「トランスフォーマー スターゲート戦役」最終回
(あらすじ)
日本で地震が多発していた。デストロンの仕業かと思われたが、世界中に設置されているセンサーに反応がない。コンボイは日本付近のサイバトロンと共に調査に向かう。
案の定、コンボイ達はメガトロン率いるデストロンと遭遇。実は日本政府はデストロンと密約を結んでおり、日本に手を出さない代わりに地震のエネルギーをエネルゴンキューブにして集めるデストロンを黙認していたのである(センサーが反応しなかったのも、その為)。
だがメガトロンは密約を一方的に破棄し、コンボイ達を抹殺すべくフレンジーとランボルに大地震を起こさせ、その結果、湾岸第二区の都市は壊滅。そしてコンボイに「人間を信じるな」と言い放ち、地割れに落とした。
一方、集めたエネルゴンキューブ運搬を命じられたスタースクリームとアストロトレインの前に、もう一人のスタースクリームが現れた!
メガトロン「何、スタースクリームが?」
アストロトレイン「は…はい、突然現れたもうひとりのスタースクリームと結託し、エネルゴンキューブを奪い去りました」
メガトロン「サウンドウェーブ」
サウンドウェーブ「スタースクリームの所在地確認」
メガトロン「スタースクリームめ、何を企んでいる」
第4話:スターゲート戦役
宇宙に浮かぶ恒星間移動用ゲート・トリガー。第1話のサイバトロンとデストロンの戦いの際に破損してしまったが、現在は修理されて、再テストには半年かかるものの、形は元に戻っていた。
そのトリガーの上に立つ二人のスタースクリーム。果たして、もう一人のスタースクリームの正体とは?
もう一人のスタースクリーム「いろいろ質問がありそうだな。スタースクリーム」
スタースクリーム「お前は何者だ」
もう一人のスタースクリーム「ストレートだな。まあいい、教えてやろう。俺は亡霊さ」
スタースクリーム「亡霊?」
もう一人のスタースクリーム「そう、俺は、いや、お前はいずれ奴の手で殺されるのさ。何者かの力により生まれ変わったメガトロン、新破壊大帝ガルバトロンの手で」
もう一人のスタースクリームの正体、それは「トランスフォーマー ザ・ムービー」でガルバトロンに処刑されたスタースクリームの幽霊だったのだ(以下、スタースクリームの幽霊と表記)。
スタースクリーム「俺が…殺される?」
スタースクリームの幽霊「信じられないだろう。だが現に亡霊である俺が目の前にいる。これが真実だ」
スタースクリーム「いったい何が目的でここへ来たんだ?」
スタースクリームの幽霊「この時代に出たのは偶然。俺の魂は漂流している時に時空の歪みを見つけたのさ。それこそ下手をすれば見逃してしまうほどの小さな歪みだった」
実はスタースクリームの幽霊は、第1話でのサイバトロンとデストロンの戦闘を見物していたのだった。
スタースクリームの幽霊「この歪みの向こうの世界を見て俺は狂喜した。まだ俺が殺される前の世界だったからさ。この恒星間移動用ゲート“トリガー≠ェ作り出した時空間の歪みが偶然にも亡霊がいた時空とリンクしたんだろう。そして俺は“目的≠見つけ出した」
スタースクリーム「目的?」
スタースクリームの幽霊「そう、俺たちがそろっているならできるはずだ。今この時代のメガトロンを殺し、俺たちが生き残る未来を手に入れる!!そして俺たちが全宇宙の帝王となる」
その時!
メガトロン「愚か者がふたりそろったところで未来など変わりはせん!」
二人のスタースクリームの周りを、メガトロン以下デストロン軍団が包囲していた。
メガトロン「スタースクリーム、お前の未来はひとつしかない。死だ」
スタースクリーム「メガトロン」
スタースクリームの幽霊「こちらもようやくご到着か」
サイバトロン軍団もトリガーに到着する。
アイアンハイド「懲りもせずにまたトリガーを狙ってきたか!デストロン!」
スタースクリームの幽霊「おや?コンボイ司令官様がおられないようだが」
メガトロン「ククク、コンボイなら小さな都市もろとも海に沈めてやったわ」
アイアンハイド「メガトロン、貴様!」
スタースクリームの幽霊「フッ、まあいい。さてサイバトロンの諸君、これを見てもらおうか」
スタースクリームの幽霊が示した制御室には、真(本作における人間側の主人公)以下、トリガーの作業員たちの姿が!
バンブル「真っ!」
スタースクリームの幽霊「ほう、知り合いか。なおさらいい。俺に手を出したら、この人間共がどうなるかわかってるだろうな」
メガトロン「ワシにそんなものが通用すると思っているのか!?」
ストリーク(?)「やめろメガトロン!(メガトロンへ発砲する)」
メガトロン「よかろう、まずはサイバトロンからだ」
サイバトロン軍団と交戦に入るデストロン軍団。さあ、戦いだ!
アドル博士「サイバトロンを支援する!C―X起動!」
アドル博士が開発したコンボイを似せて造ったロボット、C−X部隊が動き出す。すぐさまデストロン軍団を撃退していくC−X部隊。
アドル博士「よし!調整はバッチリだ」
スタースクリームの幽霊「ククク…時間稼ぎにはちょうどいい。後はこのエネルゴンキューブで」
スタースクリーム「何をする気だ」
一方、メガトロンはたった一人でサイバトロン軍団を圧倒していた!
メガトロン「クックック、どうした?コンボイがいないと、こんなにも歯応えが無いのか!サイバトロン共!」
そしてすぐさま、スタースクリームに融合カノンの照準を合わせる!
メガトロン「貴様にくれてやるエネルゴンキューブは一つも無いわ!スタースクリーム!」
バンブル「しまった!メガトロンがトリガーに!」
スタースクリーム「来る!」
スタースクリームの幽霊「クックック、どんな生命も誕生には膨大なエネルギーが必要!!このキューブはその生命誕生の必要なエネルギー!このスタースクリーム新生のためのものだぁーーー!」
スタースクリームの幽霊がエネルゴンキューブと共に光に包まれる!
スタースクリームの幽霊「トランスフォーム!」
デストロン軍団「なっ!」
サイバトロン軍団「バカな!」
何と、両軍の目の前でトリガーが巨大人型ロボットに変形したのである!そして、そのロボットの顔はスタースクリーム!
スタースクリームの幽霊「いつまでも実体の無い幽霊というのも都合が悪いんでな。新しい身体を手に入れさせてもらったよ。どうだスタースクリーム、これが俺たちの新しい身体だ」
現代のスタースクリームも幽霊の自分共々トリガーと融合していた。
スタースクリーム「ああ、いいねぇ。誰にも負ける気がしない」
真「なんてこった!」
メガトロン(トリガーと融合し、己の身体としたのか)
スタースクリームの幽霊「まだまだネタはあるぞ」
その時!C―Xがアイアンハイドに発砲した!いや、全てのC―Xがサイバトロンに牙をむいた!
アイアンハイド「何!?」
バンブル「こ…、こいつら味方じゃなかったのかよ。どうなってんだ?」
助手「制御できません!」
アドル博士「またか!」
スタースクリームの幽霊「フッフッフ、C−Xのコントロールは以前覚えたからな。なかなかよくできた兵器なので、使わせてもらう」
メガトロン「なるほど、我々以外のデータ介入、貴様だったとはな」
第2話、コンボイがC―Xのテストを兼ねた模擬戦を行った際、C―Xが制御を離れて暴走したことがあった。デストロンも分からなかった暴走の犯人は、スタースクリームの幽霊だったのだ。
スタースクリームの幽霊「調査が必要だったのさ。真・破壊大帝に相応しい身体はどんなものか。そしてすべてが手に入ったぁ!」
メガトロン「なめるなぁ!」
メガトロンはその圧倒的な力でC−X部隊を全滅させる!
メガトロン「破壊大帝の名は、ワシにこそ相応しい!」
スタースクリームの頭部に融合カノンの照準を合わせるメガトロン。だが!
メガトロン「なっ!」
デストロン軍団「うわああああ!何だこれは!」
メガトロン、デストロン・サイバトロン両軍団に大量の隕石が襲い掛かった!それは、スタースクリームの腹部にあたるゲートから放出されていた!
スタースクリームの幽霊「クックック、なぁに、このトリガーのゲートをある場所とリンクさせたのさ!宇宙に数多あるアステロイドベルトの中心にな。そこの岩のこちらのゲートから放り出しているというわけだ。手間のかからない無限兵器だ。クックック…、ハーーーッハッハッ!」
パワーグライド「くっ!手も足も出ないのか!」
サイバトロン軍団「ぐああああ!」
制御室
作業員A「ど…どうしよう。このままじゃ…。俺たちずっと人質として閉じ込められるのかな」
真「諦めちゃダメだ!俺に考えがある。力を貸してください。スタースクリームが戦いに気がいってる今がチャンスなんだ」
作業員B「で…でも俺たちに何ができるって…」
真「できるさ!俺たちだって戦えるってとこ見せてやろうぜ!」
一方、スタースクリームの勝利は目前に迫っていた。
スタースクリーム「圧倒的じゃないか」
スタースクリームの幽霊「そうだ、もう俺たちの障害になるものは何も無い。これで宇宙は俺たちのものだ」
スタースクリーム「ああ!真・破壊大帝はこのスタースクリーム様だ!」
その時!スタースクリームの身体が崩れ始めた!
スタースクリーム「何だ!?身体が…分解する!!」
真「てめーの土台になっている身体を造ったのは誰だと思ってやがる!強制解体装置をちょいとイジらせてもらったぜ!文字通りお前はバラバラさ!」
スタースクリーム「強制解体装置だと!?」
制御室を脱出ポットにしてスタースクリームから離れる真たち。
アイアンハイド「制御室が離れた!真たちを回収だ!」
スタースクリーム「外装が外れたくらいがなんだーーー!」
だがサイバトロンが救助するよりも早く、スタースクリームの腕が制御室を捕まえる!
バンブル「しまっ!」
真「うわああああ!」
スタースクリーム「新・破壊大帝であるこの俺様に貴様ら人間が刃向おうととは…、ゴミめぇ!燃え尽きて消えろぉぉ!」
スタースクリームは制御室を地球に向けて投げつけた!このままでは真たちは摩擦熱で燃え尽きてしまう。
アイアンハイド「真っ!」
真(うわああああ!や…やべぇ。熱ちぃぃぃ!!お…俺、死ぬのか)
死を覚悟して目を閉じる真。
真(熱…、…くない!?)
誰かが制御室を受け止めてくれたのだ。目を開けた真が見たものはサイバトロンマーク、アダムスと共に宇宙に出たコンボイだった!
真「コンボイ!」
コンボイ「真、無事でよかった」
真「よ…、よかった。やっぱりコンボイは死んじゃいなかったんだ」
コンボイ「話は後だ。アダムス、真たちを頼む」
アダムス「はい」
真「コンボイ、そんな身体で大丈夫か?無理すんなよ」
コンボイ「君たちと共に戦っているならこれほど心強いことはない!大丈夫だ!」
真「ああ!」
すぐさま戦線に復帰するコンボイ。さあ、最後の戦いだ!
スタースクリーム「この死に損ないがー!」
コンボイに隕石を放つスタースクリーム。
コンボイ「サイバトロン軍団終結!アターーーック!!」
スタースクリームへ向けて一斉射撃をかけるサイバトロン軍団、だが敵の放つ隕石に量が遥かに多い。
サイバトロン軍団「隕石だけ攻撃していてもスタースクリームは倒せません!」
コンボイ「だが、この大きさの隕石のひとつでも地球に落としてみろ。地上の被害は計り知れない」
サイバトロン軍団「くそ…保たない!」
スタースクリーム「ククク、バカな奴らだ!いつまでそうしていられるかな?」
メガトロン「バカは貴様だ、スタースクリーム」
スタースクリーム「メガトロン、いつの間に!」
スタースクリームがサイバトロンに気を取られている隙に、メガトロンはスタースクリームの頭部、文字通り目の鼻の先に接近していた!
メガトロン「貴様は自分で理解できていない重大な欠点をひとつ教えてやろう…。貴様は破壊大帝の器にあらず!!」
融合カノンで今度こそスタースクリームの頭部を打ち抜くメガトロン。
スタースクリーム「メガトロォォォン!」
メガトロン「愚か者が」
コンボイ「…メガトロン」
メガトロン「勘違いするなよコンボイ、次は貴様だ」
コンボイ「クッ」
互いの武器を構えるコンボイとメガトロン。
スタースクリーム「まだだ!まだ終わりじゃない!」
だが、スタースクリームは死んでいなかった。そして自らの身体でゲートを完成させる!
スタースクリーム「ゲートは開いた!すべてを飲み込み宇宙の果てに飛ばすためのブラックホールとのゲートがなっ!」
サイバトロン軍団「うわああ!吸い込まれる」
スタースクリーム「俺の目の前からすべて消え去れぇー!」
メガトロン(こ…このままでは…。何としても奴を破壊せねば…)
スタースクリーム「フハハハハハッ!」
メガトロン「(ワシのエネルギーだけではだめた…。いちかばちか)コンボイ!」
コンボイ「!?」
コンボイ「ワシを使えっ!」
メガトロンはワルサーP-38にトランスフォームし、コンボイの腕の中に納まる!
メガトロン「ワシと貴様のエネルギーを合わせ、スタースクリームを吹き飛ばす!」
コンボイ「しかし…」
メガトロン「時間が無い、急げ!」
コンボイ(マトリクスよ、私に力を…。私に…)
コンボイの胸の中に納まっているサイバトロンリーダーの証・マトリクスが輝く。
メガトロン(な、何だ、この膨大なエネルギーの流れは。こ…これがコンボイの力か…)
コンボイ(この地球の命を守る力を!)
そして、マトリクスの輝きが頂点に達したその時!コンボイとメガトロンから放たれた巨大な光が、スタースクリームを直撃した!
スタースクリーム「俺はぁぁ!未来をぉぉぉ!」
崩壊するスタースクリーム。その中からトリガーと融合していた現代のスタースクリームが現れる。
スタースクリーム(変え…)
大爆発。
だが。コンボイ達はその衝撃で吹き飛ばされ、流星になって地球に落ちていく!
真「コ、コンボォォォイ!」
(以下、エピローグ)
幾つもの流星が降りそそぐその光景が、この戦いの終わりを告げていた。
後にスターゲート戦役と呼ばれたこの戦いは、まだ人々の記憶に新しい。
コンボイとメガトロンはどこへ行ったのか。
生きているのか死んでいるのか数か月たった今でも不明のままだ。
俺はトリガーUの建造チームのひとりとして宇宙にあがることになった。
地球上では、わずかに残ったデストロンとサイバトロンの戦いが続いているらしい。
コンボイなら大丈夫…。
きっとこの広い大地の上で、生きている。
そしてまた、
戦っているのだと、俺は信じている。
そして、また、
宇宙空間に漂うボロボロのスタースクリーム。その口元には邪悪な笑みが浮かんでいた…。
完