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特警ウインスペクターの最終回
 

ナレーション「火災現場で救助活動をしていたファイヤーを襲った、正体不明の頭痛。クラステクターの着化タイムははるかにオーバーし、ファイヤーは倒れた……」
 
バイクルとウォルターがファイヤーの元に駆けつける。

バイクル「隊長!!」

ウォルター「隊長!」

バイクル「隊長、大丈夫がえ!? 隊長、しっかりしてちょうよ……」

バイクルはファイヤーを抱きかかえ、ウォルターは少女を抱える。
 

翔べ希望の空へ
 

東京警察病院

藤野純子が香川竜馬にリンゴを差し出す。

純子「竜馬さん、はい……」

竜馬「ありがとう……」

ノック音

竜馬「はい……」

本部長・正木俊介が入ってくる。

本部長「よう。どうだ、具合は!?」

竜馬「もう大丈夫です……」

純子「あと2週間で退院できるそうです。ただ、クラステクターのタイムリミットを20分もオーバーし、炎の中に立って、退院してもしば楽着化しないほうが…… 着化したら、命の保障はないそうです」

竜馬「申し訳ありません、本部長……」

本部長「何を言ってるんだ!? とにかくゆっくり休め」

竜馬「本部長、どうも気になるんです……」

本部長「ん?」

竜馬「実は……」

竜馬は自宅や活動時と同じような頭痛を感じる記憶を振り返る。

竜馬「あれがただの頭痛だと、どうしても思えないんです!」

純子「疲れてたのよ竜馬さん。長い間の無理が祟って」

竜馬「いや、そうは思えない。何か、きっと何か別の罠が…… 本部長、調べてもらえませんか!? お願いします!」

本部長「うん……」

竜馬のアパート

本部長が念入りに調べていた。

机には何か機械がついていた。

純子「本部長!」

本部長「どうした!?」

純子「たった今連絡があって、優子ちゃんが行方不明になったそうです」

本部長「何!?」

純子「見知らぬ男に車に乗せられるのを、見たという人がいたそうです」

本部長「ひょっとしたら、これと関係あるのかもしれん……」

警視庁

マドックス「分析の結果がでました。この発信機は、人間の脳波に直接働きかけ、過去の記憶や、専大意識化に眠る人間の本能を呼び出す装置です」

本部長「どうやら読めてきたな…… 犯人は最初から、竜馬をおびき寄せるために、撮影所を爆破炎上させた」

バイクル「ふむ…… ほいうことは、犯人の狙いは隊長がえ!?」

本部長「優子ちゃんを誘拐したのも同一犯人なら、その可能性もないだろう…… だが、単にファイヤー個人じゃなく……ウインスペクター全体に対する挑戦とも考えられる」

バイクル・ウォルター「え?」

本部長「マドックス、発信機について、ほかに手掛かりは!?」

マドックス「2年前、中央製薬付属研究所が精神障害の治療器具として、同様な商品の開発に嫡子しています……」

中央製薬付属研究所

研究員「確かに、これと同じものを開発していましたが…… 現在は中止しています。悪用されれば、人間の本能を自由に引き出し……凶暴化させ、最悪の場合脳を破壊し、死に追いやることも可能だからです」

純子「現在、これをまだ研究している人は!?」

研究員「ウチの研究所にはいません。ただ、元々この研究は…… 外部から持ち込まれたもになんですから」

純子「外部? 誰ですか!?」

研究員「黒田鬼吉博士です……」

警視庁

本部長「何!? あの黒田が?(黒田は1年前、月面作業用ロボット・R24を使い、赤ちゃんを誘拐。タンクローリーを暴走させ、我々に逮捕された……)」

第1話でR24の乗るタンクローリーが暴走していた時の記憶が甦る。

刑務所

刑務官が囚人の様子を見る。

毛布からでてきたのは、第1話で逮捕された黒田鬼吉だった。

黒田「はははは……」

黒田はベッドをどけ、ハンモックを入れる。

次にその下の穴に入って地下を通り、地上に出る。

そしてどこかの工場に入っていき、服を着替える。

その中に竜馬の妹・香川優子が人質に取られていた。

優子「私をどうするつもり!?」

黒田「はっはっは…… どうするって!? どうもせんよ、あんたは大事なお客さんだから。ワシはな、ウインスペクターのせいでこの1年間、冷たい牢獄の中 で暮らしてきた! わかるか!? その間この偉大な天才頭脳は眠り続けていたんだ。国家的いや、世界的な損失だ…… だから前もって用意をしといたもう1 台のR24。こいつを 使ってトンネルを掘り、刑務所とここを行き来して復讐の準備をしてきたんだよ。これはな、人間の心を獣にして暴れさせる、脳の破壊する装置だよ……」

優子「え?」

黒田「明日の朝こいつを作動させ、東京を獣の街にしてやり、ファイヤーもウインスペクターも、ぶっ潰してやる!!」

翌朝

黒田の放った電波が街中に流れ込む。

すると人々が傷つけ合い、破壊活動を行い始める。

警視庁

マドックス「隊長を襲ったと同じ電波が、すごい出力で汐留区から新宿区にかけて覆い、凶暴化した市民が各所で行動を起こしています」

本部長「全警察官に、電波遮断装置をつけさせ、暴動を治安するんだ」

純子「はいっ!」

マドックス「たった今、刑務所から黒田鬼吉博士が脱獄したと情報が入りました」

本部長「何? 脱獄!?」

純子、ウォルター、バイクルが現場に駆けつけ、六角虎五郎とともに人々を抑える。

純子「やめなさい、おとなしくして!」

六角「落ち着け。落ち着くんだ!」

バイクル「コラ静かにしなはれ。ほら!」

ウォルター「やめなさい!」

キャスター「突然人々が暴れだし、銀座から新宿にかけてまさに恐怖の街と化しています。一体どうしてこんなことがおきたのでしょうか!? わかりません。警察も全く手がつけられない状態です!」

病室でそれを見ていた竜馬が飛び出す。

刑務所

本部長が黒田のいた部屋にやってきて色々調べる。

床に傷跡を見つける。

本部長「調べてくれ……」

警官「はい!」

本部長が中に入り、地上に出る。

本部長「バイクル、ウォルター、黒田のアジトを発見した。優子ちゃんも多分、その中にいるはずだ」

竜馬がウインスコードで運転していた。

竜馬「優子!?」

通信が入る。

バイクル「本部長! 暴動が激しくて、身動きが取れんがえ……」

ウォルター「こっちもです!」

竜馬「本部長、僕が行きます!」

本部長「何を言ってるんだ竜馬。病院に戻れ! 黒田は私が逮捕する……」

竜馬「本部長!」

本部長は通信を切り、アジトに潜入せんと迫る。

すると電波が放射され、本部長を苦しめる。

耳に遮断装置をつける。

その様子を見ていた黒田は装置からビームを発射させる。

ビームが遮断装置に当たり、飛んでしまう。

黒田「はははは……」

優子「やめて!」

電波のボリュームが上がり、どうすることも出来ない本部長。

それによって色々な幻を見始める。

マドックス「本部長の遮断装置が破壊され、脳波に異変が現れ始めました」

竜馬「何!?」

本部長「このままでは本部長も脳が破壊され、死んでしまいます……」

竜馬「本部長!」

本部長から返事はない。

竜馬はSPカードを取り出し、クラステクターを着化しようとするが……。

(純子「クラステクターを着化したら、命の保障は出来ないそうです……」)

竜馬「……着化!!」

竜馬が死の覚悟を決めてクラステクターを着化してファイヤーとなる。

ウインスコードもファイヤースコードに変形する。

本部長の前にR24が姿を現す。

本部長が銃を発砲。

しかし、R24は手で交わす。

次に帽子を投げ、それを交わす本部長。

帽子は柱に当たり、切れてしまう。

そこへファイヤーの乗るファイヤースコードが到着する。

ファイヤースコードの銃撃が炸裂。

ファイヤーが降りる。

黒田は電波のボリュームを最大に上げる。

ファイヤー「電磁バリアー作動!!」

ファイヤーのクラステクターにバリアーが作動される。

ファイヤー「本部長!」

ファイヤーは本部長の耳に新しい遮断装置をつける。

本部長「なぜ…… なぜ着化したんだ!?」

R24がブレードでファイヤーに挑む。

ファイヤー「本部長、早く黒田を逮捕してください!」

本部長がアジトに向かう。

ファイヤー「マックスキャリバー!!」

マックスキャリバーがR24の顔を切る。

顔にレーザー装置がつけられる。

黒田のアジト

そこに乗り込む本部長。

そこに黒田と優子がいた。

本部長「優子ちゃん……」

優子「本部長!」

本部長「黒田…… 貴様を逮捕する!」

黒田「待ってたよ、本部長さん。やれるものならやってみろ……そんな遮断装置などなーんの役にも立たんのだよ」

電波のボリュームが再び上がる。

黒田「さすがはウインスペクターだな。凶暴になるのだけは押さえられたようだな…… だが、普通の人間は違うぞ」

本部長「貴様は間違ってる!」

黒田「毎日のように世界のどこかで戦争狩りで人が人を殺してるんだ。そんな獣の命をウインスペクターは後生大事に守ってるというわけか!? はっはっは……」

ボリュームが最大に上がっていく。

本部長「やめろ! 機械を止めなければ…… 貴様を殺す!」

黒田「殺す? はっはっは。ついに本性を現したな!? 人の命を守るといいながら、貴様も殺しの好きなただの獣に過ぎなかったのか! ええい、撃て! 撃て!!」

本部長は引き金を引こうとする。

黒田「撃てるものなら撃ってみろ!!」

本部長(ウインスペクターの使命とは、人命を守ることにあった。新組織を作るにあたって、それだけでいいのだろうか!? たった1人の凶悪犯によって、大勢の犠牲者が出た場合…… その凶悪犯の命を守る必要があるんだろうか?)

本部長が引き金を引こうとしたそのとき、ファイヤーとR24が壁を突き破ってきた。

本部長「ファイヤー!」

優子「お兄ちゃん!!」

ファイヤー「優子!!」

黒田「R24、やれ! やるんだ!!」

ファイヤー「パルスガン!!」

黒田「うわあっ!!」

パルスガンが装置を破壊。

本部長も遮断装置を外す。

R24のビームが炸裂する。

ファイヤーはマックスキャリバーでR24の腕を落とす。

次にR24の剣を投げる。

剣はR24の腹部に刺さり。

本部長「優子ちゃん!」

本部長が優子の縄を解こうとする。

優子「本部長!!」

R24が迫る中、本部長の銃弾が当たる。

本部長「さあ、こっちへ……」

ファイヤー「ギガストリーマー・マキシムモード!!」

ギガストリーマーがR24に炸裂。

機械が爆発して倒れ、黒田がその下敷きとなる。

凶暴化した街の人々も元に戻る。

アジトでは、ファイヤーが倒れる。

優子「お兄ちゃん!!」

本部長「おい、しっかりしろ!」

優子「お兄ちゃん……」

本部長がファイヤーのヘルメットを外す。

本部長「大丈夫か、竜馬……」

竜馬「本部長、優子……」

優子「お兄ちゃん……」

黒田「正木…… お前は、ワシを撃とうとしたな!? やっぱり、獣だったんだ! それが、ウインスペクターの正体だ。はっはっは……」

すると黒田はなにかスイッチを押す。

爆弾がいくつも仕掛けられ、作動する。

同時に黒田が力尽きる。

本部長「爆発するぞ!!」

竜馬たちが避難する。

本部長「さあ、早く!!」

黒田のアジトが大爆発。

竜馬「優子、大丈夫か!?」

優子「はい…… お兄ちゃん、フランスへ行って」

竜馬「え?」

優子「世界中の人たちが、お兄ちゃんを待ってる。その人たちのために、働いて…… そんなお兄ちゃんが私、大好きなんだもん!」

竜馬「優子……」

一同が笑うと、純子の車、バイクルを抱えたウォルターが到着する。

バイクル「ウォルター、早く下だ! 純子さん……」

ウォルター「隊長!」

純子「本部長……」

バイクル「隊長、大丈夫だったかえ!?」

本部長「竜馬…… 私は、本当に黒田を撃とうと思った。それは後悔はしてない…… だが、どんな凶悪な人間であっても命は命だ。だから、命だけではなく、心も救うこと出来ないだろうか…… ウインスペクター亡き後、私が作る新しい組織は、その平和にしたいと考えてる」

竜馬「つまり、人の命だけでなく、人の心まで救うということですね!?」

本部長「ああ。どんな凶悪な人間であっても、人の心を救うことは出来れば、今後の事件は、どんどん減ってくだろう……」

バイクル「ほれは素晴らしいことだ!」

純子「私たちもフランスで……本部長が作る、新しい組織を楽しみにしています」

本部長「諸君の、健闘を祈る!」

竜馬「はいっ!」

一同が敬礼を取る。

バイクル「本部長!」

ウォルター「本部長!!」

優子「お兄ちゃん……」

優子も敬礼を取る。

本部長「こいつ……」

翌日、竜馬たちの乗る飛行機が飛び立っていく。

本部長(ありがとう。香川竜馬…… 藤野純子…… バイクル…… ウォルター…… 君たちは世界のウインスペクターとして、これからも活躍しなくてはなら ない。そして私は、君たちに負けない新しい組織を作る。期待しててくれ……ありがとう、ファイヤー。さようなら、ウインスペクター……)
 

おわり
 
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