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ミリアルド
 『最終作戦開始! リーブラ総員脱出せよ!!』
カーンズ
 「ハッ」
ヒイロ
 「何をしたっ」
カーンズ
 「リーブラを地球に向けて発進させたのだ。
  リーブラが地球に激突すれば、主砲による被害などとは くらべものにならぬほどの絶大な損害を与えられる。
  これこそ地球にたいする天罰なのだっ」
ヒイロ
 「くっ。リリーナ、脱出するぞ!!」
リリーナ
 「ヒイロ」

新機動戦記ガンダムW
#12 少年の翼は未来へはばたく


ノイン
 「ヒイロ! リリーナさま!!」
ヒイロ
 「ノインか。リリーナをたのむ――オレはゼクス(ミリアルド)の所へもどる」
リリーナ
 「ヒイロ!!」
ノイン
 「・・・・わかった・・・・やはり、あのかたと戦うのか・・・・」
ヒイロ
 「ヤツを倒さねば、この戦争は終わらない――そして、オレ自身の戦いも終わらないんだ」
リリーナ
 「ヒイロ・・・・」
ヒイロ
 「さようなら、リリーナ」
リリーナ
 「!! だめよヒイロ。死んではダメ!!」
カトル
 「だいじょうぶですよ、リリーナさん」
リリーナ
 「カトル」
カトル
 「今の彼には、守るべきものと戦うべきものが見えていますから。死ぬためでなく、生きるために戦う。それが今のヒイロです」
リリーナ
 「ヒイロを信じて、わたしたちは脱出者の避難を手伝いましょう。
  (この戦い、いつまで続くのかしら)」

トレーズ
 「おろかな戦争をなくすため、わたしは このような方法をとらねばならなかった」
五飛(ウーフェイ)
 「キレイごとをぬかすなっ! キサマのために、何人死んだと思っている!!」
トレーズ
 「フフッ。知りたいかね、張(チャン) 五飛。昨日までの時点で九万九千八百二十二人だ」
五飛
 「何ぃ!?」
トレーズ
 「戦いのために犠牲になった人々は、すべて記憶している。彼らの死は、決してムダではない―――人類の歴史は、彼らの上に つくられていくのだ」
五飛
 「キサマという男は――神にでもなったつもりかっ」
トレーズ
 「そして――わたしの死も」
五飛
 「くっ」
五飛のアルトロンガンダムに向かって、トレーズはトールギスを接近させる。
五飛はとっさにアルトロンガンダムを身構えさせ――

トレーズ
 「ムダでは、ないはずだ。見事だ、五飛」
五飛
 「トレーズ・・・・キサマ、わざと!?」
トレーズのトールギスは、ビームサーベルのビームを切り、その身をアルトロンガンダムにより切り裂かれていた。
トレーズ
 「キミたちと戦えたこと、誇りに思う・・・・さらばだ、わが友よ」
五飛
 「こんなもの、オレはみとめんっ。みとめんぞーーっ」
トレーズ
 「ミリアルド・・・・先にいく。まっているぞ―――」
五飛
 「く・・・・くそぉ・・・・今度は勝ち逃げか、トレーズ……」

レディ
 「ホワイトファングに通信しろ・・・・わが世界国家軍は、敗北を宣言する。のこったMSは、すべて爆破しろ!!
  ・・・・ご立派でした――トレーズさま・・・・」

デュオ
 「地球側が負けたのか――MDも、ほとんどかたずけたが、まだリーブラがのこっているぜ」

地球に向けて移動する戦艦リーブラの上で、ヒイロのウイングガンダムゼロとミリアルドのガンダムエピオンとが対峙している。
ヒイロ
 「トレーズは死に、地球国家軍の戦力は壊滅状態―――その上にまだ、リーブラを地球におとそうというのか」
ミリアルド
 「人類には、まだ自分のおろかさが見えていない。だから、わたしは この作戦をやりとげる!!」
ヒイロ
 「このリーブラが、最後の戦いの場だ―――おまえを殺し、リーブラをとめてみせる」
ミリアルド
 「わたしは、まちがってはいない! キミが最後の相手だ。ヒイロ・ユイ!!」
ウイングガンダムゼロのバスターライフルを、ヒートロッドで弾くミリアルド。
バスターライフルは、トロワの乗るガンダムヘビーアームズが受け止める。

トロワ
 「騎士同士の決着の時か――ここは二人だけの戦場―――だれも手をだしては、ならない―――
  だが、この戦いこそ人々が見なくてはならない戦い――MDの大量破壊などではない、意味のある決闘なのだ―――」
トロワは、ガンダムヘビーアームズに備え付けられたカメラから、レディ・アンに映像を送る。
レディ
 「何っ!? こ・・これは――よし、これを全世界へ放送しろ!!」
ノイン
 「ゼクス! ヒイロ!!」

リリーナ
 「ヒイロ。お兄さま」
ドロシー
 「・・・・これが、本当の戦い?」
レディ
 『AC一九五年、戦争の歴史は終わりました――しかし、それだけでは平和はきません。
  なぜ、人は争うのか? みなさん、この戦いを見て、その理由を考えてください―――』

ミリアルド
 「!! ゼロシステムがとまった!?」
ヒイロ
 「オレたちの行動は無意味だと、システムが判断したのだろう―――」
ゼロシステムのヘルメットを外し、ミリアルドはヒイロと初めて出会った時に着けていた、ゼクス・マーキスの仮面を被る。
ミリアルド
 「ゼロシステムなど、無用! そう! これは機械などには理解できぬ決闘。キミとわたしの問題だからな」
ヒイロ
 「ゼクス! オレは、弱者を守るためと大義をかざすキサマがゆるせん!!」
ミリアルド
 「地球という強者は、たたかねばならんっ。弱者であるコロニーのためになっ!!」
ヒイロ
 「ちがうっ。人類すべてが弱者なのだっ。オレもオマエも。
  自覚しろ! そして、もっと人類を信じろっ」
ミリアルド
 「なぜ、そこまで優しくなれるっ!!」
ヒイロ
 「オレは、信じあえる仲間とともに――人として――生きる資格が、ほしいからだっ!!」
ウイングガンダムゼロのビームサーベルが、ガンダムエピオンの左脇に突き立てられる。
その衝撃で、ミリアルドの仮面も割れた。

ミリアルド
 「――成長したな、ヒイロ・ユイ」

全世界のみなさん、われわれはコロニー代表団です―――
今、コロニーすべての一致した決議を発表します。
われわれは、コロニーを愛するがゆえに戦ったホワイトファング、そしてガンダムに感謝するとともに――
たえず公明正大な愛をしめしてくれた、地球の人々に敬意を表します。
そして、今後いかなる戦闘行為も排除し、これに地球国家も同調し、一つの世界として ともに歩むことをのぞみます。


ミリアルド
 「コロニーと地球が、一つにまとまる時代が、今 はじまる―――これで、わたしの役目も終わった・・・・」
ヒイロ
 「いいや、まだだ」
ミリアルド
 「何っ!?」
ヒイロ
 「このリーブラを、地球におとしてはいけない。これもオレたちの任務だ―――ミリアルド」
ミリアルド
 「しかし、どうする? われわれが自爆するか?」
ヒイロ
 「それしか、方法がないのならな」

リリーナ
 「いいえ! ヒイロ!! 方法は、あるはずです。ガンダムは人々の希望なのですから!!」

Dr.J
 『そうじゃ、ヒイロよ。ガンダムの力を信じろ!!』
ヒイロ
 「Dr.J」
Dr.J
 『六体のガンダムのパワーを、ツインバスターライフルにあわせて射つのじゃ。さすれば、リーブラを消滅できる――
  わしらは、このピースミリオンを沈める・・・・そちらは、まかせたぞ。
  ヒイロよ――最後の任務だ。死ぬな・・・・」
ヒイロ
 「任務・・・・了解」
Dr.Jからの通信が途絶えると、戦艦ピースミリオンは大破した。
そして、バスターライフルを手にしたガンダムたちが、リーブラへと向かう。

デュオ
 「いっちょう、やってやろうぜ」
トロワ
 「チャンスは、一度きりだ!」
カトル
 「人類の未来が、かかっているんだ」
五飛
 「フン! オレは負けんっ」

「「ターゲット、ロックオン!! 発射!!」」


バスターライフルのビームにより、リーブラは地球への衝突前に破壊された。
リリーナ
 「これで、地球は救われたわ……これから、人類の新しい歴史がはじまるのね」


エピローグ
AC一九五年。この日、地球とコロニーは武装を放棄した。
そして、新たな地球圏統一国家が設立された―――

トレーズの墓前。ミリアルドが花をたむける。
ミリアルド
 「・・・・トレーズ、わが友よ――」
ドロシー
 「ミリアルドさま」
ノイン
 「また、ここにいらしてたのですね」
ミリアルド
 「・・・・今は、語るべき友が ここにしかいないからな。」
レディ
 「不思議なものだ。あの戦争が、まるで夢だったような気がする」
ミリアルド
 「夢だったのかもしれん・・・・ガンダムの少年たちも、今は遠いもののように思える―――」
ドロシー
 「いいえ! 彼らは、たしかにいました―――今、わたしたちが こうしていられるのも、ヒイロたちの おかげですもの」

ホワイトファングやOZの軍事設備は、宇宙開発のために使用されることになった。
宇宙開発プロジェクトの一つとして、火星への移住調査団が出発しようとしていた。

リリーナ
 「いってらっしゃい―――これで、しばらく あえないわね」
ヒイロ
 「戦いしかできない人間でも、まだ つかい道があるらしい」
リリーナ
 「あなたの帰りを、まっているわ。また、わたしをコロしにきてね」
ヒイロ
 「あぁ。任務了解」



The End


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