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太陽の勇者ファイバードの最終回


ギアナ高地。

宇宙皇帝ドライアスの本拠地・デビルの塔を、黒いエネルギーの巨大な球体が取り巻いている。
その中、スーパーガーディオンとサンダーバロンが捕われの身となり、苦痛の声を上げている。

ジャンゴ「プラスエネルギーの苦しみが、マイナスエネルギーの収束を促進したというわけか……それにより、ここに暗黒エネルギーの巨大なフィールドができた。これが全宇宙に触手を伸ばし、やがては暗黒の世界となる。そのとき、このわしもまた暗黒神の一員となれるのだ!」

ジャンゴの頭の白髪が、黒髪に変わってゆく。
欠けていた歯も元通りになる。

ジャンゴ「ん? こ……こりゃ一体? そうか! これも暗黒エネルギーの力か! 体が若返り始めておるぞ」

手にしていた杖を投げ捨てる。

ジャンゴ「こんな物、もういらんわぁ! ワッハハハハハ!」


さらば 宇宙警備隊


天野平和科学研究所。
皆の尽力により、遂に打倒ドライアスの切り札・カタルシスビーム砲が完成した。

一平「やったぁ! できたぞぉ!」
ヒルマン「天野、完成だな」
博士「あぁ。皆、御苦労じゃった! ありがとう!」
五郎「いやぁ、俺たちが世界平和に一役買えたなんて、まさに感激っスよ」
博士「よぉし! 早速こいつを……」

突然、博士目掛けて無数のカメラのフラッシュがたかれる。
振り向くと、記者陣の群れ。美子やケンタが必死に制止している。

美子「こ、困ります!」
記者陣「天野さん、この施設はいつ作られたんですか」「他のジェット機なんかはどこにあるんですか」
博士「な、何じゃ君たちは!?」
美子「すみません……止めたんですけど」
ケンタ「もう全部ばれちゃったんだよ、爺ちゃん」
記者「ここが宇宙警備隊の本部だということを、なぜ今まで黙っていたんですか?」
博士「え!? い、いや……なぜだっちゅうか……なんちゅうか……その……だ、だからな……」

返答に詰まる博士を、ヒルマン教授が不思議そうに見ている。


ギアナ高地に向かう火鳥のファイアージェット、ファイアーシャトル。
目の前に、暗黒エネルギーのフィールドに包まれたデビルの塔が見えてくる。

火鳥「ファイア──シャト──ル!!」

ファイアーシャトルが装甲パーツに変形。
ファイアージェットがファイバードに変形、アンドロイドに変身した火鳥がその胸に合体。
さらに装甲パーツが全身に合体。グレートファイバードとなる。

ファイバード「フォーム・アップ! 最強合体グレートファイバ──ド!!」

佐津田「おぉ、グレートファイバードが来てくれたか!」

デビルの塔へ突撃するファイバード。
だが塔を取り巻く暗黒エネルギー・フィールドを破ることはできず、火花が飛び散る。

ファイバード「ぐぉぉ──っ!!」
佐津田「おぉ!?」

遂にフィールドの前に、ファイバードが弾き飛ばされてしまう。

ファイバード「ぐわぁっ!!」

大地に叩きつけられるファイバード。
そこへ、シュラの乗ったロボット・ソドムが現れる。

シュラ「馬鹿め。お前たちプラスエネルギー生命体が、あれに触れて無事で済むと思ってんのか?」

ファイバードが振るう拳を、ソドムが受け止める。
背後から現れたゾルのロボット・ゴモラが、ファイバードを殴り飛ばす。
そしてソドムとゴモラの一斉射撃が、ファイバード目掛けて注がれる。

ファイバード「ぐわぁ──っ!!」

全身の装甲が次々にひび割れる。
必死に耐えるファイバードだが、遂に地面に倒れてしまう。

シュラ「ふん、意外と呆気なかったな……おぉ!?」

土煙の中から、ファイバードが立ち上がる。

ファイバード「どうした、もう終わりかぁ!!」
シュラ「何ぃ!?」
ファイバード「貴様たちの力はそんなものかと聞いているのだ!!」
ゾル「な、何だと!?」
ファイバード「フレイムソード!!」
ゾル「なめんじゃねぇやぁ!!」

再び銃撃が轟く。
ファイバードがそれをものともせずに突進。
フレイムソードで2体を叩き斬る。

シュラとゾルの最期かと思われた──そのとき。
デビルの塔から閃いたエネルギーが、ソドムとゴモラを包み込む。

ファイバード「何っ!?」
ドライアス「ゾルとシュラ……暗黒エネルギーを分け与えよう」
シュラ「ドライアス様!」
ゾル「こりゃすげぇ! 力が漲ってくるぜぇ!」

暗黒エネルギーを浴びたソドムとゴモラが融合。
さらに巨大化し、グレートファイバードの2倍はあろうかという超巨大ロボットと化す。


完成したカタルシスビーム砲を積み、天野博士たちを乗せたジェット機がギアナ高地を目指す。

ケンタ「もう……このジェット機、もっとスピード出せないの!?」
モモコ「ほんっとにトロイわねぇ……もしこれが間に合わなくて、ファイバード様に何かあったらどうすんのよぉ!?」
ヒルマン「天野、ひとつ訊いてもいいかね?」
博士「ん、何じゃな?」
ヒルマン「前々から不思議だったんだが、なぜ宇宙警備隊の存在を世間に知らせたくなかったんだ?」
博士「あ、いや、それは……!」

慌て始める博士だが、観念した様子で肩を落とす。

博士「仕方ない、白状するか……天野研究所は先祖代々の山を売った金で作ったんじゃが……そのときの莫大な相続税を払っとらんのじゃ」
ヒルマン「税金!? そりゃあまずいな……」
博士「まぁ……税務署に金を払うより、自分の手で世の中に役立つ物を作ろうと思ったわけじゃ……じゃが、今はそれよりも大事なことがある!」


ギアナ高地。
ソドム・ゴモラが合体した超巨大ロボの前に、ファイバードが苦戦する。

ファイバード「ぐわぁっ!!」
ゾル「ガハハハハハ! いいザマだな、ファイバード!」
シュラ「ハッハッハッハ!」
佐津田「い、いかん!」

そこへ遂に、博士たちのジェット機が到着する。

佐津田「おぉ、あれは!」
博士「急ぐんじゃあ!」

ジェット機が着陸、カタルシスビーム砲の準備が始まる。
一方ファイバードは、ソドム・ゴモラに持ち上げられ、塔を取り巻く暗黒エネルギー・フィールドに叩き付けられる。

ゾル「死ねぇい!!」
ファイバード「ぐわぁ──っ!!」
博士「あぁっ!?」
モモコ「ファイバード様、しっかり!」
博士「よぉーし、照準セット完了!」
ヒルマン「エネルギーもチャージ完了だ!」
博士「頼むぞぉ、効果があってくれよ……」

ビーム砲の発射レバーを博士が引く。
凄まじいカタルシスエネルギーの光線がファイバードたちに浴びせられる。

シュラ・ゾル「うわぁぁ──っ!!」

カタルシスエネルギーを浴びて、シュラとゾルが苦しみ出す。
逆に、ファイバードの全身の損傷はみるみる再生されてゆく。

博士「やった! 効いとるぞ!」
モモコ「ファイバード様が、力を取り戻したわよ!」
ケンタ「兄ちゃん! ドライアスなんかやっつけちゃえ!」
ファイバード「今日こそ決着をつけてやる!!」
ゾル「ふ……ふざけんじゃねぇやぁ!」
シュラ「誰がてめぇなんかに!」

突進するソドム・ゴモラ。
力を取り戻したファイバードのフレイムソードが、ソドム・ゴモラを真っ二つにする。

大爆発。

ケンタ「やったぁ!」
モモコ「きゃぁ〜素敵ぃ〜っ! やったわよ〜!」
佐津田「やっぱり、正義は悪に負けんのだな!」
モモコ「あら? あんた生きてたの?」
佐津田「うむ……へ?」

カタルシスエネルギーの奔流が暗黒エネルギー・フィールドを裂き、突破口を作り出す。
ファイバードがそこから中に突入。塔の中へと突き進む。

ヒルマン「いかん、エネルギー切れだ!」
博士「何じゃと!? 計算よりエネルギーの消費が早かったか!」

ファイバードの目の前に、捕われたサンダーバロン、スーパーガーディオンの無残な姿が。

ファイバード「あぁっ……サンダーバロン! スーパーガーディオン!」
サンダーバロン「グ……グレートファイバードか……」
ガーディオン「へ……へへっ、遅かったじゃねぇか……」
ファイバード「今助ける!」

2人の戒めを、ファイバードがソードで切り裂く。

ファイバード「よし、一旦ここから出よう」
サンダーバロン「すまん……」

脱出しようとしたとき、砲撃が響く。
ドライアスが現れる。

ドライアス「フフフ……この私から逃げられるとでも思ってるのか」
ファイバード「早く外へ!」
ドライアス「逃がさん!」

ファイバードがスーパーガーディオンとサンダーバロンを逃がし、ただ1人ドライアスに立ち向かう。
フレイムソードがドライアスの腹を貫く。
だがドライアスはそれを意にも介さず、ファイバードを蹴り飛ばす。
腹の傷がみるみる塞がる。

ドライアス「馬鹿め……この暗黒エネルギー・フィールド内での私は、不死身なのだ……」


ケンタ「爺ちゃん、穴が閉じられるよ!」
博士「よし、発射準備完了! 行けぇぃ!」

暗黒エネルギー・フィールド目掛け、再びカタルシスビームが放たれる。
フィールド内。外を目指していたサンダーバロンとスーパーガーディオンが、そのビームを浴びる。
弱りきっていた2体の体に、次第に力が甦る。

サンダーバロン「あ……?」
ガーディオン「こ……これは?」


銃撃。
カタスシルビーム砲の一部が砕け、ビームが止まる。

博士「な、何じゃぁ?」
ゾル「野郎! こんなふざけたもの作りやがって!」
シュラ「てめぇら、もう許さねぇぞ!」

ロボットから脱出していたシュラとゾルが、銃を構えて博士たちに迫る。
ケンタが銃を構えるが、一瞬早くシュラの銃撃がケンタの銃を弾き飛ばす。

シュラ「悪あがきはよすんだな! 生意気なガキめ……まずはてめぇから始末してやるぜ」
ゾル「ヘヘッ、覚悟しろよ」
シュラ「死ねぇ!」

ケンタが絶対絶命。
そのとき──逆にシュラとゾルが、砲撃に吹き飛ばされる。
弾みで2人のアンドロイドのボディから、本体であるエネルギー生命体が飛び出す。
すかさず何者かが網を放ち、2人の本体を捕らえる。
振り向くケンタ。そこにはサンダーバロンとスーパーガーディオンの雄姿。

ケンタ「あぁっ、サンダーバロン! スーパーガーディオン! 無事だったんだね!」


ドライアスがファイバードを翻弄する。
ファイバードが振り下ろしたソードをドライアスが白羽取りで掴み、剣身が砕け散る。
そしてドライアスの手から巨大な剣が伸び、ファイバードの腹を貫く。

ファイバード「ぐわぁ──っ!!」
ドライアス「貴様に私の本当の力を見せてやろう。絶対暗黒神となったこの私の力を!」
ファイバード「があ──っ!!」
ジャンゴ「いいぞいいぞ! その調子でマイナスエネルギーを、全宇宙へばら撒いてしまえ!」


デビルの塔から、マイナスエネルギーが全世界に向けて放たれる。
世界各地の空が、次第に暗黒に染まってゆく。


博士「い、いかん……このままでは地球は……」

スーパーガーディオンとサンダーバロンが、カタルシスビーム砲を抱え上げる。

博士「何じゃ? カタルシスビーム砲をどうするつもりじゃ!」
ガーディオン「こいつを使って、俺たちの全エネルギーをドライアスにぶち込んでやる!」
博士「……馬鹿な! そんなことをしたら……」
ガーディオン「行くぞ!」
サンダーバロン「おぅ!」

博士の制止も聞かず、2体が飛び立つ。


ドライアスの放つマイナスエネルギーがファイバードを襲う。
ファイバードの全身の装甲がみるみる溶けてゆく。

フィアバード「ぐわぁっ!!」
ドライアス「フフフ……そろそろ別れの時がきたようだ。死ねぇ!!」

そのとき。カタルシスビームがドライアスに注がれる。

ドライアス「お、おぉっ!?」

カタルシスビーム砲を抱えたサンダーバロンとスーパーガーディオンが飛来。

サンダーバロン「ドライアス! 俺たちの命の力だ、受け取れっ!!」
ドライアス「うぅ……おのれっ、ザコどもがぁっ!!」

光の刃を放つドライアス。
カタルシスビーム砲が真っ二つになる。
そして……スーパーガーディオン、サンダーバロンの胴体も真っ二つに斬り裂かれる。

ファイバード「あぁっ!?」

大爆発──

ファイバード「サンダーバロン……スーパーガーディオン……」

爆風の中から、二筋の光線が閃き、ファイバードの額に吸い込まれる。

ドライアス「ザコどもめ! 手間をかけさせおって」
ファイバード「ドライアス! 許さん!! 貴様だけは、絶対に……許さあぁぁ──んっ!!」

ドライアス目掛けてファイバードが突進する。
ドライアスの砲撃が響き、ファイバードの全身の装甲が次々に砕け散る。
しかし、それでもなおファイバードは突進し続ける。

ドライアス「な、なぜ……!? 奴は倒れぬのだ……!?」
ファイバード「私はケンタたちや、この世に住むすべての生命に約束したのだ。たとえこの身は滅びても、貴様を倒すとなぁっ!!」
ドライアス「ほざくなぁ──っ!!」

砲撃を受けてファイバードのフェイスマスクが砕け、口が露になる。

ファイバード「行くぞ! ドライアス!!」

ファイバードの全身からまばゆいばかりのエネルギーが迸り、その姿が巨大な火の鳥と化す。

ドライアス「何ぃっ!?」

火の鳥にスーパーガーディオンの姿が、サンダーバロンの姿が浮かび上がる。
彼らがドライアスに倒された時、その命がファイバードに託されていたのだ。

ガーディオン「ドライアス!!」
サンダーバロン「受けるがいい!!」
ファイバード「これが俺たちの、最後の力だあぁぁ──っっ!!」

3体の命が火の鳥と化し、ドライアスの体を貫く。

ドライアス「私は敗れぬ……敗れるわけがない……私は宇宙皇帝……ドライ……アス……なのだああぁぁ──っ!!」

ドライアスの姿が、オーガニック・ドライアスの姿から元の巨大ロボのドライアスに戻り、そして──粉々に砕け散る。


デビルの塔を取り巻いていた暗黒エネルギーが消え去る。
そして、デビルの塔が崩壊し、大地に沈んでゆく。

ケンタ「あぁっ……デビルの塔が壊れてゆく……」


世界中を襲っていた暗黒エネルギーも、次々に消滅する。
空を閉ざしていた暗雲も消える。
平和が戻ったことを象徴するかのように、太陽が顔を出し、大地を明るく照らし始める。


デビルの塔の激闘跡。

塔跡にやって来たケンタとハルカ。
何かを見つけ、その目に涙が滲み始める。

その視線の先には──無残に破壊され、動かなくなったアンドロイド・火鳥勇太郎の姿……

ケンタ「に……兄……ちゃん……!?」

博士、美子、モモコ、佐津田が駆けつける。

モモコ「あぁっ……!?」
佐津田「こ……これは……!?」

スーパーガーディオンの残骸。
サンダーバロンの残骸。
そして……グレートファイバードの残骸……。

ハルカ「嘘よ……こんなの……嘘よぉっ!!」

ハルカが美子に抱きつき、号泣する。
美子がハルカを優しく抱きつつ、彼女の目にも涙が浮かんでいる。

ケンタ「う……うっ……うっ……わぁ〜ん!!」

号泣するケンタ。

「ケンタ」

ケンタ「……え?」

いつの間にか、ケンタの頭上に青い光球が浮かんでいる。

「すみません博士……せっかくもらったアンドロイドの体、壊しちゃいました」

ファイバードの本体、エネルギー生命体としての姿である。

ケンタ「……火鳥兄ちゃん!?」
博士「お前……無事だったのか!? ドライアスは? ドライアスはどうしたんじゃ!?」

次々に光球が現れる。
宇宙警備隊の面々の本体である。

ガードレスキュー「奴は、マイナスエネルギーと共にこの世から消滅しましたよ」
ガードファイアー「ゾルとシュラは、本国へおっ飛ばしてやったぜ」
ガードスター「奴ら、今頃絞られてんだろうなぁ」
サンダーバロン「そうだな」
ガードウイング「へへっ、自業自得って奴だ」
ファイバード「これで……我々の、地球での任務は終わりました。ケンタ、色々教えてくれてありがとう」
ケンタ「火鳥兄ちゃん、帰っちゃうの?」
ファイバード「ケンタ……情けない声を出すな。いつかまた会えるさ」
ガードレスキュー「美子先生……先生のおかげで、素晴らしい思い出ができました」
美子「あはっ……私もよ!」
ガードスター「佐津田刑事、色々と御世話になりました!」
佐津田「そちらこそ、御苦労様でした!」
ガードファイアー「天野博士! 博士の研究は危なっかしいですから、気を付けてくださいね!」
博士「い……!」
美子・モモコ「フフフ……」
博士「そんなに危ないかのぉ……」
ガードファイアー「冗〜談ですよ、博士!」
博士「そりゃぁ〜ないじゃろう!」

一同が笑い合う。

ファイバード「そろそろ迎えの船が来る時間になったようです……皆さん、短い間でしたが、本当に色々と御世話になりました」

6つの光球が宙に昇り始める。

ファイバード「我々はこれで失礼します。皆さんもお元気で……さようなら!!」
一同「さようなら!!」

ファイバードたちが空の彼方へと消えてゆく。

ハルカ「さようなら、火鳥さーん!!」
ケンタ「またいつか、地球に遊びに来てよ──!! さようなら、みんな──っ!!」

一同が手を振る。
その背後、人影がコソコソと動いている。

佐津田「む……?」

暗黒エネルギーを失い、老人の姿に戻ったDr.ジャンゴである。
その退路を、佐津田が塞ぐ。

佐津田「宇宙警備隊が貴様を見逃しても、この佐津田は見逃さんぞ!」
ジャンゴ「あぁ……嫌〜だ〜よ〜」
佐津田「逮捕だ!!」

手錠がかけられる。ジャンゴの悪事も、これで一巻の終わりである……。


火災現場。
未来風の装備を積んだ消防車が急行する。
その窓から、天野博士が顔を出す。

博士「火事はあそこじゃ!」

その様子をモモコがレポーターとして報道している。

モモコ「ドライアスの事件が終結して半年。ヒルマン博士からの莫大な資金援助により、新たに天野科学平和研究所のレスキュー部隊が組織され、各地で活動してますが……相変わらず完璧な仕事とは言えず、人々に不安がられています」

消防車の上部から消火タワーが伸びる。タワー上にはケンタが搭乗している。

ケンタ「へへっ、爺ちゃんの発明した新型消火システム、初仕事だ!」

野次馬を整理している佐津田に、モモコがマイクを向ける。

佐津田「皆さん、危険ですからこれ以上前へ出ないで下さい!」
モモコ「佐津田刑事! 天野レスキュー隊のことをどう思われますか?」
佐津田「う〜む、こういう災害の現場で真っ先に消火活動をしてくれるのはありがたいのですが、どうも……」

消火作業が始まり、消火タワーが順調に放水を行なっている。
車内では一平と五郎がタワーを操作している。

ケンタ「いいぞいいぞ〜!」
五郎「兄貴、今日は調子いいっスね〜」
一平「馬鹿野郎〜今日も、調子がいいんだよ! ……ありゃ? 何だ、このレバー? 急に硬くなりやがって」

硬いレバーを一平が無理やり操作しようとした弾みで、レバーが折れてしまう。

五郎「あぁ〜っ!」

タワーの放水が止まる。

ケンタ「え? どうしたの、水?」

消火タワーが出鱈目に動き始め、タワー上のケンタが振り回される。
車内では一平と五郎が必死に操作している。

五郎「兄貴、やばいっスよ〜」
一平「わかってっけど、止まんねぇんだよ!」
ケンタ「助けて〜目が回る〜!」
博士「こりゃぁ! 遊んどる場合かぁ!」
ハルカ「何やってんのよ!?」
美子「危ない!」

ついにタワーが折れる。
弾みでケンタが、火災の中へと飛ばされる。
ケンタが炎の中へ!?

ケンタ「わぁ〜っ!」
博士「ケンタ!?」

そのとき、どこからともなく人影が飛び出し、ケンタを受け止めると、颯爽と大地に着地する。

モモコ「あ……あれは!」

思わず目を閉じていたケンタが、恐る恐る目を開ける。
ケンタを助けたのは……

ケンタ「あぁっ……!」
火鳥「ただいま……!」
博士「火鳥!!」
ハルカ・美子「火鳥さん!!」
一平「えぇっ……」
五郎「兄貴……」
一平「う……嘘だろ……!?」
モモコ「ファイバード様ぁ〜! 帰ってきてくれたのねぇ!」

紛れもない、火鳥勇太郎である。

火鳥「みんなぁ、どうしたんです? 早くしないと燃え広がっちゃいますよ!」
博士「お、いかん! 活動再開じゃぁ!」

ケンタ「よぉし、世界平和目指して、ファイト──!!」
一同「おぉ──っ!!」



おわり
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