戻る TOPへ

ウルトラマンA(エース)の第1話


輝け!
ウルトラ五兄弟


ミサイル怪獣
ベロクロン
      登場


ここ 広島県福山市は 石油コンビナートを中心に
紡績 化学 機械など 新しい近代工業都市として
その発展が大いに期待されていた


福山市に怪獣ベロクロンが出現。火を吐き、暴れ回る。
次々に炎に包まれてゆく街中で、人々が逃げ惑う。

「火事だ!」「うわぁ!」「早く逃げろ!」

1人の青年がトラックに乗り込み、走り出す。

「くっそぉ、あの怪獣野郎! (この車の中には、ホームの子供たちが食べるパンが入ってるんだ。怪獣なんかに踏み潰されてたまるか!)」


その若者の名は 北斗星司(せいじ)
パン屋の運転手である星司は ホームの子供たちのもとへ
パンを運ぶ途中だった


北斗は必死にハンドルをきり、ベロクロンの攻撃をかわす。
だがベロクロンの炎がついに北斗のトラックを捉え、大きく炎を上げる。


とある病院。
ベロクロンが迫り、入院患者たちが逃げ出す。
1人の看護師が車椅子の少女を運びつつ、避難誘導にあたっている。

「皆さん、早くエリザベスホームへ避難してください!」


ここに もうひとり 若く健康な白衣の天使がいた
名は 南 夕子


地球防衛軍の戦闘機の編隊が、ベロクロン迎撃のために飛来する。

「全機、突撃せよ」

戦闘機群の砲撃にも動じず、ベロクロンは口から吐く炎で戦闘機を撃ち落とす。

「背後を狙い撃て!」

戦闘機群は炎をよけ、ベロクロンの背後に回りこむ。
だがベロクロンは全身の突起からミサイルを放ち、戦闘機を撃ち落とす。

「ミサイル!?」

やがて、ミサイル攻撃がやむ。

「敵はミサイルを切らした。全機、俺に続け!」

反撃に移ろうとする戦闘機群。だがベロクロンは口の中に隠されたランチャーからミサイルを発射。
ついに防衛軍の戦闘機が1機残らず撃墜される。


防衛軍は全滅した
コンビナートの街・福山は瞬く間に廃墟と化した
次に狙われるのは 京浜工業地帯であろうか


焼き尽くされた街の片隅で、かろうじて生きていた北斗が、ボロボロの姿で立ち上がる。
足元には、黒焦げになったパンが転がっている。

北斗「はぁ、はぁ、まだ生きてたのか…… 偉いことになっちまったなぁ。あ〜ぁ。こんなに真っ黒焦げにしやがって」

彼方でサイレンの音が響き、黒煙がもうもうと上がっている。

北斗「ホームのあたりだ!」

北斗が煙のほうへ駆け出す。

孤児院の聖エリザベスホームに迫るベロクロン。人々が逃げ出す。
夕子も車椅子を押しながら逃げようとするが、足元の瓦礫に車輪を阻まれ、動けなくなってしまう。

北斗「よぉし!」

夕子のもとに北斗が駆け寄り、車椅子を押す。

夕子「すみません……」

ベロクロンが咆哮をあげながら次第に迫る。
咄嗟に北斗が、路傍に停めてあったタンクローリーに乗り込み、果敢にベロクロンに挑む。

北斗「くそぉ!」
夕子「あぁっ!?」

大爆発。空高く炎が上がる。
ベロクロンが去って行き、その姿が虚空に消える。

そのとき、空から赤と緑の光球が飛来。
地上に倒れている北斗と夕子を包み込む。

光に包まれた空間。彼方から飛来する4つの姿。
ゾフィー、ウルトラマン、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマン。
そして彼らに囲まれ、新たな戦士、ウルトラマンエースが降り立つ。

エース「私はウルトラ兄弟の5番目。ウルトラマンエースだ」
ゾフィーたち「ウルトラマンエース!」

エースが手を高く掲げる
光が放たれ、北斗と夕子の右手に指輪が現れる。

エース「銀河連邦の一員たるを示す、ウルトラリングを今お前たちに与えた。そのリングの光るとき、お前たちは私の与えた大いなる力を知るだろう」


数日後 ウルトラマンエースの力を得た北斗星司と南夕子は
地球の守り TAC(タック)に入隊すべく 故郷を後にした


エリザベスホームを発つ北斗と夕子を、ホームの子供たちが見送る。

子供たち「お兄ちゃん!」「お姉ちゃん!」「怪獣やっつけてね!」「さようなら──!」
北斗「まかしとけぇ!」
夕子「みんな、体に気をつけるのよ!」
北斗「うまいパン食って、でっかくなれよ!」
夕子「食べ過ぎておなか壊すんじゃないのよ!」
北斗「腹なんか気にしないでなぁ、どんどん食えよ!」
子供たち「さようなら──!」「さようなら──!」


TAC──Terrible-monster Attacking Crew
全滅した地球防衛軍に代って 新しく登場した地球の守り


TAC基地。北斗と夕子が、入隊テストに臨む。

「飛行テスト、パス」「同じく飛行テスト、パス」


隊長の竜 五郎が、北斗と夕子に隊員たちを紹介する。

竜「山中隊員、射撃の腕にかけては彼の右に出る者はいない。吉村隊員、宇宙生物に関するTACの生き字引。今野隊員、ロケット工学のオーソリティ。そして美川のり子隊員」
美川「よろしく」
竜「私が、隊長の竜だ」
夕子「はい」
竜「以上に君たち2人を加えた7人が、TACのメンバーということになる」
北斗「北斗星司です!」
夕子「南夕子です」
吉村「君たちは、誕生日も同じ7月7日だそうだな」
北斗・夕子「はい!」
竜「諸君。福山を襲ったあの巨大な生物は、もはや怪獣ではない。地球侵略を目的とした宇宙人たちが、地上の文明を破壊するために使わした超兵器、すなわち『超獣』と呼ばれるべき、異次元の改造生物だ」
北斗「超獣!?」

白衣姿の兵器開発担当者、梶隊員が現れる。

梶「その超獣を一発でやっつける新兵器を、また一つ開発してみたんですがね」
竜「兵器開発研究員の、梶隊員だ」
梶「よろしく」
北斗・夕子「よろしくお願いします!」
梶「山中隊員、TACガンを借りるよ。これは、TACガンをレーザーに変える特殊アダプターだ」
山中「よぉし、テストしてみよう」

早速、新兵器を試射する山中。そこへ、警報が鳴り響く。

『東京K地区一帯に非常事態発生、東京K地区一帯に非常事態発生』

今野「K地区には、東京タワーがある!」
山中「東京タワーには、TACの通信網が設置されてるんだ。タワーがやられたら、TACの通信機関が麻痺してしまいます!」
竜「ただちに出動。ただし、北斗隊員は今野隊員と同乗」
北斗「はい!」
竜「南隊員は私についてきたまえ」
夕子「はい!」
竜「行くぞ!」
北斗「南隊員、がんばれよ!」
夕子「北斗隊員もね!」
今野「北斗隊員、ちょっとトイレ行かしてくれ」
北斗「トイレ!?」
今野「あぁ。さっきから我慢してたんだ。すぐ戻るからな」


一見、平和に見える東京の街並み。
だが人間たちの感知できない空間で、異次元の住人たちが野望を企んでいた。


異次元空間を支配する 恐るべき宇宙の悪魔 異次元人ヤプール
彼らは今 地球の空に君臨し やがてこの地球を我が物にしようとしている


ヤプール「行け、ベロクロン! 恐れを知らぬ地球の者どもに、我ら異次元人の悪魔の力を見せてやるのだ。フハハハハ!」


TAC基地から2機の戦闘機タックアローと、同じく戦闘機のタックスペースが発進する。
竜隊長、美川、夕子は専用車タックパンサーに乗り込む。そこへ、北斗とともに出動したはずの今野がやって来る。

今野「隊長!」
竜「こんなところで何をしてるんだ?」
今野「はぁ、北斗新隊員に置き去りにされました」
竜「ははっ、早く乗れ!」
今野「はい!」

タックスペースには、北斗が1人で搭乗している。

北斗 (ごめんなさい、先輩。待ちきれなかったんです)


東京の街に出現したベロクロンが、東京タワーに掴みかかる。
タックアローとタックスペースが飛来。

山中「東京タワーを守れ」
吉村「了解!」

タックアローの砲撃。ベロクロンはそれをものともせずに、東京タワーをへし折る。

タックパンサーも現場へ急行する。
車内の夕子。ふと指のウルトラリングが目に留まり、エースの言葉を思い出す。
上空の北斗の脳裏にも、エースの言葉がよぎる。

(エース『ウルトラリングの光るとき、お前たちは私の与えた大いなる力を知るだろう』)

暴挙の限りを尽くすベロクロンに、吉村のタックアローが砲撃を見舞う。
ベロクロンが体からミサイルを放ち、吉村機を仕留める。

吉村「脱出だ!」

墜落してゆく吉村機。続いてベロクロンは山中機にも矛先を向ける。

山中「食らってたまるか!」

山中機が攻撃を巧みにかわすものの、ついにかわしきれずミサイルを浴び、火を吹きながら墜落して行く。
そのベロクロンの隙をつき、北斗のタックスペースが背後から砲撃。

北斗「へへっ、命中したぞ! ざまぁ見ろい!」

北斗機をも仕留めようとするベロクロンのミサイルの雨を、北斗機がかいくぐる。

竜たちのタックパンサーが現場に到着。脱出した山中、吉村が合流する。

山中「隊長!」
竜「おぉ、2人とも無事だったか」
山中「はい。あのぐらいじゃへこたれませんよ、ははっ! 北斗新隊員もなかなかやるじゃないですか。見て下さい、あれを」
竜「よし、北斗機を援護する。全員、TACガンで攻撃だ!」
一同「はい!」

孤軍奮闘する北斗機を、一同が援護する。
ベロクロンが口からのミサイルで北斗機を狙う。

北斗「おっと、これでもくらえ!」

その口の中のミサイルを、北斗が狙い撃つ。ミサイルが暴発。
ベロクロンが体中から煙を吹き上げ、動きを止める。

北斗「やったぜ! 死んだな」

だが北斗の隙を突き、ベロクロンが北斗機に火炎を浴びせる。

夕子「星司さん!?」
北斗「畜生、あいつは不死身だぜ!」

敢えなく墜落してゆくタックスペース。北斗がパラシュートで脱出する。
ベロクロンが暴れ続け、建築物が次々に破壊される。

TAC隊員たちの銃撃をものともせず、ベロクロンは今度は学校に迫る。
逃げ出す生徒たち。夕子が銃でベロクロンを牽制しつつ、生徒たちを誘導する。

夕子「早く逃げて!」
北斗「やめろ──っ! 学校までぶっ壊すことはないじゃないかぁ!」

北斗も駆けつけ、ベロクロンを銃撃。
そのとき、北斗の指のウルトラリングが光を放つ。

北斗「はっ、光った!? やい! お前が俺たちに与えると言った、大いなる力とは何だ!? くれるもんなら今くれ!!」

雄たけびを上げるベロクロン目掛け、北斗が走り出す。

北斗「畜生ぉっ!」

夕子のウルトラリングも光を放つ。

夕子「リングが!?」
北斗「夕子──っ!!」
夕子「星司さん!!」

北斗が駆けて来る。夕子も北斗へと駆け寄る。
2人が空へと大ジャンプし、交差する。

まばゆい光があふれ、ウルトラマンエースが出現する。

エースのパワフルな攻撃が、ベロクロンに次々に炸裂。
ベロクロンが反撃にかかるが、エースのことごとくかわす。
しかし、ベロクロンが口から吐いた火炎がエースを直撃。
姿勢を崩したエースに、ベロクロンが攻撃を浴びせる。

エースの胸のカラータイマーが点滅し、エネルギーの消耗を知らせる。
渾身の力で、自分を踏みつけようとするベロクロンを跳ね飛ばす。

エースが反撃を開始し、ベロクロンを投げ飛ばす。
とどめに腕から放つ必殺光線、メタリウム光線が炸裂。
光線を浴びたベロクロンの顔面が大爆発。

力尽きたベロクロンが倒れ、息絶える。

勝利を収めたエースが、空へ飛び去って行く。


TAC対異次元人ヤプールの戦いは開始された
いつ またどこに 異次元人に改造された恐るべき超獣の群れが
平和の破壊に現れるかもしれない


竜「北斗隊員、関東地区定期パトロールに出動」
北斗「はいっ!」

北斗が夕子と笑顔をかわし、出動してゆく。


TACの戦い、北斗と夕子の戦い、ウルトラマンエースの戦いがここに始まった。


(続く)
inserted by FC2 system