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最終話「果てし無き、流れの果てに…」

本話は全編亜シネスコサイズ(シネスコとビスタの中間のサイズ)で、
ラストシーンを除きモノクロの作品。



 西暦2048年。夫のオオタコーチを前年暮れに亡くして未亡人となったカズミは、ノリコとともにガンバスターのパイロットとして選ばれ、カルネアデス計画を遂行すべく、銀河系中心部へと向かった。

 やがて、宇宙怪獣の猛攻が始まった。多くの犠牲を払い、必死でブラックホール爆弾を守り抜くうち、ようやく爆縮開始へのカウントダウンが始まる。しかし、カウントが0になっても、ブラックホール爆弾は爆発しない。作戦は失敗かと思われたが、最後の手段として、バスターマシンの大型縮退炉を使ってブラックホール爆弾は起爆させるため、カズミとノリコはガンバスターでブラックホール爆弾へと突入するのだった。



○ブラックホール爆弾(内部)

変形を解いて降下して行くガンバスター。
ノリコ、足元に広がる物体を見ながら。

ノリコ「……あれが木星?」
カズミ「そうよ。3万分の1になっているわ」

敵主力到達まであと8分

オペ男「各部隊、収容を終わりました」
タシロ「敵の様子はどうか?」
オペ男「第14波以来、沈黙を守っています。ワープの兆しもありません」
副長「どうやら次に来る時は、120億を超えてますね」
タシロ「うーん、直接、とどめを刺すつもりか」

降下を続けるガンバスター。

カズミ「表面温度、1,600度。外圧、15,600tpm。大丈夫、まだもつわ」

ガンバスターに近づくユングのシズラー(ブラック)。

ユング「あたしも行くわ」
ノリコ「ユング……!」
カズミ「ダメよ、帰って」
ノリコ「シズラーブラックでは、木星の圧力に耐えられないわ」

段々とひしゃげて行くシズラーブラック。

ユング「……構わないわ」
ノリコ「……ユング!」
カズミ「間違えないで、ユング。あたしたちは、死にに行くのではないのよ。自殺じゃないわ」
ユング「でも……でも、こんな所にいたら、何十年何百年先か、いつ帰れるか分からないのよ」
ノリコ「……」
カズミ「……」
ユング「もう、同じ時は過ごせないのよ」
ノリコ「……知ってるわ」
ユング「!……だったら……」
ノリコ「でも、みんなは同じ時を過ごせるわ」
ユング「……」
ノリコ「タカミちゃんには、そんな思いをさせたくないの……」



○ヱルトリウム(ブリッジ)

その会話を無言で聞いているタシロ、副長。



○ブラックホール爆弾(内部)

ノリコ「これで最後にしたいのよ……」
ユング「……」
カズミ「ユング、生きていれば明日が来るわ」
ユング「……」
ノリコ「お願い、キミコに伝えて。必ず帰るって……」

無言でうなずくユング。

ノリコ「じゃあね、ユング」
ユング「ええ……」
カズミ「さよならは言わないわ。行って来ます!」
ユング「……行ってらっしゃい……」

降下するガンバスターを見送るシズラーブラック。

ユング「ノリコ、カズミ、……帰って来たら」

涙を流すユング。

ユング「お帰りなさいと言ってあげるわ……」



○ヱルトリウム(ブリッジ)

タシロ「……済まん……」
オペ男「中心部まで、あと2(ふた)万。これより交信不能となります。ガンバスター、限界圧力に突入」

ヱルトリウムのブリッジのモニターから消えるノリコ、カズミの顔。



○ブラックホール爆弾(内部)

ノリコ「お願い、耐えて!ガンバスター!」

「バスターホームラン」
「バスタートマホーク」
「バスターカウボーイ」
「スーパーイナズマキック」
「バスターシールド」
「バスターリング」
「バスタービーム」
「バスターコレダー」
のモニター表示がが次々と「使用不能」に変わっていく。

カズミ「これでバスタービーム、バスターコレダー、全て使えなくなったわ…」

カズミ「静かね……」
ノリコ「……」
カズミ「この辺りで、生きてるの私たち2人だけね」
ノリコ「……ごめんなさい。お姉様まで……」
カズミ「……いいのよ、ノリコと一緒なら……」

木星中心部スレイブジェネレイター

中心部に到達、ゆっくりと着地するガンバスター。

ノリコ「やるわ!」
ノリコ「お姉様の命、あたしに預けて!」

無言でうなずくカズミ。

ガンバスター、胸の装甲を引き千切る。

ノリコ「うわぁああああ!」

ノリコ、自分の服を引き千切る。
(左のオッパイがポロリ)
肩で息をするノリコ。
1号機、2号機共にコクピット内のパネルが割れて行く。

ノリコ「ごめん、ごめんね、ガンバスター……」

ガンバスター、自分で自分の縮退炉(1号機)を取り出す。

カズミ「電源OFF、1号炉、全力運転」

稼動している縮退炉。

カズミ「縮退、開始!」
ノリコ「縮退、開始!」

縮退炉、明るく輝く。



○ヱルトリウム(ブリッジ)

ブラックホール爆弾の外観、光に覆われ始める。

オペ男「重力縮退を確認、ガンバスターです」



○ブラックホール爆弾(内部)

縮退炉を持つガンバスターの右手が段々と溶け始める。

カズミ「あと、ゼロ、2……臨界点突破!ノリコ!」
ノリコ「うわぁああああ!」

ガンバスター、縮退炉をスレイブジェネレイターに突っ込む。
ちぎれるガンバスターの右手。
縮退が始まる。

ノリコ「脱出!」



○ヱルトリウム(ブリッジ)

オペ男「再始動、確認」
オペ男「縮退連鎖、確認」
オペ女「第3次縮退、開始しました」

光を放射し始めるブラックホール爆弾。

タシロ「……全艦、離脱。予定通り、超長距離ワープに入る」
副長「了解。全艦ワープ準備」

机にうつ伏せで泣いているユング。

オペレーター男の声「全艦、ワープ準備」

ユング「ノリコ、カズミ。ほんと……ほんとに生きて帰って来て」

ワープに突入する艦隊。



○ブラックホール爆弾(内部)

ブラックホールへと変わって行くブラックホール爆弾。
逃げ切れないガンバスター。

ノリコ「ごめん、キミコ……もう会えない……」



○地球

「ママとノリコおばさんがもう1度逢えますように タカミ」と書いてある短冊。
を見る、キミコ。

キミコ「……?」

立ち上がって空を見上げるキミコ。
を見るタカミ、線香花火をしながら。

タカミ「ママ、どうしたの?」
キミコ「え?……何でもないのよ、ちょっとね」
キミコ「ノリコが呼んだような気がしたの」

星空。



○銀河系の遠景

銀河系。
中心部にブラックホールが発生し、徐々に形状が変化して行く。



○太陽系

一万二千年後
(黒地に白字)

変化した銀河系。

太陽系

上半身だけになった無残なガンバスター。
コクピット内、「AD:14,292年 7月06日(土)」の表示。
呆然としているノリコ。

ノリコ「1万……2千年後か……」
カズミ「地球よ、ノリコ」

遠くに見える地球。

ノリコ「もう……沖縄がどこにあるのか、分からなくなっちゃった……」

段々と近づく地球。

ノリコ「人間は!?……灯りが、見えないわ……」
カズミ「やっぱり……人類は滅びてしまったのかしら?」

だんだんと降下して行くガンバスター。

カズミ「この辺り……沖縄だった……」

千羽鶴を見るカズミ。

段々と降下して行くガンバスター。
と突然、驚くノリコ。
地表に浮かび始める文字。

「オカエリ」

ノリコ「ああ……!?」(表情が急に明るくなる)

「オカエリナサイ」(イは左右反転)

ノリコ「あはははははは……。お姉様!」
カズミ「ええ。帰って来たんだわ、私たち……」
ノリコ「うん……。ありがとう、ガンバスター!……さようなら……」

ガンバスターの体から2つの光が飛び出す。

ここからカラー。

リングワールドが輝く地球に吸い込まれて行く2人の光。



○スタッフロール


(黒地に白字)



おわり

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