戻る TOPへ
焼きたて!! ジャぱんの最終回
新潟県・糸魚川市・能生(のう)
ここでは、「焼きたて!!9」の最終試合が行われていた。
そして、東はパン生地を煉っていた。
東「うまくなれ、うまくなってくれ!!」
松代「遂に最終戦か」
月乃「ええ。場所は新潟県・糸魚川市・能生。課題は日本のパン。まさしく最終戦に相応しいですわ。現在私たちパンタジアの、パネルは3枚ですけど、あの最後のパネルを取れば、真ん中のサンピエールのパネルを挟んでひっくり返せますから、大逆転になれますわ」
松城「勝てればな。だが、もし負ければ6対3の完敗だ」
月乃「そんな、東さんはきっと勝ちますわ。ここは、東さんの生まれ故郷の新潟なんですから」
松城「本当にそう思うか? 月乃。相手はなんと言っても、あの霧崎雄一の息子・マイスター霧崎なんだぞ」
マイスター(東君、この勝負は負けませんよ)
本当にうまいパンを食べさせるのは!?
ジャぱんよ、永遠に!!
稲穂「和馬、負けたらぶっ飛ばす!! いいわね!?」
ソフィ(兄さん、どうしてあんな男に手を貸すの!? あの悪魔は、おなかをすかせた私たちの目の前で、パンを独り占めした奴なのよ!?)
その時、ホコーがソフィの肩をたたいた。
ホコー「なあ、ソフィさんよ。モナコにおった時から思っとったんやけど、そんなつれぇ想いしとらした奴に何でパン職人になったかて!?」
ソフィ「そ、それは」
ホコー「あんたさんだけじゃなぁに。お兄さんもよぉ、結局パン職人やっとるやすえ」
ソフィ「それは、あの時のパンが本当においしそうに見えたからよ。いつか、自分でもあんなパンを作りたいと思ったからよ」
ホコー「ほんでもおみゃあさんたちはよぉ、結局霧崎オーナーの跡を継いどるわけっしょう!? 本当は心の底からよぉ、お父さんの事愛しとったんやにゃあのかね」
ホコーがソフィと話をしている間にマイスターはパン生地をオーブンに入れ、焼き上げる。
ソフィ「そんな事はないわ。私たちがあこがれたのはパンだけ。決して、あの悪魔の事を認めたわけじゃないわ」
一方、東もパン生地をオーブンに入れて焼き上げる。
黒柳(この戦い、すでに勝負は見えている。サンピエールのマイスター霧崎は食材選びの段階で究極の物ばかり集めているのだ。アルプスの清らかな雪解け蜜と、新潟県・糸魚川市・能生の豊かな大地がコシヒカリの一等米ををさらに食み組んだ一品オマンタを製粉した米粉パン。そして、日本海ので取れた最高級の能生特産紅ズワイガニの蟹肉と蟹味噌を分担に使っている。それに比べ、東が用意した食材は、東の爺さんが作った名もない米と、能生のよもぎと味噌。さすがにマイスター霧崎には勝てんと踏んで、勝負を捨てて家族サービスに徹しているとしか思えん)
稲穂「じいちゃんたち、本当に和馬は勝てるんだろうね!?」
馬太郎「無論じゃぁ、和馬はワシの作った完全無農薬ジャぱん米を使う」
馬次郎「ワシが裏山から取って来た野生よもぎをその生地に混ぜれば」
馬三郎「そしてジャぱん44号で証明済みのワシが感性込めて焼いたぺターライトの敷石を使っておるんじゃ」
馬太郎兄弟「これで負けるはずがない!!」
稲穂「だといいんだけど」
雪乃(フン、マイスター霧崎を送り出すなんて、オーナーも焼き余ったもんね。おまけに一切妨害作をさせないなんて、これじゃあ私が活躍できないじゃないの!! 最終回だってのに!!)
その時、河内が「命」のポーズで登場する。
河内「何でやねん!!」
月乃「河内さん!!」
河内「何でマイスターがサンピエール側から出場しとんねん!?」
冠「確かに謎ですね。マイスターは父である霧崎雄一氏を憎んでいたはずですからね」
諏訪原「そんな事もわからんのか!?」
河内「諏訪原!!」
諏訪原「たとえ敵の軍門に下ろうとも、倒したい強敵がいれば、戦いたいと思うものなど」
モニカ「以前の戒の様にね」
松城「つまり、東はマイスター霧崎ほどの男が心を動かされるまでに成長したという事か」
河内「確かに、おっそろしいほど成長したな、あいつは」
冠「僕なんかもいつの間にかすっかり追い抜かれた感じですからね。誰かさんは最初からでしたけど」
諏訪原「それは誰の事で言っているのだ!?」
木下「ひょっとして、僕の事!?」
月乃「そういえば、いつからでしょう!?」
松代「何がだ!?」
月乃「いつから東さんはジャぱん何号って言わなくなったんでしょう!?」
河内「そういやそうやな」
冠「確か、モナコカップの時にはまだ言ってましたよね」
松代「そうか! あいつはこの「焼きたて!!9」、一度もそれを言ってなかった。月乃、全員で撤回だ!!」
月乃「え?」
松代「ひょっとしたら東はあの霧崎親子に勝てるかも知れんぞ!!」
河内「ホンマか!?」
冠「どうしてそんな事が言えるんですか!?」
松代「奴のジャぱんはそれまで試作品だった。だが、最近のジャぱんはその名のとおり、「ネットがジャぱんじゃ!!」と言っている!! つまり、あいつはジャぱんを完成させつつある、という事だ!!」
その言葉に河内たちが喜んでいる間に2人のパンは同時に焼きあがった。
東「できたんじゃ!!」
マイスター「完成です」
そして、歓声が上がる。
黒柳「うむ。どちらも美味そうな匂いだ」
東「黒柳のおっちゃ……お兄さん、俺の方から食べてくれ。ぺターライトで焼いたパンは焼きたてが一番美味いんじゃ」
黒柳「ペターライト!?(そうか、あの天国へ行けるパンか)」
マイスター「私は後でも構いませんよ」
黒柳「いや、ここはマイスター霧崎のおまんたゴぱんから試食する事にしよう」
東「えー!?」
黒柳「天国へ行ってしまったら、すぐに次の審査ができなくなってしまうからな」
東「そ、そんな。審査なんてステージでやりゃあいいじゃねぇか」
冠「まずいですね。焼きたてを食べてもらえないなんて」
河内「いや、心配なんはそれだけやない。おまんたゴぱんやなんて黒やんのリアクションでどないなもんが飛び出すか、わかったもんやないでぇ」
木下「どうせ最終回なんだから別にいいんじゃないですかあ!?」
河内「アホかあ!! 下手したら、放送の途中で中止になってまうかもしれんねんでぇ!?」
黒柳「ではまず、マイスター霧崎のおまんたゴぱんから」
黒柳は早速パンを食べた。その時、黒柳がリアクションした後、会場が祭り会場になった。
男「この歌舞は三波春夫先生のおまんた林!!」
なぜか、河内が踊っていた。
河内「これが黒やんのリアクションか。何やずいぶん直球やないか」
黒柳「黙れハゲー!!」
河内「ん? うわあっ!!」
なんと、黒柳がエイになって飛んでいた。
河内「なんや!? エ、エイ!? 何で黒やんエイになってんねや!?」
黒柳「貴様の目は節穴か!? これはエイはエイでも巨大なエイ。マンタだ!!」
河内「マンタ!? おーマンタ。おまんた、おまんたゴぱん!!」
黒柳「そういう事だ!!」
黒柳はそのままどこかへ飛ぼうとする。
河内「チョイ待ちいな、どこ行くねん!? まだ東の審査が残ってんで!!」
黒柳「このバカハゲ者!! マンタは海流行。世界に広がる7つの海を優雅に泳がなくてはならん!! さらばだ!!」
こうして黒柳はそのまま飛んで行ってしまった。
月乃「行ってしまいましたわ」
冠「放送中止にならなくてよかったですね」
松代「それだけでもよしとするか」
河内「でも、どないすんねん!? 審査する人間がのうなったら、試合はどうなんねや!? 黒やんの交代要員は用意されとんのか!?」
霧崎「その心配はいらん。不測の事態で黒柳君が審査できなくなった場合は、この私が審査する事になっている」
河内「って、何ゆうてんねん!? あんたサンピエールの人間やないか」
霧崎「私は現在、サンピエールとパンタジア、両方のオーナーだ。公平な判断をさせてもらうよ」
冠「待ってください!! 確かにこのルールブックにはオーナーが審査を代表する。と書いてありますが、その場合、パンタジアにもサンピエールにも無関係な審査員をさらにもう1人立てなくてはならない。と決められているはずです」
霧崎「フン」
冠「ルールブックは隅々まで頭に入ってますからね。ごまかしは聞きませんよ」
霧崎「いいだろう。ただし、今すぐにそんな審査員を呼べるならな。だが、君たちにとっても、東君のパンがこれ以上冷めてしまうのは得策ではないと思うがね」
東「もう、誰でもいいんじゃ!! 早く俺のジャぱん食ってくれ!!」
月乃「どうしましょう!? このままでは、霧崎オーナー1人に審査を任せてしまう事に。あ、これは!?」
月乃が目にしたのはピエロンリングだった。
回想。
冠「モナコお受けの言い伝えによれば、その指輪を持つものには伝説の勇者がやってくると言われているらしいですよ」
現在。
月乃(今はこのピエロンリングに祈るしかありませんわ。お願い、伝説の勇者様、東さんのパンを、私達の希望が詰まったパンを食べてあげて!!)
その時、空が光りだした。
観客A「な、何だあれは!?」
観客B「鳥だ!!」
観客C「飛行機だ!!」
河内「いや、ちゃうで!! あれはピエロやんけ!!」
ピエロ「ピーエロエロエロ!!」
月乃「伝説の勇者って、ピエロさんの事だったんですか!?」
ピエロ「ピーエロ!! そう、僕が来たからにはもう安心さ!! さあ、審査を始めようじゃありませんか
!!」
東「ピ、ピエロのおっちゃ……お兄さん!?」
月乃「霧崎オーナー、構いませんか!?」
霧崎「モナコ皇国の皇太子か。この最終戦には申し分ない、いいだろう」
東「よしっ! さあ、俺のジャぱんを食ってくれ!!」
2人は早速東のパンを手に取る、そして食べた後リアクションする。
ピエロ「ぬああ―――っ!!」
霧崎「こ、これは!?」
2人が見た物は、10年前の霧崎と東だった。
霧崎(10年前)「うん、なかなか筋がいいぞ。ほらほら、もっと腰を入れて」
東(10年前)「おお!!」
霧崎(10年前)「いいぞ、その調子だ」
霧崎「なぜこんな10年前の映像を!?」
ピエロ「これは!?」
霧崎「私の過去」
ピエロ「ほう、ではなぜ少年時代のア・ズーマがここにいるのですか!?」
霧崎(この子が東和馬……やはりそうだったのか)
そして夕暮れの中、2人が座っていた。
霧崎(10年前)「フランスから帰国した時、正直東京でやっていく自信がなくて、故郷に逃げたんだ。大切な物を置き去りにしてまでも帰国だったのにね。でも、今は違う。君が頑張る姿を見ていたら、僕も負けて入られない。そう思った」
東(10年前)「また、会えるの!?」
霧崎(10年前)「もし、この先君がパン屋を目指し、ずーっと君のジャぱんを追い求め続ける事ができたら、また、いつか会える日が来るかもしれないね」
ピエロ「なぜです!? なぜあなたはこの時は優しかったのですか!? この後ジャぱんではなくゴぱんを完成させたあなたはなぜ東京にやってきたア・ズーマを助けてやろうとはせずに、逆に叩き潰そうとしたのですか!?」
霧崎はこれまでのことを思い出す。
霧崎「ジャぱんか。まったく、誰も思いつく名前だ。くだらん!! 教えてやろう、日本を潰してやりたいわけを。嫌いなのだよ、ジャぱんが」
さらに、モナコカップの時でも。
東「悪いけど、おっちゃんとは握手できねぇよ」
霧崎「その頂上決戦の幕開けだ!!」
ピエロ「なぜです!? なぜあなたはそんな事をする必要があったのです!?」
霧崎「君に言ってもわからんよ」
そして、2人は現在に戻ってきた。
河内「な、何があったんや!?」
冠「さ、さあ」
松代「う―――ん」
マイスター「よろしいでしょうか!? お2人とも、今度は私のゴぱんの試食をお願いいたします」
ピエロ「頂きまーす!!」
2人は早速マイスターのパンを食べると、黒柳の時と同じ光景になっていた。
河内「って、またこれかい!!」
さらに、ピエロと霧崎はエイになっており、飛び去ってしまった。
そこへ、黒柳が旅から帰って来て着地すると元に戻った。
黒柳「待たせたな東。世界に広がる7つの海を優雅に回流して来たぞ」
東「お、おう」
河内「ごっつ早。そやけど、その間に東のパンはすっかり冷えてもうた」
黒柳は東のパンを早速食べる。その時、黒柳のリアクションがおかしくなった。
黒柳「ジャぱーん!! なるほど」
河内「こっちもものすごく早。もう終わりかい!?」
冠「勝負ありましたかね」
松代「いや、経理関係はどちらもすれすれだ。さすが最終回、 いい勝負してるぞおい!!」
黒柳「えー、それではこれより審査結果を発表したいと思います」
河内「け、敬語!? 黒やんが敬語使たで!!」
その時、黒柳がかけていた眼鏡を河内に投げつける。
黒柳「ふざけるな!! 私がいつ敬語を使ったというのだ!?」
河内「今や!! たった今使っとったやないかい」
さらに、河内に近づく黒柳。
黒柳「ええい黙れ!! 私の審査に気遣いや敬語など存在せん!!」
河内「ヒー!!」
黒柳は元の位置の戻る。
黒柳「では改めて説明しよう」
河内「何やっちゅうねん!?」
黒柳「まずはサンピエール・マイスター霧崎のゴぱんだが、実にうまかった。おまんた米と小麦粉と蟹味噌の配分をそれぞれ段階的にわけ、食半を微妙に絶えながらも1つのハーモニーとして纏め上げる工夫に恐れ入った。そして、この焼き外のうまさはまさに絶品!! 蟹は、基本的にゆでるのが税量の調理方法とされているが、新鮮な蟹をそのまま焼くことによって、本来のうまみが凝縮され、香ばしい香りとともに口の中に広がる味わいはまさに思考の味だった!!」
河内「かあーっ、大絶賛やんけ!!」
黒柳「対するパンタジアの東和馬のジャぱんもとてもうまかった!! 特に、完全無農薬の米粉をベースにした生地が素晴らしかった!!」
東「えへへへ、これも馬太郎じいちゃんのおかげじゃよ」
馬太郎「そうじゃろ!?」
稲穂「さすがじいちゃん!!」
黒柳「が、それを凌駕する味わいを醸し出したのが、農地法の野性よもぎだ!! 幸いこの栃はいその濃厚な味わいタンパク質も多く、香りが素晴らしい!!」
東「ありがとな、馬次郎じいちゃん」
馬次郎「そうじゃろそうじゃろ!?」
稲穂「やったね、馬次郎じいちゃん」
黒柳「だが、しかしこの両方の焼き方に生かす焼き方にこのジャぱんの特徴がある!! 正義の偉大点を発生させるペターライトの敷石はパンその物を数倍うまくさせている!!」
東「感謝してるんじゃ、馬三郎じいちゃん!!」
馬三郎「そうじゃろそうじゃろそうじゃろ!? ワシのペターライトで焼いたパンは日本一じゃ」
稲穂「すごいじゃない。馬三郎じいちゃん」
黒柳「であるが、最も素晴らしいのはこのパン生地に混ぜてある能生味噌だ!!」
河内「脳味噌やて!?」
黒柳「能味噌だあ!! の・う・み・そ。この地方の特産品で、日本一の越後米と吹雪参道に有質する整列する蜜と戎振りの国産大豆を使って天然のきよけに仕込み、じっくり常道させた生味噌で、添加物は一切使用されていない代物だ!!」
東「うん、サンキューな! 能生味噌!!」
この言葉に馬太郎兄弟はがっかりする。
稲穂「ファイト! ガッツ出しなよおじいちゃんたち」
黒柳「そして、この能生味噌の味を極限まで引き出したのは米粉をこねる際に使った東の暖かい手「太陽の手」だ!! この時の温もりが野性よもぎの香りを、味噌の香りを満遍なく生地に広げ、無農薬米粉とのハーモニーを高めていたのだ!!」
そこへ、マンタになっていたピエロが元に戻って帰ってきた。
ピエロ「そしてそして、このパンの本当の凄いところは、一口食べると」
ピエロは東のパンをもう一度食べる。
ピエロ「僕みたいな人間がシリアスになり」
さらに、今度は黒柳に食べさせる。
ピエロ「黒柳みたいな横柄な人間が丁寧な人間になってしまうのです」
黒柳「よしてください。僕は元々こういう人間ですよ」
ピエロ「これはつまり、ア・ズーマのジャぱんに入っている能生味噌が、僕達の脳味噌に刺激を与え、本来の性格に戻ってしまうという効果があったのです」
河内「そやから黒やん、敬語使とたんかい」
冠「恐るべしジャぱんですね」
ピエロ「もちろん味は最高です。かつて歴史をも変えるパンと評価した大麻(おおあさ)ジャぱんをはるーかに超える物と思いまーす」
マイスター「わかりました。それで審査の結果は!?」
河内「そや、どっちがうまいんや!?」
果たして結果は!?
黒柳「この勝負、引き分け!!」
ピエロ「僕も両者のパンにはポーズは付けられないよ。ごめんね」
河内「引き分け!? ほな、パネルはあのまま5対3で終わりかいな!?」
月乃「延長戦をするんでしょうか!?」
冠「いや、負けですよ。ルールブックに寄れば代行審査員を任命した以上、その3名が審査結果が尊重されると思います」
冠の言葉にハッとする河内たち。
冠「2人の審査員は引き分けと結論を出した以上、3人目の審査員はこの勝敗を決める権利を持っているのです」
月乃「それはつまり」
冠「残るもう1人の審査員、霧崎雄一氏の審査で全てが決まる。もう負けは決定的でしょうね」
河内「くそー、あのおっさんの存在、すっかり忘れとったがな」
木下「僕の存在もすっかり忘れられていますけどね」
雪乃(フフフ、やったわ。遂にあのゴキブリ共を叩き潰したわ)
松代「ま、負けた。あの霧崎にパンタジアを乗っ取られちまう」
その時、上空からエイ型のUFOが現れる。そしてそこから霧崎が降りてきた。
霧崎「お待たせして申し訳ない。私の審査結果は、私がおいしいと感じたのは、パンタジア・東和馬君の能生味噌ジャぱんだよ」
この言葉に観客は歓声を上げる。
さらに、雪乃はずっこける。
ホコー「あれが霧崎オーナーの素顔だっきゃ!?」
ソフィ「そんな、あんな優しい顔をしてただなんて」
諏訪原「一体何があったというのだ!?」
モニカ「こんな事ってある!?」
東「あのおっちゃんの顔、どこかで見た事があるような」
その時、能生のパネルがパンタジアのマークに変わった。
黒柳「では、第1回「焼きたて!!9」の勝者を発表する。パネル紙特性5対4で、パンタジアチームの勝利!!」
また観客は歓声を上げる。
東「やった、俺たちが勝ったんじゃ!!」
河内「やったで月乃、これでパンタジアは正真正銘お前のもんや!!」
月乃「はい。ありがとう、東さん」
松代「ちっ、あいつ勝ちやがった。この俺でさえ勝てなかったマイスター霧崎に」
月乃「でも、あの人が私たちの軍配を上げるなんて」
冠「おそらく霧崎オーナーは、東君の能生味噌ジャぱんを食べて隠していた本来の性格が出てしまったんでしょうね」
河内「ちゅう事はあいつってホンマは」
ソフィはマイスターの元に向かう。
ソフィ「兄さん」
マイスター「ソフィ」
霧崎「シルヴァン、ソフィ。かつて私はこんな問題を出した事がある。「もし、おいしそうなパンが出来たとして、最初に食べさせるのは誰か!?」という問題だ」
マイスター「ええ。それは「自分自身」でした」
霧崎「そうだ。おいしそうという事は、まだおいしいと決まったわけではない。だったら、人に食べさせる事は出来ない。では、本当においしいとわかったパンを最初に食べさせるのは!? それは、誰だと思うかね!?」
東「そんなの決まってるじゃねぇか。本当においしいとわかったパンは」
東はパンを持って誰かの元に近づこうとする。
馬太郎「まさかやはりワシに食べてほしいのか!?」
馬次郎「ワシやワシじゃろ和馬!?」
馬三郎「何を言うか、ワシに決まっておろう」
3人はケンかを始めた。
稲穂「長生きしてね、爺ちゃん達」
東が食べさせるのは月乃だった。
月乃「え、私!?」
東「この戦いは、自分のためにやってきたけど、月乃のパンタジアのためでもあったからな」
霧崎「正解だ。本当においしいパンを最初に食べさせるのは、食べてほしいと思う人間全てだ。そしてそれは、同時にパンを愛する全ての人に食べてもらう事だ」
東「ああ」
ソフィ「そうだったの」
マイスター「父さん」
ピエロ「霧崎オーナー、あなたが我がモナコ皇国の伝統を意識していたとは思えませんが、もしかしてあなたは、獅子が子供を谷底に落とすかのように日本のパン業界のためにあえて悪役を演じていたのではありませんか!?」
ピエロの言葉にはっとする東たち。
その時、霧崎が笑い始めた。
ピエロ「霧崎オーナー!?」
霧崎「ハッハッハッ、私はそんなつもりなどない! 私は金儲けがしたいだけだ。そのためにパンを作っているのだ!!」
元の性格に戻った霧崎を見て東たちは唖然とする。
霧崎「何をぬか喜びしているんだね!? 諸君。私は単にパンタジアの所有権を失っただけだ。私にはまだ、サンピエールがある。これからが本当の戦いの始まりだよ」
河内「も、元に戻っとる」
冠「きっと、能生みそジャぱんの効果がなくなったんでしょう」
東と霧崎は睨み合う。
月乃「東さん」
霧崎「どうするね!? 東和馬君。君のジャぱんはこの程度の完成度で満足してしまう代物なのかね!?」
東「冗談じゃねぇ、俺のジャぱんはまだまだ進化するんじゃ!!」
この言葉に河内たちは喜ぶ。
東「ジャぱんで勝負じゃ!!」
これからも東はジャぱんを作り続けるのだった。
(終)