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さらば仮面ライダー電王 ファイナルカウントダウンのエンディング


江戸の町。
象が江戸にやってくるという日、町中は見物人たちであふれている。

「ようよう、どんなもんが来るんでぇ?」「わかんないんだよ」

汽笛が鳴り響く。

「何だ、ありゃあ!? おい!」「おぉ!?」

光とともに、空からデンライナーが飛び出す。
地面に敷かれる線路の上に、デンライナーが着陸。

あっけにとられる人々から、やがて大歓声と拍手が送られる。

「長いんだね、象って!」
「凄いんだねぇ〜、象って」
「でかいだけじゃねぇ、長ぇ……!」


ナオミ「いいんですかぁ? 象だと思ってますよ」
オーナー「仕方ありませんよ。象が暴れて、引き返してしまったんです。この騒動を感じ取ったんでしょうねぇ〜。敏感ですから」
リュウタロス「あぁ、お姉ちゃんのそっくりさん!」

建物の2階から、愛理そっくりの女性・お雪が拍手を送っている。
はずみで髪からかんざしが抜け落ち、地面へと転がる。
慌てたお雪が建物から出て、人混みをかきわけてかんざしを捜す。

深編み笠をかぶった1人の侍が、かんざしを差し出す。
お雪がかんざしを受け取り、心を奪われたようにしばし、見つめ合う。

リュウタロス「あぁ〜!? 何、あれぇ!?」
ウラタロス「そうか! このイベントであの2人が出逢って、それが良太郎の先祖ってことかも?」
良太郎「え……?」
オーナー「なるほど。それを、特異点である良太郎くん本人に、消させるつもりだったんですねぇ〜。自分で自分を消滅させれば確かに、時間がひっくり返るほどの破壊力はあります」
コハナ「そっか! じゃ、あの人たちが良太郎に繋がって、それから……」

一同が幸太郎のほうを振り向く。
みんなの視線を一斉にあびた幸太郎が、慌てて目を背ける。

江戸の人々の拍手を後にし、デンライナーが空へと飛び立って行く。


改めて幸太郎と対峙する良太郎。

良太郎「なんか…… 変な感じだね。孫とかって実感、沸かないし……」
幸太郎「こっちだって。あんま、爺ちゃんと会ったことないし……」
モモタロス「あぁ!? なんだよ、それぇ!?」
ウラタロス「それでよく、あそこまで悪く言えたねぇ!? 怨みがあるとか」
幸太郎「だって! 運が悪いのは爺ちゃん譲りだって言うし、『それでも爺ちゃんは強かったからお前も見習え』って親父がうるさいし、だいたい……俺の名前つけたの、爺ちゃんだし」
キンタロス「『幸太郎』なんて、えぇ名前やないか」
幸太郎「な、何言ってんだよ!? 俺の時代じゃ『幸太郎』なんて……」
テディ「この時代で言えば……」
幸太郎「おい!」

慌てて口をつむぐ仕草をするテディ。オーナーがニヤリと笑う。

テディ「……『田吾作』だ」
良太郎「プッ!」
一同「アッハハハハハハ!!」
幸太郎「ほらぁ! 幼稚園の頃から、自己紹介のたびにこうなんだよぉ!」
モモタロス「ハハハ、そりゃちょっとキツイなぁ! けどまぁ、諦めろ」
キンタロス「良太郎のセンスは泣けるからなぁ!」
良太郎「そんな……」
幸太郎「……」
良太郎「ごめん。じゃ、その名前付けないようにする」
幸太郎「いや、いいよ。今は……いいって気がする」

良太郎が笑い、幸太郎もクスリと笑う。

ナオミ「間もなく…… 幸太郎ちゃんの時間に到着します」
モモタロス「じゃあな、幸太郎」
キンタロス「またな」
リュウタロス「バイバイ!」

オーナーは穏やかに、コハナは頬杖をつきつつ笑顔を送る。
テディが深々と頭を下げる。
ジークはコーヒーカップを手に、優雅な仕草で別れを告げる。

ウラタロス「じゃあね♪」

良太郎「逢えて良かったよ。僕たちの時間が、未来にずっと繋がってくんだって思えた。っていうか、もう……」
幸太郎「?」

良太郎「新しい時間は、始まってる」

笑顔で手を差し出す幸太郎。良太郎がその手を、しっかりと握り返す。

一同に背を向ける幸太郎に、テディが続く。
かすかに一同を振り返りつつ、車内を後にする幸太郎を、良太郎たちが手を振って見送る。


デンライナーが現実空間に出現し、地上に降り立つ。
地上に幸太郎とテディを残し、再び空へと舞い上がる。

彼方へと飛び去って行くデンライナーを、幸太郎は手を振って、テディは丁寧に頭を下げて見送る。

ベンチに座っている、白髪の老人。

幸太郎「ただいま、爺ちゃん。それから……ありがとね!」

銀色に輝く建物の立ち並ぶ未来の町並みの中へと、幸太郎たちが帰って行く。


時の彼方へ走り去っていくデンライナー。

どこからか、1枚の瓦版が舞う。
江戸時代の人々が象を見物している絵。
大勢の人々に囲まれた像の姿が、デンライナーの姿に変わる──


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