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スラムダンク

VOL.31 湘北高校バスケットボール部

― #276 湘北高校バスケットボール部 ―


前回までのあらすじ
中学3年間で50人もの女性にふられ続けた桜木花道は、赤木晴子に近づくため、
誘われるままにバスケット部に入った。バスケ部員は全国制覇に向け練習に励むが、桜木ひとり、
基礎練習ばかりで不満一杯だった。
県大会を勝ち進み、決勝リーグに進出した湘北高は、海南大付属には破れたものの宿敵陵南を破り、
海南大付属とともに全国大会出場を決めた。
1回戦を突破した湘北は、2回戦で日本高校界の頂点に君臨する山王工業と対戦することになった。
エース・沢北をはじめとする山王選手の実力に圧倒される湘北だったが、
流川の活躍により次第に追いつめていく…。そんな中、突然花道が倒れてしまった!!
ルーズボールにつっこんだ時、背中を痛めてしまったのだ…!!
花道は一旦はベンチに退いたものの、いつのまにかバスケが大好きになっている自分に気付き、
立っているのがやっとなほどの痛みをこらえ試合に再出場、残り2秒…1点差で負けていた湘北だったが、
花道の天敵とも言うべき流川からのパスを受け、花道がうったシュートは、タイムアップとほぼ同時に、
ゴールに吸い込まれた!!ピーーーーッ!ジャッジが、二本指を立てて右手を振り下ろし、
電光掲示板、湘北に2点が加えられて、試合終了。


静寂が、会場全体を包む。
コート上の選手からは湯気が立ち昇り、激しい息遣いのたび、汗が滴り落ちた。
ただボー然と立ち尽くす選手達…その間を、背中の痛みをこらえ、花道が流川に近付いていく。
流川の正面に立つ花道…そして、どちらからともなく、右手をパシン!と合わせる二人。
応援席では、晴子が、涙ぐんでそれを見つめている。
花道と流川は、しばし目を合わせて、そして、すぐにプイッと背を向け合った。
そんな二人に駆け寄り飛びつくゴリ(キャプテン赤木)達…ベンチからも全員が飛び出す。
まるで優勝したかのように、抱き合う湘北の選手達。
応援席で、あふれる涙を拭おうともせず、見ている晴子。
ベンチでは一人、監督の安西先生が、両手のこぶしを突き上げる。
79対78 湘北は、奇跡の大逆転で王者山王工業に勝った。
対照的に、うつむきコートを後にする山王工業の選手達。
山王の堂本監督が、選手の肩に手を掛ける。
「はいあがろう。『負けたことがある』というのが、いつか、大きな財産になる。」

「はい、いきますよー、コレ、表紙飾りますからね!みんないい顔して!!」
雑誌の記者が、カメラを構えて言った。
「まだわかんないでしょ、表紙は!」 と、先輩の記者。
「いーや!嶋編集長はボクが説得します!なんせ山王に勝ったチームなんですよ!
この試合を見たことが、ボクの編集者人生を変える気がする…これからは真剣に…」
「なにィ!?」
「早くしろー」 怒る花道…他、並んで写真を撮るのを待っている湘北のみんな。
「あっ、ゴメーン、いきますよー」 「ちょっとコワイよ、笑ってーっ!」 カシャッ!
―― …しかし この写真が表紙に使われることはなかった 
山王工業との死闘に全てを出し尽くした湘北は
      続く3回戦 愛和学院にウソのようにボロ負けした ――

湘北高校
「リョータッ!みんな待ってるわよ!!もうアイサツは考えたの!?」
宮城リョータを呼びにきた、マネージャーの彩子。
そして、体育館
床に座る部員達の前に立つリョータ。
「ウホン、オレが新キャプテンの宮城リョータだ!!いいか!」

〜 桜木君へ 背中の具合はどうですか?こちらでは、新しい湘北バスケ部がスタートしました。〜

「何カッコつけてんだ、フツーにやれー!」 とヤジる三井。
(目の上のタンコブめ…) 新キャプテン、汗…
「これからは県内でも追われる立場だ。だが、まだ上がいることを忘れるな。」
引退した3年のゴリと小暮が、ゲキを飛ばす。

〜 お兄ちゃんは、深体大の推薦の話がなくなり…もともとの志望校を受験することになりました。〜

「引退しよーが、落ちる奴は落ちるんだよ、バカヤロウ、けっ。」 相変わらず現役を続ける?3年生の三井。

〜 文句を言ってたのは、三井さん。〜

「もう、くんなよ…」 そして三井は、ゴリと小暮に背を向けた。

〜 一番淋しそうだったのも、三井さんでした。  私のことを少し…〜

「マネージャー1人増えたから、紹介しとくね。」
彩子の隣りには、頬を赤らめた晴子が立っている。
「赤木晴子です。ヨロシクお願いします。」
「知ってるぞー」 「似てねえや、やっぱり」 部員達、拍手。

〜 彩子さんに誘われたの。再び全国を目指すチームには1人じゃ足りないって…。〜

「さあ行くわよ!!冬の選抜に行けるのは1チームだけ!!
3年が全員残る翔陽!!
仙道のいる陵南!!
そして、全国2位の海南!!
全ーーーっ部倒して、この湘北が行くのよ!!」
「おう!!」
彩子の言葉に、気合を入れるみんな。
「湘北ーーーっ、ファイ!」 「おおっ!!」

〜 …これから毎週、バスケ部の状況とか手紙で送ります。それが私の最初の仕事です。〜

江ノ島の見える海岸に座って、晴子の手紙を読んでいる花道。
「……毎週………文通♪」 花道、にっこり。
その花道の前に、ランニングしてくる流川。

〜 P.S.流川君が、全日本ジュニアの合宿からもうすぐ帰ってくるの♪ 〜

「ぜ…全日本…!!」 メラメラと燃え出す花道。
流川、花道の目の前に立ち止まり、バッとジャージの前を開ける。
中のユニフォームには、Japanの文字が…。
「!!ジャパン…!!性格最悪…」 花道、プルプル…
「おのれルカワ!!オレの補欠で選ばれたクセに…!!(そーにきまってる)」
流川は、波打ち際に立ち止まり、遠くに浮かぶ江ノ島を見た。
花道もまた、流川の肩越しに、江ノ島を見つめるのだった。
「桜木君、時間よ。」
そこへ、リハビリの先生が、花道を迎えにやって来た。
晴子からの手紙を、大事そうにしまい込み、先生の方に歩き出す花道。
「今日のはちょっときついわよ。」 「ふっふっ、そーかね。」
「あら、脅しじゃないのよ、耐えられる?桜木君。」
「はっはっはっ、愚問を。」

頑張って桜木君
このリハビリをやり遂げたら
待ってるから ――


湘北高 体育館
キュッキュッ…シューズの音が、響いている。
「さあ、いけえ!!」 と、彩子。
今日も、練習に励むバスケ部員。
「ふんがっ!!」 「うお!!」
三井のガードをかいくぐり、リョータのシュートが決まる。 「よっしゃあ!」
「フッ…オレの時代。」 どんなモンだい!という表情のリョータ。
「あ!?」 ちょっぴりキレぎみの三井。
そこへ、ゴリと小暮が練習を見にやって来る。 笑顔の晴子。

待ってるから ――

海岸、再び走り出す流川。

大好きなバスケットが
待ってるから


リハビリの先生の方を、ゆっくり振りかえる花道。
「天才ですから。」



― スラムダンク 完 ―


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