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南国少年パプワくん(柴田亜美)
最終話 ぼくらの島

(最終回に至るまでのあらすじ)
殺し屋集団ガンマ団のナンバーワンであったシンタローは、総帥・マジックの大切にしている「秘石」を奪い脱走するも、パプワ島に流れ着く。
その島の唯一の子供、パプワに秘石を奪い取られ、結局パプワ島で生活することとなるシンタロー。言葉をしゃべる生物(ナマモノ)たちやガンマ団の刺客たちと騒がしい日々を繰り広げていた。
しかしシンタローの叔父・サービスに敗北しガンマ団本部に戻ったとき、長き幽閉生活にあったシンタローの弟・コタローの力によりシンタローが倒されたことから運命は動き始める。
シンタローの体の本来の体の主・白シンタロー(キンタロー)の登場。そしてパプワ島と秘石に秘められた謎を知るため再びシンタローたちはパプワ島に戻るが、マジックの弟・ハーレムが率いる「ガンマ団特戦部隊」がパプワ島に来襲していた。
シンタローとキンタローの戦い、そして現れた赤い秘石の番人・アス。
やがてアスは24年前に死んだルーザーの体を乗っ取りコタローと共にこの島を破壊しようとする。
シンタローはマジックと、キンタロー・グンマはルーザーとそれぞれの対決を果たし、その後マジックたちはコタローを止めようとする。
そしてパプワは青い秘石の力を封じるためある決意をする。

(本文)
パプワ「赤い玉…ボクがみんなの言うことを聞いたらみんな助かるのか?みんなが助かったらシンタロー、すごく喜ぶな!シンタローが喜ぶんなら、ボクはなんだってガマンできるぞ!」
シンタロー「この島とみんなは、俺達が守るんだ!」
グンマ「シンちゃん」
 キンタローもそれに無言でうなずく。

シンタロー!
おまえはいつも 言ったことは必ず守ってくれた
ぼくには それがとても嬉しかった!
だから ぼくはおまえの前であの言葉は言わない

シンタロー「あ…パプワ」
 チャッピーと共に、シンタローの元を去っていくパプワ。
キンタロー「何をしている、急げッツ!」
シンタロー「あッ…ああ!」

シンタロー!
おまえは ぼくの友達だ!!!

 島の地下にある扉の前。すでに青い秘石が片方にはめ込まれている。
 ヨッパライダー、ジャン(パプワ島の番人)たちの他、島の動物たちもそこに集まっていた。
赤い秘石(パプワよ!私を扉にはめ込みなさい!!そうすれば遠い昔、この島へ私達を乗せてきた箱舟が浮上し、青い玉ごと私達を新たな聖地へ導いてくれるでしょう!)
ヨッパライダー「パプワや、赤い玉を扉に!」
パプワ「うん」
 扉にはめ込まれる赤い秘石。
タンノ「ぐっすん!これでシンタローさんともお別れなのね〜〜」
イトウ「耐えるのよッ、タンノちゃん!」
 チャッピー(パプワと一緒にいる犬)も悲しげな表情を見せる。
ジャン「サービス………」
青い秘石(ちいぃぃッツ、赤い秘石よ!リキッド(ガンマ団特戦部隊の一員)を使って私をここにはめ込んだのはおまえの仕業か)
赤い秘石(ええ…!彼は私の波長と合いましたからね。行きましょう青い秘石よ!私はもうあなたを一人にはしません)
ヨッパライダー「これで我々は青い玉の力を封じたが…あとの始末はあの若者たちにかかっておる!」
パプワ「大丈夫だぞヨッパライダー。シンタローなら大丈夫だ!」
ヨッパライダー「さあ…パプワよ。扉を開く鍵となる言葉を!」
パプワ「ああ」

ぼくは いつかきっと――…
きっと その言葉を言わなきゃいけない日が来ることを知っていた

 一方、シンタローたちに視点は移る。
 コタローの力の暴走を抑えようとするマジック、それを支えるサービス・ハーレム・グンマ・キンタロー・シンタロー。
ハーレム「くッ…あと少し……」
サービス「あと少しでコタローの力を抑えることができるッツ!」
キンタロー「頑張れよグンマ!」
グンマ「うんッ!」
シンタロー「コタロー…もう…もういいんだぞ。もう怖がらなくていいんだよ!!」
 コタローを抱きしめるマジック、
マジック「コタロー、疲れただろう。もう休みなさい。誰もおまえを閉じ込めたりしないから」
 その時、コタローが一言。
コタロー「パパ」

 再びパプワに視点が移る。
でも ぼくはおまえの前ではその言葉を言わないんだ
絶対に――…!
パプワ「さよなら」
 パプワのその言葉と共に、扉が開き、コタローの暴走した力も収まっていく。

 再びシンタローたちの視点。
マジック「コタロー!」
シンタロー「島が…動いている!」
 ふと見ると、かつて沈んでしまった島が浮かび上がっていた。
シンタロー「沈んでいた島々が浮き上がったのか!?」
??「シンタロー」
 ふと振り返ると、人間の姿に戻った名古屋ウィロー(ガンマ団の刺客。自分で作ったコウモリになる秘薬をうっかりと飲んでコウモリになっていた)がいた。
シンタロー「ウィロー!?」
ウィロー「パプワからの預かりモン持ってきたがや。ワシはこの島のモンじゃにゃあて、舟には乗せてもらえんかった」
シンタロー「舟?」
ウィロー「ノアの方舟だぎゃあ!それに乗ってパプワ達は旅立ってった…」
 ウィロー、シンタローに包みの中身を見せる。
ウィロー「ホラこれ!」
シンタロー「この花は…!」
ウィロー「炎の崖に咲いとった花だぎゃあ。パプワがそれ渡せって。ありがとな――…って!」
シンタロー「ど…どこ行っちまったんだよアイツ…勝手によォ…どこへ…」

シンタロー、ぼく達は新しい島へ行く――…

 シンタロー、声を限りに叫ぶ。
シンタロー「パプワ――っつ!」
 そして垣間見える、パプワとチャッピーの姿。

ぼくたちが残していったこの島から、おまえ達は何を始める!?

 そして時は流れて、ガンマ団本部の一室。
 力を使い果たし眠ったままのコタローを、マジックとハーレムが見守っている。
ハーレム「コタローはまだ目覚めないのか?ずいぶんと長いこと眠っているな」
マジック「ああ…この子がいつ目を覚ますかわからないが、その時こそ私は本当の父親になるつもりだ!」
 ハーレム、不適に微笑んで、
ハーレム「…………頑張れよ、兄貴!」
 ハーレム、立ち去ろうとする。
マジック「もう行くのか、ハーレム!」
ハーレム「飛び回ってる方が性に合ってんでね。通り道だからルーザー兄貴の墓にも挨拶してくぜ!」
 その時、グンマとキンタローが部屋に入って来る。
グンマ「おじさ――…じゃなくて、おとーさんッ(はぁと)」
キンタロー「いたのか、ハーレム叔父貴…」
ハーレム「うっせーのが来たぜ!」
グンマ「コタローちゃんはまだ起きないの?」
マジック「まだだよ、グンマ」
 グンマとキンタロー、コタローの眠るベッドの傍に行く。
グンマ「コタローちゃん(はぁと)お兄ちゃんだよ」
キンタロー「俺は――…イトコのお兄ちゃんだ」
 ハーレム、笑顔を見せる。

 そしてガンマ団特戦部隊の面々。
ロッド「時間だぜ。そろそろおっさん――…ハーレム隊長がもどってくるな」
マーカー「ああ」
ロッド「傷――…残っちまったな、マーカー!まさかおまえが身をていして仲間をかばうとはね――…何?俺にホレてたの」
 ロッドの軽口にも、マーカーは冷徹に返す。
マーカー「ふん、弟子の技ごとき簡単に防げる」
G「そのままトドメを刺すこともできただろう!」
 その言葉とは裏腹に、Gも笑顔である。
マーカー「……………あの島のせいだ」

 そしてサービスとドクター高松(グンマの後見人でサービス・ジャンの親友)。
サービス「身体の調子はいいのか?」
高松「あれからどれだけたったと思ってるんですか!もうすっかり完治してますよ」
??「お――!いたいた、二人ともッ。久しぶりだからさー、すっかり迷っちまったぜ。リキッドの奴が島の連中は自分で守る、って張り切っちゃって、俺さー、番人クビだぜッ!まあ、秘石から新しい身体もらったからいいけど」
 その姿はジャンであった。
ジャン「しばらくそばに置いてくんない(はぁと)一生いてやってもいいぜ!」
 サービス、珍しく涙を見せる。
サービス「わ…私は…おまえより先に死ぬぞ」
ジャン「えッ!じゃあさ、こーゆーのどォ?俺が、すっげー偉大な科学者になって、あなた様に永遠の美貌を(はぁと)」
高松「あんた、科学者愚弄してますね」
ジャン「あんだよー!わかんねーぞ、俺長生きしてっから。宇宙船だって造っちまうかもしんねーぞ!名前はノア!決まりね」
高松「あんたねー、凧上げするのと違うんですよ!」
サービス「言わせといてやれ……高松!」

 そしてシンタローたち。
ミヤギ「くーッ…やっぱまだ制服に慣れんべ!」
トットリ「何着ても似合ってるっちゃよ(はぁと)」
コージ「島生活が長かったけん、肩がこるのォ」
アラシヤマ「ヨロイよりましでっしゃろ」
シンタロー「ブツブツ文句言ってんじゃねーよ!おめェら」
トットリ「すまんっちゃねー、新総帥!」
コージ「よッ(はぁと)ガンマ団総帥!!」
シンタロー「うっせーよ。――ったく、気合い入れろよ、これからが大変なんだぜ」

パプワ――…俺は親父(マジック)の跡を継いだ!
だけどガンマ団は もう殺し屋集団じゃねえ!
おまえが残していったあの島の未来がどう変わるかは 俺達しだいだと思う!

 ふと垣間見える、秘石により繋がった2つの世界(自由人HERO・未来冒険チャンネル5)の姿と主人公たち。

俺達がこれからしなければならないことは――…

 そして、新たなる島に降り立った、成長したくり子(サンタクロースの娘)。
くり子「ずっと――…ずっと探しておりましたのよ。……………私、大きくなりましたわ!」
 ふと見ると、チャッピーにも子供たちができていた。
くり子「156センチになりましたわ、パプワ様」
 そして駆け出していくくり子。大きく成長したパプワ(シルエットのみ)が手を差し出す。
 2人の手が繋がれる。

南国少年パプワくん・完

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