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超獣戦隊ライブマンの最終回
武装頭脳軍ボルトの本拠地、ヅノーベースに単身乗り込んだレッドファルコン。
彼が見たものは、ボルトの支配者・大教授ビアスが若返って少年となった姿であった。
ビアス「僕は大教授ビアスの頭脳を持ったまま若返り、“少年王ビアス”となったのだ!」
ビアスの繰り出す攻撃がファルコンに炸裂。
ファルコン「うわぁっ!!」
ビアス「僕にはたっぷりと勉強できる時間ができたというわけさ。僕はもっともっと勉強する。そして、大きくなったらもう一度、大教授ビアスになるのだ!」
ファルコン「何っ……!」
ビアス「その日を目指して僕の勉強はもう始まっているのだ! 頭脳獣、デンシヅノー!」
最後の頭脳獣、デンシヅノーが出現する。
ビアス「やれ!」
ファルコン「ぐわぁっ!!」
レッドファルコンの変身が解け、天宮勇介の姿に戻る。
ビアス「お前を今死なせるのは勿体無い。ヅノーベース、発進!」
大教授ビアスの崩壊
!!
衛星軌道上にあったヅノーベースが、地球上の地表近くへと降下して来る。
驚いて空を見上げる地上の人々。
「おぉっ!?」「何!?」「見ろ!」「何だ、あれは!?」
ズノーベースの艦内。
傷だらけの勇介が十字架に架けられている。
ビアス「お客様を大事にしてあげなさいよ」
ガッシュ「ハイ・ビアス様」
ビアスの新しい誕生日という意味合いか、ビアスの掛けたテーブルの前に、ガードノイド・ガッシュがバースディケーキを置く。
ビアスが蝋燭の火を吹き消し、ガッシュが拍手を送る。
ビアス「デンシヅノー、総攻撃開始!」
デンシヅノーの操作で、ヅノーベースから砲撃が一斉に繰り出される。
ビル群が砕け散り、大地が引き裂け、人々が悲鳴をあげて逃げ惑う。
ビアス「地球をミンチにしてやる」
勇介「やめろぉ……やめろ、ビアス!!」
ビアス「まだまだ、こんなのはほんの遊びさ。子供の遊び。(大人の声)これからが本番さ……」
勇介 (こいつ……姿形は子供でも、心はまさしくビアス……!)
そのとき、ヅノーベース目掛けて突進するスーパーライブロボの姿が、艦内のスクリーンに映し出される。
勇介「スーパーライブロボ!」
コクピットではイエローライオン、ブルードルフィン、ブラックバイソン、グリーンサイ、そしてファルコンに替ってサポートロボットのコロンが操縦桿を握っている。
ライオン「行くぞ!」
コロン「えぇ!」
ビアス「カモン・ベイビー!」
スーパーライブロボが、ヅノーベース目掛けて決死の体当たり。
ビアス「うわぁっ!?」
ライブマン「わぁ──っ!」
衝突のショックで、勇介の十字架の戒めが外れる。
スーパーライブロボ、ヅノーベース、両者ともバランスを崩して地上目掛けて落下してゆく……
地上。
ライブマンの変身を解いた大原丈、岬めぐみ、矢野鉄也、相川純一、そしてコロンが地上へ降り立つ。
ヅノーベース墜落の衝撃で、大地が激しく揺れている。
丈「何だあの揺れは……? よし、行ってみよう!」
揺れの方角へ駆けつけた一同が、ヅノーベースの墜落現場を目にする。
純一「あっ、ヅノーベースだ!」
鉄也「やったぁ! やっつけたんだ!」
純一「やったぜ!」
丈「それより、勇介は?」
そのとき、ヅノーベースの中から必死に這い出してくる、傷だらけのビアス。
だが丈たちは、少年の姿の彼がビアスだとは判ろう筈がない。
ビアス「おのれ……ライブマンめ」
丈「誰だ、お前は?」
ビアスがケンプの脳の入ったカプセルを振るい、丈たち目掛けて攻撃を繰り出す。
ビアス「愛しいケンプの脳は、色々と役立ってくれる」
丈「ケンプだとぉ……? じゃ、お前は!?」
そのとき、ビアス目掛けて勇介が飛び掛り、ビアスの手から脳のカプセルを弾き飛ばす。
めぐみ「勇介、生きてたのね!」
勇介「こいつはビアスだ!」
丈「えぇっ!?」
少年の姿のビアスが、力なくカプセルに手を伸ばす。
丈「この、子供が……ビアス!?」
勇介「大教授ビアスは、ケンプたちの脳を利用して若返り、少年王ビアスとなったんだ」
ケンプの脳のカプセルを取り戻そうとするビアスを、勇介が阻む。
しかしそこに銃撃。ガッシュとデンシヅノーである。
ガッシュ「ビアス様ニハ指一本触レサセヌ」
ガッシュが勇介を丈たち目掛けて吹き飛ばし、丈たちが慌てて受け止める。
さらにガッシュの銃撃が響く。
勇介たち「ライブマン!!」
一瞬早く勇介たちは変身し、銃撃をかわす。
5人揃ったライブマンと、ガッシュ・デンシヅノーとの戦い。
その最中、ビアスはケンプの脳を手にして必死に逃げる。
ドルフィン「あっ!」
ライオン「ビアス!」
ビアスを追い、ブルードルフィンが海岸へとやって来る。
地面に血が滴っている。
ドルフィン「血だわ……」
血が点々と、海岸の洞窟まで続いている。
洞窟の中から弱々しい声が響く。
ビアス「痛てぇな……」
ドルフィンが洞窟を覗くと、そこにうずくまっているビアス。
ビアスがドルフィンに気づき、脳のカプセルを構える。
ドルフィン「ライブラスター!」
ライブラスターの銃撃でカプセルが地面に転がる。
カプセルを追うビアスに、ドルフィンがさらにライブラスターを突きつける。
ビアス「痛てぇな……」
血の滲む腹を押さえてうずくまるビアス。
その姿に、ドルフィンは引金を引くことができない。
ビアス「撃てまい! 僕が子供だから撃てないんだ!」
ライブラスターを握る手に力をこめるものの、なおもドルフィンは引金を引けない。
ビアス「撃てない! お前には撃てないぞ! お前は僕に生まれ変わって欲しいと思っているんだ。お前の心ぐらい、手に取るようにわかるのだ! 僕が心を取り戻したら、真人間になれると思っている。そうだろ!? だからお前には撃てないんだ」
ドルフィンへと歩み寄るビアス。ライブラスターを突きつけながらも、次第に後ずさりしてゆくドルフィン。
ビアス「撃てるものなら撃ってみろ!! 撃ってみろ!!」
ビアスがケンプの脳のカプセルで攻撃を繰り出す。
ドルフィンの変身が解け、岬めぐみの姿に戻る。
ビアス「弱いな、めぐみ。その心の優しさが、お前の弱点だ」
めぐみ「いいえ……弱いのは、あなたよ」
ビアス「何!?」
めぐみ「あなたこそ、子供の心が残っているわ。また人生がやり直せるかもしれないと……別の生き方をすれば、別の人生があると……」
ビアス「……」
めぐみ「大教授ビアスになることより、そっちの方が素晴らしいかもしれないって……」
ビアス「黙れ、黙れ!」
めぐみ「あなたは、そんな心の底が判りたくなくて、あんなことを言ったの」
ビアス「違う! ……違う……」
めぐみ「たとえ頭脳はビアスでも、若返った体は正直に若さに反応するわ」
ビアス「……」
めぐみ「若いって素晴しい……生きるって、素晴しい……!」
ビアス「言うな!」
ビアスがケンプの脳のカプセルをめぐみに突きつける。
しかし──ビアスの意に反し、攻撃は発せられない。
ビアス「どうしたんだ……!?」
そのとき、カプセルの中の脳から、ケンプの声が響く。
ケンプ「俺も……俺も、戻りたい……俺も……」
変身を解いた勇介たちも、そこへ駆けつける。
ケンプ「懐かしい……子供のあの日へ……」
勇介「ケンプの脳が喋っている!?」
ケンプ「やり直せるなら……もう一度……!」
ケンプの意思に共鳴したか、ヅノーベース艦内の天才科学者たちの千点頭脳も、次々に覚醒し始める。
「地球だ! 地球に帰ってきたぞ!」「本当だわ! 地球の海よ! 私たちの故郷よ!」
「出してくれ! ここから出してくれ!」「体を返して下さい!」
「俺の青春を返してくれ!」「お願い!」「返してくれぇ!」「出してくれ!!」
千点頭脳の覚醒と共に、千点頭脳で若さを維持していたビアスが、本来の年齢である皺だらけの老人の姿へと戻ってしまう。
ガッシュ「ビアス様!?」
ビアス「おのれケンプ……よくもこの私に逆らったな……」
勇介「あれが本当のビアスの姿だ……!」
力なく倒れるビアスに、ガッシュが駆け寄る。
ガッシュ「ビアス様!」
ビアス「ガッシュ……」
ガッシュ「デンシヅノー!」
デンシヅノーが無数の戦闘兵ジンマーを率いてライブマンに挑む。
勇介「行くぞ!」
5人「ライブマン!!」
天宮勇介がレッドファルコンに。
大原丈がイエローライオンに。
岬めぐみがブルードルフィンに。
矢野鉄也がブラックバイソンに。
相川純一がグリーンサイに。
ライブマン、決戦を前に最後の変身だ。
幾多の戦いを潜り抜けた5人に雑兵のジンマーなど敵ではない。拳、蹴り、刃が次々にジンマーを一掃する。
デンシヅノーに戦いを任せ、ガッシュがビアスを連れて荒野を逃げる。
しかしそこへ、レッドファルコンが追いつく。
ファルコン「待てガッシュ、俺と勝負だ!」
ガッシュがビアスを地面に寝かせ、剣を抜いてファルコンを迎え撃つ。
レッドファルコン、ガッシュ、火を吹くような激しい鍔迫り合い。
両者の力は殆ど互角で、互いに一歩も譲らない。
ファルコンのスーツが裂け、ガッシュの装甲が砕ける。
ガッシュが銃を抜く。
ファルコン「ライブラスター!」
一瞬早く、ファルコンの銃撃がガッシュの銃を弾き飛ばす。
さらにその隙を突き、渾身のファルコンの剣がガッシュの右腕を斬り落とす。
ファルコン「ファルコンブレイク!!」
X字に振るう剣撃がガッシュに炸裂。
ガッシュ「グワァ──ッ!」
ビアス「おぉっ……ガッシュ……」
ファルコンを除くライブマン4人が、デンシヅノーに押される。
そこへファルコンが舞い戻り、デンシヅノーに攻撃を加える。
ファルコン「トルプルバズーカだ!」
ライオン・ドルフィン「OK!」
ファルコンセイバー、ライオンバズーカ、ドルフィンアローが合体してトリプルバズーカとなり、デンシヅノーに炸裂。
ファルコン「バイモーションバスターだ!」
5人の指令で必殺武器ライブラスターが転送される。
ライブマン「バイモーションバスター!」
バイモーションバスターが炸裂。大爆発──
しかしそこへ、片腕を失ったままのガッシュが現れる。
ガッシュ「ギガファントム!」
巨大化光線ギガファントムにより、デンシズノーが蘇生・巨大化する。
ファルコン「スーパーライブロボに急ぐんだ」
ガッシュ「ビアス様・シッカリシテ下サイ」
ビアス「おぉ……ガッシュ……」
ガッシュ「ガードノイド・ガッシュ・必ズビアス様ヲオ守リシマスゾ」
殆ど瀕死のビアスをガッシュが抱き、ヅノーベースの中へと連れて行く。
ビアス「ヅ……ヅノーベース……」
ヅノーベース艦内。
ビアス「ヅノーベース……発進……メインエンジン……ふ……噴射……」
ガッシュ「メインエンジン噴射」
スーパーライブロボが巨大デンシヅノーへ挑む。
ファルコン「スーパービッグバースト!!」
最強武器のスーパービッグバーストが炸裂。
大爆発──最後の頭脳獣、デンシヅノーは敗れ去った。
ヅノーベース艦内。
メインエンジンが始動されたものの、艦内が爆発。あちこちから火花が吹き出す。
既に墜落の衝撃で、艦体が致命的な損傷を受けていたのだ。
ビアス「な……何だ……これは……」
ガッシュ「花火デス……ビアス様ノ地球征服ヲオ祝イスル・花火デス……!」
ビアス「おぉ……そうか……す……素晴しい……」
ビアスの耳に幻聴が響く。大勢の人々が自分を称える声……
「ビアス様──!!」「ビアス様──!!」「ビアス様──!!」
ビアス「ガ……ガ、ガッシュ……」
ビアスの手がガッシュを探し、力なく空を泳ぐ。既に目も見えないようである。
すかさずガッシュが、ビアスの手を力強く握り締める。
ビアスがガッシュの手を握り返す。
ビアス「聞こえるか……? こ……この声が……」
ガッシュ「……ハイ! 全人類ガ・ビアス様ヲ称エテオリマス! ……ビバ・ビアス!!」
ヅノーベースのもとへ、変身を解いた勇介たちが駆けつける。
次々に炎に包まれてゆくヅノーベース。ビアスを救い出そうにも、もはや手の施しようがない……
武装頭脳軍ボルトは最期を遂げた──。
ヅノーベースから何かが飛び出し、勇介たちの足元に転がる。
ガッシュの首である。
その目から光が放たれ、空中に映像が投影される。
かつての勇介たちの学び舎、科学アカデミアで学友たちが裏切り、ボルトの幹部となった光景。
コロン「ボルトの戦いの記録だわ!」
そしてボルトとライブマンとの激戦の光景。
めぐみ「美しいものは、何一つ映っていないのね……」
鉄也「彼らはもっと、美しいものに気づくべきだったんだ」
純一「この星の、美しさにね……」
その言葉を象徴するかのように、彼らの傍らに美しい花が咲いている。
丈「なぜこの星が美しいか……それは、多くの命が助け合い、譲り合いながら一生懸命生きているからなんだ」
勇介「みんなと一緒に生きる素晴しさが判ってくれたら、決してこの星を支配しようなんて考えは浮かばなかったんだ……」
ライブマンは命の重さをかみ締めながら
生きとし生けるもの心の前に
敗れ去っていった者たちの記録を見続けるのであった
おわり