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勇者エクスカイザーの最終回


(星川コウタによるナレーション)

みんな聞いて、大変なことになっちゃったんだ!
ゴッドマックスとウルトラレイカーが、ダイノガイストに捕まっちゃったんだよ!
それに、僕の身代わりに徳田さんまで連れて行かれちゃったんだ。
エクスカイザー、このままじゃダイノガイストは、地球をメチャメチャにしちゃうよぉ!


本当の宝物


カーモードのエクスカイザーに寄り添うコウタ。

コウタ「エクスカイザー、ドアを開けてよ」
エクスカイザー「危険だ、コウタ」
コウタ「徳田さんは、僕の身代りでさらわれたんだよ」
エクスカイザー「だからと言って、コウタを危険な場所へ連れて行くわけにはいかん」
コウタ「エクスカイザー、手伝わせてよ。僕だってきっと役に立つよ」
エクスカイザー「しかし……」
コウタ「とにかく、早く徳田さんを助けに行かなきゃ。それにゴッドマックスやウルトラレイカーだって……」
エクスカイザー「わかった」

エクスカイザーがドアを開け、コウタを乗せる。

エクスカイザー「しかし、危ないことをするんじゃないぞ」
コウタ「うん!」


一方、閉じ込められている徳田。

徳田「開けてくれぇ! ここから出してくれぇ〜! まさかこれ、棺桶じゃないだろうなぁ……そ、そんな! 徳田オサム29歳、親孝行もせず、ここで死んでいくのか……嫌だぁ〜っ! こんなところで死にたくな〜い! 誰かぁ〜っ!!」

突然、視界が明るくなる。

徳田「た……助かった! どちらさんか知りませんが、どうもありがとうございま──……した……?」

目の前にはガイスター一味。

徳田「わ、わぁ〜っ!?」
ホーンガイスト「な、何だこいつは!? ダイノガイスト様、あのガキじゃありませんぜ!」
ダイノガイスト「何ぃ!?」
徳田「お……お助けを……」
プテラガイスト「ん? 見たことある野郎だ」
アーマーガイスト「そう言えば……!」
プテラガイスト「いつかさらってきた、ヘボ医者の常習じゃねぇか!」
徳田「と……とんでもない! ぼ、僕は皆さんに初めてお目にかかる者です、ハイ」
プテラガイスト「嘘つけぇっ!! 俺ははっきり覚えてるぜ。てめぇらのお陰で前の基地を潰されて……」
ホーンガイスト「踏み潰してやる!!」

徳田にホーンガイストの足が迫る。

徳田「ぎゃぁ〜っ!!」
ダイノガイスト「待て」
ホーンガイスト「ダイノガイスト様!? こいつが俺達のアジトにエクスカイザーの野郎を呼んだんですぜ!」
ダイノガイスト「ならばあのガキでなくとも、エクスカイザーはここへ現れるということだ」
プテラガイスト「なるほど、そうか」
サンダーガイスト「そらぁ〜いい〜」
プテラガイスト「アホ! 何も今すぐ現れるわけじゃねぇ!」
徳田「へ、エクスカイザーが来てくれる? 僕のために? 僕って、そんなに有名人だったのかしら……?」
プテラガイスト「ダイノガイスト様、そうなると、ここに罠を張れば」
ダイノガイスト「そういうことだ」


エクスカイザーはドラゴンジェットに乗ってガイスターを追う。ドラゴンジェットのコクピットにはコウタが。

コウタ「徳田さんの声は聞こえる?」
エクスカイザー「あぁ、この方向だ。私の耳には徳田さんの声をインプットしてある。間違いない!」


一方、ガイスター一味。
徳田が池の上で磔にされ、サンダーが電流装置で拷問する。

徳田「ぎゃぁ〜っ!! や、やめてくれぇ〜っ!!」
サンダーガイスト「おもろ〜い」
プテラガイスト「面白がっているのもいいが、まだ殺すなよ」
徳田「も、もう死ぬから、やめて……」
サンダーガイスト「まだ死なな〜い」

突如、どこからともなく放たれたビームが電流装置を撃ち砕く。

ダイノガイスト「来たな……」

ドラゴンジェットから颯爽と飛び降りたエクスカイザーが、ガイスターに立ち向かう。
コウタもドラゴンジェットから降り、物陰から徳田を救出する機会を窺う。

徳田「エクスカイザー!」
エクスカイザー「抵抗もできない人間をいたぶるとは……今日こそ貴様たちと決着をつけてやる!」
ダイノガイスト「貴様のその台詞も今日で最後だ! チェーンジ・ダイノガイストォーッ!!」

ダイノガイストがロボットモードから変形。
他のガイスターたちもロボットモードに変形、一斉攻撃を開始する。

エクスカイザー「キングローダ──!!」

異空間から巨大トレーラー・キングローダーが出現。
エクスカイザーがキングローダーに収容され、キングエクスカイザーに。
さらにドラゴンジェットが合体し、最強形態のグレートエクスカイザーが完成する。

エクスカイザー「フォーム・アップ!! 超巨大合体グレートエクスカイザー!!」

池の上に捕われている徳田のもとへ向かうエクスカイザー。

エクスカイザー「今、助ける!」
ダイノガイスト「かかったな……!」
徳田「来るな、エクスカイザー! この池は罠なんだぁ!」
ダイノガイスト「よし!」

池の中に仕掛けられたエネルギー生命体捕獲装置が作動──寸前、エクスカイザーはジャンプでかわす。

プテラガイスト「へっ、運のいい野郎だ。サンダー、行くぞ! 2体合体・プテダー!」
ホーンガイスト「俺たちもだ!」
アーマーガイスト「おう! 2体合体・ホーマー!」

プテラガイストとサンダーガイストが合体してプテダーに。
ホーンガイストとアーマーガイストが合体してホーマーとなる。

ダイノガイスト「食らえ!」

ダイノガイストが繰り出したビームを、エクスカイザーがかわす。
ビームはそのまま、徳田のもとをかすめる。

徳田「おわぁ!?」
エクスカイザー「しまった!」
ダイノガイスト「フフッ、動けまい! グレートエクスカイザー!」
エクスカイザー「くっ……卑怯な!」
ダイノガイスト「貴様の最期だ!!」

ガイスターが一斉に攻撃を繰り出す。
うかつに攻撃をかわせば徳田が危険。エクスカイザーは思うように身動きが取れず、攻撃を浴び続ける。

コウタ「このままじゃエクスカイザーが……よぉし!」

意を決し、コウタが池に飛び込む。

エクスカイザー「コウタ……?」

池の中に沈んでいるエネルギー生命体捕獲装置。

コウタ「ゴッドマックス、ウルトラレイカー! 待ってて……」

捕獲装置に、ガイスターのエネルギーボックスが取り付けられている。

コウタ「あれだ!」


池の上ではエクスカイザーがプテダーとホーマーに捕われている。
そして、剣を手にしたダイノガイストが迫る。

ダイノガイスト「その首、叩き落してやる!」


池の中。 コウタがカイザーブレスを使ってエネルギーボックスを破壊する。

ウルトラレイカー「コウタ、助かったよ!」


水面から飛び出すウルトラレイカー、ゴッドマックスの本体のエネルギー生命体。

ダイノガイスト「しまった!」
プテダー「おぉ!?」
ホーマー「逃げたぁ!?」
エクスカイザー「今だ!」

隙をつき、エクスカイザーがプテダーとホーマーを投げ飛ばし、ダイノガイストに叩きつける。
池から顔を出すコウタ。

徳田「コウタくん!?」
コウタ「徳田さん!」
ダイノガイスト「おのれあのガキが……邪魔だぁ!」

ダイノガイストがプテダーとホーマーを払いのけ、コウタ目掛けてビームを放つ。
だが間一髪、エクスカイザーが2人を助ける。

徳田「いやぁ、死ぬかと思ったよ……エクスカイザー、ありがとう!」
エクスカイザー「早く安全な場所へ!」
コウタ「うん!」


安全な場所へと逃げるコウタと徳田。

徳田「そうだ!」
コウタ「え?」
徳田「こんな時のために、冬のボーナスでこのカメラを買ったんだっけ」
コウタ「徳田さん、戻っちゃ危ないよ!」
徳田「世紀の特ダネをものにしてみせるからな、見ててくれ!」
コウタ「徳田さぁん!」

カメラ片手に、徳田がエクスカイザーのもとへと引き返す。


エクスカイザー「カイザーソード! 行くぞ、ダイノガイスト!」
ダイノガイスト「小癪なぁ!」
徳田「最高のシャッターチャンス……!」

エクスカイザーとダイノガイストが戦い続ける中、徳田がカメラを向ける。

エクスカイザー「受けてみろ、ダイノガイスト!」

渾身のエクスカイザーの攻撃が、ダイノガイストの盾を切り裂き、ダイノガイストを崖に叩きつける。

エクスカイザー「ダイノガイスト、もう観念しろ」
ダイノガイスト「おのれ……!」
ホーマー「くそったれ! 今度こそこいつで……」
コウタ「エクスカイザー、危ない!」

ホーマーが捕獲装置でエクスカイザーを捉えようとした寸前、どこかからの攻撃がホーマーを吹き飛ばす。
もとのボディに戻ったゴッドマックスである。

ゴッドマックス「待たせたな、グレートエクスカイザー!」
エクスカイザー「ゴッドマックス!」
プテダー「貴様ぁ!」

続いてウルトラレイカーも現れ、プテダーを捕らえる。

ウルトラレイカー「こいつらは私たちに任せろ!」
コウタ「ゴッドマックス、ウルトラレイカー!」
ダイノガイスト「おのれぇ……!」
コウタ「わぁ〜っ!!」

ダイノガイストの下僕のコウモリがコウタを捕らえ、宙に吊り上げる。

コウタ「畜生、はなせ! はなせ!」
エクスカイザー「コウタ!?」

ダイノガイストがジェットモードに変形し、コウタを内部に収容して飛び去る。

エクスカイザー「しまった!」
ダイノガイスト「この星の最後の土産だ!」
徳田「コウタくん!」
エクスカイザー「コウタ! ゴッドマックス、ウルトラレイカー、後は任せた!」

グレートエクスカイザーがキングエクスカイザーとドラゴンジェットに分離。
キングエクスカイザーを乗せたドラゴンジェットがダイノガイストを追って飛び去る。

徳田「コウタくん……」


ダイノガイストは既に大気圏外まで飛び出している。

エクスカイザー「逃がさんぞ、ダイノガイスト」
ダイノガイスト「おのれ!」

ダイノガイストの攻撃をエクスカイザーがかわし、カイザーソードでダイノガイストの翼を切り落とす。
バランスを失ったダイノガイストが、月面に不時着する。
エクスカイザーもグレートエクスカイザーとなって着陸。
だが、ダイノガイストの手にはコウタが。

ダイノガイスト「このガキを捻り潰されたくなければ、武器を捨てろ!」
エクスカイザー「くッ……!」

やむを得ず武器を地面に放るエクスカイザー。

コウタ「あぁっ……!」
ダイノガイスト「貴様、それほどまでしてこのガキが大事か……」
エクスカイザー「大事なのはコウタだけではない。この宇宙に生きるすべての生命が大事なのだ!」
ダイノガイスト「このちっぽけな地球人の命を守るために、自分はどうなってもいいというのか」
エクスカイザー「どんなに小さくとも、命は宝だ! たとえそれが、貴様のような悪党の命であってもな!」
ダイノガイスト「フッ、面白いことを言う……ならば、貴様の大事な命を奪ってやる!」

エクスカイザーの脳天目掛け、ダイノガイストがダイノブレードを振り下ろす。
あわやと思われたそのとき、エクスカイザーは真剣白羽取りでブレードを押える。
瞬間、エクスカイザーから分離したドラゴンジェットのパーツがドラゴンとなってダイノガイストの背後に回り、その腕にキック。
ダイノガイストの手から宙に放られたコウタを、すかさずエクスカイザーが受け止める。

コウタ「エクスカイザー!」

ドラゴンがドラゴンジェットに変形、コウタを収容に向かう。

ダイノガイスト「そうはさせん! ダークサンダーストーム!!」

だがダイノガイストの攻撃が間に合わず、コウタはドラゴンジェットの中へ収容される。

エクスカイザー「ドラゴンジェット!!」

ドラゴンジェットがキングエクスカイザーに合体、グレートエクスカイザーとなる。

ダイノガイスト「おのれ!」
エクスカイザー「カイザーソ──ド!!」
ダイノガイスト「ダイノツインブレード!!」

2つの剣が同時に振り下ろされる。
エクスカイザーのマスクが砕け、素顔が露になる。
ダイノガイストの角が斬り落とされる。

ダイノガイスト「食らえ!!」

月面を舞台に、闘いは尚も続く。
互いの剣が相手の胴を切り裂き、スパークが飛び散る。

ダイノガイスト「おのれぇ、エクスカイザァー……!」
エクスカイザー「勝負だ……ダイノガイスト!」
ダイノガイスト「なんの!」
エクスカイザー「サンダーフラ──ッシュ!!!」
ダイノガイスト「ダークサンダーインフェルノォ!!」

必殺剣が激突。
鍔迫り合いで、両者が激しい光に包まれる。

エクスカイザー「うぉぉ──っっ!!」

渾身のエクスカイザーの剣が、ダイノガイストを吹き飛ばす。
全身ボロボロになり、大地に叩きつけられるダイノガイスト。

ダイノガイスト「うぅ……ひと思いに……殺せぇ!」
エクスカイザー「そうはいかん。宇宙刑法により、貴様を逮捕する!」
ダイノガイスト「フフフ……できるかな?」

ダイノガイストがジェットモードに変形し、飛び去る。

エクスカイザー「待てっ!」

エクスカイザーもドラゴンジェットで後を追う。


ダイノガイストが目指す先は、何と太陽。

ダイノガイスト「エクスカイザー、貴様の思い通りにはならんぞ!」

ドラゴンジェットがグラグラと揺れる。

コウタ「わぁ!?」
エクスカイザー「いかん! 太陽の引力圏に入ったか」

慌ててドラゴンジェットを停止させるエクスカイザー。
だがダイノガイストは、まっしぐらに太陽へと突入してゆく。

エクスカイザー「ダイノガイスト……」
ダイノガイスト「命は宝だと……? ならば、この俺様の命、貴様の手に渡してなるものかぁっ!! ワッハハハハァ──ッ!!」」

高笑いと共に、燃え盛る炎の中へと消えてゆくダイノガイスト……。


エクスカイザー「ダイノガイスト……」


地球。

夕日の沈み行く海を見つめるウルトラレイカー、ゴッドマックス。
ウルトラレイカーが手にした捕獲装置には、ガイスター一味が捕われている。

ホーンガイスト「くそぉ、出しやがれ!」
アーマーガイスト「もう悪いことしませんから、許してぇ」
プテラガイスト「おめぇらがドジだから、こうなっちまったんだぁっ!」
アーマーガイスト「何だとぉ!」
サンダーガイスト「せまぁ〜い……」
ウルトラレイカー「うるさい奴らだ……」

やがて、空からドラゴンジェットが降りてくる。

ウルトラレイカー「エクスカイザー!」

ドラゴンジェットから降りるコウタ。
たまらずに徳田が抱きつく。

徳田「コウタくん!」
コウタ「徳田さん!」
徳田「無事だったのか……良かったなぁ!」
ウルトラレイカー「ようやく任務が終わったな……」
徳田「そうだ! 特ダネもいっぱい撮らせてもらったことだし、記念写真を1枚!」

カイザーズの面々に向かって徳田がカメラを構える。

徳田「ありゃ? 大きすぎてカメラのフレームに入らないなぁ……」

カメラを構えながら、徳田が後ずさりする。

徳田「はぁい皆さん、動かないで! 撮りますよぉ……はい! あ? わぁ〜っ!」

背後の断崖に気づかず、徳田が転げ落ちてしまう。
慌ててコウタが下を覗き込むと、徳田がカメラ片手に、必死に壁面にしがみついている。

コウタ「徳田さん!?」
徳田「大丈夫……カメラ、こ、壊れてない……」
コウタ「ホントにぃ……」
エクスカイザー「コウタ」

コウタが声に振り向くと、いつの間にかウルトラレイカーとゴッドマックスはいない。
エクスカイザーも巨大合体を解き、ノーマルのエクスカイザーに戻っている。

コウタ「あれ……みんなは?」
エクスカイザー「いや、間もなく戻ってくるだろう」
コウタ「え……」

しばし、言葉を失うコウタ。やがて、状況を理解する。

コウタ「……行っちゃうの?」
エクスカイザー「これまで色々助けてもらった。礼を言うよ」
コウタ「エクスカイザー……行っちゃ嫌だよ!」
エクスカイザー「無理を言うな……私には、まだ次の任務が残っているんだ」
コウタ「でも……」
エクスカイザー「私も別れはつらい……君は……私の大切な友達なのだから」
コウタ「それなら、それならなんで……!」

そこへ、5つの光球が降りてくる。
カイザーズの本体、エネルギー生命体としての姿である。

スカイマックス「コウタ、俺のことも忘れるなよ」
コウタ「スカイマックス……」
ドリルマックス「一度コウタくんを、うちの妹や弟と遊ばせたかったな……」
コウタ「ドリルマックス……」
ダッシュマックス「坊主、色々あったが面白かったぜ!」
コウタ「ダッシュマックス……」
ブルーレイカー「地球ではいい思い出ができたよ」
グリーンレイカー「確かに、新幹線は面白い乗り物だったな」
コウタ「ブルーレイカー……グリーンレイカー……」

コウタがエクスカイザーを見上げる。
無言でコウタを見つめるエクスカイザー。

スカイマックス「エクスカイザー、そろそろ行こうか」

エクスカイザーがカーモードに変形。
ボディから、本体であるエネルギー生命体が分離する。

コウタ「あ……」
エクスカイザー「コウタ、いよいよお別れだ」
ブルーレイカー「それにしても、この星は宝の多い星だったなぁ」
グリーンレイカー「あぁ、変わった宝も結構あったしなぁ」

涙を拭い、笑顔を見せるコウタ。

コウタ「僕は……エクスカイザーたちに会えたのが一番の宝だったよ!」
エクスカイザー「私もだ……元気でいてくれよ、コウタ」
コウタ「エクスカイザー……また……会える?」
エクスカイザー「いや、それは約束できない……しかし、私は宇宙のどこにいようとも、いつも君を見守っている。君の心の中にいつも私がいることを、忘れないで欲しい……」
コウタ「……うん」
ダッシュマックス「じゃあ坊主、姉さんによろしくな!」
エクスカイザー「コウタ……さよならだ!」

6つの光球が空へと昇ってゆく。

コウタ「さようならぁ──っっ!!」


朝の星川家の食卓。
ジンイチの広げている新聞に、大きな記事「地球に平和が戻る ダイノガイストついに倒れる」。
いつもの如く、ジンイチが無遠慮に朝食をご馳走になっている。

ジンイチ「地球に平和が戻る……いやぁ徳田、やったな!」
徳田「ははっ、実力ですよ!」
ジンイチ「記者生活初めての大特ダネだ! 食え食え!」
ヨーコ「はい、おかわり」

ヨーコが丼に山盛りの佃煮をテーブルに置き、徳田がそれをガッつく。

フーコ「徳田さんて安上がりね。佃煮がご褒美だなんて」
徳田「いやぁ、そんなに褒めないでよ、フーコちゃあん!」
ヨーコ「あら……コータは?」

コータの席にコータの姿がなく、手付かずの朝食が湯気を立てている。


星川家のガレージ。
ジンイチの愛車に、もはやエクスカイザーはいない。
傍らにしゃがみ込んでいるコウタ。カイザーブレスのボタンを何度も押しているが、何の反応もない。
愛犬マリオが、コウタを慰めるように顔を舐める。
そこへ、ヨーコが顔を出す。

ヨーコ「コータ、どうしたの?」
コウタ「うん……別に」
ヨーコ「なんだか、大事な友達とお別れしたみたいな顔してるわよ」
コウタ「え……?」

ヨーコがしゃがみ込み、コウタの顔を覗き込む。

ヨーコ「どんな友達とお別れしたのか知らないけど、コータにはパパやお姉ちゃんがいるじゃない? ママにとっても、コータは大事な子供なのよ」
コウタ「……」
ヨーコ「いつか、別れたお友達も帰ってくるわよ。さ、朝ごはん食べて元気出して! でないとみんなが心配するわよ? コトミちゃんだって、タクミくんだって」

コウタが涙を拭い、笑顔で立ち上がる。

コウタ「……うん!」


そこへやって来る高級車。
コトミが降りる。車内にはタクミが。

コトミ「タクミくん、送ってくれてありがとう」
タクミ「あ!? コトミちゃん、一緒に学校行くんじゃなかったのぉ?」

コウタのもとへ駆け寄るコトミ。

コトミ「コウタくん、おはよ! ……どうしたの?」
コウタ「ううん、何でもない」
コトミ「じゃ、早く学校に行きましょうよ!」
コウタ「ちょっと待って、朝ごはん食べて元気つけてくる!」
コトミ「え?」

車の方を振り返るコウタ。
その胸に、エクスカイザーの別れ際の言葉が甦る。


(私は宇宙のどこにいようとも、いつも君を見守っている。君の心の中にいつも私がいることを、忘れないで欲しい……)


コトミ「コウタくぅん!?」

玄関への階段を駆け上るコウタが、カイザーブレスを高々と天に掲げる。


コウタ「ありがとう! エクスカイザ──っ!!」


(終)
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