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???「マクモ」
???「マクモさん…」
マクモは死の灰に満たされた空間で目を覚ます。
マクモ「……… 誰か…読んでる この声は」
声の主はジェノスと戦うために共に旅をしたキリク、エニメニ、フェイであるが、顔ははっきりと映っていない。

Last Order 続く世界

誰かが死の灰を切り裂こうとしている。
そこに目を向けると四天死のユラが死の灰を懸命に切りかかっている
マクモ「そうか…ここ あの灰と一緒に自分も包んじまったんだ…」
マクモはユラと一緒に自分を死の灰とともに包んだことを理解する。
ユラ「マクモ!!」
マクモ「うわっ」
ユラ「すぐにここ開けてよ!! “医学書”まで灰にする気」!?
ユラの後ろには神の医学書と思われる建造物が立ち並んでいるが今まさに灰になって消えようとしている。
ジェノスの四天死である彼にとって求めるべき探し物でもある。
この医学書のためにジェノスが世界中の人々を死に至らしめた元凶でもある。
マクモ「そっか…下まで落ちたのか」
マクモがユラに叫ぶ
マクモ「あんなもん…なくなったほうがいいんだ 人を救いもしない医学書なら ないほうがいい」
ユラ「何言ってんの!? あれがどれだけ貴重かわかってる!?」
マクモ「わかんねーよ!! おれには今生きてるみんなのほうが大事だ!! だからここは絶対に開けられねぇ!! この灰が尽きるのと オレたちが消えるの さて…… どっちが早いかな?」
マクモとユラは死の灰によって体が徐々に塵になりつつある。
キリク達がマクモとユラを追って地下都市の繭の落下地点に到着する
キリク「これは……地下都市が ほとんど砂になってる…」
キリク達が繭を見つけると繭を中心に地下都市のほとんどが死の灰によって砂の山が積もっていく光景だった
エニメニ「マクモは?」
キリク「まさか… あの中にいるんじゃ…」
キリクはマクモとユラが繭の中にいるのではないかと推測する。それに続くかのようにフェイのスペックツールの一つであるペンデュラムがマクモの居場所を教えるかのように引き寄せられる。
フェイ「マクモさん!!」
エニメニ「フェイ!!」
フェイは繭に向かって走り出し、砂の山を登る。
フェイ「マクモさん!! そこにいるんですか? マクモさん!!」
エニメニが小さくなる繭を見る。
エニメニ「!? ねぇ…この卵 どんどん縮んでない?」
キリク達は急いで繭をこじ開けようとする。
エニメニ「マクモ!!」
フェイ「マクモさん!!」
キリク「今助け… うわ!!!」
キリクがスペックツールのアイスピックで開くと死の灰が流出する。
キリク「だめだ!!灰が充満してる!!」
エニメニ「そんな!! だったら早くマクモを助け出さなきゃ!!」
キリク「待った!! この繭を壊したらボク達じゃ”死の灰”を止められない」
エニメニ「だけどマクモが!!!」
キリク「待って…待って!!今何か方法を…」
フェイは何か思い詰めている。そしてフェイは自分の手を繭の中に突き刺す
キリク、エニメニ「!!?」
キリク「フェイ」
フェイ「マクモさん!!! お願いです?まって下さい!!! 私の声が聞こえるならどうか… この手に?まって下さい マクモさん!!!!」
マクモはフェイの呼び声で目を覚ます
マクモ「誰か読んでる……?」
マクモはあたりを見回す。そして声がするほうに振り向くとフェイの手、そして声が自分の名前を呼んでいる。
そして気絶し消えかかっているユラを見つけ、一緒にフェイの呼び声に向かう。
マクモ「帰ろう…… 一緒に―みんなのいる あの世界に……」
マクモはフェイの手に?まる。

マクモとユラはキリク、エニメニ、フェイ、ゴンのいる場所に倒れる。それと同時に繭の中の死の灰が完全に尽き塵に変わる。
フェイ「マクモさん!!!」
キリク「マクモ!!!」
エニメニ「マクモ!!」
ゴン「マクモー!!」
一同「… マクモ…?」
エニメニ「ねえ…いい加減起きてよマクモ!!」
フェイ「目を開けてください、マクモさん!!」
ゴン「マクモー」
フェイ「もうこれ以上…誰もいなくならないでください!!」
フェイは泣き始める
キリク「マクモ!!」
フェイ「マクモさん…」
一同がマクモを呼ぶうちにユラが立ち上がる
ゴン「ユラ……」
キリク「そんな…」
ユラは一同に目を向ける
キリク「早くマクモを安全な場所へ ここはボクが引き受ける!!」
ユラはゴンの首輪の鎖に目を向ける
ゴン「ギャアアァ」
キリク「しまった!!」
ゴン「いやあぁぁぁ!! 離してー!!許して!!」
ユラは笑う
ユラ「わんわーん」
ゴン「……え?」
ユラ「わんわんわーん」
ユラは小さな子供のようにゴンを見て喜ぶ。
キリク「え…… ユラ…?」
ユラ「? だーれ?」
ユラはキリクを見ても初めてみる顔にしか思えない。
キリク「な… まさか… 記憶が…?」
ユラは死の灰の影響により記憶喪失になったのである。
フェイは思わず
フェイ「そんな…!! それじゃマクモさんは!?」
一同が驚く。
フェイ「マクモ…さん…」
エニメニ「マクモ…?」
ゴン「マクモ……」
マクモは起き上がる
一同「マクモ…?」
死の灰によってできた最後の塵がこぼれ落ちる。



5年後

『時』の国

時の国ダイヤルズに大きな建造物がそびえている。建物の中では何かの会議が行われている。

メルト「アークエンドのマスタープリズン監視役は増員の方向で検討 各国の天選(マスターピース)及び予備軍については統計が取れ次第速やかに報告のこと それを基に来季のパトロール編成を決定する 以上!! 今季マスターポリス定例会合を終了する 解散!!」
鍛冶の天選メルトとその娘ヒンジがマスターポリスの会議を仕切っている。
通路には各国の国旗が飾られている。
キリク「ふぅー… この国の暑さっていつ来ても慣れないや…ていうかなんで砂漠の真ん中に本部置くかな」
エニメニ「まわりに何もないから万一争いが起きても迷惑がかからないようにじゃない?」
キリク「あー…その前に争う気力を削がれるね」
フェイ「絶好の立地じゃないですか クスクス」
成長したキリク、エニメニ、フェイが会話をしている。
しかし、フェイの左目はカバネの時のものとは違っているため手術で取り除き、別の目を入れたのだろう。
フェイ「エニメニはずっとここにいるんでしょ? よく耐えられるね」
エニメニ「私は暑いのわりと平気だから 本部の工事もまだ半分残ってるし もうしばらくはここで暮らすことになりそうよ」
キリク「ボクにはとてもマネできないや一刻も早くデリカに帰りたいよ…」
キリクがため息を吐く
エニメニ「そういえばキリクの冤罪はもうすっかり晴れたのよね?」
キリク「うん イルとシュガーが自分たちの罪を認めたんだ二人一緒の監獄生活も交換条件にね」

キリクの故郷であるデリカには5年前の晩餐会の毒殺事件以降、その新聞等にはキリクの犯行だと報じられているのだが、ジェノスの十二死徒のイル・リガ―トルとシュガー・ポットが毒殺の犯行を認め、ようやく記事にキリクは冤罪である事が証明されたのである。

フェイ「あの二人には監獄も天国ですね…」
キリク「うん…ボクも少々釈然としない日々だよ でもやっと自由になれた」
ほっとする3人
キリク「で?フェイのほうはどうなの? マスターポリスの伝令官として飛び回ってるんだろ?その後の進展とか」
フェイ「進展…ですか? 私はただ決定事項を通達するだけなので至って平穏な毎日です でも、いつもテックさんが世界中に連れていってくれるのでとても助かってます」

テック「のせてやる」
テックは自分で作った飛行機に乗せようとする。しかし、彼にはフェイに好意があるかのような態度である。

フェイ「いい子ですね」
キリク、エニメニ「……」
キリク「フェイはまだ気が付いていないんだ…鈍いね」
エニメニ「年下は範中じゃないのかしら?」
フェイ「?」
キリクとエニメニは小声で話している
フェイ「そういえばこの前ゴンさんの研究所にも行ってきましたよ」
キリク「へぇー!!研究続けてるんだ」
エニメニ「元気だった?」
フェイ「ハイ!!相変わらず犬でしたが ユラさんもゴンさんの指導下で一から医学を学び直しているみたいです」
キリク「へぇ―あの二人が!!」

ゴンの研究施設ではゴンとユラは本当の親子のように振舞っている。
ユラ「ハーイオトーさま」
ゴン「ウム…」

キリク「一時はユラの記憶喪失を疑ったけどどうやら本物らしいね」
フェイ「ゴンさんも責任をもって見守っていくといってました」
キリク「ふーん…そっか 時の流れは偉大だねぇ…」
エニメニ「ねぇ…ところで マクモは?」
エニメニは作業現場まで一人で歩いている
キリク「近くまでは来てるはずなんだけど」
フェイ「会合参加の返事はもらったんですが」
エニメニ「あいつ!!またさぼりね!? まったくマスターポリスの自覚ゼロなんだから …て人のこと言えないわね 私もここんとこ仕事サボり過ぎ… あれ? ここの仕事 こんなに進んでたかしら…?」
エニメニがマクモが会合をさぼったことを怒りながら、作業場の違和感に気づく
???「まったく…腕が鈍ったんじゃないか?」
エニメニ「え…?」
エニメニは声の主に振り向く
???「こんな仕事お前には”朝メシ前”のはずだろう? エニメニ」
振り向くとそこに、アークエンドで行方不明になった親友であるクオリが現れる
エニメニ「クオリ…?生きて…たの?」
クオリ「ああ…この通りしぶとくな 今まで連絡もしなくてすまなかった お前には心配ばかりかけ…!!!」
エニメニがクオリに抱きつく
エニメニ「つ・・・つ・・・ つかまえた やっと…つかまえた… クオリ!!!」
クオリが涙を流す
クオリ「すまん…エニメニ」
エニメニ「クオリのバカ!!今までどうしてたのよ!!? どれだけ心配したと思ってるの!! もう絶対話さないんだから!! 嫌われたってこのまま一生クオリにくっついて暮らしてやる…ん……だから…」
エニメニが泣きながらクオリの後ろを見ると二人の小さな子供がクオリにしがみついている。
一人はクオリにそっくりだが、もう一人はジェノスの四天死の火炎にそっくりである。
エニメニ「…… ねぇクオリ…あなたに何かくっついているわよ?」
クオリ「お前が一番くっついているが… 私の……子供たちだ おかげで「死んで詫びる」なんて方法が使えなくなってしまった だから一緒に考えてくれないか 罪を償う方法を」
クオリがエニメニに笑顔を見せる。
彼女の罪とはジェノスのボスであるゴッド・エンバーと構成員であるフロー・ド・ランスに騙され、ジェノスの四天死となり自分の誤解でエニメニを危険な目に遭わせただけでなく、世界中で多くの人々を虐殺した罪である。
エニメニ「も……勿論よ!! クオリが生きててくれるなら 何万通りだって考えたげるわ!!」
エニメニは泣きながらクオリに言う
エニメニ「その代わりいつかちゃんと会わせてよね!! クオリを救ってくれたこの子たちのパパにも!!」
クオリ「ああ…」
エニメニ「ぜひお礼がしたいから!!」
クオリ「……何のお礼だエニメニ」
エニメニが拳を鳴らすがそれと同時にクオリと彼女の子供たちが何かお怯える、柱の物陰にはクオリを救った火炎と思わしき人物が冷や汗をかいている。
一方、場所はマスターポリスの本部から遠く離れたダイヤルズの街路地で
子供1「あっははー!!へんなのー」
子供2「おもしれー!!これサイコー」
子供3「えー!!ずるい」
子供4「いいなー私にも作ってー!!」
何か子供たちが楽しそうに集まっている
マクモ「わかったわかった!!ちゃんと全員のぶん作ってやるからケンカすんな!! ほーらもうできた!!天選の特製おしゃれスーツだ!!」
マクモはジェノスとの戦いの後、旅の仕立屋として世界中を回っており、いまダイヤルズに新しい服を仕立てている。しかし、あまりにもセンスがいいとは思えない
子供1「やった!!これで仮装パーティーユニーク賞いただきだ!!」
マクモ「仮装パーティー!?お前ら!!受け狙いでオレに服作らせたのか!!」
子供達「キャーー!!!逃げろーー!!!」
マクモは激怒する。しかし子供達は無邪気に笑いながら逃げだす。
マクモ「まったく近頃のガキ共は!! オレが子供のころは天選ってもっとこう…もっと…」
マクモは悔しそうに嘆くその背後に小さな子供が
子供「なあ!!オレにも服作ってくれよ!!」
マクモ「ん?今日は心が折れてそんな気分じゃねーの!!」
子供「でもオレあんなすげー技初めて見た!!かっこいーな!! やっぱすげーんだな天選って!!オレずっと憧れてたんだ!!」
マクモ「そーだろそーだろ!?おまえよくわかってるじゃ」
マクモは子供のほうに振り向くと



その子供は自分に仕立屋の道を教え、さらにジェノスの四天死の立場でありながらマクモやキリク達に協力し、ゴッドエンバーと戦い、マクモを守るために命を落としたアースにそっくりな子供だった。
アースにそっくりな子供「教えてくれよ!! オレも仕立屋の天選になりてーんだ」
マクモは思わず
マクモ「…−ス」
アースにそっくりな子供「仕立屋になってさ!! かっこいい服作ってさ!! みんなをいっぱい喜ばしてやりてーんだ だからさ!!オレ どうやったら仕立屋になって天選になれるのか…知りた…くて」
マクモは涙を流しながら
アースにそっくりな子供「あ…あのごめんなさい オレ…」
マクモ「違う… 違う 嬉しいんだ すげぇ嬉しんだ」
マクモは笑顔で涙を拭き
マクモ「生きてきた意味がやっとわかった アースからもらったものを 次に手渡していくためだったんだ」
こぼれ落ちた涙には
かつて自分がアースと出会った頃の自分が映っており、今、マクモがアースにそっくりな子供に夢を託そうとする。
「人は死んでも人の夢は受け継がれて世界をまわす そうやって世界は続いてきて 続いて行くんだ」
思い出の中に天手(マキシ)を教わったジャンクは小説を書き続けている。
ジャックポットで出会ったラッシュは子供達に何かの計算式を教えている。
ドーリアの少年のアレイは一生懸命修業し、やっと直すことのできたサジュと共に人形作りに励んでいる。
ジェノスの十二死徒だった双子のノワールとブランは今までの償いとして鏡職人として鏡を作っている。
タイを仕立てたウ―フは兄であるワープに織物作りを教わっている。
幼馴染のサテンは夢であるモデルとして活躍している。
幽霊列車で服を仕立てたノアにそっくりな子供はバレエの練習をしている。
マクモ「全部繋がってるんだ」

マクモ「本当に仕立屋になりたいか?」
アースにそっくりな子供「うん!!なりたい 絶対なりたい!!」
マクモ「じゃあ教えてやる!!」
アースにそっくりな子供「本当!?やったーぁ!!」
マクモ「ただし!! コホン これだけはいっておく オレは弟子をとらないぜ なんせ”野望中”だからな」
その言葉はアースが子供のころの自分に言った言葉である。

「物語」はこの先もずっと続いていく

END

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