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特救指令ソルブレインの最終回
 

高岡「まだこれで終わったわけではないぞソルブレイン……必ず貴様らを叩き潰してやる!!」

ナレーション「ソルブレイン解散を前に、高岡の、最後の挑戦が開始された」

佐藤「父を殺され、母もそのあとを追うように……だから犯人を見つけて殺してやりたいと何度も思ったが……」

中井「私の罪は……まだ許されていなかったんだ……」

ナレーション「そして、ついに、高岡に躍らされた中井誠一はソルブレインに爆弾を持ち込んだ!」

中井「やっぱり私にはできない! 放してくれ!!」

爆弾が爆発。

覆面パトカーやソルギャロップ、ソルドレッカーが走っていた。
 

また逢う日まで
 

中井勇が佐藤和也の印刷所に駆け寄る。

印刷所の前で張り込む増田純がそれを見つける。

印刷所から佐藤が出てくる。
 
勇「お兄ちゃん!!」

佐藤「勇君……」

勇「お願い、パパを許して!!」
 
車の後ろに隠れる佐藤と勇。

佐藤「勇君、どうしたんだ!?」

勇「うちのパパ、昔、お兄ちゃんのパパを殺したんでしょ!?」

佐藤「勇君……」

勇「パパ、お兄ちゃんの命令どおりにしたから警察に捕まったんだ……!!」

佐藤「どういうことだ、それは!?」

勇「『僕の命を助けたければ、ソルブレインを爆破しろ』って、そう言ったんでしょ!? パパを助けて!!」

ソルギャロップとソルドレッダーが中井家の前に停まる。

そこから西尾大樹、樋口玲子、中井誠一が降りる。

大樹「中井さん、保釈中のみですから、これ以上無茶をしないでください!」

中井「はい。本当に、申し訳ありませんでした……」

中井の目に佐藤が飛び込んでくる。

佐藤が去る。

司令室

本部長「つまり、佐藤和也は我々を避けているということか……」

大樹「はい。中井さんを見てまるで復讐してる自分が後ろめたいって感じていて逃げるようにアパートから帰っていったんです……」

純「そういえば、勇君が印刷所に来たときも、佐藤は中井さんがここを爆破しようとしたことを知らないみたいでした!」

竜馬「ということは、ソルブレイン本部の爆破はあくまでも高岡が勝手にやったことで、佐藤は何も知らなかった……」

大樹「佐藤が高岡に頼まれたのも、中井さんの隣の家に住んでたとき、それだけで十分復讐できる……」

亀吉「じゃあ佐藤は中井さんをそんなに憎んでいなかった。っていうことに……」

本部長「20年という歳月がそうさせたんだ……父親が殺された当初は中井さんを殺したいほど憎んでいた。だが、長い間時間が経ち、その憎しみは次第に和らげていったに違いない……」

大樹「しかし本部長、高岡は違います。同じように子供のころ、父親を殺されていながら許すどころか、ますます憎しみをエスカレートさせています……」

本部長「そこだ。私も腑に落ちないんだ……」

玲子が入ってくる。

玲子「本部長、実は佐藤和也のことで気になることが……」

本部長「気になること!?」

玲子「はい。母親なんですが、父親が殺された直後、後を追うように死んだと聞いていたんですが、どうも生きているみたいなんです……」

本部長「生きている!?」

印刷所

社員「佐藤さん、電話よ」

佐藤「どうもありがとう。もしもし!? 佐藤ですが……」

受話器から高岡隆一の懐中時計のメロディーが流れる。
 
電話の相手は高岡だった。

高岡「佐藤さん、あなたにお願いしたいことがありまして……」

佐藤「そんな……約束が違うじゃないか! 俺はただ、中井の隣に住むだけでいいって言うから……」

高岡「嫌だと言うならいいんですよ。資金援助を打ち切るだけです……今まで渡した金もそっくり返してもらいましょう。お母さんの顔をよく見てよーく考えてください……今日中に実行してくれることを願っています。フフフ」

電話が切れる。

佐藤は車に乗ってどこかに向かう。

ソルギャロップが追跡する。

佐藤が車から降りる。

大樹と純も降り、病院に入って行った。

受付の前から佐藤が去る。

大樹「すいません、今の男ですが、誰に会いに来たんですか!?」

看護師「ああ、佐藤和也さんですね!? お母さんに会いに来たんです」

大樹「どうも」

大樹と純が病室の前に止まる。

病室から佐藤が出てくる。

大樹「純、奴を追うんだ!」

純「はい!」

医師と大樹が病室に入る。

そこには、老婦人がベッドでティッシュをちぎっていた。

その老婦人こそ佐藤の母親だった。
 
医師「6年前、運び込まれたんです。息子さん以外、尋ねてくる人もいませんし、その息子さんだって尋常じゃありません。ただ黙って、お母さんのそばに立って見ているだけなんですから……そのときの顔ときたら、自分の母を誰がこんなにしたんだって、まるで、憎しみを掻き立てるように、見つめてるんです」

大樹(憎しみを……そうだったのか、薄らいでいく憎しみ。その哀れな母親の姿を見て掻き立てていたのか……)

佐藤を尾行する純。

すると佐藤が純に気づき、走り出し、公園に逃げる。

純も公園に入るが、見失った。

すると、佐藤は木の陰から棒で純を叩きつける。

本部

本部長「はい、ソルブレイン本部。純!?」

純「本部長、佐藤和也に逃げられました……」

本部長「何、和也に逃げられた!? 竜馬、勇君の居場所が危ない。中井家へ直行せよ!!」」

竜馬「はい!」

玲子は勇の後をつけていた。

勇「ただいまー」

そこに、香川竜馬のナイトカスタムが到着。

玲子「竜馬先輩、何か!?」

竜馬「佐藤和也が姿をくらました!」

玲子「え?」

竜馬「勇君は!?」

勇の家から物音がする。

竜馬「中井さん、中井さん!?」

2人が家に入る。

中井の妻が縛られていた。

竜馬「大丈夫ですか!?」

玲子「しっかりしてください!」

中井の妻「勇が、勇が和也さんに!!」

竜馬「勇君が!?」

一方、佐藤は車に勇を乗せてどこかに向かっていた。

勇「お兄ちゃん、お兄ちゃんやめて! お願いだからやめて!!」

佐藤「うるさい、黙ってろ!!」

勇が泣く。

本部

本部長「はい、ソルブレイン本部……高岡!!」

高岡「正木本部長、いよいよ大詰めだ。今日こそソルブレインを叩き潰す!」

本部長「高岡、勇君はどこだ!?」

高岡「助けたかったら高原の廃工場まで来い……」

本部長「高原の廃工場!?」

高岡「だがそこは、ソルブレインの墓場になることを忘れるな。ハッハッハ!!」

電話が切れる。

本部長「本部より緊急指令! 緊急指令!! 勇君の居場所がわかった。高原の廃工場へ急行するんだ!!」

大樹「了解!」

玲子「了解!」

竜馬「了解!」

大樹「プラスアップ!!」

竜馬「プラスアップ!!」

玲子「プラスアップ!!」

大樹がソルブレイバーに、玲子がソルジャンヌに、竜馬がナイトファイヤーにプラスアップ。

ソルギャロップらが廃工場に到着。

ブレイバー、ジャンヌ、ドーザー、ナイトファイヤーが工場に入る。

勇「やめてー! やめてー!! 助けて、助けて!!」

佐藤がナイフを勇に突きつける。

ブレイバー「佐藤、やめろ! その子を放すんだ!!」

ナイトファイヤー「放すんだ、佐藤!!」

一同は佐藤のほうに近づくが……。
 
佐藤「来るな! この子が死ぬぞ!!」

ナイトファイヤー「バカなマネはよせ。勇君は君を慕っているんだ!!」

佐藤「うるさい!!」

ブレイバー「お前はすでに中井さんを許している。無理に憎もうとしてるだけだ……お母さんは、お前の憎しみを掻き立てるための存在じゃないんだ! お前を育てるために身をすり減らして、そのお前が罪を犯して喜ぶと思うのか!?」

佐藤「黙れ!」

勇「お兄ちゃん、お願いだからもうやめてよお兄ちゃん!!」

「ハッハッハッハ!」

上から高岡が降りてくる。

ナイトファイヤー「高岡!!」

高岡「ソルブレイン、この男をいくら説得しても無駄なことだ。父親を殺された憎しみがどんなものか、貴様らにはわからん!!」

ブレイバー「高岡……」

高岡「よーく見ていろ。さあ佐藤、その子をソルブレインの見ている前で殺すんだ。やれ!!」

ブレイバー「やめろ!!」

高岡「その子はお前の父親を殺した中井の息子なんだぞ!? やるんだ!!」

ブレイバー「やめろ!!」

ナイトファイヤー「やめるんだ!!」

佐藤は勇を刺そうとするが、突き落とす。

ナイトファイヤー「勇君!!」

ナイトファイヤーが勇を見事キャッチ。

佐藤のナイフが高岡を刺す。

高岡「貴様!!」

高岡のライフルが佐藤を撃ち落とす。

高岡「よくも裏切ったな!!」

高岡がもう一度ライフルを発射。

ブレイバーが盾になる。

ブレイバー「ケルベロスショット!!」

ブレイバーのケルベロスが高岡のライフルを落とす。

ナイトファイヤーがジャンプ。

高岡の前にバリアーが張られ、ナイトファイヤーを弾く。

ブレイバー「ファイヤー!!」

高岡「貴様もソルブレインと一緒に葬ってやる!!」

高岡がスイッチを押すと、工場内が爆発する。

高岡「フフ。全員、ここで死ぬがいい!! 私は、私はソルブレインに勝ったんだ!!」

本部

クロス「本部長、ブレイバーとナイトファイヤーが危機に瀕しています!!」

本部長「ソリッドステイツ、スタンバイ!!」

ソリッドバンカーが開く。
 
本部長がソリッドステイツに乗り込む。

本部長「ソリッドステイツ、発進!!」

矢沢「了解!!」

本部長「ゴー!!」

ソリッドステイツが発進される。

ブレイバー・ナイトファイヤー「スーパーディスチャージャー!!」

ブレイバーとナイトファイヤーはパイルトルネードで消火活動を行う。

しかし、火はぜんぜん消えない。

ソリッドステイツが着陸する。

本部長「消火!!」

ソリッドステイツから水が放水される。

工場内は退路が断たれてしまう。

ブレイバー「ダメだ、脱出できない!」

ナイトファイヤー「このままでは全員焼き死ぬ!」

外でも火は消えない。

矢沢「ダメです本部長……火の勢いが強くて消火できません!」

本部長「ブレイバー、ナイトファイヤー!!」
 
返事はない。
 
本部長「ソリッドステイツを工場に突入させるんだ!」

矢沢「そんなことをしたら、SS-1が衝撃で爆発するかもしれません!!」

本部長「構わん。突っ込め!!」

矢沢「わかりました」
 
ソリッドステイツが工場に突入しようとする。

その光景をを高岡はモニターで見ていた。

高岡「そんなバカな!!」

ようやく工場に突入したソリッドステイツ。

それにより高岡の部屋の天井が崩れる。

高岡「おのれ……」

佐藤に刺されて苦しむ高岡。

引き出しからビンを取り出し、薬を飲む。

ようやく工場内が消火される。

ブレイバー「本部長!!」

本部長「高岡は!?」

ブレイバーとナイトファイヤーがヘルメットを取る。

大樹「この奥です!!」

竜馬「間違いありません!!」

本部長「玲子、ドーザー、2人を頼む!!」

ドーザー「はい!」

玲子「わかりました」

玲子とドーザーは佐藤と勇を連れて行く。

本部長「よし、行くぞ!!」

大樹・竜馬「はい!!」

本部長たちは階段を上ってドアの前に行く。

本部長がドアを開けようとするが、鍵がかかっていたので銃で鍵を壊し、入った。

そこには高岡の姿があった。

本部長「高岡、お前の挑戦もここまでだ。大人しくしろ!!」

高岡「私はまだ負けてはいない!!」

本部長「お前がどうして次々に新しい発明をして、我々に挑戦できたか、それがわかった。お前はコンピューターと合体していたからだ!!」

高岡「その通りだ……今度の立体映像も私が発明したんだ。私は、コンピューターと合体し……無限の才能を手に入れたんだ!!」

本部長「なぜだ!? なぜそうまでして我がソルブレインを……いや、人間を憎むんだ!? お前の憎しみが消えることはないのか!?」
 
高岡「ハッハッハ……」
 
本部長「高岡……」

高岡「来るな! 来るな!!」

高岡がスイッチを押すと周辺が爆発し、炎上する。

高岡「ハッハッハ……あっ!」
 
高岡の口から血が垂れ流れる。

本部長「高岡! 毒を飲んだな!?」

高岡が懐中時計を開けると、メロディーが流れる。

高岡「私の父は、毒を飲んで死んだ……あの時、本当は私も死んだんだ!! 私は憎しみを捨てたいと思ったことがある。だが、父や母のことを思うと、そんな自分に腹が立ち、だが、合体したコンピューターに憎しみを増幅させるフロッピーをインプットし、永久に憎しみが消えないようにしたんだ……!!」

本部長「高岡……」

すると突然、コンピューターがショートし始める。

高岡「やめろ……私から憎しみを奪うな……憎しみがなくなったら、私はどうしたらいいのか……頼む、頼むから元へ……」

本部長「高岡……」

高岡「来るな――――!!」

コンピューターが爆発し、再び周辺が炎上する。

本部長「高岡!!」

高岡が息絶える。

本部長「高岡……我がソルブレインの使命は、人命のみならず、人の心も救うことにあった!! だが、高岡の心だけは、最後まで……」

工場から大樹たちが出てくる。

佐藤の手には手錠が掛けられていた。

玲子「本部長、高岡は!?」

本部長が首を横に振る。

そこへ、純が中井夫妻を乗せて現場にやって来た。

車から降りる純たち。
 
勇「パパ!! パパ……」

中井夫妻「勇!!」

勇「パパ……」
 
中井「勇!」
 
中井の妻「勇……」
 
中井一家が頭を下げる。

佐藤「中井さん、俺……」

中井「和也さん……」

中井が佐藤の手に触れる。

こうしてソルブレイン最後の事件は幕を閉じた。
 
本部

大樹、玲子、純が一列に並んでいた。

ソルブレインが解散されるときが来たのだ。

本部長「大樹……玲子……純……」

本部長はそれぞれに握手をする。

大樹たちはそれぞれの車に乗り、本部を去る。

本部長たちが静かに見送る。

ドーザー「元気でね!」

本部長「これで、ソルブレインは解散か……」

亀吉「寂しくなりますね……」

ドーザー「いつかまた会えますよね!?」

純の車が右折、ソルドレッカーが左折し、ソルギャロップがまっすぐ行く。

玲子「さよなら、ソルブレイン……」

純(ありがとう、ソルブレイン……)

大樹(僕は、いつまでソルブレインを忘れない……きっといつか、また会える日が来る。それを信じて……さよなら、ソルブレイン……ありがとう、ソルブレイン……)
 

おわり
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