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人造人間キカイダー THE ANIMATIONの最終回


気を失ったキカイダーを抱えたハカイダーが、どこかの崖下へと歩んで行く。

ハカイダー「俺だ。開けろ」

崖の中の秘密基地。兵士の1人がモニターでハカイダーの姿を捉え、応答する。

兵士「どういうことだ? キカイダーは破壊するよう命令が出ているはずだが?」
ハカイダー「もう機能を停止している。プロフェッサーはこいつのメカニズムに興味がおありのようだったんでね……破壊せずに捕獲した」
兵士「……入れ」

基地への扉が開き、ハカイダーが奥へと進んでいく……


夢 の 末 路


基地内のとある一室。
手術台のような台に寝かされたキカイダー。
ハカイダーが機器のボタンを押すと、キカイダーが意識を取り戻し、起き上がる。

ハカイダー「大丈夫か? ジロー」

その声はハカイダー・サブロウの声ではなく、光明寺博士の声である。

キカイダー「はい。無事潜入できたんですね……光明寺博士」
ハカイダー「うむ」


ハカイダーたちの入っていった崖下を、木陰からミツコと服部半平が覗いている。

服部「本当に入っていっちまった。大丈夫なのかねぇ……?」
ミツコ「ジローがついてますから……父も、中の様子はわかってると言ってましたし」
服部「そうは言ってもねぇ……」



回想──


キカイダーとミツコに対峙したハカイダーの口から、光明寺博士の声が漏れる。
ハカイダーの頭部には、回路の一部兼人質として、光明寺博士の脳が収められている。その脳が覚醒したのだ。

ハカイダー「私だ。お前の父、光明寺 電だ……」
ミツコ「父さん……?」
ハカイダー「そうだ。私だ。今……私の意識がこのボディを、支配している」
ミツコ「そんな……そんなことって……?」
ハカイダー「信じられないのは無理もない。こんな設計はしてなかったのだが……」
ミツコ「父さん……」
ハカイダー「ミツコ……辛い思いを、させたな……」
ミツコ「……」
ハカイダー「お前たちのことを省みず、色々なことに目を背けて、研究に明け暮れた結果がこのザマだ。何を言おうと今さら、どうなるものでもないが……すまないと思っている」

次第に目を潤ませたミツコが、ハカイダーに歩み寄る。

ミツコ「父さん……」
ハカイダー「……」
ミツコ「本当に……父さんなのね?」
ハカイダー「ミツコ……!」
ミツコ「父さぁぁん!!」

ミツコがハカイダーに抱きつき、泣き始める。親子の再会を目にし、キカイダーの顔にも笑顔が浮かぶ。

キカイダー「良かった……」
ハカイダー「ジロー。お前がミツコたちを助けてくれてたんだな? ありがとう……!」
キカイダー「博士……」
ハカイダー「ミツコ、時間がないのだ……私はまた、いつサブロウに戻ってしまうかもしれん……」
ミツコ「そんな……?」
ハカイダー「だが……その前にやらなければならないことがある」
ミツコ「……!?」
ハカイダー「私は……自分のやって来たことに責任を取らねばならん」
キカイダー「僕も行きます」
ハカイダー「駄目だ! お前はミツコたちを守ってくれ」
ミツコ「私も行きます」
ハカイダー「ミツコ!?」
ミツコ「止めても無駄よ。私は父さんに似て、頑固なの!」
キカイダー「博士に何かあったら、みんなが悲しみます。僕たちも手伝わせて下さい」
ハカイダー「お前たち……!」

木陰から服部が姿を現す。

服部「やっと見つけたぁ……ひゃあぁっ!?」

同じく木陰から顔を出したマサルと猿飛悦子も、ハカイダーの姿に驚く。

マサル「お姉ちゃん!?」
悦子「ま、まぁ!?」

ミツコ「プッ……」

その驚きように、思わずミツコ、キカイダー、ハカイダーが笑い声を漏らす……。



ミツコたちからやや離れた場所に停められた車の中に、マサルと悦子。

マサル「僕は、どうしてまだ子供なんだろう……」
悦子「マサル君……」
マサル「大人だったら、みんなと一緒に戦えたのに……もっと、大きかったら……!」

その表情に悔しさと、今の自分に何もできないやりきれなさが満ちている。
次第に瞳に涙が滲む。

マサル「今すぐ大人になって、お姉ちゃんやお父さんを、守りたいのに……!」

そんなマサルに、悦子が優しく身を寄せる。

悦子「大丈夫。みんな、きっと無事に帰ってくるわ」


服部「無茶な作戦だよなぁ……ジロー君たちが中からドアを開けてくれたら、その隙に潜入して、光明寺博士の冷凍保存されている体を救出するなんてねぇ」
ミツコ「服部さん、これ以上はもう……」
服部「おっと、言わないで! 娘さん1人を行かせたとあっちゃ、男・服部半平の名が、すたるってぇもんだい!」


基地内。

ハカイダーが各機器を操作している。

ハカイダー「よし……これで全基地の警報と監視カメラは切断された」

キカイダーの傍らには、冷凍保存された光明寺博士の肉体がカプセルに収められている。

キカイダー「良かった……まだ生体反応はあります! 博士、早く脱出して……」

ハカイダーは単身、扉へと向かう。

キカイダー「博士……」
ハカイダー「ジロー……お前は私が考えていたよりも遥かに、人間に近い者に成長してしまった……」
キカイダー「博士……?」
ハカイダー「お前に背負わせてしまった十字架は、重い……ロボットでありながら、人間のように感情に苦しめられる……良心回路ジェミニィなど、造るべきではなかった……」
キカイダー「……いえ、博士。僕は博士に感謝しています。人間と同じように悩み、苦しみ、感じることができる……それだけでも本当に嬉しいんです」
ハカイダー「ジロー……お前は本当に、心を持ったのだな。優しい心を……私はもう、元に戻るつもりはない」」
キカイダー「博士……?」
ハカイダー「私は罪を犯した……自らの手で作り出したロボットたちが、兵器として使われることを、止めることができなかった」
キカイダー「でも、それはプロフェッサー・ギルが……」
ハカイダー「それでも、私の罪は消えない……それに、もし戻ったとしても、私に染み付いたロボットの匂いは、またミツコたちに悲劇を呼び寄せてしまうだろう」
キカイダー「え……?」
ハカイダー「例の最終兵器が完成すれば、ギルは世界を意のままにできるようになる。その前に、私は私の手で決着をつける!」
キカイダー「博士!?」
ハカイダー「ジロー……お前を造って良かった……ミツコとマサルを頼む!」

扉が開き、ハカイダーが扉の向こうへ駆け出す。

キカイダー「博士っ!!」

すかさず扉が閉じる。
キカイダーが駆けつけるが、もう扉は開かない。

キカイダー「博士!! 博士ぇっ!!」


単身、ハカイダーがプロフェッサー・ギルと対峙する。

ギル「何の用かな、ハカイダー。いや……光明寺博士」
ハカイダー「……ギル!?」


キカイダーが必殺の電磁エンドで扉を叩き斬る。
機器類がスパークし、その衝撃か、崖下の隠し扉が微かに開く。

服部「何だ!?」

木陰から飛び出すミツコ。

服部「お、おい! ミツコさん!?」

ミツコが崖下に駆け寄り、隠し扉のドアである大岩に手をかけ、力を込める。
すかさず服部も駆け寄り、手を貸す。
次第に扉が開く……


ギル「お前の抵抗などお見通しだ。だが流石に脳だけになってまで歯向かってくるとは思わなかったぞ」
ハカイダー「ギル! ロボットも最終兵器もお前に渡すわけにはいかん!」
ギル「どうすると言うのだ? わしを殺すか?」
ハカイダー「私と一緒に消えてもらう……」

そのとき、どこからともなく十字手裏剣が飛来。ハカイダーの足元に突き刺さる。

ハカイダー「こ、これは!?」

ハカイダーの背後から、何と4体のハカイダーが現れる。
体色こそ違えど、その形状はハカイダーと全く同じ。量産型ハカイダーである。

ギル「フフフフフ……」

そこへキカイダーも駆けつける。

キカイダー「博士!!」
ハカイダー「来るな、ジロー!!」

薄暗かった室内に、灯りが点る。
既に20体以上ものロボットが、キカイダーたちを取り巻いている。


ミツコと服部が基地内を進む。

服部「おかしいな……誰もいない」
ミツコ「……あれは!?」

叩き割られた扉をミツコが見つけ、2人がそこへ駆け込む。
ジローが電磁エンドで斬り裂いた扉だ。衝撃であちこちの機器も砕けている。

服部「な、何だ? ここは?」
ミツコ「キャアアァァ──ッ!!」

ミツコが目にしたものは、冷凍保存されている父・光明寺博士の肉体……
気の遠くなるミツコを、慌てて服部が駆けつけて支える。

服部「大丈夫、ミツコさん? ……はっ! ひどいことしやがる……! とにかく、博士の体を外へ!」
ミツコ「え、えぇ……」

そのとき、どこからともなく凄まじい衝撃音が響いていることに、2人が気づく……


光明寺のハカイダーと、量産型ハカイダーとの戦い。
同じハカイダーとは言え、数で勝る量産型の方が圧倒的に優勢だ。

キカイダー「博士!?」
ギル「量産型とは言え基本性能はサブロウと同じだ。いつまで2人で持ちこたえられるかな?」

光明寺ハカイダーが量産型ハカイダーを飛び越え、ギル目掛けて手刀を繰り出す。

ハカイダー「ギルゥッ!!」

だがその手刀は、ギルの体を素通りしてしまう。

ハカイダー「はっ……ホログラムか!?」
ギル「今度こそ死ね! 光明寺……」

ダークロボットの1体がハカイダーを殴り飛ばす。

キカイダー「博士ぇっ!?」

そのキカイダーにも、量産型キカイダーの攻撃が炸裂する。

キカイダー「博士、逃げて下さい!」
ハカイダー「……そいつはできねぇな」

そのハカイダーの返事は──光明寺博士ではない、サブロウの声である。
驚くキカイダーを、ハカイダーの拳が吹き飛ばす。
サブロウの意思が甦ったのだ。

ハカイダー「残念だったな……時間切れだ」
キカイダー「サブロウ!?」
ハカイダー「俺の回路を壊しておかなかったお前たちが甘いんだよ……」
キカイダー「くっ……」
ハカイダー「こんな奴らいなくても、俺1人で充分だ。今、キカイダー……」

そのとき──
量産型キカイダーの放ったハカイダーショットが、サブロウ・ハカイダーの右腕を撃ち砕く。

ギル「お前ももう用無しだ、サブロウ。私に必要なのは、命令通り動く機械なのだ」
ハカイダー「ギル!?」

量産型キカイダーたちがハカイダーショットを狙い、その光線がサブロウ・ハカイダーの喉元に集中──

キカイダー「サブロウ!?」

ハカイダーの首がちぎれ、頭部が床に転がる。
そして、ハカイダーの体も床に倒れる……

キカイダー「博士……」
ギル「お前もすぐに後を追わせてやる……」

ホログラムのギルの姿が消える。
ダークロボットたちが一斉に動き出し、次第にキカイダーに迫る。

すっくと立ち上がったキカイダー。その目が真っ赤に光る。
まるで、憎悪の炎のように──


基地内を廊下を駆けるミツコと服部。
突如、どこかで爆発が起こる。

服部「な、何だぁ!?」

壁面の一部が砕けている。
2人が中を覗く。

中は一面、床を埋め尽くさんばかりに機械の残骸が転がっている。

服部「これは一体……?」
ミツコ「はっ……」

床を埋め尽くしていたのは、キカイダーを襲うとしていたロボットが全て破壊された姿。
そしてその中央に、キカイダーが立ち尽くしている。

ミツコ「ジロー!!」

夢中でキカイダーの元へ駆け寄るミツコ。
再会を喜ぶミツコとは裏腹に、キカイダーは反射的に、ミツコに左拳を突きつける。
驚いて足を止めるミツコ。

キカイダーの目から、赤い光が消える。

キカイダー「はっ……ミツコさん?」

安心したように、ミツコがキカイダーに抱きつく。

ミツコ「良かったぁ……無事だったのね」

キカイダーが恐る恐る、今ミツコへ突きつけた拳を開く。その手のひらは、べっとりと赤く濡れている。

ミツコを追ってきた服部。

服部「あっ! そ、そ、それは……!?」

キカイダーの右手には、光明寺博士の脳を収めたハカイダーの頭部が抱かれている。

ミツコ「あ、あぁっ……!?」
キカイダー「ミツコさん、しっかりして」
ミツコ「ジロー……」
キカイダー「博士はまだ生きてる……すぐに体に移植すれば、助かるかもしれない。服部さん、お願いします!」

キカイダーがハカイダーの頭部を、服部に手渡す。

服部「ひっ……わ、わ、わかった!」
キカイダー「僕は……プロフェサー・ギルのところへ行く」
ミツコ「ジロー……?」
キカイダー「まるで使い捨ての道具だ……ギルは人間もロボットも信じちゃいない……こんなことはもう、やめさせる……!」

キカイダーに抱きついていたミツコを、キカイダーが引き離す。

キカイダー「ミツコさん、博士についていてあげて」
ミツコ「ジロー……」
キカイダー「服部さん」
服部「お、おぅ! 君も気をつけろよ」

服部が去る。

ミツコは目を潤ませつつ、キカイダーに駆け寄ると、キカイダーの機械の唇に自分の唇を重ねる。

ミツコ「きっと……帰って来て……私、待ってる!」

キカイダーを見つめるミツコ。
キカイダーは微笑み、頷く。

ミツコが涙を拭いつつ、服部の後を追って立ち去る。


基地内、ギルの部屋。

ギル「何故だ!? 量産型とは言え、ハカイダーと同等の性能を持つロボットが……」

衝撃音。

ギル「来たか……」

扉をぶち破り、キカイダーが現れる。

キカイダー「プロフェッサー・ギル……」
ギル「お前はいつもわしの予測を裏切る……何故だ!?」
キカイダー「お前にはわからないだろう。絶対にわかるもんか! この力がどれだけ僕を苦しめているか……」


基地の外。

服部が手引きしたワゴン車に、光明寺博士の肉体を収めたカプセルが積まれる。
ミツコは依然、車外で基地の方を見つめている。

服部「ジロー君が心配?」
ミツコ「さっきのジロー、少し怖かった……憎しみに駆られて戦ってた、あの時のように……こんな風に戦ってたら、ジローの良心回路ジェミニィも……」
服部「……大丈夫。彼は人間以上に、優しい心を持ってる!」


キカイダー「何故お前はこんなことをする!? ロボットや人間まで道具として使い捨て、お前に何が残るというんだ!?」
ギル「ロボットなどただの道具だ。わしの命令に従っていればいいだけの存在だ」
キカイダー「僕たちは道具じゃない! 生きてるんだ!! 人間と同じ、命や心を持ってるんだ!!」

ギルが笛を奏でる。
笛の音波によりキカイダーの回路が狂わされる──筈が、キカイダーは平然とギル目掛けて歩み寄る。
その目は再び、炎のように赤く光っている。

ギル「あ……あ? 何故だ!? 何故動ける!?」
キカイダー「人間が成長するように、僕も成長する……もうお前の言うことは聞かない!」

キカイダーがギルの笛を叩き折る。

ギル「お……お前に人間が殺せるのか!?」
キカイダー「殺せるさ……僕の手は、もう何人もの兄弟の命を奪った……血塗られた手なのだから!」

キカイダーの手がギルの首を締め上げる。

ギル「うぅっ……う……う……」

キカイダーの脳裏に映る、かつての光景──
自分の行為を諫めるミツコ──

キカイダーの目から赤い光が消え、その手が緩む。
ギルが拘束を振りほどく。

ギル「ゴホッ、ゴホッ!……ふぅ、ふぅ……ハッハッハ、なまじ良心などがあるから迷うのだ。人間のように悩み、苦しみ、憎み、そして怒る。だがお前は所詮作り物だ。光明寺の作った人形に過ぎん……」
キカイダー「僕は……」
ギル「光明寺の娘に何を吹き込まれたか知らんが、人間になれるとでも思っているのか!? 人間とロボットが結ばれるとでも、本気で思っているのか!?」

ギルが壁面のボタンを押す。
巨大な壁が門の如く開き、長大な砲身を備えた巨大な砲塔が現れる。

ギル「これは、我がダークの最終兵器の要となるものだ。これが完成すれば、世界は我が物に! まだ試作段階で出力も百万分の1だが、お前1人を倒すには充分だ!」

砲身がキカイダーを狙う。

ギル「死ね!!」

キカイダー目掛けて砲身が火を吹くかと思われた、そのとき──
逆に砲塔の方が爆発を起こす。

驚いて振り向くギル。
爆発の中から立ち上がるのは、何と頭と右腕を失ったままのハカイダー。

ギル「サ、サブロウ!?」

ハカイダーがギルに飛び掛り、左手で彼の頭を掴み上げ、壁面の機器に叩きつける。
衝撃で機器が爆発。

キカイダー「サブロウ!?」

ハカイダーが左腕1本でギルの首を締め上げる。
ギルの口から血が飛び散る。

ギル「最後まで……光明寺のロボットに……邪魔を、されるのか……キカイダー、憶えておけ……お前は、どうあっても……人間には……なれないのだ……」

基地内が次々に爆発を起こす。

ギル「その、呪われた時間を……あがいてみるが……いい……」

爆炎の中に立ち尽くすキカイダー。


ダーク基地が大爆発──


空高く舞い昇るきのこ雲を、ミツコたちが呆然と見つめる。


ミツコ「ジロォォ──ッッ!!」


時は過ぎ──夏。

蝉の声が響き、眩しい太陽が照りつける中、服部と悦子が光明寺宅を訪ねる。

服部「ごめん下さ〜い」

庭で花壇に水を撒いているミツコ。

ミツコ「あらぁ……服部さん!」
服部「どうも、お久しぶり」
悦子「お父さん、お加減いかがですか?」
ミツコ「今、ちょうど眠ったところなんです。手術の経過も良くて、近い内リハビリのため、海外へ行くことになりそうです」

室内。
頭に包帯を巻き、点滴をつながれた光明寺博士が、ベッドで眠っている。

服部「そりゃあ良かった! ……それで、ジロー君は……まだ?」
ミツコ「……えぇ」
服部「あの爆発だったし、やっぱし……」
悦子「先生!」

悦子が服部を肘で小突く。

ミツコ「でも私、信じてるんです……」
服部たち「え?」


マサルの自室。
壊れたジローのギターを、マサルがガムテープで補修している。

マサル「できたぁ! ハハッ」

ガムテープで継ぎ接ぎだらけのギターを満足げに眺めつつ、ふと、ベッドの上に置かれているピノキオの童話の最後のページに目が留まる。

マサル「人間になったピノキオは、ジペット爺さんと一緒に、幸せに暮しました……」


ミツコ「ジローは……必ず帰るって……! 約束したんですもの……」


朝もやの満ちる、どこかの林の中。

ジローが後ろを振り向きつつ、どこかへと立ち去ってゆく……


(終)
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