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地獄先生ぬ〜べ〜 最終巻(31巻)  
  最終回 さよならぬ〜べ〜の巻
 
  ・・・どんな運命の日にも いつも通りの朝がやってくる・・・  
 
  その日, 広や郷子達は 寂しさいっぱいの朝を迎えた。  
  童守小学校 校庭・・・。ぬ〜べ〜が,高鉄棒で ブンブンと ひたすら車輪を  
  繰り返している。その様子を,横で見ているゆきめと眠鬼。  
眠鬼「なにやってんのよ 出発の朝だっていうのに。」と,あくびをひとつ。  
ゆきめ「きっと みんなに涙を見せるのがいやだから,汗を流して 水分をだしているのよ。」  
ぬ〜べ〜「ばかいうな,ただの朝の運動だ。」  
  鉄棒から降り 平静を装うぬ〜べ〜の口に 眠鬼が缶ジュースを咥えさせ無理やり飲ませると,
  ぬ〜べ〜の目から,土砂降りの涙がだーっ!  
ゆきめ「大丈夫よ先生,泣きそうになったら わたしがすぐ止めてあげます。」  
  一瞬にして 涙が太いつららになる。  
ゆきめ「う〜〜んナイスフォロー,内助の功ね。」と,1人満足そうなゆきめ。  
ゆきめ「でも生徒たち あれで納得したのかしら?ちゃんと見送ってくれるかしら・・・。」  
ぬ〜べ〜「・・・・・。」  
  引き止めようと 必死に訴える生徒たちの顔が ぬ〜べ〜の心によみがえる。  
ぬ〜べ〜「ば ばかいうな,あいつらはわかってくれたさ,もう時間だ 行こう。」  
  童守小の校門を出てゆく3人。(さらば 童守小 いろいろあったな・・・)  
  何度も校舎の方を 振り返るぬ〜べ〜。  
 
  JR童守駅
  改札口に,ぬ〜べ〜たちがやって来ると,  
  「パパパーン ドンドン スパパーン」と,もの凄い音!  
  見ると,人体発火で花火をあげようとして失敗したらしく 全身発火済み花火のようになってい
  るいずなや,玉藻,リツコ先生他,お世話になった人たちが 見送りに集まっていた。  
いずな「いいかい,新婚生活にかまけて 霊能力者の本分を忘れんなよ。」  
玉藻「お元気で,今度会うときは あなたの力をこえてみせますよ。」  
ぬ〜べ〜「ありがとう みんな。むこうについたら すぐ手紙かくよ。」  
  涙をこらえて 笑顔で答えたが,  
ぬ〜べ〜「・・・って,あれ?」  
  生徒たちの姿が1人も見えない事に気付き,きょろきょろ周りを見回すぬ〜べ〜。  
ゆきめ「生徒たち・・・1人も来ていませんね・・・やっぱりきのうのことが・・・。」  
  その時,  
「3番線 7時30分発 博多行 格安鈍行列車 まもなく発車します。」   
  アナウンスの声にせかされ,ぬ〜べ〜たちは,しかたなく階段を上り プラットホームへと  
  向かった。すると!  
「せーの」  
「あおーげばー とおーとし わがーしのーおんー・・・」  
  突然聞キこえてきた歌声・・・!広や郷子,5年3組の子供達が全員並んで ぬ〜べ〜を  
  待っていたのだ。泣いている・・・しかし,力強く元気良く,その歌声は プラットホームに  
  響き渡る。手作り看板には「5年3組卒業式」の文字・・・。  
ぬ〜べ〜「おまえら,なんだよ まるで卒業式だ。」  
  涙と照れを隠して,子供達に歩み寄るぬ〜べ〜。  
広「そうさ,これは俺達の卒業式なんだ。」  
郷子「きのう ぬ〜べ〜の気持ちはよくわかってたの。でも かなしさがこみあげちゃって。」  
美樹「もう大丈夫だからね,へへん。」  
  そして,みんな笑顔を見ミせた。  
広「宣誓!俺達5年3組は,ぬ〜べ〜を卒業し 自分たちでなんでもやってくことを誓います!」
  子供達のけなげな姿に ぬ〜べ〜は,はっとし 左手の手袋をはずして,  
ぬ〜べ〜「卒業証書 5年3組一同 俺からの卒業証書だ うけとれ・・・。」  
  そう言って,手袋を広に差し出ダした。両手で大事に受け取る広。次々に子供達が 抱きついたり
  しながら,  
 「ぬ〜べ〜」「ごめんね わがままいって。」「私たちぬ〜べ〜を 笑顔で送り出すことに  
  したの。」「あたしら,ぬ〜べ〜の生徒だかんね。そんなに弱くないよ。」などと,声を  
  かけた。  
ぬ〜べ〜 「ありがとうみんな,ほんとにありがとう。俺も安心して旅立てるよ。」  
  じわっと 泣きながらぬ〜べ〜は答えた。  
  「泣くなよ ぬ〜べ〜。」「おおげさだなぁ。」笑顔で慰める子供達。  
  「トゥルルルルルル・・・」 発車のベルが鳴り響く。  
  ぬ〜べ〜は電車に乗り込み,窓越しに子供達と別れの握手を交わした。  
  電車が,ゆっくりとホームを滑りだす・・・。と,今まで笑顔だった子供達が とうとう  
  こらえきれずに 泣きながらホームを駆け出した。  
  「ぬ〜べ〜!」「ぬ〜べ〜!!」広が!郷子が!みんなが・・・!!!  
ぬ〜べ〜「こ こらっ よせっ あぶないぞ! 泣かないっていっただろ!」  
  ぬ〜べ〜は,窓をいっぱいに開けて 必死に叫んだ。  
ぬ〜べ〜「広!サッカーが好きならとことんやれ,しかし 小4までの漢字ぐらい 書けるようにしてお
  け。」  
  「郷子!広の尻をたたいてやれよ・・・ただし本気で殴るなよ!」  
  「美樹!首をのばすのは 嫁入りまでにしておけ!」・・・・  
  ――― 5年3組俺の大切な生徒たち・・・本当にいろいろなことがあった・・・  
  ぬ〜べ〜の脳裏に 様々な思い出がよみがえる。  
  ――― 思い出がいっぱいありすぎて 大人のおれでさえ・・・別れはつらすぎる・・・  
  追いかけてくる子供の1人が 転んだ。その子につまづき次々に転ぶ子供達。  
美樹「ぬ〜べ〜!!!」倒れたままで美樹は叫び,広と郷子は ホームの端まで追いかけて,  
  握り締めたぬ〜べ〜からもらった手袋を 高々と揚げてみせた。  
ぬ〜べ〜「みんな・・・強く生きろよ・・・。」  
  むき出しの鬼の手でそれに答えるぬ〜べ〜。  
広・郷子「ぬ〜べ〜!」  
ぬ〜べ〜「おまえたちのことは決して忘れない,忘れないぞ!」  
  走り去るぬ〜べ〜を乗せた電車,ホームの端では広と郷子が,いつまでもいつまでも  
  小さくなってゆく電車を見つめていた。広の右手には,ぬ〜べ〜の手袋がしっかりと握られて  
  いる。  
 
  さようなら5年3組の日々    
  さようならぬ〜べ〜  
  そして 一番輝いた思い出たち・・・  
 
  ――― 完 ―――  
 
 

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