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超・仮面ライダー電王&ディケイド NEOジェネレーションズ 鬼ヶ島の戦艦のエンディング


電王たちの活躍により、鬼一族の野望は砕かれた。
そして室町時代の村。ユウとトキの別れの時がやって来ていた。

トキ「ユウ」
ユウ「……」
トキ「……ユウ?」

うつむいたままのユウ。

トキ「ほら」

トキが差し出したのは、ユウが鬼一族に奪われた「鬼の切り札」の石。

トキ「前に手に入れた戦利品だ。お守りにするつもりで持っていた。それがユウの家に伝わっているのなら、もしかしたら私は、戦いで死なずに、家族を持つのかもしれない。この村で……」
ユウ「……」
トキ「ユウ、お前の今に繋がるように、私も今を生きる」
ユウ「トキさん……!」
トキ「元気でな!」

ようやく、ユウに笑顔が戻る。


ユウたちを乗せ、デンライナーが動き出す。
窓から外を見つめるユウ。トキが笑顔で手を振っている。

やがてトキが我慢しきれない様子で、デンライナーを追って駆け出す。
デンライナーが空を突きぬけ、時間の中へと消えて行く。


トキが見えなくなっても、ユウは窓の外を見つめ続ける。

オーナー「ユウくん。君の時間に帰る前に、一つだけ寄り道を許可しましょう…… どこがいいですか?」
ユウ「え?」
デネブ「うん、うん!」

しばしの間。

ユウ「俺、このまま自分の時間に帰ります」
デネブ「えぇっ!? ユウくん、遠慮するな! オーナー、ユウくんは本当は……」
ユウ「デネブ! 俺、自分の今がどこかわかった。ちゃんとそこにいなきゃ、いけないと思う。そこにいなきゃ、トキさんとも繋がらないんだ。だから……帰るよ!」


ユウのもとの時代。

走り去っていくデンライナーを、ユウが追う。
ドアから顔を出すデネブ。

デネブ「ユウくん! いつか逢えたら…… 俺はきっと、君を助ける! これは、契約じゃなくて…… 約束だ!」

デネブが小指を差し出す。ユウも小指を差し出す。

ユウ「うん、約束だよ! じゃあね、デネブ!」
デネブ「元気で! 元気で──っ!」
ユウ「デネブ──っ!!」

デンライナーが、空の彼方へ消えて行く。


幸太郎「強かったね、あいつ」
良太郎「うん。いつか、また逢えるといいな」
ウラタロス「ちょっと、釣られたかな……」
リュウタロス「ふぁ〜あ」
キンタロス「ナオミ!」
ナオミ「は〜い!」
モモタロス「次の停車駅は、過去か未来か…… ん!?」

気取った仕草でモモタロスが壁にもたれた拍子に、デンライナーの破れた壁の修繕跡がまた剥がれてしまう。

モモタロス「んんっ!? なんだぁ!?」
ウラタロス「先輩、何してるのさぁ!? もう!」

オーナー「ユウくん…… ちゃんと名前を聞きませんでしたが…… 『ユウ』くん、ですか……?」


もとの時代に帰ってきたユウのもとには、クラスのいじめっ子たちがいる。
その目の前には、ユウが大嫌いだった泥水の水たまりがある。

いじめっ子たち「どうした、東京坊主? 今日も学校行かないのか?」「言っとくけどここん中、ミミズだらけだからな!」

ユウがくるりと彼らに背を向け、歩き出す。

いじめっ子たち「やっぱ、ダメだなぁ、東京坊主は」「ははははは!」

ユウが振り向きざまに走り出し、大きくジャンプして、水たまりの中に飛び降りる。
泥水を浴びる、いじめっ子たち。

いじめっ子たち「わぁっ!?」「ペッ、ペッ!」

水たまりの上で、泥まみれになったユウが、笑顔で言い切る。

ユウ「俺は東京坊主じゃない! 桜井侑斗だ! ちゃんと呼べ!!」


2009年。

デネブを地上に残し、デンライナーが走り去る。

「デネブ! ……デネブ!」

振り返ると、時間の歪みで消えたはずの侑斗が、そこにいる。

デネブ「ん!? 侑斗……? 侑斗ぉぉ──!!」
侑斗「お、おい! バカ! デネブ!!」

嬉しさのあまり抱きつくデネブを、侑斗が振りほどき、歩き出す。

侑斗「待たせすぎなんだよ。行くぞ!」
デネブ「ねぇ、ちょっと…… ねぇ、侑斗?」
侑斗「ん?」
デネブ「あの、もしかして、子供のころ……」
侑斗「あぁ!? 何の話だよ?」
デネブ「あ、いや、何でもない、何でもないんだ……」

デネブががっくりと、うなだれる。

侑斗「……デネブ」
デネブ「ん?」
侑斗「忘れんなよ。契約じゃなくて……」

振り向いた侑斗が、照れくさそうな笑顔で小指を示す。

侑斗「約束だったな!」
デネブ「……あ、あぁ、うん!!」

侑斗は再び背を向け、ゼロライナーへと帰って行く。

デネブ「ねぇ! ちょっと待って、待って! 指きりしようよぉ!」
侑斗「やらねぇよ!!」

すがりつくデネブを、侑斗がプロレス技で張り倒す。

デネブ「痛、痛! やめて! もう、侑斗ぉ!」
侑斗「ははっ! イェーイ! やっぱ俺は強い! よっしゃ〜!」
デネブ「よぉし! う〜ん!」

お返しとばかり、デネブが侑斗を肩車で担ぎ上げ、走り回る。

侑斗「お、おい、デネブ!?」

デネブ「侑──斗ぉ──!!」


(終)
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