夢 の 末 路 |
回想── キカイダーとミツコに対峙したハカイダーの口から、光明寺博士の声が漏れる。 ハカイダーの頭部には、回路の一部兼人質として、光明寺博士の脳が収められている。その脳が覚醒したのだ。 ハカイダー「私だ。お前の父、光明寺 電だ……」 ミツコ「父さん……?」 ハカイダー「そうだ。私だ。今……私の意識がこのボディを、支配している」 ミツコ「そんな……そんなことって……?」 ハカイダー「信じられないのは無理もない。こんな設計はしてなかったのだが……」 ミツコ「父さん……」 ハカイダー「ミツコ……辛い思いを、させたな……」 ミツコ「……」 ハカイダー「お前たちのことを省みず、色々なことに目を背けて、研究に明け暮れた結果がこのザマだ。何を言おうと今さら、どうなるものでもないが……すまないと思っている」 次第に目を潤ませたミツコが、ハカイダーに歩み寄る。 ミツコ「父さん……」 ハカイダー「……」 ミツコ「本当に……父さんなのね?」 ハカイダー「ミツコ……!」 ミツコ「父さぁぁん!!」 ミツコがハカイダーに抱きつき、泣き始める。親子の再会を目にし、キカイダーの顔にも笑顔が浮かぶ。 キカイダー「良かった……」 ハカイダー「ジロー。お前がミツコたちを助けてくれてたんだな? ありがとう……!」 キカイダー「博士……」 ハカイダー「ミツコ、時間がないのだ……私はまた、いつサブロウに戻ってしまうかもしれん……」 ミツコ「そんな……?」 ハカイダー「だが……その前にやらなければならないことがある」 ミツコ「……!?」 ハカイダー「私は……自分のやって来たことに責任を取らねばならん」 キカイダー「僕も行きます」 ハカイダー「駄目だ! お前はミツコたちを守ってくれ」 ミツコ「私も行きます」 ハカイダー「ミツコ!?」 ミツコ「止めても無駄よ。私は父さんに似て、頑固なの!」 キカイダー「博士に何かあったら、みんなが悲しみます。僕たちも手伝わせて下さい」 ハカイダー「お前たち……!」 木陰から服部が姿を現す。 服部「やっと見つけたぁ……ひゃあぁっ!?」 同じく木陰から顔を出したマサルと猿飛悦子も、ハカイダーの姿に驚く。 マサル「お姉ちゃん!?」 悦子「ま、まぁ!?」 ミツコ「プッ……」 その驚きように、思わずミツコ、キカイダー、ハカイダーが笑い声を漏らす……。 |