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最強ロボ ダイオージャの最終回


(ナレーション)
最後の訪問地ポナンザ星を訪れたミト王子を待ち受けていたのは
家老デスバンのもと、世直しに立ち上がった若者たちであった。
しかしデスバンの真の目的は、自分がイプロン系の王の座に就くことにあった。


みんなが王子を
     待っている
 後編


悪徳家老デスバンを倒すため、ポナンザ星の城に乗り込んだミト王子たち。
迎え撃つ兵士たちをなぎ倒しつつ、デスバン目掛け突き進む。

兵士「出会え〜! 曲者だ〜!」
スケード「シノブさん、ここは我々に任せて、早くバルジャン様を!」
シノブ「デスバンの部屋は、この先です!」
兵士「待て〜い!」
カークス「邪魔するなぁ!」


デスバンの部屋。
部下のバレルが状況を報告している。

デスバン「何だと、大胆にも向こうから!?」
バレル「間もなくここへ……」
デスバン「感づかれたか、計画が……」
部下「いかがいたします?」
デスバン「うぅ……人質だ! 人質を連れて来い!」
バレル「ははっ!」


廊下を走る王子、スケード、カークス。
目の前に兵士たちが待ち受ける。

スケード「坊ちゃん、こちらへ!」


バルジャンたちが捕らえられている牢屋。
バレルと兵士たちが銃を手に、バルジャンとジンナイ、そしてデスバンにより王子暗殺役に仕立て上げられていた若者を連行する。

バルジャン「ぶ、無礼者〜!」
バレル「うるさい! おとなしく来んか」
バルジャン「わしを誰だと思っておる!」
バレル「えぇい、さっさと歩け!」

そこにシノブが登場、バレルや兵士たちを次々に倒す。
最後の1人の兵士を、ジンナイが締め上げて気絶させる。

シノブ「遅くなりました」
バルジャン「若はどうした?」
シノブ「スケさんたちと、デスバンのところへ」
バルジャン「よぉし、こっちはわしに任せて、お前は若者たちを助けぃ!」
シノブ「若者?」
バルジャン「代官舎に捕らえられているこの若者の仲間たちが危ないんじゃ!」

兵士の1人が息を吹き返し、逃げ出す。

シノブ「あっ!」
バルジャン「ぐずぐずするな、シノブ!」


デスバンの部屋。
先ほど逃げ出した兵士が、状況を報告する。

デスバン「何、人質を奪われたと!?」
兵士「も……申し訳ありません……」
デスバン「むぅ……こうなったら仕方ない、ミト王子を叩っ斬れ! わかったか!」
部下たち「は、はい!」


城の外。
王子たちとバルジャンが合流する。

バルジャン「若〜!」
王子「バルジャン!」
バルジャン「若〜ご無事でしたか!」
王子「シノブさんは?」
バルジャン「若者たちを助けに行かせました」
王子「そうか、よおし!」

兵士たちが追ってくる。

兵士「いたぞ、かかれ!」
スケード「危ない、こっちへ!」

王子たちが兵士たちから逃げる。
しかし、目の前に兵士たちの巨大ロボが立ち塞がる。
背後には大勢の兵士たち。完全に囲まれてしまう。
頭上のベランダから、デスバンが部下2人を従えて王子たちを見下ろす。

デスバン「ハハハ、これまでだなミト王子。ハッハッハ!」
バルジャン「あれはデスバン!」
王子「あいつが!」
デスバン「フフフ、飛んで火にいる夏の虫とはお前たちのことだ。秘密を知られた以上、生かしては帰さん!」
スケード「おのれぃ、身の程知らずが!」
デスバン「うるさぁい! 覚悟しろ! 撃てぇ、撃てぇい!!」

銃撃が響き、王子たちがあわてて地に伏せる。

王子「駄目だ、僕たちもロボットで戦うぞ」
スケード「はい!」
王子「カクさん!」
カークス「おぅ!」
王子「クロス・ソ──ド!!」

エースレッダー、アオイダー、コバルターが飛来。王子たちが乗り込む。

デスバン「馬鹿者、何をしておる! 撃てぇ!」

エースレッダーら3体と、デスバンの部下のロボットとの戦いが始まる。
城壁が砕けて瓦礫が地に降り注ぎ、バルジャンたちが逃げ惑う。

バルジャン「ぎょわ〜っ!」
王子「スケさん、カクさん、ここから離れろ! バルジャンたちが危険だ!」
スケード「わかりました!」

エースレッダーらが飛び去る。

デスバン「逃がすか! お前たちも行けっ!」
部下たち「はっ!」


城から遠く離れる王子たち。
デスバンのロボットたちが追ってくる。

王子「来たな!」

人里離れ、遠慮なく戦いを繰り広げる3体。
瞬く間に部下たちのロボットが一掃される。

スケード「片付きましたね、坊ちゃん!」
カークス「ははっ、どんなもんだい!」
デスバン「喜ぶのはまだ早い!」
王子「あぁっ!?」

デスバンの乗るロボットが、部下たちのロボット2体を従えて現れる。

デスバン「ワッハッハ! ミト王子、もうお前たちの時代は終わったのだ!」
王子「だまれデスバン! 善良な人々を欺き、武器を取らせ、己の野望を満たさんとするその性根、許しがたい!!」
デスバン「でかい口を叩けるのも今日が最後だ!」

部下たちのロボットが剣を抜く。

スケード「坊ちゃん!」
王子「よぉし! 行くぞ、スケさん!」
スケード「おぅ!」
王子「カクさん!」
カークス「おぅ!」
王子「クロース・トライアーングル!!」

エースレッダー、アオイダー、コバルターが合体。ダイオージャが完成する。

王子「ダイオ──ジャァ!!」

デスバンが部下たちのロボットをダイオージャに仕向ける。

デスバン「かかれっ!!」
部下たち「おぅ!」
王子「雷鳴──剣!」

ダイオージャが必殺剣・電光雷鳴剣を抜き、戦いが始まる。

王子「おりゃぁーっ!!」
部下「うわぁーっ!!」

2体1のハンデを跳ね除け、ダイオージャが部下のロボット1体を斬り捨てる。
その様を恐れ、もう1体がおずおずと後ずさりする。

デスバン「馬鹿者! 何をしておる!」
部下「し、しかし……パワーが段違いです」
デスバン「2体でかかってそのザマは何だ! 早く片付けてしまえぃ!」
部下「駄目です、かないっこありません!」
デスバン「貴様ぁ、俺の命令に逆らうか!」
部下「い、いやだ! 死にたくない!」
デスバン「おのれ、この期に及んで怖気づいたか! もうお前などに用はない!」
部下「うわぁーっ!!」
王子「あぁっ!?」

デスバンのロボットが指からビームを放ち、部下のロボットを破壊する。

カークス「何て奴だ……」
スケード「じ……自分の部下を!?」
王子「うぅ……ひどいっ……」
デスバン「フフフ、お前たちもああなるのだ!」

デスバンのロボットが剣を抜く。

デスバン「ミト王子、覚悟!」
王子「来い!!」

「待てぇー、デスバン! そいつの前に、俺が相手だ!!」

1体のロボットが現れる。

王子「き、君は!?」

シノブが、捕えられていた若者たちを連れて駆けつける。
現れていたロボットに乗っているのは、王子暗殺を企んだ若者たちの1人、デイグであった。

デイグ「ミト王子、俺たちはお前が憎い! だが、俺たちを騙し利用したデスバンはもっと憎い! お前を倒すのはその後だ!」
デスバン「何だと!? 貴様も裏切るのか!」
デイグ「黙れ! お前の魂胆はわかっている! くらえ!」

デイグのロボットが銃を放つ。
しかしデスバンはそれをものともせず、デイグのロボットの腕を斬り捨てる。

デスバン「それでは貴様から始末してやる!」
デイグ「く……くそっ」
王子「待てっ!」

デイグに迫るデスバンの前に、ダイオージャが立ち塞がる。

王子「君たちとは後で話そう! こいつは僕が倒す!」

再びデスバンと対峙するダイオージャ。
足元では、槍を手に暴れるバルジャンを、ジンナイが必死に抑えている。

ジンナイ「いけません、旦那様!」
バルジャン「えぇい離せ! 離さんか! 離せ! この一大事にじっとしてはおれんわい!」
ジンナイ「駄目ですよ! 足手まといになるだけです」

ダイオージャとデスバンの激闘が続く。
その実力は互角。ミト王子、デスバン、双方とも大きく息を切らす。

ダイオージャが突進。
渾身の雷鳴剣が、遂にデスバンのロボットの腹を突く。
しかしデスバンの剣も、ダイオージャの肩を割る。

シノブ「あぁっ!?」

ダイオージャの操縦席に、デスバンのロボットの操縦席にも火花が飛び散る。

カークス「おわっ!?」
王子「あ……あぁっ」

最後の力を込め、ダイオージャの剣がデスバンのロボットを切り裂く。
デスバンの左手から鉤爪が飛び出し、ダイオージャの胸を貫く。
ミト王子の操縦席にスパークが飛び散る。

王子「ああ──っ!!」
シノブ「あぁっ!?」

大爆発。

無数の部品が飛び散り、そして、電光雷鳴剣が大地に突き刺さる……。

バルジャン「わ、若ぁ!?」
シノブ「坊ちゃん!? 坊ちゃーん!!」

火柱の中、足音が轟く。
炎の中から現れた巨大な影。

ボロボロとなったダイオージャである。

デスバンは敗れ去り、ダイオージャが勝利したのだ。
シノブの顔が笑顔に変わる。

シノブ「あぁ……」
ジンナイ「若様! 若様!」

王子の無事を見届けたバルジャンが、そのまま気を失う。


ダイオージャが、倒れているデイグのロボットに歩み寄る。

王子「デスバンは倒した……あとは、僕と君たちだ」

デイグが王子を睨み続けている。

王子「君たちの言いたいことはよくわかる。僕も、できれば……身分制度などない方がいいと思っている」
デイグ「えぇっ……!?」
王子「それでもまだ僕を憎んでいるのなら仕方ない!」

ダイオージャが、地に落ちた雷鳴剣を指す。

王子「その剣を取りたまえ!!」

デイグ (こいつが……こいつが俺の憎んでいたミト王子か……!?)

デイグががっくりとうなだれる……。


夕暮れ。

ミト王子がポナンザ星の景色を眺め、想いを馳せている。
背後では、宇宙船ポウ号が出発の準備を進めている。

スケード「坊ちゃん、そろそろ出発しますよ!」
王子「あぁ、今行くよ!」

王子がポウ号に乗り込もうとしたとき。
デイグら若者たちが現れる。
その目に、もはや憎悪の色はない。

王子「君たちは……」
デイグ「俺は……デイグって言うんだ。君を信じるよ」
王子「えぇっ!」
デイグ「エドン国の王子なんて……俺たち庶民のことなんて少しも考えたことのない奴だと思っていた。でも、君は違っていた……」
王子「いや……僕が君たちなら、やっぱり同じように考えたと思うよ」
カークス「坊ちゃんてばぁ! 何してるんです?」
王子「今行くよ、カクさん!」

ポウ号に乗り込む王子。

王子「じゃあね! ありがとうデイグ、これからの僕を見ていてくれ!」

ポウ号が飛び立つ。
デイグと若者たちが、笑顔で手を振る。


エドン国の王城。

「おーい!! 王子様がお帰りになったぞー!! ミト王子様がお戻りになったぞー!!」

知らせを聞いた家臣たちが沸き返る。

「王子様が!?」「若様が戻られたそうだ!」「そうかそうか!」


王室で王子たち一行が、父トクガー国王と王妃に帰還を報告している。

王子「父上、母上、只今戻りました」
王妃「エドワード、しばらく会わぬ間に立派になりましたね……」
国王「スケード、カークス、バルジャン、そしてジンナイ。その方たち、真にご苦労であった。礼を言うぞ」
一同「ははぁっ!」
王妃「シノブ、あなたもご苦労でした」
シノブ「勿体無いお言葉……光栄に存じます」
国王「ところでエドワード、1年に及ぶ諸国訪問の旅、楽しかったであろう?」
王子「はい、色々なことがありました。楽しいことも沢山。しかし……」
国王「しかし……?」

笑顔だった王子の表情が、ふと厳しくなる。

王子「それよりもまず、僕自身が……人々からは特別な目で見られているということが、よくわかりました」
国王「うむ、それがわかったか。それでなくては今度の旅の意味がない」

意外な返事に驚く王子。
国王が玉座を立ち、王子の前に歩み寄る。

国王「人の上に立つ者が、ただ楽しいだけでおれるはずがない。もしお前が旅に出たときと同じようにはしゃいで戻ったならば、わしは当分の間、王位を譲らぬつもりでいた」
バルジャン「こ、国王様? ということは、この若に王位を!?」
国王「バルジャン、そなたの見たところではどうだ? まだ無理か?」
バルジャン「い、いえいえ、そのような! 若は今回の旅で、驚くほどのご成長ぶり!」
国王「スケード、そなたの意見はどうじゃ?」
スケード「はっ、私もバルジャン殿と同じです」
カークス「拙者も同様です! 王子は思いやりのある立派なお方になられました」
王子「ちょっと待ってよ! みんな、僕はまだそんな……」
国王「エドワード、良いか。わしは近い内に王の座を降りる」
一同「えぇっ!?」
バルジャン「し、しかし国王様! なぜまた急に!?」
国王「うむ。このことは王子を旅に出す前から考えておったのだ……これからはもう、武士だけの世の中ではあるまい。時代は変わるものだ」

国王が再び玉座に就く。

王子「父上!」
バルジャン「国王……」
国王「エドワード。このイプロン系の将来は、おまえ自身で決めるが良い。1年に渡る旅の経験をいかしてな」

王子の目が潤む。

王子「ち……父上……」


バルジャンの部屋。
古いアルバムを開きつつ、バルジャンが号泣している。

バルジャン「うぅっ、わしらの、わしらの時代もこれで終わりを告げるのか〜」

誰かがバルジャンの肩を叩く。

「どうした、元気を出さんか」
バルジャン「ほっといてくれ、ジンナイ、お前の神経でわしの気持ちがわかるか!」
「わかるぞ、バルジャン」

声に驚き、バルジャンが振り向く。国王である。

バルジャン「こ、国王!?」
国王「バルジャン……昔と違い、今は思いやりのある侍が少なくなった。多くの者が、身分制度を良いことに、私腹を肥やし、自ら侍の地位を落としておる。これも時代の流れかのう……」
バルジャン「ですが国王様、正義を愛する侍だって、必ずまだどこかに……」
国王「心が正しければ、どんな時代が来ようと恐れることはない。若い者を信じることだ。これからも王子を頼むぞ!」
バルジャン「国王様〜!」

バルジャンが国王に抱きつき、国王がバルジャンの頭を優しく撫でる。


王宮の庭。
池の淵にスケードとカークスが佇む。
カークスが池に小石を投げ込み、スケードは水面をじっと見つめている。

スケード「どうする、お主……」
カークス「どうするって……?」
スケード「ミト王子が王位に就いたら、侍制度は廃止されるだろう……そうなれば、俺たちは必要なくなる」
カークス「その時はその時だ。たとえそうなっても、王子が拙者たちを必要なら、どこまでもついて行くさ」
スケード「……そうだな……今の王子ならついて行ける。ついて行けるな……!」
カークス「貴公とは妙な縁で知り合ったが、できればまた、一緒に何かやりたいな」
スケード「うむ……」
王子「スケさーん! カクさーん!」

王宮から王子が駆けてくる。

王子「こんなとこで何してたの!?」
スケード「は!? な、何か……」
王子「早く支度してよ! また一緒に来てもらうんだから!」
2人「はぁ!?」
王子「それじゃ、いいね? 早くしてね!」

また王子が王宮に駆け込む。

スケード「あ? ちょっと、待って下さいよ!」
カークス「何だ? 一緒に行ってくれって……」
スケード「うむ……?」


王宮の一室。
シノブが旅支度をまとめ、ミト王子の写真が入った写真立てを見つめる。

シノブ「国王になられるのか……これからはもう、今までのように馴れ馴れしく話しかけられなくなるのね……」

写真を大事そうにスーツケースの中にしまう。

シノブ「でもいいわ……1年間の旅の間、女では私だけが王子様のそばにいられたんですもの。これからのことは、お城を出てから考えよ」
王子「シノブさーん!」

部屋に飛び込んで来た王子、シノブの旅支度に気づく。

王子「あ、もう支度してたんだね! そう来なくっちゃ!」

シノブが顔を赤らめ、慌ててスーツケースを閉じる。

シノブ「あ! あの、これは……」
王子「さすがシノブさんだね! 僕の考えてること、ちゃぁんとわかってんだよなぁ!」
シノブ「え!? あ、あの、私は……」

そこへスケードとカークスが、部屋を覗き込む。

スケード「王子様……?」
王子「あ、2人とも用意できた?」
スケード「いや、あの……何の用意か、その……」
王子「なぁんだ、まだなの? やだなぁ、シノブさんみたいに、パッとわかってくれなきゃ」
スケード「何のことでしょう……一体、あの……」
王子「決まってるじゃないか。また、旅に出る!!」

驚いてひっくり返るスケード、カークス。

スケード「えぇっ!? た、旅って……また、イプロン系の星々を回るんですか?」
王子「そうだ。でも今度は社会見学なんかじゃない。もう一度全部の星を回って、1人でも多く、何を望んでいるか聞くんだ!」
シノブ「王子様……! それじゃまた、私を……?」
王子「もちろんだよ! 嫌だなんて言わせないよ?」
シノブ「またご一緒に旅ができるんですね……!」
王子「スケさんたちもだよ!」
2人「は、はいっ!!」
王子「さてと……こうしちゃいられない、僕も急いで支度をしなくちゃ。それじゃ! 皆も早くね!」

あっという間に王子が部屋を飛び出す。
呆気にとられるスケード、カークス。
シノブが吹き出す。

シノブ「あはははは……!」
カークス「お……王子は、ちっとも変わらんな……国王になられると言うのに……ワハハハハ!」
スケード「アッハハハハハ!」

3人が腹を抱えて笑い合う。


王宮の廊下。

バルジャン「若〜!!」

王子を探し、バルジャンが駆け回っている。

バルジャン「若〜! 若〜! 若〜!」

轟音が響く。
慌ててバルジャンが外に出る。
宇宙船ポウ号が飛び立ち、国王、王妃、ジンナイが笑顔で手を振っている。

バルジャン「若〜! 若〜! 若〜! またしても、この爺を置いてけぼりに〜!」
ジンナイ「お体を心配して下さったんですよ、若様は……」
バルジャン「何を言うか! まだまだ若い者には負けんぞぉ!」
ジンナイ「足手まといになるだけですよ。いい加減に、お歳を自覚して頂きませんとね」
バルジャン「やかましいわい! それでは国王、これにてごめんつかまつる。若〜!」

バルジャンが城へ駆け込む。

国王「やれやれ仕方がない……ジンナイ、ご苦労だがまた頼むぞ」
ジンナイ「はい! かしこまりました……では」

ジンナイがバルジャンを追って行く。

ジンナイ「旦那様、待って下さ〜い!」
王妃「これからが、本当の旅ですね……」
国王「そうだな……」


ポウ号の中。
王子が工具を片手に、自分の座席の隣に、もうひとつ座席を取り付けている。

王子「さ、これで良し……ん……うん、大丈夫!」
スケード「何をしていらっしゃるんです?」

スケード、カークス、シノブがやって来、増設された座席に気づく。

カークス「あれ? どうしたんですか?」
王子「へへっ、これから……シノブさんには、ここに座ってもらうよ」
シノブ「えぇっ?……私が、お隣に……」
王子「うん……」
シノブ「……光栄に存じます、王子様!」
王子「王子様ぁ? どこにいるの、そんな人?」

とぼけた様子で、王子があちこち人を探すふりをする。

王子「王子様、お呼びですよぉ! 王子様ー?」
カークス「一体、どうしたんです? 坊ちゃ……あ!」

慌てて口をつぐむカークス。
しかし、王子はにっこりと笑顔を見せる。

王子「なぁに?」
カークス「い、いやその、つい癖が出てしまって……」
王子「カクさん、スケさん、シノブさん、今まで通りよろしくね!」

王子の気持ちを読み取り、笑い合う3人。

スケード「わかりました。また、そう呼ばせて頂きます!」
一同「坊ちゃん!!」
王子「はいっ!!」

「若〜!! この爺を置いて行こうったって、そうは参りませんぞ〜!」

ポウ号に追いすがる、バルジャンの宇宙船・バルジャン号。

バルジャン「これからのご予定はすべて、この爺が取り仕切りますぞ〜!」
王子「やれやれ、また当分の間、バルジャンのあの声を聞くのか……それじゃ、スケさん、カクさん、シノブさん!」
一同「はいっ!!」


バルジャン号の中で、バルジャンが煙管を吹かす。

スケード、カークスがポウ号の操縦桿を握る。

ミト王子が、旅先の大宇宙を見つめる。
その隣でシノブが、そっとミト王子の横顔を見守っている……。


(ナレーション)

あんな星にはあんな人
こんな星にはこんな人

幸せ見つけるその日まで
王子の旅はまだ続く

どこかの星で どこかの国で
めぐり会う日を楽しみに

みんなが王子を待っている


EDON

History of
EDON


(終)
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