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●前回のあらすじ

静流と弁慶の懸命な戦いにより、怨霊から解放された義経。だが鬼一法眼は、怨霊の力を吸収し、五万人もの大増殖を遂げて
最後の戦いを挑んできた。

これを迎え撃つ”義経ちゃん”と、弁慶らその仲間たち。死闘の末に鬼一法眼は敗れ、八百年の因縁に終止符が打たれる。

だがそれは、静流と義経の永遠の別れを意味していた・・・・・・









静流「弁慶! お散歩行こっか」
弁慶「ワン!」

  (髪を切ったらしい静流。犬の弁慶を散歩させている)

「あれから半年が過ぎました」

「義経・・・」

「私は元気だよ」







●最終話 いつか風の中で







  (夜空の下で佇む静流)

弁慶「鬼一法眼を倒した事で呪いが解けて」「太刀に封じられていた義経殿の魂は天へ還る・・・」
  「永遠の別れの時・・・」「今は二人きりにしてあげるでござるよ」

  (忠犬ハチ公の銅像にもたれた弁慶。その前に立つ与一と皆鶴)

与一「でも弁慶さんはそれでいいんですか?」
弁慶「ははは拙者そこまでヤボではござらんよ」
  「それに、これはちっとも悲しい事ではござらん」
  「一人の漢(オトコ)が己の使命を立派に果たし天に還る」
  「少しも悲しい事ではござらぬよ」
与一「弁慶さん・・・・・・」

  (静かに男の涙を流す弁慶・・・・)

弁慶「これも全て静流殿のおかげでござる」「武蔵坊弁慶心より感謝するでござる」
  (そしてお二人にお仕えできたことは、拙者の誇りでござる)
  (拙者の使命もこれで終わったでござるな・・・)

  パタ(ハチ公の銅像前に座り、力なく足を下ろしてうつむく弁慶)

与一「え? 弁慶さん?」
皆鶴「うそ・・・」
与一「弁慶さーーーーーーん!!」

  ZZZZ(お約束のような寝息に鼻提灯を浮かべる弁慶・・・・)

与一「大丈夫寝てるだけだよ」
皆鶴「びびらすなーー!!」

  パコーン(思いっきり与一の頭を殴る皆鶴)

皆鶴「この状況で寝るかフツー!?」
与一「だからなんでボクを殴るんだよ〜」

  パコーン(さらに殴られたらしい与一)






静流「・・・なんだか下が騒がしいわね」
義経『騒がしいのは今に始まった事じゃあるまい』
静流「そうよね〜っ あなたに出会ってから」「あんな苦労やこんな苦労やホントにイロイロと・・・」
  「おかげで人生経験豊かになりましたわ!」
義経『今となっては良い思い出だな!』
静流「は!? その一言ですましますか!?」

  (義経の気楽な一言に青筋を立てる静流)

静流「大体今回だって服ボロボロになっちゃうし・・・こんなんで家に帰ったら榊家は大騒ぎですよ!!」
義経『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
静流「乙女のやわ肌も大損害ですよ」「お見せできない部分も大変な事になっていたりするんですよ!」
義経『見せる相手もいないくせに』
静流「むかーっ それを言いますかーーっ」

   ふっ(鼻で笑う調子の義経にますます怒る静流)

静流「見てらっしゃい」「今にあなたよりも・・・」
  「・・・義経よりも」「いい男見つけて」
  「そして・・・ラヴラヴになってやるんだから・・・」
  「・・・ざまぁみろ」

  (台詞とは裏腹に涙を流す静流)

義経『・・・・・・・・・静流・・・・・・!?』



  カッ(その時、突如義経が宿る静流の眼鏡が輝きを放つ)

静流「!?」

  (一瞬、眼を押さえた静流。ふと見るとそこには実体化した義経の姿が)

義経「どうやら時間らしい」
静流「義経ぇっ!!」

  (涙を流し義経と抱き合う静流)





義経(神様でも仏様でもなんでもいい どうか・・・どうか・・・)

  (この愛しき人に 一日でも早く)

  (笑顔が戻りますように)




  (ゆっくりと最初で最後の口づけを交す二人)

  (静流が眼を開けると、すでに義経の姿はなかった・・・・)




静流「さようなら・・・」

  (義経の魂が還ってゆく夜空を見上げる静流)






静流(八百年前の私の恋人・・・)








「あの日を境に、なぜか弁慶は前世の記憶を失い、普通の犬になってしまいました」

  (義経との別れから半年後。弁慶を散歩させている静流)

  (元気よく走る弁慶は静流を引っ張るほどパワフルだ)

「多分義経のお供をするために、行ってしまったのでしょう」
「でも、さよならもありがとうもいわせないでいっちゃうなんて、ずるいよ弁慶」


  (笑みを浮かべて弁慶に話しかける静流)

静流「ねぇ弁慶」「私が今一番あなたに言いたい事って何だか分かる?」
弁慶「ワン?」
静流「あなたのあのバイクすっごいジャマなんですけど!!」
  「なんで三十六回ローンで買っちゃうわけ!?」

  (いつかの戦いで弁慶が乗っていたバイクは、静流の家の前に放置してあった)

静流「それに残りのローンなぜか私が払う事になってるんですけど!?」
  「あと二十八回も残ってるんですけど!? おーいもしもーし!!」
弁慶「ワンワン」

  むに〜〜〜(弁慶の耳を持ち上げて怒り心頭の静流。だが普通の犬になった弁慶はまったく答えない)


  (そこにやってきたのは、ありすと皆鶴、そして与一だ)

ありす「あっ いたいた静流りゃ〜〜〜ん」
   「わ〜〜い弁慶お元気〜?」
弁慶「ワンワン」

  (なにやら楽しそうなありすと弁慶)

皆鶴「ちょっち静流っち大ニュースよ〜〜〜っ」
  「これ見て!!」

  (と言って皆鶴が見せたのは新聞記事。タイトルは・・・)

「伝説のお笑いコンビ『キーチ&ピーチ』大復活!!」

静流「き 鬼一法眼!?」
皆鶴「そうなのよダディ 生きてたのよ!」

  (そう、新聞の写真に写っていたのは、お笑いコンビとして活動している鬼一法眼だった)


「・・・謎の失踪をしていたキーチさんだったが、相方ピーチさんの必死の捜索によりついに発見!」
「だがキーチさんは記憶喪失になっていた」

  (路上でボロボロになっていたキーチこと鬼一法眼を見つけたピーチ)

「しかしピーチさんの必死の努力で・・・」

鬼一法眼(改めキーチ)「・・・ちっ がーーーーう!!」
ピーチ「それや! そのツッコミや!」「できたやないかキーチ!」
   「思った通りや! 記憶を失っても笑いのセンスは忘れてへん!」
   「いける! これならいけるで!」
   「わいらもう一度やり直すんや! そして再び光り輝くステージに立つんや!!」
キーチ「うん! うん! うん!」

  (涙を流し熱く語るピーチに、やはり涙を流して答えるキーチ)

ピーチ「よっしゃー お笑い界の天下取ったるでー!!」



  (思いがけない鬼一法眼の現況を知った静流。思わず笑みを浮かべる)

皆鶴「ふえ〜〜〜ん よかったよ〜」
与一「わっ ちょっとみんな見てるよっ」
静流(あの二人いつの間に)

  (人目もはばからず与一の胸に飛び込んで涙を流す皆鶴。その様子に顔を赤くして驚く静流)

ありす「大丈夫よっ 静流ちゃんには私がいるから」
   「一生(ハート)」
静流「い 一生!?」

  (いきなり静流に抱きついてくるありす)

皆鶴「うわっ 静流っち そうだったの!?」
静流「ち 違います〜っ」

  (なにやら誤解したらしく仰け反って驚く皆鶴。必死に否定する静流)



  (楽しげに笑いあう友人たち)


  (ふと静流が川の向こうを見ると、義経と弁慶が立っていた・・・・)


  (一瞬、笑みを浮かべて消えていく二人・・・・)



静流(・・・うん! 私は元気だよ!)



  (二人の笑みに答えるように、微笑を浮かべる静流)









  (そして・・・・)

静流「あっそうそう この間ついに・・・弁慶のバイトの謎がわかったのよ!」
皆鶴「マジ!?」
ありす「どんな!? どんなバイトしてたの!?」

  (弁慶のバイト・・・・この漫画最大の謎が今明かされる!!)



静流「それが実はガタンゴトンガタンゴトン

  (と、思ったら電車の音で聞こえない・・・・)

静流「・・・なんだって」
ありす「へぇ〜そうなんだぁ」
皆鶴「あ〜スッキリした!」
弁慶「ワン」

  (はたして、弁慶のバイトとはなんだったのか。それは読者には永遠の謎である・・・・・・)






最終話 完










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