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獣拳戦隊ゲキレンジャーの最終回
 

ナレーション「不死身のロンはサンヨを取り込み、真の姿・無間龍となった。戦いの中、メレはジャン・ラン、レツを守って倒れ、理央もまたすべての臨気をゲキレンジャーに託すと、我が身もろとも無間龍に突撃し、壮絶に散った……だが、その理央ですらロンを倒すことはできなかったのだ……」

黒獅子リオですら倒せなかったロン。しかしゲキレンジャーが必ず倒すと宣告する。

ジャン「俺たちは……ゲキレンジャーが、獣拳が、お前を絶対の絶対に倒す!!」

ロン「ふふふ……倒す。ですか? 何を見ていたのです!? 理央が我が身を犠牲にして、私が不死だということを証明してくれたのに……」

レツ「いや……何か方法があるはずだ。お前を倒す方法が!」

ラン「そうよ。私たちには獣拳がある!」

ケン「うん!」

ロン「所詮獣拳なんて、獣の頂点に君臨する私のまねこと。まがい物ではありませんか! 本物に適うはずもない……」

ジャン「ふざけんな! 獣拳は……ワキワキのジュイーンでシュバーンだ!! 俺たちは俺たちの獣拳を信じてる……それを見せてやる!!」

一同「ビースト・オン!!」
 

修行その49
ズンズン! 獣拳は、ずっと…
 

ジャンたちがゲキレンジャーにビースト・オンを遂げる。

ロン「お前たちには絶望してもらいます」

ロンが獣人へと姿を変える。

ロン「破壊神ではなく、私が自ら世界を滅ぼしてあげましょう……」

ロンが上空から雷撃を繰り出す。

一同「うわああっ!!」

レッド「世界を滅ぼす……だって?」

町が破壊される。

スクラッチ社

真咲美希とバエがコンピューターを確認。

美希「みんな、大変よ!」

バエ「町にロンが襲来、攻撃、大炎上です!」

イエロー「止めるわよ。みんな!」

ブルー「行こう」

バイオレット「うん!」

レッド「ああ……」

するとレッドたちの体から臨気が放出される。

バイオレット「レツ、それは?」

3人は倒れ、変身が解除。漢堂ジャン、宇崎ラン、深見レツの姿に戻る。

バイオレットとチョッパーがジャンたちに駆け寄る。

3人が辿り着いたのは燃えたはずの臨獣殿だった。

そこでリンシーたちが特訓をしていた。

ラン「私たち……どうしちゃったの? ここは、臨獣殿……」

ジャン「んなわけない。臨獣殿は全部燃えたんだ……」

レツ「待て……どうも妙だな……」

レツがリンシーに触れるとそれが透けてしまう。

ジャン「スカスカだ」

レツ「多分、この世界は……僕ら3人が共通して見ている、夢のようなもんなんだ……」

ラン「夢?」

レツ「ああ。ここはきっと、イメージの中の臨獣殿さ……」

現在

シャーフー「おそらく、理央が残したリンギ・全臨伝授が作用しておるのじゃ……」

バイオレット「理央のリンギが?」

シャーフー「うん。我らに道を示してくれているのかもしれん……」

チョッパー「道って?」

シャーフー「ロンを倒す道じゃ」

そこにいるのは死んだはずの理央とメレだった。

ジャン「理央、メレ……」

2人は臨獣殿の中に入っていく。

レツ「ついて来いって言ってるのか?」

ラン「行きましょう……」

ジャン「うん!」

現在

チョッパー「ロンを倒す道?」

バイオレット「なら話は早い。こいつらが気を取り戻すまで、俺とケンが世界を守る!」

チョッパー「押忍! 守るぜ!!」

一方、町ではロンが破壊の限りを尽くしていた。

ロン「うーん。人間は、もう終わりです……ふふふ、ははは……」

そこへチョッパーとバイオレットが駆けつける。

チョッパー「勝手に決めんじゃねぇっ!!」

バイオレット「刺激、俺流……我が意を尽くす。アイアンウイル・ゲキバイオレット!!」

チョッパー「才を磨いて、己の未来を切り開く。アメイジングアビリティ・ゲキチョッパー!!」

ロン「うるさいですねぇ……お前たちにはせっかく、人間が全部滅んだ世界を見せてようと思っているのに。焦らなくても、そのあとで消してあげますよ」

バイオレットとチョッパーがロンに挑む。

一方、ジャンたちは臨獣殿の中に連れて来られた。

するとジャンの拳魔の腕輪が輝きだす。

「よくきた、獣拳使いの同志たちよ……」「ここは……すべてのリンギが眠る場所。リンギを身につけんとするものよ、扉は開かれ……」「我らの究極秘伝リンギを授けよう……」

レツ「この声……」

ラン「マク……カタ……ラゲク……三拳魔だわ……」

三拳魔が動きを取り始める。

現実世界

バイオレットやチョッパーとロンの戦いが続いていた。

ロン「私の相手になれると思っているのが、考え違いもはなはなしいですね……」

ロンが反撃。

ロン「わかりました。まずはお前たちから消し去ってあげましょう……」

ロンが幻気を放出。

チョッパー「なんつう、幻気だ……」

臨獣殿ではジャンたちが秘伝リンギの修行に励んでいた。

そしてついに2人の変身は解除。深見ゴウ、久津ケンの姿に戻ってしまう。

ロンの足が2人を踏みつける。

ロン「あなたたちにはもう面白い所は一欠けらも残っていない。だからこれで、お別れです……」

すると7本の布がロンを巻き上げ、引っ張る。

ゴウ「これは……」

ケン「マスター・シャーフー……それに……」

これを繰り出したのは七拳聖だった。

エレハン「エレファント拳・エレハン・キンポー!!」

リー「バット拳・バット・リー!!」

シャッキー「シャーク拳・シャッキー・チェン!!」

ゴリー「ゴリラ拳・ゴリー・イェン!!」

ミシェル「ペンギン拳・ミシェル・ペング!!」

ピョン「ガゼル拳・ピョン・ピョウ!!」

シャーフー「フェリス拳・シャーフー!!」

拳聖「我ら、獣拳七拳聖!!」

ロン「戦いの身の上で、今更なぜここに?」

シャッキー「獣拳だからだ!」

リー「我らは、お前さんのように1人じゃない!」

ゴリー「ピンチに掛け合い、助け合うのが獣拳なのだよ」

ロン「バカバカしい……助け合いなど、苦痛を長引かせる愚かな手段に過ぎない。それに不老不死の私と違ってお前たちはただの不老……殺せば死ぬ身ではありませんか」

エレハン「それがなんだってんだよ! 可愛い弟子をいじめる奴は容赦しないゾ」

ミシェル「そうよ。私たちはかつて、マスター・ブルーサに守られ、導かれたように……」

ピョン「俺たちも、力を貸すのさ!!」

ロン「面白くない上にくだらない……では、仲良くくたばりなさい。私から手向けて!!」

ロンの突風が拳聖を吹き飛ばす。

ゴウ・ケン「マスター!」

ロンの雷撃がゴウたちを襲う。

ロン「全く何のためにやってきたのか……」

シャーフー「これでいいんじゃ」

ロン「何ですって?」

シャーフー「やっと、間に合ってくれたわい……」

ロン「ん?」

振り向くとそこにいたのは臨獣殿から戻ってきたジャンたちだった。

ロン「お前たち……ふっ。今更のこのこと顔を出したところで、何ができるというのです?」

レツ「僕らは……臨獣拳のすべての技を受け継いだ!」

ラン「そして今、正義の心でリンギを使う!」

ジャン「俺たちの体に、ゲキ獣拳と臨獣拳の獣拳使い全員のアツアツのグラグラが溢れてるんだ!! 今の俺たちに……できないことなんてない!!」

一同「たぎれ、獣の力! ビースト・オン!!」

ジャンたちが最後の変身を遂げる。

レッド「体にみなぎる無限の力! アンブレイカブルボディ・ゲキレッド!!」

イエロー「日々是精進、心を磨く! オネストハート・ゲキイエロー!!」

ブルー「技が彩る大輪の花……ファンタスティックテクニック・ゲキブルー!!」

一同「燃え立つ激気は正義の証! 獣拳戦隊ゲキレンジャー!!」

レッド「行くぞ! 超トライアングル、バリバリだ!!」

3人はジャンプしてロンに挑む。

レッド「はあああっ!!」

3人の拳法がロンを押し倒していく。

今までの苦闘を経、3人は最強の獣拳使いに成長を遂げたのだ。

ロン(何が……何があったというのだ? 奴らの動き、技……迫力が違う……)

3人の拳法が続く。

ロン「ぐわああっ!! ふふふ……だがいくら攻撃が決まったところで、私を破壊することはできない。どうするつもりです?」

レッド「こうするつもりだ!」

レッドたちが妙な動きを取る。

エレハン「あーっ、あの構え! 俺ちゃん、知ってるゾ」

シャッキー「僕ら全員食らったことがありますから」

3人の手から臨気が放出。

それがロンに浴びせられる。

ロン「利きませんねぇ……私を破壊することはできないと、何度言わせるんです?」

イエロー「別に破壊することはないって、気づいたのよ!」

ブルー「そうさ。これからは不死のみを呪うことになる!」

レッド「ロン! この技はお前を封じるために生まれたんだ!!」

シャーフー「そうじゃ。これは、この技は……」

一同「獣拳奥義・慟哭丸!!」

3つの光がロンを吸収。

ロン「バカな……」

ブルー「獣拳は、正義の拳!」

イエロー「正しき者は、必ず勝つ!!」

レッド「ロン! これが……獣拳の力だ!!」

ロン「ふざけるな……永遠の闇に封印するつもりか? 幻獣の長である、この私を!!」

ロンの姿が慟哭丸へと変わる。

ケン「やりやがった……」

ゴウ「参ったぜ……」

レッド「やったぁ!」

ケン「レツ! ランちゃん!!」

シャッキー「ジャン!」

一同が歓声を上げる。

ケン「レツ!」

ゴウ「お前ら、みんな……最高だ!!」

レッド「ゴウ、泣いてんのか?」

ゴウ「泣いてねぇ!」

そんな中、シャーフーが慟哭丸を拾う。

シャーフー「永遠の闇に1人……面白いことなど1つもないじゃろう……」

スクラッチ社

エレハンとシャッキーがビリヤードをしていた。

台の中に慟哭丸があった。

エレハン「ナイスブレイク!」

シャッキー「1個も入らずだ」

エレハン「こりゃスーパーミラクルラッキーチャンスだもんねぇ!」

レツ「あーっ!」

レツはとっさに慟哭丸を手に取る。

レツ「何やってるんですか! これ、ロンですよ!?」

エレハン「大丈夫大丈夫。慟哭丸の封印はそんなに簡単に解けたりしないもんねぇだ!」

レツ「そういう問題じゃなくて……」

エレハン「そういう問題です!」

ミシェル「ミシェル特性ゴマ団子よ! 召し上がれ!!」

ジャン「わあーっ。団子だ団子!」

レツ「あ、かわい子ちゃん!」

エレハン「え、どこどこ? っているわけないし……」

慟哭丸がゴマ団子の中に転がる。

ミシェル「ゴリーもどう?」

ゴリー「いただこう……」

ゴリーが食べたのは慟哭丸だった。

ミシェル「わっ! それロンよゴリー!!」

ゴリー「ん? うっ……」

ゴリーが喉をつめる。

ピョン「そういう時は、鳩尾をけるんだ!」

ピョンがゴリーを膝蹴りする。

リー「全く……」

リーが背中を押すと慟哭丸が出てきて湯飲みの中に入る。

2人「ナイスショット!」

レツ「こら!」

美希は慟哭丸をふき取る。

バエ「これがロンの成れの果てですか。まさか突かれたり食われたりするとは思ってなかったでしょう……」

シャーフー「さて、この慟哭丸、どうするべきか……」

美希「おもちゃにするようなことがあっては困ります」

シャッキー「怒られちゃった……」

ケン「あ! いっそのこと、ハンユンさんの店に売っ払っちまえば……いたっ!」

リー「彼女に迷惑をかけることは、この私が許さん!」

シャッキー「怒られてやんの」

美希「二度とロンが復活することがないように、厳重に保管しないと……」

バエ「ええ」

ゴウ「金庫にでもしまうか? それとも、他の方法を……」

ジャン「俺が持つ!」

一同「え?」

ジャン「慟哭丸……持つ!」

ケン「ジャンが持つったってお前……いつか年取って、ヨボヨボの爺さんになっちまうんだぜ? そん時どうすんだよ!?」

ゴウ「そうだ! ロンは不老不死だ。先のことまで、考えるべきなんじゃないのか!?」

ラン「大丈夫よ」

レツ「そうさ。だって……」

ジャン「俺たち、ズンズンだから!」

2人「うん!」
 

三ヶ月後
 

子供たちが突きの特訓に励んでいた。

それを教えるラン。

ラン「突きこそ基本。魂こめて……わかった?」

子供たち「はい! マスター・ラン!!」

ラン「じゃああと千回。行くわよ!」

子供たち「突きこそ基本! 魂こめて!!」

横ではレツが舞の稽古を教えていた。

それを見て感心する真咲なつめ。

なつめ「ジュワーンよ、マスター・レツ! さすが……」

レツ「よし。そのジュワーンを忘れないように……そして、いつか自分も誰かに、ジュワーンって感じてもらえるように、がんばるんだ!」

なつめたち「はい!」

それをシャーフーと美希が見ていた。

美希「あの子たち、あんなことを言うようになるなんて……」

シャーフー「うん……」

3ヶ月前の回想

ジャン「だってさ、獣拳は……ずーっと、ずーっと……ズンズン受け継がれていくんだろう?」

ラン「師匠が弟子に……その弟子がまた師匠になって、新たな弟子に……」

レツ「だったら、慟哭丸を守る役目も、正義の心も、一緒に受け継いでいけばいい……」

ジャン「ズンズン! 獣拳はズンズン続いていく……」

美希「うん……」

シャーフー「うん……」

現在

美希「1人1人が、獣拳の絆を見合って、長き絆を作っていく……それこそが、獣拳の心理の1つ……」

シャーフー「あやつら……ワシが口に出して教えずとも、いつの間にか自然と身につけておった。いまや、立派な獣拳のマスターじゃよ……」

美希「ええ……」

そこへ慟哭丸をぶら下げたジャンが現れる。

ジャン「ラン、レツ!」

レツ「ジャン!」

ラン「そっか。もう出発するんだ……」

ジャン「おう」

レツ「兄さんもジャンも旅とか言って、気楽だよな……」

ジャン「何だレツ、泣いてんのか? メソメソか!?」

レツ「バカ言うな! 僕らが留守を守るから、お前が旅立てるんだからな……」

ジャン「わかってる」

レツ「スクラッチのことは任せてくれ。しっかりな……」

ジャン「おう! 俺たちの獣拳が、新しい使い手に出会うたびだ。すげーぞ! ニキニキの上の、ニカニカの旅になる! 」

ラン「世界中の子供たちに、獣拳を教えてあげてね……私が、ジャンから教わったみたいに」

ジャン「ん? 教えたっけ!? 俺……」

ラン「いっぱい教わったわ。でも、これからも学んで変わっていくつもり……知らないことも、やってないことも、いっぱいあるんだもの!」

ジャン「そっか。まだまだ……いっぱい、いっぱいか。いいな!」

レツ「もっともっと強くなろうぜ!」

ラン「うん。離れてても、トライアングルは永遠よ!」

ジャン「おう!」

3人はそれぞれ拳を合わせる。

ジャン「俺たち……バッチリだ!」

ラン・レツ「うん!」

美希・シャーフー「うん……」

ジャン「美希、猫! 今までサンキューな!! ちょっと行ってくる」

美希「行ってらっしゃい」

シャーフー「行っといで」

なつめ「行ってらっしゃい。マスター・ジャン!」

ジャン「おう!」

一方、ケンはゲキバズーカの調整をしていた。

エレハン「ほいほいーっと! 次はゲキハンマーの修理だぞ。働け働け! 工場長の命令は絶対だぞ」

ケン「働いてんじゃねぇか……人使いが荒らすぎんだよこの象さんはよう! ストライキだストライキ。働かない、働かない!」

エレハン「なんちゅう言い方すんだよ!」

ケン「工場長だからって、この際言わせてもらうけど……」

そこへケンの妹・久津幸子がやってくる。

幸子「もう、お兄ちゃんも工場長もやめてください!」

しかし、2人はケンカをやめる気配はない。

幸子「いい加減に、しろ!!」

幸子の拳が2人に当たる。

2人「はい……」

そこへジャンがやってくる。

ジャン「楽しそうだな」

ケン「おお。もう出発か!?」

ジャン「おお!」

ケン「ぜってーいい旅になる。俺が保障するぜ……お前いい加減だけど、いい奴だからな!」

ジャン「お前もな。ケン!」

ケン「あとな!」

ジャン「なんだよ?」

ケン「旅先で可愛い子がいたら……」

エレハン「可愛い女の子!?」

幸子がエレハンの耳を引っ張る。

ケン「俺が言いたいことは、それだけだ」

ジャン「押忍!」

一方、ゴウが森をさまよっていると、ジャンと遭遇する。

ジャン「ゴウ!」

ジャンがゴウにりんごを投げる。

ゴウ「ジャン!」

ジャン「旅どうだ? ゴウ……」

ゴウ「風任せ、バエ任せさ……」

バエ「はいはーい! 私、任されてございまーす! うれしい喜び……ブーン!」

ゴウ「旅の中で、俺がさまよってた時間を、取り戻したいと思ってな……」

ジャン「そっか……もう迷うなよ!」

ゴウ「参ったぜ……ジャン、お前はどこへ?」

ジャン「どこでもいいんだ。グイグイ進めば……それが俺の道になるから!」

ゴウ「そっか。またな……どこかでな」

バエ「またお会いしましょう!」

ジャン「おう! さてと……」

ジャンは旅を目指して前に進む。
 

香港
 

ここでジャンが子供たちに拳法を教えていた。

ジャン「どうだ。ワキワキだろ?」

子供たち「ワキワキ!?」

ジャン「そうだ。獣拳、ワキワキだ! この気……理央!」

しかしそこにいたのは幼い理央によく似た少年だった。

ジャン「びっくりした……俺、おまえにすげー似たやつ知ってんだ。間違えた!」

少年「……?」

ジャン「そいつさ……いつも、こういうのとラブラブで、ほんで……俺の、最高のムニュムニュで……また、戦う約束してんだ!」

少年がジャンの拳と自分の拳を合わせる。

ジャン「お前も獣拳、やるか!?」
 

劇終
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