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勇者指令ダグオンの最終回
 

ジェノサイドともに自爆して行方不明のスーパーファイヤーダグオン。

ダグターボ、アーマー、ウイング、シャドー、ドリルが山、空、水中を探していた。

カイ(どこだ、エン!?)

ヨク(エン……)

シン(エン……)

ゲキ(エン……)

リュウ(エン!)

スーパーファイヤーダグオンが上空で爆発するときの記憶が甦る。

宇宙空間

サンダーライがサンダーシャトルでエンを探していた。

何かが光る。

ライ「あれは……」

ダグオンの紋章と思われる物体。
 

オレたちの未来へ…
 

地球

学園前

ルナ「どう……!?」

沈黙する一同。

ルナ「手掛かり、なかったの……」

カイ「エンの奴、戻ってきたら厳重注意だ!!」

シン「全くだ。連絡の1本も入れねぇでよ!」

ヨク「通信機が故障してるんですよ。きっと……」

ゲキがマリアに歩み寄る。

ゲキ「マリアさん、奴なら大丈夫じゃ。心配無用! そうだ、もう1度ワシが探してきますわい!」

ジェット噴射音

よく「ライが……」

サンダーシャトルが帰還。

地上に降り立つ。

一同の前に置かれていたのはダグファイヤーの諸侯。

カイ「ダグファイヤーの、諸侯だ……」

ライ「あの、大爆発で宇宙にはじき出されたんです……軌道上に漂っていました」

シン「それでエンが……エンはどこだ!?」

ライ「発見したのは、これだけです……まさか、ひょっとしてエン先輩は……」

マリア「そんなもの何よ!! そんな破片が見つかったからって、一体なんだって言うの!?」

ルナ「マリア……」

マリア「黙ってないでなんか言ってちょうだい。ねぇ、カイ!!」

だが、カイはいまだに無言のままだった。

マリア「エンは死んでない……エンは死んでない!!」

マリアが走り出す。

ゲキ「マリアさん!! バカヤロー!! ライが中途半端にこんなもの発見するからじゃ!!」

ライ「そんな……」

川原

マリアがしゃがみ込んでいた。

(マリア『ええ――っと。来週の土曜日、お昼の12時に場所は……そう。山海橋のそばの、大時計がある銀行の前。そうだわ、陸円返してくれるついでに食事もおごってよ。それから、映画とカラオケも……』)

マリアの脳裏に自分が約束を告げた時の記憶が甦る。

その横に校長もしゃがみ込んでいた。

マリア「校長先生……」

校長「どうした!? 戸部君……ん?」

マリア「エンがいないんです……」

校長「ん?」

マリア「今日、彼と会う約束をしていたのに、いないんです……」

校長「デートの、約束かね!? 『背を速水、岩に背かるる瀧川の、割れてもすえに逢わんとぞ思う』。約束したのなら、待ち合わせの場所で彼を待ってあげなさい。多少、いい加減なところはあるが、大道寺は約束は守る男だ……そうじゃないかね!?」

マリアが立ち上がる。

マリア「はいっ!」

マリアが去る。

校長「大道寺……」

公園では、ガクが猫をあやしていた。

ガク「エンの奴が、ダグオンだったなんて……」

ゲキ「顔を上げろ、ガク」

ガク「何だ、ゲキか」

ゲキ「『何だ』とはご挨拶じゃのぉ……お主、泣いておったな!?」

ガク「な、泣いてなんかいねぇよ」

ゲキ「この黒岩激が貴様の女々しい根性を叩きなおしてくれるわい!」

ガク「ほっといてくれ。俺は今、青春してる気分じゃねぇんだ」

ゲキ「そーれい!!」

ゲキがガクを投げ飛ばす。

ガク「うわああ―――っ!!」

ガクは砂の上に落ちる。

ゲキ「なっはっは! 泣き虫小僧はよく吹っ飛ぶわい」

ガク「何のまねだゲキ!!」

ゲキ「ほう。泣き虫も一人前に怒るんじゃのぉ……」

ガク「何!?」

ゲキ「悔しかったワシを倒してみろ。泣き虫ガク、弱虫ガク!」

ゲキ「このぉ……ガクガク言うな―――っ!!」

ガクがゲキに体当たり。

ゲキ「エンはな、エンは死にはせん!! だから必ず生きておる!!」

ゲキはガクを投げ飛ばす。

ゲキ「ワシと奴は約束したんじゃ。サルガッソを全滅させるまで、決闘はお預けじゃと!!」

ガク「ああ―――っ!!」

ガクは再び投げ出される。

ゲキ「奴はワシの意思で仕上げておった。今度はワシが奴の腕をへし折る番じゃ!! じゃから、じゃから……」

ゲキの目に涙が溢れる。

ガク「たああぁ―――っ!!」

ガクのキックがゲキに炸裂。

ゲキが倒れる。

ガク「はぁ、はぁ……どんなもんだい!! ん?」

ゲキの目から涙が大量に流れる。

ゲキ「うおおお―――っ!! エンの大バカヤロー!!」

ガク「ゲキ……」

ゲキ「ううっ……」

ガク「泣くなゲキ、エンは帰ってくるさ。必ず!」

一方、マリアは待ち合わせ場所の時計塔の前にやってくる。

時刻は11時を過ぎていた。

マリア(あと1時間か……)

ゲーセン

シンが1人でレーシングゲームで遊んでいた。

横を見るとエンが運転しているイメージが浮かぶ。

ゲームもゲームオーバーとなってしまう。

シン「つまんねぇゲーム……」

シンは外に出る。

エリカ「あら……」

エリカの目を通り過ぎるシン。

エリカ「沢村君!?」

シン「ん?」

喫茶店

シン「いやあ。まさかエリカちゃんが俺のことをデートに誘ってくれるなんて……」

エリカ「別に、デートに誘ったわけじゃ……」

シン「ひょっとして俺、夢を見てるんじゃないかなぁ!?」

シンが頬をつねる。

シン「いててて……うん。確かに夢じゃない! 現実だ現実!!」

エリカ「ねえ、沢村君……」

シン「わかってるわかってる。愛に言葉は無用だ。エリカちゃんのことは全てお見通し!」

エリカ「沢村君……」

シン「これからどうする!? ディスコにでも行ってパーッと……」

エリカ「沢村君!! どうしたの? 一体」

シン「別に……」

エリカ「なんだか全然楽しくないみたい……すごく無理してる!」

シン「俺は……楽しいさ」

エリカ「今日の沢村君、らしくない……」

シン「ごめん……君を傷つけたのは謝るよ」

シンがレシートを手に取ると、その上にエリカも触れる。

エリカ「元気出せ! 元気出せ!!」

シン「エリカちゃん……」

時計塔では、時刻は12時を切った。

マリア「12時……」

少女がマリアの手に触れる。

少女「取って!」

木には風船が引っかかっていた。

マリア「いいわよ」

マリアは取った風船を少女に渡す。

マリア「はい」

少女「ありがとう!」

少女は去る。

マリア「あいつ、また遅刻か……」

海岸

カイとルナが海を見ていた。

ルナ「私、ふと思ったんだけど……ブレイブ成人があなたたちをダグオンに選んだこと、偶然ではなかったかも……」

カイ「なぜ!?」

ルナ「カイたちを見てるとそんな気がするの。みんな、エンのことが大好きで……」

カイ「それは違う。他の者は知らんが、私はエンが嫌いだ!」

ルナ「カイ……!?」

カイ「学校には平気で遅刻。授業中に弁当を食い、居眠りをする! 風紀委員の注意を無視し、目上に対する礼儀を弁えない! あの時もそうだ。宇宙人の侵略が始まったあの日、奴は自宅謹慎のみでありながら、ゲームセンターにいた!」

ルナ「自宅謹慎!?」

カイ「ケンカでゲキに負傷させたんだ。なのにあいつは……粗野で、単細胞で、軽薄で、お調子者で……全く、全く……手の焼ける……」

ルナ「手の焼ける弟ね……ん?」

カイは背を向けていた。

カイ「ルナ……すまないが、私を……1人にしてくれないか!?」

ルナ「はい……」

ルナはカイの元から去る。

カイは跪き、竹刀を砂に突き刺す。

カイ「エン……生きて、生きていてくれ……」

時計塔の前では、男2人がマリアをナンパしていた。

男「ねぇ、付き合えよ彼女! どうせ、彼氏に振られたんだろ!?」「俺たちとドライブしようぜ」

マリアが手を払いのける。

マリア「怨霊退散!!」

マリアが札を伸ばす。

男「お、おい……こいつ危ねぇぞ!!」「別の当たろうぜ……」

車が発車。

マリア「ベ―――だ!!」

時刻は2時となる。

マリア「エンのバカ! あと30分で来なかったら、帰ってやる!!」

山海山

リュウと妹・美奈子が

リュウ「寒くないか!?」

美奈子「全然平気。空気がおいしい……」

リュウ「またお前の夢が当たったな」

美奈子「え?」

リュウ「この前言ってたろう!? 『俺と山を登る夢を見た』って……」

美奈子「覚えててくれたんだ!」

リュウ「よかった。先生の許しが出て……」

美奈子「ありがとう、お兄ちゃん」

リュウ「美奈子が頑張ったからさ。先生方も感心してたぞ」

美奈子「早く退院したい……」

リュウ「ところでな、美奈子……」

美奈子「え?」

リュウ「今朝、夢を見なかったか!? 誰も……」

美奈子「夢!?」

リュウ「お前の夢は、必ず当たるだろう!?」

美奈子「見なかった。でも誰のこと!?」

リュウ「親友だ」

美奈子「親友!?」

リュウ「俺とお前がこうしていられるのも、そいつのおかげさ。あの緑を、海を、空を、この地球を……守りぬいた男だ!」

時計塔ではマリアが鏡を見ていると、時間は3時となる。

研究室

ライ「うわああ。すごい! これ、全部ヨク先輩1人で!? すごいですね」

ヨクがキーボードを操作していた。

ヨク「この標本は、サルガッソの宇宙人を全滅させたら、みんなに見せて驚かせるつもりだったんです」

ライ「驚きました。宇宙警察機構も顔負けですよ……」

ヨク「でも、こんなもの……」

ライ「短い間でしたけど、先輩たちと一緒に仕事が出来て本当によかった。無事ですよね!? エン先輩は……ん?」

ヨクが荒れ始める。

ヨク「無意味だ!!」

ライ「ヨク先輩……」

ヨク「こんなものいくら集まったところで、エンが帰って来なければ無意味だ!!」

時計塔

1人の女性が待ち合わせをしていた。

そこへ相手の男性が駆けつける。

女性「遅い遅い!」

男性「ごめんごめん。行こう!」

マリアが涙を拭うと、雪が降り始める。

マリア「雪……」

ゲキとガクは屋台で中華そばを食べていた。

ガク「ほら……」

ガクが猫に鳴門を差し出す。

グランドではシンが道着を着て走っていた。

リュウが病院から出る。

ビルから外を見上げるヨクとライ。

カイは町を彷徨っていた。

そこへファイヤーストラトスそっくりのパトカーがカイを横切る。

それが止まり、浮かび上がるエンの幻影。

パトカーから警官2人が出てくる。

男「何だよ!」「こっちが先に手を出したんだろうが!!」

カイは再び歩み寄る。

時計塔の前で今でもエンを待ち続けているマリア。

体に雪を被っていた。

やがて雪が止む。

マリアは涙ながらに去ろうとする。

「よう、オカルト娘!」

今の声にためらい、後ろを振り向くマリア。

そこにいる謎の影。

「また、遅刻しちまった……」

マリア「エン……」

それはなんと、ボロボロの姿になったエンだった。

エン「悪かったな。待たせて……映画館、閉まっちまったな」

マリア「エン……」

エンは足を引きずりながらマリアに近づく。

エン「カラオケなら、開いてるかな!?」

マリア「エン……エ―――ン!!」

マリアがとっさにエンに抱きつく。

エン「マリア……」

ガクたちがエンを見て驚く。

エンはマリアの涙を拭う。

エンの元にかける一同。

翌日。

空間が開く。

その中にガードホーク、タイガー、ウルフ、シャドージェット、ウイング、ドリル、アーマー、ターボライナーが空間に入り込む。

空間が閉じる。

エン「そうだ。こいつも……」

エンはダグコマンダーを外そうとするが、ルナが止める。

ルナ「それは持っていていいわ」

ライ「ルナ先輩、出発の時間です!」

エンたちはライとルナを見送る。

エン「また会おうぜ」

ライ「はいっ!」

ライとルナはサンダーシャトルに搭乗。

サンダーシャトルが飛び立つ。

シン「エーン!」

カイ「行くぞ、リーダー!」

エン「よっしゃ、いこうぜ!」

エンたち6人は海岸を去る。
 

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