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ワルサースルー 最終回(31話)

ナレーション
クリスタルは消えてポポンの野望は阻止されたのだった!!
(下ゴマで内容には関係ない、王様の格好をしたポッチン)

皆勝利に酔って浮かれている。
「すごいわポッチン」
「よくやった」
「やるじゃないの」
「愛してる」
思い思いの言葉をさけび、ポッチンを笑顔で胴上げした。
すると、突然ポッチンの体から奇妙な煙が発せられた。
「?」
「?」
不審に思う仲間たち。
ボンッ
大げさな効果音とともに、ポッチンの体が爆発した。
皆は、不振に思いその先を見つめている。
煙の先から、奇怪な人影が見えた。
それを見た、セルジオ・ケイトの二人の指向回路が止まった。
「フー」
そこには、人間になったポッチンがいた・・・
流麗なバラを背負い、流れるようなしなやかな髪、輝くリボン、星が入った瞳、妙な色気を持った唇・・・
そして何か含みを持ったような流し目をしているポッチンが・・・
「ここは・・・どこだ・・・」
形容しがたい不思議なポーズとともに、ポッチンが呟く。
その周辺には、星がきらめいている。
「誰だお前は――!!」
無理もないことで、元のポッチンを知っているセルジオは顔が崩れるのもかまわず突っ込みを入れた。
ぶち抜きで、自分を抱きしめるような動作を取りつつ薔薇を背負ったポッチンは言う。
「僕?僕の名はポッティン」
「何がポッティンじゃ!!」
「シュミは下水でお昼寝・・・ 好きな芸人はコアラ 年はもう・・・25さ HAHA・・」
「聞いてねェ!!」
誰かが所かまわず叫ぶ。しかしポッティン?はまるで聞いてはいない。
「知ってる?イルカって話せるんだ。エロ・コケーションって言ってね・・・」
「知るかそんなもん それを言うならエコ・ロケーションだ!!」
セルジオが牙をむきながら、反論した。
「ポッチン・・・ひょっとして呪いが解けたの!?」
ケイトが気になったらしく聞いた。
「ああ・・・なんだか今までずっと悪い夢をみていたみたいだよ・・・」
「残尿感が・・・すごいよ」『関係ない』
ポッチンが憂いのまなざしで言った。その目は空を見つめている。
ケイトは、ポッチンを見つめウットリしていた。
「ポッチン・・・あんた実はいい男だったのねェ〜〜〜 美形だわ〜〜(ハート)髪型さえ直せば・・・」
それを聞いたケイトの母の社長はたきつけた。
「実は大金持ちよ(ハート)恋よ アタックしてしまいなさいな(ハート)」
セルジオは髪を逆立てて怒鳴り散らす。
「だまされるなー ポッチンはポッチンだ!!」
ふと、その場でポッチン(注・男)を恋い慕うビジュアル刑事のジェロニモ(注・男)が何か叫んだ。
「ああ!?」
振り返るセルジオ。
「ポッチン様が消えた!?」
「本当よ 見失ったわ」
「さっきまで ここにいたのに」
ポッチンを慕う、サイボーグマリナもポッチンがいないのに気がついたらしく二人で騒ぎ出した。
「ポッチン様いずこ〜〜!!」
もはや半狂乱になってジェロニモが呼びかける。
「あんたジャマよ」
マリナは、その眼の前の男がポッチンだと知らず、頬を殴り飛ばした。
バキイ
「痛いでべス!!」
はじけとぶポッチン。
「ポッチン様を 捜せー〜〜!!」
二人は意気投合し、近くにポッチンがいるとは知らず、ポッチンを求めて走り去った。
それを静かに見つめるセルジオ。
「ああ・・・愛って愚か・・・」
涙ながらに呟いた。
「でもさ・・・」
「あの人達 ほどじゃないけど」
『なんだか少し 寂しい・・・』
ケイトは白い目をしながら、空を仰いだ。
空には、星になったポッチンがぎぇーすという効果音とともに浮かんでいる。
セルジオは哀愁を漂わせながら心の中で言った。
「二度と会えないのか あの四足歩行・・・」
不意に醒めた目をしたケイトが言った。
「私達・・・ なんで 悪の道 目指してたんだろーねェ・・・」
木枯らしが吹いた。
「ああ そこまで・・・」
伏せ目がちにケイトは続ける。
「ひょっとしたら 私達も 呪いを かけられていたのかも しれないわ」
セルジオが真顔で突っ込む。
「いや それは 違うだろ」
「ねぇ でも まじで なんで 悪の道 目指してたの?」
ケイトが何気ない顔でセルジオに聞いた。
「え?」
「なんでって・・・・・・・・・」
「かっこいいから?」
黒き狩人
暗躍
影の主役
命はないぜ
暗い過去
かつてのセルジオにとって、魅惑的なフレーズが思い出された。
「・・・・・・かなァ・・・」
自分でもあほらしいと思ったのか、声が小さくなっていった。
ぶひゃーはははは
けたたましい雄たけびを上げて、ケイトの父プリンオトコは笑う。
ケイトも白々しい目をしながら、
「ダ・・・ダメよ!! 笑っちゃ・・・!!」
と口でいさめつつも、目つきからバカにしているのが明白だった。
どわ〜はははは
いつの間にか社長も笑っていた。
屈辱に耐えつつセルジオは、
「わ・・・笑いたきゃ 笑え―――!!」
と振り返りながら怒鳴った。
「失礼 失礼」
「いや〜でも」
「なんであんなマヌケなもの かっこいいと思えるのよ〜」
ケイトが苦笑しながら言う。
ケイトの思い浮かべた悪人のイメージとは、タイム○カンにそっくりな3人組と爆発、ぎゃふん、「覚えてろー」「あいつらまた失敗しおって・・・今度という今度こそクビだ」
という謎の言葉だった。
イメージを見たセルジオは、
「え!? なんかイメージ 著しく違わないか!?」
と驚愕した。
「じゃあ だったら お前なんで 悪の道目指してたんだよ!」
ケイトに向き直り、セルジオが問う。
「・・・・・・」
間をおいて、ケイトは答えた。
「楽しそうだから・・・」
「かなあ?」
「まあそりゃ 私利私欲のために 動いてんだから 楽しいわなあ」
セルジオが答えた。それに反論するケイト。
「違うの!! 私ホントは 自分のことしか考えてない 悪い人って キライなのよ」
「でもなぜか 小さい頃から 憧れるのって 悪役の方だったわ・・・」
ケイトの言う悪役とは、戦隊物で追い詰められる悪の怪人のことだった。
「ワルイマン ステキ」
イメージの中のケイトは、ワルイマンにウットリしながら言った。
「悪役の方がイキイキして 見えたし」
「仲間意識も強そうで 楽しそうに 見えたの」
セルジオは、汗をかきつつ言った。
「なんか わかる気が する」
ケイトは疑問を口にした。
「悪い人 キライなのに なんでだろう?」
セルジオもその問いには答えられず、さあ?とお茶を濁している。
いきなり出てきた社長が、こう言った。
「それはきっと 彼らが 本音で語り 行動しているからよ」
社長はオーバーリアクションをしつつ、妙な方向を向きながら語った。
「なるほど」
「ああ そうか」
変に納得し、手を合わせるケイトとセルジオ。
「昔あなたが グレてたときも きっと本音で 語り合える 友達が欲しかっ たんじゃないかしら」
優しくセルジオに語り掛ける社長。
「あ・・・ああ・・・」
「そーかも知れない」
社長は悟ったように言った。
「そしてポッチンは 本音で語る 最たる人だったワケね」
バックに異様な気を放つポッチンのイメージ。
「あそこまでいくのは どーかと思います けど・・・」
解ったように、ケイトは手を叩いた。
「そっかー そうなのね」
「私」
「人と本音で 語り合い たかったのね」
「そうし よっと(ハート)」
「今までも 十分すぎるほど 本音トークしてたのでは・・・」
セルジオはあきれ顔だ。
「いや それが そーでも ないのよ」
手をぶんぶん振って笑いながらケイトはいった。
セルジオはまったく意味が解らない。
「? 何か 隠してる ことでも・・・?」
ケイトは真顔になって言った。
「いやいや」
「気づいてないなら また今度言う」
「?」
「?」
「?」
「よくわからん(コワいっス)」
セルジオはかなりあせっている。ケイトはそんな彼の様子を見て楽しそうに笑った。
キャハハ
(おもしれェー やっぱ 好きだわ・・・)
ギャース
二人の耳をつんざくような悲壮な叫びが聞こえた。
叫び声の先には、ポッチンと人間になったポーラがいた。
「貴様!! 私と結婚しろ―――!!」
うら――
女性とは思えない怒鳴り声でポッチンを捕まえたポーラは、彼のえり首を持ちながら叫んだ。
ポッチンは涙していた。もうされるがままだった。
「誰ですか あなたー」
ポーラを覚えていないのか、ポッチンが言う。
しかしポーラにはまるで聞こえていないようだ。
二人を見たセルジオが恐怖した。
「ま・・・まさか!!」
セルジオに気がついたポーラは
「私? 私は ポーラ」
(やっぱり) 
「今こいつに 人目ボレした」
「初めて会った 気がしない・・・ 運命の人だ」
上体をそらし、受身のポーズでポッチンが言った。
「そんなこと いきなり 言われ ましても・・・」
「知らん!! 私と結婚せんなら 殺す!!」ポーラがいきり立って言う。
「んなー」
ザシュ
ポーラは突然地面に這いつくばり、4本足で戦闘のポーズを取った。
「結婚しろ ポッチン」
その顔は鬼の形相だった。
「ひ!?」
「逃げるなポッチン!! 結婚しろーー!!」
ザカザカザカ
「イヤー ―――」
ゴキブリのような格好をしながら、逃げるポッチン。
その目からは涙が絶え間なくこぼれ、静かに光輝いていた。
それをすさまじいスピードで追うポーラ。
「ひー ――!?」
「お前ら その走り方 素やったんか」
様子を冷静に見つめるセルジオとケイト。
二人は行ってしまった。
あとにはセルジオとケイトが残された。
「行ってしまった・・・」
「どこまでが呪いで どこまでが 素なのか・・・」
二人はうなだれて呟く。
ギャース
ザカザカザカ
ふと後ろからこの世のものとは思えない叫び声がした。
「あ 戻ってきた?」
振り向くセルジオ。
セルジオが見たものは・・・
腕を交差させつつ、逆立ちをして、目はまん丸、くちばしをつけた生物が鳴きながら疾走してくる光景だった。
「また呪われたー」
思わずずっこけるセルジオ。
ポッチンの目の前に、邪悪の根源が現れた。
「我が名は ヌケサク大魔王 悪の思念体できゃんスー」
その思念体はポッチンより一回り大きかったが、呪われたポッチンの顔と似ていた。
「私の意識を そこの二人に 乗り移らせ 私の使者と したできゃんス(ハート)」
「そうらしいできゃんスー」
力なく、呟くポッチン。
「何やってんだ このマヌケー 知るかー」
セルジオは顔面蒼白になりながら、あきもせず叫んだ。
「3・2・1・GOで 完全に私の 意識の支配下と なるできゃんス」
3・2・1・GO キシャーン
ポッチンが一人でカウントした。
「世界を 悪の色に 染めてやるで きゃんス!!」
「うっさい 何がきゃんスだ どこの方言だ」
もはやセルジオはあきれ顔だ。
「フハハハ ハハハ」
シュウン
不気味な笑い声を残し、思念体は消えた。
ポッチンとポーラはどこかへ行ってしまった。
「あ コラ 消えるなー!!」
セルジオが手を伸ばしても遅かった。
「あーあ ポッチン・・・」
「せっかく 元に戻れた のにサ・・・」
二人は涙ながらに語り合った。
その後ろでは、てけてけてけの足音とともに
「まずは 排水口に落ちてる お金を集める 事からはじめるできゃんスー」
ポッチンが希望を胸に歩いていた。
でも・・・まあ・・・
いいか(ハート)
和やかな雰囲気が流れる。
二人は、ポッチンをなかったものとした。
ええんか(注 つっこみ)
「狙うは 世界征服だ!!」
おー
セルジオとケイトが意気投合する。
先ほどのポッチンのことを忘れ、新しい目的に燃えていた。
プリンオトコも、社長も笑っている。
眼前には、ギョギョースとポッチンが鳴いている。

ナレーション
ワルサースルーは 気持ちを新たにまた 活動を開始したのだった!!
ちゅーても また くだらないことしか できんのですけど

毎日 楽しく やってるの でした
ではでは またネ(ハート)
下方に手を振る作者の自画像。

おわり

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