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●前回までのあらすじ
ゲンバー帝国との戦いのための戦力にすべく、最新鋭EM(アースムーバー)”ショベリウス三世”の奪取を図るバルたち。
待ち構えていたユンボル・バイスを倒しどうにかEMを手に入れたものの、彼らの存在はすでに帝国の知る所であった。

さらに帝国の支配者にして現場第一主義者のゲンバー大王は、バルを確実に葬るため自ら出撃。その圧倒的工事力で襲い掛かる。

果たして、バルたちの運命は・・・・?






  グシャ(地面に叩きつけられるバル。眼前には巨大なテツグンテを振るうゲンバー大王が立ちはだかる)

ゲンバー「どうした それで終わりかバル・クロウ」
バル「・・・クッ」
  「まだまだ・・・てめーこそ全力なのかよゲンバー大王」「こんなんじゃオレの心はまだ折れねーぜ」
ゲンバー「嬉しいね」「出来る事ならその気力 余のため人のために使って欲しかったがこうなれば止むを得ん」
    「これで終わりにしてくれるわ」

  (両腕を広げ構えるゲンバー大王。これを向かうつバル)

  (二人の戦いをリベッタ姫とマスター、ニッパーが見守っている)

ニッパー「隊長・・・」
    (クソッ なんてこった 緊張のあまりに姫の後ろにマスターの霊が見えやがるぜ)

  (マスターが実際にいることをまだ知らないニッパーだった)


ゲンバー「・・・行くぞ」
バル「・・・来な」




  カッ(全てが光に包まれた・・・・)







●第10工程 そして建設へー






  (ワールドザンド暦3012年。ファクトリア南部コルジオ地方)


  (かつてのバルたちの戦いから5年後。ゲンバー大陸より海を渡った先にあるファクトリア王国にて)

  (ガソリンスタンドにて老人相手にすごむ男たちがいた)

男1「何だとジジイ オレらからGAS代とろうとは太ェヤロウだ!」
  「老眼でこの文字が見えねーとは言わせねー オレ達ゃファクトリア重機士団」
男2「最近ここらで暴れてるって噂の二人組を追跡してる大事な任務中よォ!」
老人「大きな客・・・」
男たち「「ハァ!?」」

  ププー(いつの間にか男たちの車の隣には巨大なトレーラーが止まっていた)

男たち「「大きな客!!!」」

  (車からサングラスをかけたロン毛の男が降りてくる)

ロン毛「じーちゃん キョウも3食2人分の食料とガソリン満タンね」
老人「ホイサ!」
男2「オゥオゥ何だァてめーはこのロン毛ヤロウ」
  「ん!?」「ドヴォークの紋章・・・!?」

  (ロン毛の指にはめられている指輪がドヴォーク王国の紋章であることに気づく男2)

男1「何? ドヴォークって?」
男2「バカお前 5年前ウチ(ファクトリア)が城ごとブッ壊して占領した国じゃねーか」

  (騒ぐ男たちだがロン毛は相手にしない)

男2「ってシカトこいてんじゃねーよ 何でジュース買ってんだよ お子様かよてめーはよ このロン毛ヤロウ」
男1「あやしい奴だ まさかてめーじゃねえだろうな 職質すっぞこのロン毛ヤロウ」
ロン毛「・・・・・・っせーな・・・」「ケンカ売ってんならしゃべってねーでかかって来いや」

  ギロッ(ロン毛にガンつけられてビビる男たち)

男2「・・・うっ じょっ上等だこのロンー」
?「おいおい何だァそいつは モメ事か?」
男2「あっ!」

  (男二人の車からもうひとり降りてくる。それは・・・・)

男2「ボリングさん!!!」

  (5年前に死んだはずのボリング。その見た目は子供のように小さい)

ボリング「コラコラコラコラ ”さん”じゃねーだろ”さん”じゃよォ ったく何ベン言わすんだてめーらはよォ」
    「オレはドリル様直々にしばかれ生まれ変わったユンボルナイト」「ボリング様だ」

  (ボリングの言葉通り、彼の頭にはユンボルの証であるユンボルホーンが存在する。シリアルナンバーは13D)

ボリング「はむかう奴はこのテツグンテで即殺し!だぜ!!!」

  ジャキィン(右腕のテツグンテをボーリング機のようにするボリング)

ロン毛「・・・・・・・・・」
ボリング「? 何だよ?」

  (なぜかボリングをじっと見つめるロン毛)

ロン毛「ハハ・・・こいつ本当にボリングだ こんな卑しいツラしたガキは他にいねえ」
   「やっぱゲンバー亡き後ドカルトがファクトリアに取り入ってユンボル作ってるって情報は本物だったんだな」
ボリング「あ?」
ロン毛「いいぜ オレの仕事を教えてやるよ」

  カチッ(何かのスイッチを押すロン毛。すると・・・)

  ゴゴゴゴ(巨大トレーラーが動き出す)

男たち「「!」」
ボリング「・・・・・・」

  (トレーラーは立ち上がり変形していく)

ロン毛「それはかつて祖国を裏切り 且つ姫の誘拐まで企てさらにユンボルとなっていい気になってるアホたれをあぶりだし捕える事」
   「オレのEMビッガムでな」

  ズン(変形を終えたトレーラーは巨大な人型重機になっていた)

ボリング「でか!」
    「ってか何者だてめーはァ」「こんなバカでけー重機持ってるロン毛は只者じゃねーはずだ」

?「よせよ わざわざそんな物騒なモン出すまでもねーだろ」
ボリング「!」

  (ビッガムから誰かが降りてくる)

?「こいつの相手はオレがする」「いつかの礼もしなきゃならねえし 何よりそれが元・親方の責任だ」
ボリング「親方・・・? まさかそんな・・・!? いやしかし奴らは5年前ゲンバー大王の襲撃をくらって全員死んだってーー」
?「それにしても今度はおめーがカワイクなっちまったな」
 「よう会いたかったぜボリング」
ボリング「バル隊長!!!!」

  (ビッガムから降りてきたのは10歳ほどに育ったバル・クロウ。頭部のユンボルホーンはそのままだが両手は普通の人間のそれだ)

ロン毛「何スか隊長こいつのどこがカワイインスかそれ変でしょ」
ボリング「ニィィーッパ!!!」

   (サングラスをはずしたロン毛の正体にも気づくボリング)

ボリング「おおおおお前ら何で生きてんだ つかまさかお前らが噂の二人組なのか!!? つか何でその手は!?」
バル「ああ こいつとはもう5年もつき合ってるからな」
  「今じゃ色も形も自由自在だ 寝てる時だってキープ出来るようになったんだぜ」
  「さすがにヒゲはまだ生えねーが背も伸びたし 何とか元通りになりつつあって一安心さ」

  (しゃべりながら腕を重機形態にしてみせるバル)

ボリング(スゲーッ)
男1「ボリングさん あれテツグンテじゃないスか あいつユンボルスよ!」
男2「ヤバイス 早くやっつけて下さいよボリングさん!!!」
ボリング(なんてこった隊長が生きててしかも約10歳とは! しかしここで引いたらオレの立場ねーしとにかくここは・・・)
    「やるしかねえだろォーーーーッ」

  (涙を流しながらテツグンテを構えるボリング。だがバルはなんと逆さまになってビッガムに張り付いていた)

バル「おいおいもう心が折れてんぞ 工事の時は相手を良く見てからだ」
ボリング「ハッ!」

  (言われて気づくボリング。バルは足のパーツからなにやら力を出して張り付いていた)

バル「ちなみにこいつはユンボルの足パーツ・カウンタビの重力コントロール性能だ」
  「重機がでけェアームをブン回すには倒れねーようにカウンターウェイトが必要だろ? その役割をはたすのがこいつさ」
  「はじめは無意識のうちに出来てても フとギモンを感じたとたん駄目になっちまう ここまでくるにはなかなか大変だったんだぜ」
  「あれからの日々もな」
ボリング「あれから!?」





  (バルの言う『あれから』。それはゲンバー大王との決戦の日・・・・)


ゲンバー「ユンボル工法ボルテクスエクスカべーション!!!」

  (巨大なバケット型テツグンテでバルに襲い掛かるゲンバー大王)

バル(ユンボル工法ボルテクスエクスカべーション)
  (渦潮の如き大王のテツグンテに飲みこまれたら最後 超高速で回転する無数のバケットは絶大な破壊力だ)
  (そしてあれこそ大王の恐るべき掘りスピードの秘密 次に喰らえば確実にオレは死ぬだろう)
  
  ゴオオオオ(凄まじい音を立てながらバルに迫るゲンバー大王のテツグンテ)

バル(だがただくらってきた訳じゃねえ)
  (バケット間の速度は一定きっちり0,1秒 つまりオレにはまだチャンスがある)
  (0,1秒のチャンスが)
ゲンバー「!? 消えた!?」

  (一瞬の隙を突いたバルはゲンバー大王の眼前から姿を消した)

バル「俺ならここだぜゲンバー大王」

  (なんとゲンバー大王のバケットの上に乗り高速回転しているバル)

バル「何とかてめーのバケットに侵入成工だ 確かにオレの力じゃてめーには敵わねぇ」「だが工事ってのは自然との戦いだ」
ゲンバー「しまっー!!」
バル「その極意は敵を知り そして活かす事にある」

  ドッ(回転の勢いでゲンバー大王の顔面・・・すなわちユンボルの急所であるユンボルホーンに体当たりするバル)

ゲンバー「・・・・・・」(こやつ・・・余の力をそのまま自分のものにしよるとは)

  (バルの戦いぶりに見とれる仲間たち)

ニッパー「すげえ・・・」
マスター「・・・! やったか・・・!?」

  ニィ(笑みを浮かべるゲンバー大王)

ゲンバー「フハハハハハハ!!! いいぞいいぞG・J(グッジョブ)だバル君 だがこれしきでは!」

  (笑いながらなお戦おうとするゲンバーだが・・・)

ゲンバー「ぐおおっ!!?」

  グラッ ズシッ(巨体が揺らぎ倒れかけるゲンバー大王)

ニッパー「効いてねえと思ったら効いてた!!!」

  フーッ フーッ(荒い息を吐くゲンバー大王)

ゲンバー「く・・・っ! J・H(ユンボルホーン)への直ダメージは深刻か!?」
    「だがまだ倒れる訳にはゆかんぞ・・・!」
    「たとえ全てがドカルトの筋書きであったあったとしても! この世界を救うまで余は働かねばならんのだ!」
リベッタ「! 知っていたのか奴の正体を!?」
ゲンバー「フッ 奴は頭は良いが芝居は三流 全て承知の上での事よ」
    「だがそれに何の問題があるというのだ 破滅へ向かう世界の中でのうのうと生きる王族よ」
    「余が現場に立ち続け目の当たりにしてきた世界の現実・・・!」
    「禁断のエネルギーが何であれ 飢えに苦しむ多くの子供達が実にその力で助かるのだ」
    「それでも守るというならこれは返してやる」

  (そう言ってゲンバー大王が取り出したのは紐のついた鍵)

リベッタ「ユデンの鍵!!!」
ゲンバー「それからタビルはドヴォーク城の東の塔に今も幽閉されておる 救いだしてやるが良い」
リベッタ「・・・!? そちは何を・・・!?」
ゲンバー「勘違いをするな 余は余にとって必要な働きをしてきただけだ 奴は生かしておいても邪魔にはなるまい」
    「バルよ」
    「キサマの選んだ道は難工事を極めるだろう」「しかし余はもはや止めはせん」
    「その気力しかと見届けた これからは死力を尽くし姫を守ってやるがよい」

  (微笑を浮かべるゲンバー大王)

ゲンバー「世界の工事を頼んだぞ」






バル「そういい残し大王は古びた工場が稼動を停止するように働くのを止めた」
  「オレとやり合う前からすでに大王の体は働きすぎでボロボロだったんだ」

  トン(ゲンバー大王との戦いを語り、地面に降りるバル)

バル「だから急いでもいたんだろうな 以来オレ達は姫に従いドカルトの野望を阻止すべく地下活動に専念した」
ボリング「工事戦士だけに!!」
バル「さあボリング」「それでもやるってんならオレはかまわねえ どっからでもかかってきな」

  ブン(テツグンテをショベル状にするバル)

ボリング「う・・・! や・・・っ やってやる!」「いつか必ずやってやる!!!」
男1「いつか!」

  ドヒュン(ものすごいスピードで逃亡したボリング)


  (同じ頃、ボリングとバルたちの邂逅を崖の上で眺めていた人影)
  (人間とは思えぬシルエットを持つ彼らはドカルト博士の生まれ変わったドリルが率いるユンボルたちだ)

クレン「・・・追いますか?」
ドリル「構わん 奴はバルをおびき出すためのネズミのエサにすぎん存在よ」
   「フフ・・・ようやく表に出てきたなバル・クロウ」「ユデンの園は近いぞクレン フハハハハハ」


  (ボリングが逃亡し、しばし佇むバルたち)

ニッパー「いいんスか隊長 ボリングの奴ほっといたらまた姫キレちゃいますよ?」
バル「いいさニッパ 用事がありゃまた奴の方からやってくるだろ」
  「それにあいつもウチで働く気になるかも知れん むやみにやっつける事はねえ」
  「国はひとつの命から生まれるってな」



  (再建されたドヴォーク王国。ショベリウス三世が立ち、成長したリベッタ姫やユンボル・バイス、タビル王の姿も見える)



バル「世界竣工のその日までオレ達道を作り続けるだけだよ」




     FIN




重機人間ユンボル(完)


  

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