちらゲン」
通信『緊急指令! ただちに本部へ直行せよ!』
ゲン「……了解!」


MAC本部。

白川「隊長! 大津島からSOSです」
ダン「何だと!?」
白川「『沈む』とだけしか聞き取れませんでした」
ダン「続けて発信源を追うんだ」
白川「はい!」
ダン「今度は東京から150kmか…… だんだん東京に近づいてるみたいだ」
ゲン「マグマ星人だ! あいつがやったんだ!」
黒田「おゝとり! 口を慎め。お前にどうしてそんなことがわかるんだ?」
ゲン「それは……」
青島「怪獣に関しては我々の方が先輩なんだぞ」
ゲン「しかしですね!」
ダン「よせ! たとえ万に一つのことでも調べるのが我々MACの任務だ! マッキー1号で行け」
黒田・青島「はい!」
ダン「おゝとり隊員、君も行け」
ゲン「はい!」


黒田たちやゲンを乗せた大型戦闘機マッキー1号が、大津島上空を旋回する。
すでに島は海中に没し、かろうじて山の頂上のみが海面に顔を出している。

黒田「530mの山頂が顔を出しているだけということは、500mも沈んだってことだ。とてもマグマ星人の力とは思えないがねぇ…… おゝとりくん」

ゲンの宇宙人としての視力が、海中に何かを捉える。

青島「赤石、レーダー反応はどうだ?」
赤石「動きはまったく見られません」
黒田「おゝとり、納得がいったか?」
ゲン「もう一度、島の上空を飛んで下さい! 赤石隊員、谷間に隠れているかもしれません。注意して下さい!」
赤石「了解!」
青島「──谷間の上空だ。赤石、何か見えるか?」
赤石「いえ、反応ありません」
ゲン「赤石隊員、もう一度よく見て下さい!」
赤石「反応なし」
黒田「こちらマッキー1号。本部基地どうぞ」
白川『こちらMAC本部。どうぞ』
黒田「大津島には異常ありません。ただ今より基地に向かいます」
白川『了解』


MAC本部。隊員たちに隠れ、ゲンがダンに詰め寄る。

ゲン「隊長! あれは確かにマグマ星人の仕業です」
ダン「そうかもしれん。しかし、レーダーには何の反応もなかった」
ゲン「この目で見ました! 明らかに奴の狙いは東京です。間もなく東京は襲われ、沈没させられてしまいます!」
ダン「……」
ゲン「隊長、僕の言葉が信じられないんですか!?」
ダン「聞け。お前も私も確かに宇宙人だ。だが忘れてはならないことがある。それは、2人とも人間として、あの地球にいるということだ」

窓の外に見える地球を指すダン。

ゲン「愛する地球を自分の手で守れと言ったのは、あなたじゃありませんか!? 人間だの宇宙人だのと、言ってる場合じゃありません!」
ダン「違う! 人間の世界では、人間のやり方でやらなければならない」
ゲン「そんなやり方では東京は沈没させられてしまいます! あなたは故郷を奪われた者の心を知らない……」
ダン「ゲン、私にとっても地球は故郷だ」
ゲン「バカな!? もうすぐ東京は沈むというのに。もう時間がありません」
ダン「よせっ! お前1人の力では奴らには勝てはせん」
ゲン「隊長! ……勝ってみせます」
ダン「ゲン!!」

睨み合う2人。そこへ白川隊員が駆けつける。

白川「隊長! 東京湾が異常潮位です」
ダン「何っ!?」


東京湾岸。
大津波が押し寄せ、建築物が次々に飲み込まれ、砕けてゆく。
そしてついに海中から、双子怪獣レッドギラスとブラックギラスが出現する。

人々が逃げ惑い、大混乱に陥る。
その中に、大村や百子ら、スポーツセンターの面々の姿もある。

人混みを掻き分け、単身怪獣目掛けて駆けて行くゲン。

百子「おゝとりさん!?」

ゲンが大きく大地を蹴る。その手の指輪が光を放つ。

ゲン「レオ──っ!!」

光とともにゲンがウルトラマンレオに変身。
暴挙の限りを尽くす怪獣らに、キックを浴びせる。

しかしレッドギラスとブラックギラスの2体がかりの攻撃で、レオがあえなく倒れる。
双子怪獣が再び暴れ始め、地上が大波に襲われてゆく。

レオが力を振り絞り、立ち上がる。

地上から、杖をついたダンがレオたちの戦いを見上げる。

ダン (ダメだ! ウルトラマンレオは負ける…… 日本は沈没する!!)

レオは怪獣たちに何度も海面に叩きつけられ、劣勢に追い詰められる。
やがて、胸のカラータイマーが点滅を始める。


ウルトラマンレオは 地球上では2分40秒の命しかない
カラータイマーが点滅を始めた
レオ 立て! 立つのだ レオ!


(続く)
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