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忍者戦士飛影(とびかげ)の最終回



もうひとつの扉



敵将アネックスの最期とともに消息を絶ったジョウ。マイクとダミアンが宇宙空間の捜索を続けている。

ダミアン「これだけ捜してもいないところを見ると…… それにあの爆発じゃあ」
マイク「冗談じゃないよ! あれぐらいで死ぬような兄貴じゃない、きっと生きてるよ! 兄貴──!」


宇宙船エルシャンク。ロミナたちのもとに、地球軍のローニンから通信が届く。

ロミナ「ジョウの捜索を中止ですって!?」
レニー「どうして!? ジョウは地球を救うために戦ったのよ! それなのに……」
ローニン「もちろん、それは主張した。しかし、4日も捜し続けて見つからないので、お偉方たちは『ジョウはすでに死んだのだろう』と……」
レニー「バカなこと言わないでよ! ジョウが死ぬわけないじゃない。マイクたちも、そう信じて捜索を続けているのよ」
ローニン「僕も信じている。だから、個人的には捜索を続けるつもりだ。だが政府は……」
レニー「地球の危機が去ったもんだから、『面倒なことはしたくない』って腹なんだわ。大人ってずるいんだから!」

レニーが司令室を走り去る。

ローニン「レニー、僕もすぐそっちへ行く。無茶はするなよ!」

ガメラン「姫! いつになったら、ラドリオ星へ戻るのです!? アネックスを倒した今、まず王妃を救出しなければ!」
ロミナ「わかっています。でも、ジョウがまだ…… それに、アネックスだって死んだかどうかは」
ガメラン「いえ、死んでます。あれだけの爆発で助かるわけがありません。ジョウだってもう、とっくに……」
ロミナ「ガメラン! ひどいことを言うのね。ジョウは、私たちのために戦ってくれたのですよ。それを…… 今、私たちにできることは、生存を信じて捜し続けることです。それが、ジョウへの恩返しではないでしょうか?」
ガメラン「姫様……」
シャフ「姫様、お気持ちは痛いほどわかります。でも、姫様が行かれてどうなります?」
ロミナ「シャフ……」


レニーは宇宙服に身を固めて単身、ジョウの捜索のために宇宙空間へ飛び出していた。

レニー (ジョウ、どこにいるのよ…… 早く出て来て。ジョウ、お願い。出て来て……)

宇宙船の残骸が散らばる中、気を失ったジョウが宙を漂っている。

レニー「あぁっ! ジョウ! ジョウ──!」

だがそこへ、ハザードが姿を現す。

レニー「あぁっ!?」
ハザード「フフフ…… 待ってたんだよ、お嬢さん」
レニー「ジョウ、ジョウ!」
ハザード「心配いらん、気を失ってるだけだ」
レニー「人でなし! 放っておくなんて!」
ハザード「それはひどいな。宇宙に漂ってるところを救出したのは私なんだよ。あのまま放っておいたら、とっくに酸素がなくなっていたさ。むしろ感謝してもらいたいくらいだよ。ま、その代りと言っちゃなんだが、囮になってもらったというわけさ。ハハハ」


エルシャンクに帰還したダミアンとマイク。

ダミアン「レニーが1人で?」
ロミナ「えぇ、てっきり一緒だとばかり思っていました」
マイク「まずいな。1人じゃ危険だよ」
ロミナ「捜しに行かせましょうか?」
ガメラン「もう少し待ってみましょう。そのうち戻ってくるかもしれない」

ダミアンがガメランを睨みつける。

ガメラン「な、何だ? 文句があるならはっきり言ってみろ!」

ダミアンの鉄拳が、ガメランの顔面に命中。

ガメラン「ぐわぁぁ!?」
ダミアン「なんで引き止めてくれなかった? 1人で外へ出て行くのが危険なことはわかっているのに」
ガメラン「貴様ぁ!」
乗組員「ガメラン様、たいへんです。ハザードから連絡が入っています」

通信スクリーンにハザードの姿が映る。その傍らにはレニーもいる。

一同「レニー!?」
ダミアン「ハザード、宇宙の果てに消えたんじゃなかったのか!?」
ハザード「見損なってもらっちゃ困るよ。あんなことで根を上げるハザード様じゃないわさ。わしには大きな望みがあるからな。あ、そうそう、ジョウとレニーを返して欲しければ、黒獅子(くろじし)鳳雷鷹(ほうらいおう)と爆竜をこっちによこせ」
マイク「兄貴は無事なのか!?」
ハザード「あぁ、無事だとも。だがお前たちの返事次第では、命の保障はできん」
レニー「言うことを聞いちゃだめよ! 私たちのことなら心配は……」
ハザード「うるさい! 2時間後に連絡する。それまで返事を待ってやるよ」

通信が切れる。

マイク「レニー!」
ロミナ「どうしましょう、ダミアン」
ガメラン「放っときゃいいんですよ。ヤツにはジョウもレニーも返す気はないんですよ」

またもやダミアンの鉄拳がガメランの顔面に命中。

ガメラン「ぐわぁっ!」
乗組員「報告します。今の通信を逆探知しました」
ダミアン「本当か!?」
ロミナ「どこです?」
乗組員「Z100ポイント、磁気圏の近くです」

ダミアンとマイクが駆け出す。後に続こうとするロミナが、ガメランに止められる。

ガメラン「姫、姫!」
ロミナ「離して、ガメラン! お願い!」
ガメラン「姫、もっと冷静になってください。姫が行ったところで、どうなるというのです!?」
ロミナ「わかっています! でも、じっとしていられないのです!」
ガメラン「いけません! それよりもほかに、やることがおありでしょう!」
ロミナ「命令です、離しなさい!」
ガメラン「イヤです!」

勢いあまって、ロミナが転倒する。

ガメラン「姫!?」

ロミナの王冠が床に転がり、部品がはずれ、中から小さなカードがこぼれ落ちる。

マイク「何だ、こりゃ?」
ダミアン「データカードじゃないか」
ガメラン「何だって?」
ロミナ「データカード……?」


ハザードの乗艦ファミールでは、飛影、零影の2機が回収されていた。

ハザード「ハハハ! こいつを自由にできれば、わしの野望もぐんと現実に近づく」
ドッグ「しかし、あの2体が手に入るとは想像もしませんでしたな」
ハザード「地球どころか全宇宙をも支配できるかもしれんな。いや、3体のマシンも手に入れば、きっと実現できるぞ。なぁ、ドッグ」
ドッグ「いや、ジョウもイルボラも一筋縄ではいきませんぞ。手負いの人食いトラは危険だといいます」
ハザード「なぁに、人食いトラだって檻の中じゃ、牙も使いようがなかろう」
ドッグ「たまに、檻を破って暴れることも……」
ハザード「あぁ、充分に考えられる。だから、そのときのための手は打ってある」

飛影と零影にそれぞれ、小型爆弾が据えつけられる。。

ハザード「人食いトラもライオンも、わしに牙を向けたらこうだ。カチッ!」

スイッチ操作で飛影と零影が大爆発する様子を想像するハザード。


艦内の一室で、ジョウが目を覚ます。傍らにはレニーが付き添っている。

レニー「ジョウ!」
ジョウ「レニー…… ここは?」
レニー「ハザードのファミール艦の中よ」
ジョウ「ハザードの?」
レニー「えぇ。私たち、ハザードのために…… ジョウ、それより体のほうは? 何ともない?」
ジョウ「少し、頭が痛むが…… 大丈夫だ」
レニー「良かったぁ! 5日間も眠っていたのよ」

レニーがジョウに抱きつき、涙を流す。

ジョウ「えぇっ?」
レニー「ジョウ、このままずっと目を開けないんじゃないかって、怖かったわ……」
ジョウ「レニー……」

ドアの外では、衛兵が銃を携えている。室内でレニーの悲鳴がする。

レニー「きゃあっ!」
衛兵「むっ?」

ドアを開けると、そこにはジョウが倒れている。

衛兵「ど、どうした!?」

すかさずジョウが起き上がり、衛兵にキックを見舞う。

衛兵「野郎!」

さらに衛兵の取り落とした銃をジョウが取り上げ、彼を殴りつけ、レニーとともに逃げ出す。


別の一室。イルボラが目を覚ます。

ハザード「気がついたか、イルボラ」
イルボラ「うぅっ…… ここは?」
ハザード「よく聞けよ、イルボラ。お前を助けたのは、この私だ。これからは命の恩人である、私の命令どおりに動いてもらうことになる」
イルボラ「状況はお前の有利なほうに動いているようだな、その様子では」
ハザード「もうお前の後ろにはだ──れもいなくなった。エクセレントと一緒に吹っ飛んでしまったよ。アネックスもな」
イルボラ「皇帝はすでにザ・ブーム星へお戻りになっている」
ハザード「フフフ、何も知らんようだな。ヤツは戻ったふりをして、近くに退避していたのさ。エクセレントの爆発に飲み込まれるところを、しっかりキャッチしておいた。なんなら見せようか? その映像を」
イルボラ「……」
ハザード「そういうことだ。今後のことは、あとでゆっくり相談しよう。ま、それより寝癖でも直したらどうだ? せっかくの色男が台無しだ」

ドアの向こうが騒がしくなる。
ハザードとドッグがドアの外を覗くと、大勢の兵士たちがどこかへと走っていく。

ハザード「見てこい」
ドッグ「はっ!」
ハザード「フン、どうせまた、若いのがケンカでもおっ始めたんだろう。女っ気がないから無理もないな。なぁイルボラ…… あ!?」

ハザードが室内を振り向くや、イルボラの蹴りがハザードに命中する。

一方でジョウとレニーも、兵士たちを蹴散らしつつ通路を突き進み、やがて飛影が回収されている格納庫へたどり着く。

ジョウ「飛影──っっ!!」

ジョウが飛影と融合。兵士たちが恐れおののき、逃げ始める。

ドッグ「逃げるな、攻撃しろ!」

しかし生身ではとても飛影に敵わず、ドッグも逃げ出す。
レニーも小型機を奪い、ジョウの飛影とともにファミール艦を脱出する。


エルシャンク。一同にローニンも加わり、ロミナ姫の王冠に隠されていたデータカードの解析が行なわれている。
スクリーンに、カードに記録されていた古文書の内容が映し出される。まず、飛影らしき姿。

シャフ「飛影のようですね」
ロミナ「えぇ」

続いて、零影の姿。

マイク「零影だ!」
ローニン「これは、あの忍者伝説!?」
乗組員「『善なる太陽と善なる月とが、鶴の鼓動を聞き集まるとき、新たなる力を蓄え』…… ここで切れています。もう半分、古文書があったと思われます」
ローニン「鶴は、エルシャンクのことだ。ということは……」
ロミナ「飛影、零影、それにエルシャンクを合わせると、今まで以上のパワーを発揮するということでしょうか」
ダミアン「超兵器かもしれない。それを知っていたアネックスが、飛影を欲しがったんだ」
ロミナ「超兵器……?」

声「ジョウだ!」「ジョウとレニーが帰って来たぞ!」

エルシャンクに帰還を果たしたジョウとレニーが、大勢の乗組員たちに迎えられる。

レニー「大丈夫、ジョウ?」
ジョウ「あぁ…… ちょっとふらつくけど、大丈夫だ」
マイク「兄貴──っ!」

マイクとダミアンが駆けて来る。

マイク「兄貴……!」
ジョウ「やぁ」
レニー「ごめんね、心配かけて」
マイク「兄貴! 俺、信じてたよ! きっと戻って来てくれるって!」
ジョウ「当ったり前だ。そう簡単にくたばってたまるかってんだ」
ダミアン「ちぇっ、少しぐらい参ってると可愛げがあるのにな。心配して損したぜ」
一同「あははははは!」

ロミナ姫もやって来て、ジョウたちを取り巻く人垣の外から、そっと様子を疑う。
仲睦まじそうなジョウとレニー。ロミナ姫が悲しげに、そっと去る。ジョウが気づき、後を追う。

レニー「ジョウ!?」

ロミナ姫が別室に駆け込み、扉を閉ざす。ジョウが扉の前へ駆けつける。

ジョウ「ロミナ姫! 心配かけて、どうも…… ちょっと開けてくれ!」

涙を流し始めるロミナ姫。

ロミナ「ごめんなさい、ジョウ。今まで色々と、ありがとう……」
ジョウ「え?」
ロミナ「私たちのために、あなたたちに随分迷惑をかけまして。でも、あとは自分の力で……」
ジョウ「俺たちに、エルシャンクを降りろって言うのか!?」
ロミナ「地球で平和に暮してください……」
ジョウ「ロミナ姫! とにかく、ここを開けてくれ!」
ロミナ「これ以上、あなたたちに危険な真似はさせられません。どうか…… 行ってください……」
ジョウ「ロミナ姫、本気なのか!?」
ロミナ「本気です……」
ジョウ「姫! 顔も見せないで、さよならか!?」
ロミナ「ジョウ…… ごめんなさい…… さよなら…… ──ジョウ?」

ドアを開ける。すでにジョウの姿はない。

ロミナ「ジョウ……」


天窓から見える星空を見つめつつ、寝転がるジョウ。そこへレニーがやって来る。

レニー「ジョウ」
ジョウ「……」
レニー「ジョウ、ラドリオ星に行くんでしょう?」
ジョウ「レニーは、どうする?」
レニー「……」
ジョウ「レニー?」

レニーが急に泣き出し、ジョウに抱きつく。

レニー「帰りたいわ! 帰りたい。私…… 火星に帰りたい!」
ジョウ「レニー……」
レニー「ジョウ……」
ジョウ「レニー……」

ジョウがしっかりとレニーを抱きしめる。

ともに星空を見上げながら寝転がる2人。

ジョウ「この前の戦闘で、俺は死にかけた。怖かったよ…… ラドリオ星も今、死にかけてる。だから…… 助けてやらなきゃと思うんだ」
レニー「ジョウ……」
ジョウ「ん?」
レニー「やっぱり…… ロミナ姫のこと、好き?」
ジョウ「好きだよ」
レニー「じゃあ…… レニーは?」
ジョウ「好きだよ……」
レニー「……私、行こうかな?」
ジョウ「え?」
レニー「ジョウと一緒に、ラドリオ星に」
ジョウ「本気か? 帰って来れねぇかもしれねぇぞ」
レニー「うん、いい。ジョウについてく。それとも、レニーが行っちゃ邪魔?」
ジョウ「それは……」

ジョウがレニーのほうを見返すと、レニーはじっとジョウを見つめている。

ジョウ「一緒に行こう、レニー」
レニー「うん!」


司令室に警報が響く。

「チーフ、甲板に侵入者です!」「何? ……零影だ!」

『甲板に零影侵入! 甲板に零影侵入!』

レニー「零影が!?」
ジョウ「生きていたのか、イルボラも!? レニー」
レニー「え?」
ジョウ「誰にも手出しはするなと言ってくれ」
レニー「ムリよ、ジョウ! まだ体が……」
ジョウ「それは、イルボラだって同じだ」

甲板の上の零影から、イルボラの声が響く。

イルボラ「ジョウはいるか!?」
ダミアン「生きていたのか、イルボラ!」
イルボラ「ジョウ、出て来い! まだお前との決着はついてない!」

零影の背後に、ジョウの乗った飛影が現れる。

ジョウ「イルボラ、よく生きていたな! 嬉しいぜ!」
イルボラ「俺もだ、ジョウ。こうしてまた、お前と剣を交わすことができるとはな!」

飛影と零影の戦いが始まる。剣と剣、体と体がぶつかり合い、一歩も引かない戦いが続く。
その様子を監視している、ファミール艦のハザード長官。

ドッグ「長官……」
ハザード「ヤツらは諸刃の剣だ。このわしにとっては、リスクのほうが大きい。この際、2人とも消えてもらう」

ハザードが、手元のスイッチを入れる。
飛影と零影に仕掛けられていた爆弾が大爆発。エルシャンク甲板上に爆煙があがる。

ハザード「ワ──ッハハハ!」
レニー「あぁっ!?」
ローニン「ジョウ!?」
マイク「兄貴!?」
ロミナ「ジョウ!?」
ハザード「よし、とどめを刺してやれ!」

爆煙がやみ、ボロボロになった飛影と零影が甲板上に転がっている。
ファミール艦がレーザーを放ちつつ、エルシャンクへ接近して来る。

ダミアン「ハザードだ!」
マイク「畜生!」
ダミアン「行くぞ!」

飛影がかろうじて立ち上がる。

ジョウ「ハザードめ…… 許さねぇ!」
ハザード「しぶといヤツめ。いい加減、くたばってしまえ!」

ファミール艦目がけ、飛影が跳躍。レーザーが降り注ぐ中、飛影が捨て身で突撃する。

ハザード「ば、化け物か、こいつは!? 撃てぇぇ!!」
ジョウ「ハザード──っ!!」

飛影が投げつけた渾身の剣が、ファミール艦に命中。
司令室のスクリーンが消え、ハザードたちの視界が閉ざされる。

レニー「ジョウ、来て!」

レニーの乗る鳳雷鷹に飛影が合体、鳥型の空魔(くうま)鳳雷鷹となる。

ハザード「何とかしろ、バカ者! 早くしろ!」

空魔鳳雷鷹がファミール艦目がけて突撃。

ハザード「わああぁぁ──っっ!?」

火の鳥と化した空魔鳳雷鷹に貫かれ、ファミール艦が大爆発。ハザードが火の海に飲み込まれてゆく。


エルシャンク艦内。深手を負ったイルボラが収容されている。

イルボラ「ひ、姫…… 申し訳ありませんでした……」
ロミナ「今は何も喋ってはいけません。あとで」
イルボラ「私は姫を裏切って…… 一体何をしようとしたのか…… 自分でも、よくわからない…… 単なる……嫉妬心だけだったのか…… そ、それとも……」
ロミナ「イルボラ……」
イルボラ「ジョウ……」
ジョウ「なんだ?」
イルボラ「い、いつかまた…… 会うときが、あったら…… そのときは…… ゴ、ゴホッ!」
ジョウ「おい、しっかりしろ、イルボラ! まだ勝負はついてねぇんだ!」

ジョウがイルボラの胸倉をつかみ、平手打ちを見舞う。

レニー「ジョウ! ジョウ、やめて!」
ガメラン「ジョウ、貴様!」
ジョウ「目を開けろ、イルボラ! てめぇだけ格好つけやがって、目を開けろったら!」
イルボラ「ジョウ…… 姫……を…… 頼む……」
ジョウ「イルボラ!」
イルボラ「姫を……」

イルボラが弱々しく、手を差し出す。
ジョウがその手を、しっかりと握りしめる。

そのとき。
握り合ったジョウとイルボラの手が、まばゆい光が放たれる。

一同「あぁっ……!?」

ジョウとイルボラの全身が光に包まれ、体が宙に浮き、それぞれ飛影と零影の中に吸い込まれる。
飛影と零影もまた、全身が光に包まれ、光球と化して飛び去る。

ロミナ「どういうことでしょう!?」
レニー「どこへ行くのかしら!?」

光となった飛影と零影がエルシャンク内を駆け抜け、以前ジョウたちが見つけた謎の部屋に飛び込む。
飛影と零影が重なり合って一つと化し、膨大な光があふれ、エルシャンク全体に光がどんどん満ちてゆく。

乗組員「パワーがどんどんアップしていきます!」
ダミアン「どういうことなんだ?」
ローニン「忍者伝説だ…… 古文書のとおりに動き出したんだ!」
一同「えぇっ!?」
ロミナ「そ、それじゃ、エルシャンクは!?」


飛影と零影により新たな力を得たエルシャンクが、宇宙へ旅立つときがやって来た。

『各自、持ち場につけぇ!』

慌しく出発の準備を進める乗組員たち。
レニーたちに見送られ、ローニンは自機の乗り込む。

ローニン「火星のお父さんやお母さんのことは任せてくれ。じゃ、気をつけてな」
レニー「ありがとう、ローニン」

ローニン機がエルシャンクを飛び立つ。

ローニン「ジョウ、元気で帰って来いよ。待ってるぞ!」


『ゲーマ星系ラドリオ星に、座標をとれ!』

エルシャンクが光に包まれ、矢のように宇宙の彼方へと飛び立って行く。


彼らの戦いは 再び始まる
フランソワ王妃救出と 星系混乱の収拾のために
そして 若い彼らが これから何をすべきか学ぶために

それは 希望の船出でもあった──


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