戻る TOPへ

電脳警察サイバーコップの最終回


本作品は全36話の内、35・36話がリクエストシーン集の特別編となっています。
ここでは実質的な最終回である第34話を紹介します。


TOKYO CITY防衛の切り札バリア・システムの心臓部とも言えるプログラムを破壊する為
バロン景山は北条、上杉、山本主任、そしてルナを乗せたリニアモーターカーを狙っていた
果たしてジュピターは、その陰謀を未然に防ぐことが出来るのだろうか?

ジュピター「マーズ、上杉、今行くぜ!!」


デストラップのさいご!!


リニアモーターカー車内。
デストラップから寝返ったルナの助言により、行く先でバロン景山がリニアを狙っていることが判明したものの、無人操縦のリニアには運転席がなく、ブレーキをかけることはできない。

北条「山本主任、内部からリニアモーターカーを止める方法はないんですか?」
山本「リニアは超伝導磁石で浮上している。コイルを冷やすヘリウムを抜いて温度を上げれば、リニアカーは浮上できない」
北条「それだ……! 上杉は万が一に備えて、乗客を列車の最後尾に集めてくれ」
上杉「OK!」
山本「ヘリウムボンベは列車の底にある。時速は500km……気をつけろ」
北条「はい」

北条が旅行鞄からマーズビットのヘルメットを取り出し、かぶる。

マーズ「上杉、もし俺に何かあったら、武田に伝えておいてくれ……『お前はもうトーシロじゃない』ってな」
上杉「北条君……!」

コートを脱ぎ捨てると、その下には既にマーズビットを装着している。

マーズ「グッド・ラック!」
ルナ「北条、私……」
マーズ「たとえ情報を教えてくれたとしても、俺とお前は敵同士だ」

沈んだ表情となるルナ。

マーズ「でも……どこかに似てる気がするな。ここら辺がな」

自分の胸を指差すと、背を向け、リニア停止のために車両を去るマーズ。

上杉「皆さん! 至急、最後尾の車両に移って下さい!」


マーズ、車両の床板を剥がす。

マーズ「これか……!」

ヘリウムガスのパイプを引きちぎる。
白煙が吹き出す。


最後尾車両。
上杉たちの案内で、乗客たちが集まっている。

山本「大丈夫ですから、安心して下さい」

壁面の速度を示す表示板が、360km/hから302km/hへ。

マーズ、各車両のヘリウムガスのパイプを引きちぎり続ける。


一方、ブレードライナーで鉄橋を疾走し、現場に急行するジュピター。
レーダーに反応が映る。

ジュピター「ハルコスか!?」

ブレードライナーごと鉄橋から地面に飛び降りる。
バロン景山と、鉄橋目掛けて銃を構えるカノン・ハルコス。

ジュピター「させるかぁっ!!」
バロン「やれ!」
ブレードライナーを降りたジュピターがハルコスへ突進。
しかしハルコスの銃撃に吹き飛ばされる。

ルシファー「ジュピター!!」

ルシファーがギガマックスで飛来。


リニアモーターカー車内。
速度は289km/hまで落ちている。
マーズは依然、孤軍奮闘を続ける。

上杉「頑張って、マーズ……」


そして遂にリニアモーターカーが、ハルコスが狙う鉄橋に差し掛かる。

バロン「カノン・ハルコス!」

ハルコスが銃を構え、鉄橋に狙いを定める。

ジュピター「このぉぉ……許さねぇっ!!」

ジュピターが危機的状況に陥ったとき
異次元からミラクルなパワーが送り込まれてくる
これをサイバー・ボミングと呼ぶ


ジュピター「サイバー・ギルティ──ッ!! サンダー・ア──ム!!」

異次元から飛来したサンダーアームが、ジュピターの右腕に装着される。
ハルコスがジュピターに狙いを変え、銃を放つ。
すかさずジュピターがそれをかわす。

バロン「カノン・ハルコス、リニアだ!」

ハルコスが再びリニアに銃を向ける。

ジュピター「ローリング・チャージャー!! サンダ──・マグナム!!」

サンダーマグナムを食らい、カノン・ハルコスが爆発四散。
しかし、その衝撃でハルコスが手にしていた銃が宙を舞い、銃弾が鉄橋目掛けて放たれ、鉄橋の一部が崩れ去る。

ジュピター「いかん、止めなければ! サイバニック・ウェーブ!!」

ジュピターが放ったサイバニック・ウェーブの衝撃波を受け、リニアは鉄橋欠損部の寸前でかろうじて止まる。

ルシファー「さすがはJRだ。丈夫に出来ていやがる」
ジュピター「バロンは!?」

2人が周囲を見回すと、既にバロンの姿はない。

ルシファー「逃げ足の速い奴だ……」

そこへマーズとルナが駆けつける。

ジュピター「お前は、ルナ!?」
マーズ「待て! ルナは我々に就いた」
ジュピター「どういうことだ!?」
マーズ「奴らの基地に、案内してもらえるな?」
ルナ「はい」


デストラップ基地。
フューラー総統と対峙したバロンが、機器を操作している。

フューラー「バロン景山……?」
バロン「お前と私がひとつになれば……」
フューラー「何……!?」
バロン「私の頭脳とフューラー……いや、世界最大のコンピューターが合体することで、新しい人類、新しい超能力が生まれることになる」
フューラー「……私はどうなるのだ?」
バロン「お前は私の一部となる。その存在そのものが幻だったのだ」
フューラー「私は、死ぬのが怖い!」
バロン「死ぬのではない……共に進化するのだ!」
フューラー「やめろ! やめてくれぇ!」

フューラーの姿が歪み、光球と化し、バロン目掛けて注がれる──


ルナの案内で、ジュピター、マーズ、ルシファーが山中を進む。
やがて、生い茂る木々に隠された、地面の大穴に辿り着く。

ルナ「ここです。この地下にデストラップの秘密基地が」
ルシファー「こんなとこじゃわからねぇはずだぜ」
ジュピター「あぁ」
マーズ「……あっ!」
ルナ「バロン景山!」

バロン景山が姿を現す。

バロン「よく来たな……」
ジュピター「お前は!」
バロン「私は今、世界最高のコンピューターとひとつになったのだ……世界でたった一人、超人類に進化したのだ」
マーズ「機械に魂を売ったのか!?」
バロン「いや、それは違う……機械と生物の最も理想的な融合体……そこにいる下等なアンドロイドとはわけが違う」

アンドロイドという言葉に衝撃を受けるルナ。
皆の視線がルナに注がれる。

マーズ「ルナ……?」
ルナ「私がアンドロイド……? 私には、兄と共に遊んだ幼い日の思い出が!」
バロン「美しい花畑か?」
ルナ「え……!?」
バロン「花で首飾りを作ってくれたのでは? エインシュタインが……君は嬉しそうに、兄の頬にキスをする」
ルナ「なぜ……? 私と兄しか知らない思い出を?」
バロン「私がプログラムしたからだ。陳腐だが、美しい思い出だ」
ルナ「……」
バロン「しかしお前に、心までプログラミングしたのは、失敗だったようだ」
マーズ「ルナはアンドロイドなんかじゃない! このぉ!!」

マーズがバロン目掛けて突撃。
しかしバロンがひと睨みすると、目に見えない力でマーズが吹き飛ばされてしまう。

マーズ「わぁ──っ!!」
ジュピター「マーズ!?」
ルシファー「テレキネシスか!?」

ジュピターとルシファーも突撃するが、同じように吹き飛ばされ、空中に張り付けにされてしまう。

ジュピター「くっ……!」
バロン「私の前に人間も機械も無力なのだ。私は超人類……地球を支配する!」
マーズ「何ぃっ……!」
バロン「いつまでも君たちの相手をしているわけにはいかない。さようなら……マーズとか言ったな」

バロンの指先がマーズへ向けられる。

ルナ「やめてぇっっ!!」

咄嗟にルナがマーズをかばう。
バロンの指先からマーズ目掛けて放たれた閃光が、ルナの胴に突き刺さる。

ルナ「あぁっ……!」
マーズ「ルナぁ!?」
バロン「機械に涙はふさわしくないな……」
ジュピター「それでも心を持った人間かぁっ!!」

ルシファーが懐からインパルスマグナムを取り出し、バロン目掛けて撃つ。
しかしバロンの姿が虚空に掻き消えてしまう。

空中の貼り付けから解放され、地に下りるジュピターとルシファー。

ルシファー「テレポーテーションまで……」

マーズが倒れたルナを抱き起こす。

マーズ「ルナ! しっかりしろ、ルナ! ルナぁ!! ……はっ」

胴の傷穴から、赤い血ではなく、オイルらしき黒い液体がどろりと流れ出ている。
ルナの口元も、黒く滲んでいる。

北条「ルナ……」
ルナ「北……条……あなたに……」

ルナが北条の方へ、震える手を伸ばす。
咄嗟にマーズのヘルメットを脱いで素顔を晒した北条が、ルナの手を握り返す。
ルナの手が北条の頬を撫でる。

ルナ「北条……私の為に……泣いてくれているの……? 私は、機械なの……? でも、なぜ心が……こんなに……」
北条「……」
ルナ「教えて……私の体から流れているのは……赤い血……?」
北条「美しい……美しすぎるほど真っ赤な色だ!」
ルナ「北条……」
北条「君は美しい……たとえ、赤い血に塗れていても……!」

ルナがかすかに微笑み、そして、力尽きる……

北条「ルナ!? ルナぁ──っ!! ルナ、ルナ……」


ZAC本部。

矢沢「山本主任、プログラムは全てインプットされました」
山本「皆さん、TOKYO CITYのバリア・システムが完成しました! 大きな地殻の変動のような自然の災害以外、TOKYO CITYを脅かすものはなくなったわけです」
浅倉「やったぁ! バンザーイ!」
毛利「やった! これで俺達、居眠りしててもボーナスを貰えるってわけだ!」
西園寺「そっかぁ! やりましたね、先輩!」

沸き返るZACの面々。
だが北条のみ、椅子にかけたまま沈んだ面持ち。
武田が北条に声をかけようとするが、上杉がそれを制止し、首を横に振る。


一方、富士山の裾野の都市防衛軍演習場。
戦車群が演習を続ける中に突如、バロン景山が現れる。

兵士「君は都市防衛軍の演習場に不法侵入している! 直ちに立ち去りなさい!」

バロンの両目が妖しげに輝くと、戦車の1台が爆破炎上する。

兵士「撃てぇ──!」

戦車砲が火を吹く。
バロンは宙に浮いてそれをかわすと、地面をひと睨み。
大地が大きく裂け、次々の戦車が地の底へ飲み込まれてゆく。


ZAC本部。
演習場の惨状がモニターに映っている。

浅倉「凄ぉい!」
島津「富士山……山本主任! 例えば、例えばですけど、富士火山脈に今みたいな刺激を与えたとしたら」
山本「最悪の事態だ……」
織田「今の奴の力なら、富士山を噴火させて東京大地震を引き起こすことも……! そうすると……」
山本「地震に関してはお手上げです。TOKYOバリア・システムは何の役にも立ちません……」
武田「あいつぅ……」
織田「敵はもはや人間ではない……悪魔だ」
武田「たとえ本物の悪魔でも俺がやっつけてやります! これを最後の戦いにしてみせます!」
北条「トーシロ」
武田「?」
北条「それは俺の台詞だぜ!」

武田と北条が、ニヤリと笑い合う。

織田「よぉし、サイバーコップ出動!!」


出動準備を始めるZACの面々。

上杉「サイバービット装着回路、オープン」

cyber bit stand by...cyber bit stand by...joint gathering zac's member...

武田たち4人の身体にビットスーツが装着される。

上杉「サイバーコップ、GO!」


演習場にZACが到着する。

マーズ「バロン景山はどこへ行った!?」
サターン「生体反応すら……むっ、地震だ!!」

地面が大きく揺れる。
やがて、バロン景山が空中に姿を現す。

マーズ「バロン景山!!」
ジュピター「バロン! なぜお前はそこまでして……なぜお前はコンピューターによる支配を!?」
バロン「君は覚えているはずだ……23世紀の地球を」
ジュピター「!?」
バロン「そこには美しい自然など、どこにも残されてはいなかったのだ。コンピューターによる地球の支配が遅すぎたのだ。人間が滅茶苦茶にしてしまった地球は、完璧なコンピューターをもってしても、元に戻すことは出来なかった。今コンピューターで世界を支配できれば、まだ美しいままの地球を、未来に遺すことができる。今が美しい地球を遺すラストチャンスなのだ」
ジュピター「人間は過ちを犯す……でもコンピューターで支配するだけが、その解決の方法ではないんじゃないのか!?」
バロン「いや……人間は救いがたい生き物だ。恐怖による支配だけが、人間を変えられる……」
ジュピター「そんなことをして、地球の自然を救うことになるのか!?」
バロン「話し合っても無駄なようだな。友よ……残念だ」

バロンが手をかざすと、空中からエネルギーが地面へと注がれる。

サターン「ここら一体の地熱が急激に上がっている」
マーズ「あいつ……マグマに直接エネルギーをぶつけて、大噴火を起こすつもりか!」
バロン「私はTOKYOを第二のバビロンと化す……火と硫黄がTOKYO CITYを覆い、大地は裂ける……そのとき人間は、初めて自然の前にひれ伏すだろう」

マーキュリーがバロン目掛けて飛び上がり、スラッシュキャリバーで切りかかるが、逆に弾き飛ばされ、地面に叩きつけられる。

マーキュリー「うわぁっ!!」
サターン「大丈夫か、マーキュリー! このぉ」

サターンがトライショットを、マーズがファイヤースラッガーを放つが、やはりバロンの前に弾き返される。

マーズ「だめだ、効かねぇ」

そのとき、富士山が煙を上げ始める。

マーキュリー「富士山が!?」
上杉「一体どうすれば……?」
マーズ「無力だ……力が足りなすぎる」
サターン「俺達は……今まで何をやってきたんだ!?」
ジュピター「……許さねぇっ!!」

地面に亀裂が走り、ZACローダーとブレードライナーが地の底へ飲み込まれる。

ジュピター「サイバニック・ウェーブ!! むぅっ、チェストォッ!!」

サイバー・ボミングしたジュピターがサンダーアームで超必殺技サイバニック・ウェーブを放つが、またしてもバロンの前に弾き返されてしまう。
そこへルシファーが現れる。

ルシファー「バロン景山! お前に、人類全体の未来を決める権利はない!!」

地面が激しく揺れ、富士山が不気味な黒煙を上げ始める。

ジュピター「ルシファー!」
ルシファー「ジュピター、全てのエネルギーをギガマックスに! エネルギーをひとつにすれば、奴のサイコバリアーを打ち破れる筈だ!」
ジュピター「よし!」

ジュピターとルシファーの2人がギガマックスを構える。

上杉「神様……私たちに力を!」
ルシファー「行くぜ!」
ジュピター「OK!」

2人のエネルギーがギガマックスに満ちる。

ジュピター・ルシファー「サンダ──・グラビトン!!」

最強サイバー2人の合体必殺技が炸裂。
ギガマックスから2人の全エネルギーが放たれ、バロンを撃ち抜く。

バロン「ぐわぁっ!!」

激しい閃光が吹き上がる。

膨大なエネルギーが空まで届き、虚空に割れ目が生じる。

ルシファー「あれは……俺達を未来から現代に吹き飛ばした、次元の割れ目!?」
ジュピター「今のエネルギーで!?」
ルシファー「あぁ。あそこを通れば、未来へ帰れるぞ!」
ジュピター「いや、俺にはTOKYO CITYが……TOKYO CITYを放って、未来へ帰るわけにはいかない!」
ルシファー「しかし、未来を変えれば! ……未来を変えることも、俺達の使命だ!」
マーズ「行け、ジュピター!」
サターン「そうだよ! 現代は俺達の手で守る。遠い過去から……未来のお前たちに援護射撃してやる!」
マーキュリー「先輩、僕だってやってみせます!」
ジュピター「みんな……」
ルシファー「ジュピター、行こう! 最後のチャンスだぞ!」
上杉「ジュピター!」

上杉がジュピターの前に進み出る。
見つめ合うジュピターと上杉。

上杉「私もいくわ」
ジュピター「だめだ! 未来は地獄だ……その地獄を変えられるかどうかはわからないんだ!」
上杉「変えられる! 必ず変えられる!」
ジュピター「しかし……!」
上杉「過去の人間が未来へ行ったら、必ず大きな変化が起こるわ」
ジュピター「上杉……」
上杉「私は最後の最後まで、武田君について行く!」
ジュピター「……」

返事の代りに、右手を差し出すジュピター。
上杉がその手を握り返し、笑顔で頷く。

ジュピターが上杉を抱き、皆に向かって頷くと、天へと昇ってゆく。

ルシファー「じゃあ!」

ルシファーもジュピターを追い、天へ昇ってゆく。


地上で3人を見上げるバロン景山。
サンダーグラビトンを浴びて最期を遂げたと思われたが、生きていたのだ。

バロン「お前たちを未来には帰さない……!」

3人を追って天へ昇るバロン。
それに気づいたマーズが、バロンに飛びかかり、抱きつく。

ジュピター「!」
ルシファー「はっ!?」
バロン「は、離せ!」
マーズ「みんな、急げ! 早く未来へ急ぐんだ!」

ジュピターと上杉が頷き合うと、ルシファーと共に天へ。

3人の姿が虚空へと消えてゆく──


富士山が遂に噴火。
マーズとバロンも激しい火柱に包まれる。

バロン「がぁぁ──っっ!!」
マーズ「うわぁぁ──っっ!!」
サターン・マーキュリー「マーズ!?」

依然、噴火が続く。

マーキュリー「先輩!」
サターン「地面に穴をあけて、エネルギーを分散させるんだ!」
マーキュリー「はい!」

しかし、地面のあちこちから火が吹き、サターンとマーキュリーを吹き飛ばす。

2人「うわぁ──っ!!」

この世のものとは思えない激しい噴火。
火山礫が次々に吹き上がり、TOKYO CITYに降り注ぐ。
が──バリア・システムが発動。TOKYO CITYはバリアによって火山礫から守られ、救われる。


富士裾野。
駆けつけた織田、島津、矢沢、浅倉の4人が、毛利、西園寺と共に富士山を見つめる。
泣き続けている浅倉。

織田「馬鹿だ……みんな馬鹿な奴らだ!」
島津「あの3人なら……未来を変えられます! きっと……私の、可愛い子供達だもの」

織田「いつまでもしんみりしていてもしょうがない……俺達も、未来を変えるために頑張ろうじゃないか」
浅倉「そんなこと、できるんですかぁ?」
織田「……昨日よりも素晴しい今日。今日よりも素晴しい明日。そんな日を積み重ねていけば、きっと未来は変えられる……必ず変えられるんだ!」

織田の手を島津が握る。

島津「キャップ……」
矢沢「それは理論的にも可能です」

浅倉が鼻をすすりながら、矢沢の手をとる。

浅倉「変えられそうな……気がしますね……」

西園寺「先輩……」
毛利「北条と3人で……がっちりスクラム組みたかったな」

気まずそうに矢沢の手を離した浅倉が、遠くに何かを見つける。

浅倉「ね──、ねぇ! あれ! あれ見て、あれ!」

地平線の彼方から、フラフラと歩いてくる人影。

ボロボロのビットスーツを纏った北条である。

西園寺「先輩!?」
毛利「北条……!」

毛利と西園寺が北条目掛けて夢中で走り出す。

西園寺「先輩!!」
毛利「北条!!」

北条に駆け寄った2人が、彼の左右の腕に抱きつく。

西園寺「もうこの手は一生離しませんよ!」
北条「何だよ、お前ら……」
毛利「諦めろよ!」

織田たちも北条に駆け寄り、彼の生還を喜び合う。

矢沢「北条さん!!」
浅倉「北条さ──ん!!」
島津「北条君!!」


空の彼方に武田、上杉、ルシファーの姿が浮かび、一同の大団円を見守る──


(終)
inserted by FC2 system