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SWEET三国志」最終回

 

 

(最終回までのあらすじ)

 

テキスト ボックス: ワンス・アポン・ア・タイム・イン・中国 漢の国

 

 

 


劉備「ねえ、蓉ちゃんはどんなタイプの男性が好き?」

蓉ちゃん「え〜〜〜〜〜、やだァ、困るなァ。私みたいな引っこみ思案の女の子からすれば、そうねぇ〜〜〜と強いていえば…、天下のとれる男かしら

劉備「天下ァ!

※一の巻 ピーチ ガーデン バウ(peach garden vow 直訳すると「桃園の誓い」)より

 

 

と、幼馴染の蓉ちゃんに言われ、天下取りレースに参加した「小心で優柔不断、間のぬけたほどの人の好さ、とうてい人の上に立つ器ではない(関羽談)」男、劉備。

桃園で関羽、張飛と義兄弟の契りを結び、三顧の礼で軍師・孔明を迎え入れ、彼らの活躍で蜀の地をゲット。天下を魏・呉・蜀に三分したのもつかの間。

関羽が呉の策にはまって捕えられて自決。劉備は自分の仇討ちを強要させようとする関羽の幽霊に憑りつかれて、呉への出兵を決意するが、今度は張飛が部下に無理難題を突き付けたことで暗殺されてしまう。

そして「いい奴だけど軍事的センスゼロ(孔明談)」の劉備も呉の陸遜に敗北。命からがら成都(蜀の首都)に逃げ帰るものの、自分の死期を悟る。

 

 

劉備「孔明、俺もうダメ、死ぬわ」

孔明「あ、ホントだ」

劉備「孔明、ひとつだけ聞かせてくれ。なんで俺なんかについてきてくれたんだ?」

(中略)

孔明「あなたのようなお人よしが治めるお人よし王国をつくってみたかったッスーーーー!」

劉備「なんじゃそりゃーーーー!」

※四十二の巻 ストーン メイズ(stone maze ここでは孔明の八陣図を指す)より

 

 

劉備は孔明に、息子の劉禅が馬鹿だったら代わって国を治めてくれと言い残し、「結局なにもせずにその生涯をとじた(原文そのまま)」

残された孔明はケ芝を派遣して呉と同盟を結び、最大のライバルである魏の司馬懿を馬謖の策(司馬懿が表紙の「月刊むほん」を洛陽で流行らせる)で失脚させた後、北伐を開始。

破竹の勢いで進撃してくる蜀に困った魏は司馬懿を復職させる。復活した司馬懿はすぐさま、孔明へ寝返ろうとした孟達を急襲で滅ぼしてしまうのだった。

 

 

四十四の巻

デッド コウメイ メイクス リビング チュウタツ ラン

dead komei makes living chutatsu run 直訳すれば「死せる孔明生ける仲達を走らす」)

 

 

テキスト ボックス: 祁山

 

 


孔明「司馬懿なら必ず補給路の要所、街亭に気づくはず。ここに誰を向けるか…」

馬謖「私が」

孔明「誰かおらんか?」

馬謖「だから私が」

孔明「誰かおらんのかー」

馬謖「おーい」

孔明「おまえ行ってみる?」

蜀兵「いえいえ」

馬謖「おっさんおっさん」

孔明「おおっ馬謖か、なんか用か?」

馬謖「用っス!」

生前の劉備の言葉(馬謖は才能あるけど功をあせりすぎるから、重要なとこに使っちゃだめだよね)

孔明(わが君でさえ看破していた性格)

馬謖「行きたい!行きたい!行きたい!」

孔明「(ぬむむむ、こいつ私の弟子だけにカワイイし)じゃ、絶対私の言うこと聞けよ〜〜〜〜〜」

馬謖「聞くっスよ。弟子だもん」

 

テキスト ボックス: 街亭

 

 


馬謖「ハハハ、何これー。山ったって、たいした山じゃないじゃん。こんなとこに魏の大軍がホントに攻めくるのかな〜〜〜〜〜?孔明殿の作戦って慎重すぎて効率悪いよねーーーー」

王平「…………」

馬謖「さてと、山頂へ陣取るか」

王平「ちょっと待ってくだされ!」

馬謖「なに?王平、なんか文句あるの」

王平「孔明殿の作戦では、山への細い入り口を全てふさぎ、山頂には決して陣取るなとの命令ですぞ」

馬謖「そんな女の腐ったような作戦とれないなァ。敵を引きつけ敵を見おろし迎え撃てば楽勝!これが男の作戦ばい!」

王平「それじゃあなたは男作戦をとりなさい。私は孔明殿の命令どおり手勢五千で麓にかまえます」

馬謖「フーーーン。孔明殿の弟子である僕の言うことを聞けないわけ。あっそー、覚えとけよ」

 

その夜、孔明の読み通り司馬懿は街亭に向かっていた。

 

司馬懿(ムフフ、孔明にひと泡ふかすぜ)

魏兵「大変です!すでに街亭には蜀軍が陣取っています」

司馬懿「なんだってー!?ああ、さすが孔明。わが奇襲も遅かったか〜〜〜〜〜。どれどれ、蜀の陣がまえでも見て帰るかー。ちぇ」

 

山上にある馬謖の陣を発見する司馬懿。

 

司馬懿「ん、あーーー、あれ蜀じゃないわ」

司馬師「蜀ですよ」

司馬懿「違うよ。どっかの公立小学校のハイキングだよ」

司馬師「夜中にハイキングしますか!?蜀軍です!」

司馬懿「蜀なの?」

司馬師「蜀っス」

司馬懿「でも信じられん。わざわざ絶地に陣取り自ら敗北を待っている」

 

翌朝

 

蜀兵「馬謖殿、お早うございます」

馬謖「ん〜〜〜、あと5分」

蜀兵「一夜のうちに麓は魏軍に囲まれてます!王平軍は孤立し連絡はとだえました!」

馬謖「ここまでは読みどおり!寄せてきたら一気に追い落としてくれようぞ!朝の歯みがき忘れまいぞ!よし、さあ来い!」

 

だが、魏は攻めてこなかった。そのまま双方何もせずに、夜。

 

馬謖「腰抜けめ。あいつらぜんぜん攻めてこないじゃん」

蜀兵「馬謖殿、水がありません」

馬謖「よし、くんでこい」

蜀兵「敵のまっただ中ですか?」

馬謖「なんだって?」

 

そう、敵は蜀の水源を断っていた。当然そこから水をくもうする蜀は、何度も魏の攻撃を受けて水が得られない。

 

7次水くみ決死隊の生き残り「第7次水くみ決死隊、ほぼ全滅!くんできたのは、わずかこの水だけ!」

馬謖「よ…、よこせ!」

8次水くみ決死隊「第8次水くみ決死隊、行ってきます!」

馬謖「あ〜〜〜〜〜!水!水!早く水くんでこい!」

蜀兵「馬謖殿!第8次水くみ決死隊は全員、魏に投降しました。ま、当然かなみたいなー」

馬謖「なんだって!まずい!この状況をなんとかしなくちゃ。できる!俺は蜀で孔明師匠につぐ才人だ。なにか戦略が」

蜀兵「馬謖殿!」

馬謖「うるさい!気が散る」

蜀兵「でも…、魏軍が全員山を登って攻めてきますよ」

馬謖「早く言えよ!」

 

一斉に馬謖の陣へ襲い掛かる魏軍。街亭の命は風前の灯である。

 

テキスト ボックス: 祁山

 

 


蜀兵「孔明殿、王平が街亭の布陣をイラストにして送ってきました」

孔明「ん」

 

そこには馬謖が山上に、王平が麓に陣を敷いているイラストが描かれていた。

 

王平のコメント(意見がわかれてこんな布陣です。ご意見は早馬にて)

孔明「全軍撤退〜〜〜」

蜀兵「なんでですって!」

関興「なぜですか!」

孔明「大事去れり!街亭を失うとともに蜀の大事は去っちゃった〜〜〜〜〜。さ、急いで梱包して」

関興「しかし、街亭が敗れたとはまだ…」

蜀兵「街亭が敗れました!」

関興「撤退しましょう。でもなんで負けちゃったんスカ〜〜〜!?

孔明「馬謖マジック!馬謖の大馬鹿マジック!関興!張苞!馬岱!姜維!これより総退却モードに入る!PHSサービスエリア一帯の軍・官・民すべてを漢中に入れよ!私は5千騎で西城の城へ行くっ」

 

西城、兵士たちに荷造りを急がせる孔明。

 

孔明「ハイハイ、こわれものはエアパッキン」

蜀兵「大変です!司馬懿が15万の大軍をひきいて、この城に押し寄せてきます!!

孔明「広い大陸、そんなに急いでどこへ行く!?

 

司馬懿の軍は西城のすぐそこまで来ていた!

 

孔明「うーむ、敵ながら見事な寄せ。さすが司馬ちゃん、来るときは来るな〜〜〜」

蜀兵「感心してる場合ですか!?

孔明「守るにしてもこの小城。しかも引っ越しらくらくパック兵のみ。あ〜〜、まいっちんぐ」

蜀兵「全滅っスね!」

司馬懿「フハハハ!どうだ孔明、この速攻!この戦もらったァ!」

 

だが西城で司馬懿たちが見たものは…!

 

「門がらあき〜〜〜〜〜の!」「兵士眠り〜〜〜〜の!」「孔明、ギターつまびきの!」「曲は「レイラ」っス!」

司馬懿「これはもうてったーい!!

司馬師「なんでですかー!?

司馬懿「これだけやられたら、さすがのワシもまいっちんぐ」

司馬師「どれだけやられたんスか!?

司馬懿「あれはもう、どこから見てもわが軍を誘い入れる計!その手にのるかい諸葛亮!ここは徹底的に退くぞー!ソーロング!」

蜀兵A「孔明殿!魏軍が退いていきました!(孔明、ギターの演奏をやめない)孔…、孔明殿?ダメだっ!自己陶酔してる!」

蜀兵B「曲はすでに「スモーク オン ザ ウォーター」っス!」

 

テキスト ボックス: 漢中 

 


孔明「これより軍法会議を開く!馬謖カマン!」

 

馬謖、柱の陰に隠れている。

 

孔明「カマン!」

馬謖「いや〜〜〜〜〜、ムリムリ!師匠!あんな大軍じゃ誰が当たっても負けてましたよ。ムリムリムリムリ!」

孔明「そうだよね」

馬謖「でしょーーー」

孔明「死刑」

 

驚愕の表情をする馬謖。

 

馬謖「師匠、僕は師匠の」

孔明「弟子だ」

馬謖「しかも一番弟子だから」

孔明「カワイイ」

馬謖「さらに蜀の人材は」

孔明「不足してる」

馬謖「さあ、僕の判決は?」

孔明「死刑」

馬謖「なんでですかー!?(連行される馬謖)」

孔明(許せ馬謖。法治国家が情に流されれば、それはもう情治国家。なあなあで、いいかげんな甘ったれワールド。すなわち、お人よし王国!)

劉備の幽霊「そうゆうのをつくりたいって言ってたじゃん」

孔明「まだ時期尚早っス!」

 

テキスト ボックス: 孔明と仲達は数年にわたり祁山付近でぶつかりあったが決着はつかなかった。
呉は動くふりだけして動かなかった


 

 

 


陸遜「フェイントー」

呉兵「イエ〜〜〜イ」

 

テキスト ボックス: 司馬懿は思っていた 

 


司馬懿(悔しいがワシの智力、とうてい孔明に及ばん。奴に勝つためには、この大国、魏の力をもってしての持久戦以外にない!)

 

こちら蜀陣。病に侵され咳き込みながらアルバムで昔を振り返る孔明。

 

孔明「ここんとこちょっと過労ぎみ。(趙雲の写真を見て)趙雲、お前までいってしまうとは…。お前がいないと武力ナンバー1が魏延になってしまう。こいつがまた言うこと聞かんし、司馬懿と一緒に谷にとじこめ火ィつけて燃やしちゃえと思ったけど」

写真の中の魏延(ちょっと待てコラ!まだワシがいる!)

孔明「雨ふってきちゃってなァ。あんときはおしかった〜〜〜。天気予報ハスレたよなァ」

蜀兵「孔明殿、そろそろ」

孔明「ゆくか。これで6度目、最後の出兵だ」

 

テキスト ボックス: 五丈原 

 


蜀は陣をドーーーンとかまえる。

 

孔明(ドーーーンとかいって、かまえてみたものの…。魏の奴らいっこうに動かないなァ)

 

ドドドーーーンと陣をかまえる魏は全く攻めてこない。

 

司馬師「父上、なぜこんな大軍をもってして動かないのです。一気に攻めおとしましょう」

司馬懿「いーのいーの。動けば孔明に勝つチャンスを与えるっしょ。しかし持久戦ならこっちが勝―つ!」

魏兵「孔明から宅配便が届きました」

司馬懿「ん、なんじゃ?」

 

何とそれはスキャンティだった!

 

司馬懿「む…、こ…、これは!」

蜀兵「そんな大軍でなぜ攻めてこーん!お前らの大将はスキャンティがお似合いじゃー。ワハハハハ」

 

と、そこへスキャンティを着た司馬懿が見せびらかしに現れた!

 

司馬懿「そのとうりよ〜〜〜ん」

蜀兵「うわー」

司馬昭「父上!なにもそこまでしなくても」

司馬懿「私を見てーーー」

孔明「さすが司馬懿、まったくのってこないな」

蜀兵「違う意味でのってますけどね」

 

テキスト ボックス: そんなある日 

 


司馬懿「ふァ〜〜、夜風にあたるか」

 

その時、司馬懿の目の前で巨大な流れ星が山の頂に落ちた!

 

司馬懿「あ〜〜、いい夜風」

司馬師「父上!今のなんか重要な意味があるんじゃないスか!?

 

蜀陣、病にむしばまれた孔明の体は限界に達していた。

 

孔明「あ〜〜〜、もう死にそう」

蜀兵「孔明殿!祈りましょう!」

 

最後の望みを賭けて、孔明は祭壇をつくり、祈りをささげる。

 

蜀兵「孔明殿は7日間の祈りに入った。これが成功すれば病も治るはず」

魏延「孔明殿!孔明殿!」

蜀兵「ちょっと待っ…」

魏延「のけい!孔明殿!ついに魏が攻めてきましたぞ!」

 

だが、その拍子で魏延は祭壇を壊してしまう!

 

蜀兵「なんてことをした魏延!孔明殿は延命の祈りをしたんだぞ!」

魏延「え…」

孔明「ハイ、これまーでーよォ〜〜」

蜀兵「孔明殿〜〜〜〜〜」

 

一方、魏軍は、

 

司馬懿「攻めろ!攻めろ!攻めろ!戦は攻撃だ、攻撃あるのみ!」

司馬師「おっさん!おっさん!あんなベタベタに守ってて、いきなりそんな?」

司馬懿「だって孔明死んだじゃん」

司馬昭「いや、死んだかもしれないということで」

司馬懿「おいおい、あの流れ星だぞ。死んだに決まってんじゃん」

司馬師「気づかなかったくせに」

司馬懿「孔明のいない蜀など無人の野をゆくがごとし!おりゃおりゃおりゃーーー!」

司馬師「いるかもしれまんよ」

司馬懿「そいや!そいや!そいや!そいや!ワハハハ、強い!俺たちは強―い!」

司馬昭「父上、あれを…」

司馬懿「ん?なに?なに?」

 

土煙の中から現れたもの、それは車に乗った孔明だった!

 

司馬懿「孔明!まだ生きていたのか!退け!退けー!全軍撤退〜」

 

雪崩をうって退却する魏軍。だが、既にご存知の方も多いかもしれないが、この孔明は…、

 

 

孔明の遺言

「もし私が死んでも私の死は隠しとおせ

司馬懿が様子を感じ攻めてきたら、私の等身大の木造を車に乗せ、生きてるふりをさせてみそ

魏軍を追い払ってのち、退路を開き、全軍無事に帰国せよ

幼帝(劉禅)をよく立てて、国を守り、みな職務に励め

By孔明」

 

 

成都では劉禅がシャボン玉を飛ばしていた。そのシャボン玉は雲の上の劉備、関羽、張飛、孔明の幽霊(蜀の幽霊)の元へ飛んでいく。

 

劉備の幽霊「魏が逃げるのも、これで最後だな」

張飛の幽霊「ああ」

関羽の幽霊「これで蜀は司馬懿に滅ぼされるな」

劉備の幽霊「うん。魏は確かに強かったけど、もうちょっとうまくやれば倒せた気がするなァ」

関羽の幽霊「おっちょこちょいの張飛があんなとこで死ななきゃなァ」

張飛の幽霊「あんたが先に死んだから悪いんだよ」

孔明の幽霊「わが君にあとほんの少し決断力さえあれば」

劉備の幽霊「孔明だってミスしてるじゃん」

 

そこへ魏の幽霊(曹操、荀ケ、夏候惇)と呉の幽霊(孫権、周瑜、甘寧)がやって来た。

 

魏&呉の幽霊「ハハハ、弱い奴らの仲間割れかい」

蜀の幽霊「ん!」

呉の幽霊「ま、全員長生きしたとしたら、呉が天下治めてたわな」

魏&蜀の幽霊「それはない!」

呉の幽霊「なにー!ほなら決着つけたろかい!」

魏&蜀の幽霊「おうよ!」

 

笑いながら飛び回る魏・呉・蜀の幽霊たち。もしかしたら彼らは憎しみ合っていたのではなく、憎まれ口を叩き合いながらも、仲のいい友達同士だったのかもしれない。

 

テキスト ボックス: 数年後、中国大陸のある国の片隅

 

 


青年「麗ちゃん、僕はあの…、その…、え〜〜〜〜〜と…。キミの一番ほしいものはなんですか…?」

麗ちゃん「ん〜〜〜、そうねえ、とりあえず…」

 

 

「天下とって♡」

 

 

END

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