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忍者戦隊 カクレンジャー

〜 最終回  封印 〜


ニンジャレッド(サスケ)ニンジャホワイト(鶴姫)ニンジャブルー(サイゾウ)
ニンジャイエロー(セイカイ)ニンジャブラック(ジライヤ)の五人は、
いよいよ妖怪のボス大魔王との最終決戦に臨むのだった。


「地獄へ行け!」
空から、いきなり攻撃してくる大魔王。
吹っ飛ぶ五人と、鶴姫の父と少年ブン。
大魔王は地上に降り、五人をせせら笑いながら言った。
「どうやら本当にこの手で、お前達を始末しなければならない時が
来たようだな、カクレンジャー!」
立ち上がる五人…そして、サスケは大魔王を指差した。
「黙ってろ!…いくぞみんな、これが最後の戦いだ…
大魔王に、とどめを刺すんだっ!!!」
「おー!スーパー変化(へんげ)!!」
カクレンジャーに変身する五人。
「来い!」 余裕を見せる大魔王。
五人が、刀で大魔王に切りかかったまさにその時!
空に、三神将が姿を現した。
「待て!カクレンジャー!大魔王の誘いに乗るな。
大魔王は、わざとお前達に切られるつもりだ。」
「たわけた事をぬかすな、三神将!
さあ、切れ!カクレンジャー…切るんだ!」
そう言って、持っていた杖を突き上げる大魔王。
困惑する五人。 「三神将っ!」
「切ってはならん!!」 三神将は、声を張りあげた。
「カクレンジャー、一足先に街へ行ってお前達を待っている。
来なければ、大勢の人達が苦しむことになるぞ…はっはっは!」
大魔王は、そう言い残すと姿を消してしまった。
追いかけようとする五人に、三神将は言った。
「追うな!お前達は、妖怪ヤマンバ(大魔王の妹)を倒し、憎しみの力を
葬り去った。だが、大魔王を切り捨てれば、一旦消えた憎しみが、
再び人間の間に生まれ、今まで滅んだ妖怪達も全て復活してしまう!」
ブラック 「ソンな…なぜダ!!」
「大魔王の正体が、人間の憎しみ…それ自体から出来ているからだ。」
ホワイト 「言ってることがわからない!!」
三神将は、目からビームを五人に浴びせた…
と、変化が解け、人間の姿に戻ってしまう五人。
サイゾウ 「どういうこと?なぜ、変化を解くんだ!」
「とにかく、切らず生け捕りにして、封印の扉の中に閉じ込めるのだ!」
セイカイ 「このカッコでか?そんなのムチャだぜっ!」
「これは、お前達カクレンジャーに課せられた最後の試練なのだ!」
黙ってその様子を見ていた鶴姫の父が、鶴姫に向かってうなずく。
三神将は、続けた。
「切り捨てれば、大魔王は無数の憎しみの破片になって飛び散り、
人々の心へ入り、再び、この地上は憎しみで満ちてしまう。」

街の中を走る五人。
セイカイ 「どうなってんだ、いったい…」
サイゾウ 「だいたい生け捕りにしたってだよ、封印の扉はどこにあるのよ!」
鶴姫 「とにかく、言うとおりにやるしかないわ。」
サスケ 「どこへ行ったんだ、大魔王のヤツ…」
その時、不気味な笑い声が…「ここだ、カクレンジャー!」
見ると、人々の行き交う中、大魔王が立っているではないか!
ジライヤ 「ダイ魔王!!」
サイゾウ 「みんなには、大魔王が見えないんだ…」
平然と大魔王の前を通り過ぎてゆく人々。
「どうやら三神将から、私の正体を聞いたようだな。
私を切らずに捕まえられるか?…馬鹿め!
そんなことは出来るわけがない。やれるものならやってみろ!フハハハ…」
ゆっくりと後ろに下がってゆく大魔王を、追いかける五人。
大魔王は、真っ赤に光り出したかと思うと、その姿が三人に分かれた。
「あいつ、分け身の術を使ったぞ!どれが本物なんだ?」
「手分けして追うんだ!」
三手に分かれて、大魔王の後を追う五人。

歩道橋の上に行った大魔王を追ってきたのは、サスケと鶴姫。
大魔王は、階段を昇って来たおばあさんをつかんで、
下の道路へ、投げつけた!
寸でのところで、おばあさんを受け止めるサスケ。
「大魔王…もう許せねえ!!」
サスケは、歩道橋の上の大魔王をにらみ付けた。
「いいぞサスケ…それでいいのだ。さあ変化して、私を切れ!」
大魔王が、サスケを挑発した。
サスケは、ドロンチェンジャーを出し、変化しようとしたが…
「ダメよサスケ!忘れたの?これは私達に与えられた、最後の試練なのよ!」
鶴姫は、サスケの両肩を押さえ、必死にそれを止めた。
「どうした…そっちが来なければ、こっちから行くぞ。」
杖からのビームで、二人に攻撃を仕掛ける大魔王。
「あーっ!」 倒れる二人。

神社に行った大魔王を追ってきたジライヤ。
大魔王は、立ち話をしていたお母さんの横の乳母車を、
坂道に転がした!
ジャンプして、それをおさえたジライヤ。 「ダイ魔王!!」
大魔王の杖のビームを浴び、「ワーッ!」 ジライヤは吹っ飛んだ。

オフィス街に行った大魔王を追ってきたサイゾウとセイカイ。
「大魔王!やめろ!!」
大魔王は、立ち止まったかと思うと、杖を振り上げ、
ビームでビルを破壊!
「きゃーっ!」 ビルの破片の下敷きになりそうになったOLを救う二人。

三人の大魔王は、広場で一つに戻った。
駆けつける五人。 「大魔王ー!!」
「フハハハハ…これでわかったか、私を切らずに生け捕りにすることなど、
最初から無理だったのだ!」
「黙れ…黙れ黙れ!!!」
サスケが怒鳴る!と、人間のまま、五人は、大魔王に飛びかかった。
しかし、あっけなく弾き飛ばされてしまう。
「フハハハハ…」 笑って、杖のビームを放つ大魔王。
「うわあああああ!」 倒れる五人。
サイゾウ 「サスケ、もうだめだ!こうなったら変化して、大魔王を切るしかない!」
ジライヤ 「サスケ!」
セイカイ 「封印の扉だって、どこにあるかわからない!」
鶴姫 「だめよ!切ったら…切ったら憎しみが無数の破片になって!」
大魔王は、今度は杖から光の縄のようなものを放ち、
五人の体を縛りあげた!電流で締め付けられる五人。
「もう我慢デキない…ダイ魔王っ!たたき切ってヤル!」
ジライヤは、ふらふらと立ち上がり、ドロンチェンジャーを構えた!
「スーパー変化!ドロン…」
「待て!ジライヤ!」 倒れたまま、叫ぶサスケ。
その時、空に三神将が!!
「待て、ジライヤ!よく考えるのだジライヤ、サスケ、鶴姫、セイカイ、サイゾウ!
大魔王が憎しみの化身なら、私達三神将は、愛と勇気と希望の化身!
全ては人間の心の問題…心の中の戦いなのだ。」
鶴姫 「心の中の戦い?」
サスケ 「そうだ…人は誰でも心の中で戦っている。
怒りや憎しみを捨てようとして…」
鶴姫 「でも…本当に心の中から、怒りや憎しみを消すことができるの?」
サイゾウ 「消したつもりでも、油断すれば、すぐまた出てくる。」
セイカイ 「そうだ、憎しみを完全に消すことなんか出来ない…」
ジライヤ 「ダとしたら、ニクしみの化身デあるダイ魔王は…」
鶴姫 「最初から倒すことなんか出来なかったのよ!
心の奥に閉じ込めて、二度と出てこないようにすればいいんだわ!」
サスケ 「…と言うことは、封印の扉とは、アハッ!わかったぞ!
誰にでもある、人の心の扉だったんだ!」
笑顔で、うなずきあうサスケと鶴姫。
サイゾウ 「湧き上がる怒りや憎しみを、心の奥底にしまい込む扉…
それが封印の扉だったのか!」
「その通りだ、カクレンジャー。ついにお前達は、最後の試練を乗り越えた。
さあ変化して、大魔王を生け捕りにするのだ!」
三神将の言葉に、大魔王をにらみつける五人。
「大魔王…おとなしく俺達の心の中にある封印の扉の中に入るがいい。
これで最後だ!!!」 サスケは、ズバッと大魔王を指差した!
「なにぃ?」
「スーパー変化!ドロンチェンジャー!」 カクレンジャーに変化する五人。
「人に隠れて悪を切る!忍者戦隊カクレンジャー見参!!」
ピキーン!
「おのれ…やれ!」
大魔王の前に現れた手下、五人の「花のくノ一組」。
いきなり刀で切りかかってくる、ミニスカート(?)の忍者服の五人。
しかしカクレンジャーは、それを難なく避け、大魔王に飛びついた!
それを止めようと駆け寄るくノ一組…しかし、三神将が目からビームを放つと、
光に目を覆い、座り込んでしまう。
そして…大魔王と、押さえつけるカクレンジャーと、くノ一組は、
崖に囲まれた場所へとワープさせられた。
「現れよ…現れよ、封印の扉よ!!」
ニンジャレッドが、叫んだ!
すると岩肌に、紋章のある扉が!!!!
ゆっくりと扉が開く…中は、不気味な程真っ赤だ。
「おとなしく中へ入れ、大魔王!」
三神将はそう言って、目から赤い光を放った。
「大魔王様〜!」
その光を浴びたくノ一組の姿が、五匹の猫に!
そう…彼女達の正体は、猫だったのだ。
大魔王を必死に押さえつけ、扉に入れようとするカクレンジャーだったが、
大魔王は、五人の中から飛び出し、巨大化して崖の脇に立った。
押さえつけようとする三神将。
抵抗する大魔王、しかし、ついに三神将に元の大きさに戻され、
「封印の扉に入れ!」 扉の前に、飛ばされた。
「ああ…封印の扉があああ!」 吸い込まれそうになる大魔王。
その大魔王を、再び取り囲むカクレンジャー。
しかし、大魔王の抵抗力はすさまじく、なかなか中へ押し込む事が出来ない。
しばらくもみ合い、そして、何とか扉の中へ大魔王を押し込んだ!
「おのれカクレンジャー、出せーーーっ!」
扉の隙間から手を伸ばす大魔王。
カクレンジャーは、最後の力を振り絞り、ついに扉を閉めたのだった。
「覚えていろ…人間がいる限り、私達は必ずよみがえる…必ず!!!」
扉の中から、大魔王の叫ぶ声がこだまする。
三神将が言った。
「ドロンチェンジャーを出せ、扉にあて、封印にするのだ!」
ドロンチェンジャーを出し、扉の合わせ目に、縦に五つ並べて貼り付ける五人。
ドロンチェンジャーは、光りを放ち…消えた。
扉が、完全に封印された瞬間だった。
やがて、輝いていた紋章も、黒く変わる。

封印の扉の前から外へ出る五人。
もう、カクレンジャーの姿ではない。
並んで、ゆっくりと青空を見つめ、そして微笑む。
「終わった…はっはっは…」
サスケを中心に、抱き合って喜ぶ五人。
「やったーーーー!」
「…よかった!」 鶴姫の目に、光る涙。
サスケ、サイゾウ、セイカイ、ジライヤ…
あふれる涙を止められず、ただ、お互いの肩を抱きあった。
「よくやった、カクレンジャー!」
三神将の言葉に、振り返る五人。
サスケが、三神将に向かってこぶしを突き上げる。
「お前達の仕事は終わった…私達ともお別れだ。
これからも、この地上が平和であり続けるかどうかは、
人の心一つで決まることを忘れるな…
永遠に、心の封印の扉を開けず、憎しみや怒りを表に出さないことだ。
…さらばだ、さらば!」
姿を消す三神将。
サスケが、腕で涙をぬぐった…

山道を駆け下りる五人。
と、黄色い猫丸(猫のバス)が止まっていて、鶴姫の父とブンが待っていた。
「お父様!」 父に抱きつく鶴姫。
「おいおい…!よく頑張ったな。」 父は、笑顔で娘を抱きしめた。
微笑んで見ているサスケ達。
「何もかも、終わったと言うわけか…」 ちょっと寂しそうにセイカイが言った。
「けどオレ、まだ信じらんないよ、本当にもう妖怪は出てこないのかな。」
サスケは、不安そうなサイゾウの肩をたたき、こう言った。
「それは俺たち…いや、人間の心掛けしだいさ。
この地上が、再び憎しみや怒りで満ちれば、
また現れるかもなっ!」
「ソシテそのコトを、ヒトリでも多くのヒトに、わかってモラウしかない。」
アメリカ帰りのジライヤは、まだ少し日本語がたどたどしかった。
「そう…愛と勇気と希望を持って!」
鶴姫の言葉に、うなずくみんな。
そして、互いに笑いあった。
鶴姫の父は、いとおしい娘、鶴姫の顔を見つめた。
「鶴姫、行っておいで…お父さんとブンは、家で待ってるから。」
「お父様!!」 はじけるような笑顔を見せる鶴姫。
「そうと決まれば、しばらくはのんびり、みんなで気ままな旅でも続けるか!」
サスケが、ポンポンとサイゾウ達の頭をたたきながら言った。
「よーーーし!」 みんなは嬉しそうに飛び上がり、
そして、猫丸に乗り込む。
「猫丸!これからもヨロシクなっ、頼むぞ!」 セイカイが、猫丸を撫でた。
「よっしゃー、出発進行!」 「おー!!」
サスケの運転で、走り出す猫丸。
笑って見送る鶴姫の父。
「いってらっしゃーーーい!」 手を振るブン。

(妖怪さん達よ、長い間手を焼かしてくれたな。
もう二度と表へ出てくるんじゃねーぞ…)
ハンドルを握りながら、サスケは、心の中でそうつぶやいた。

一方、封印の扉の中では…
「くやしーい!力が出ない〜」
「おのれ!俺達は、必ずよみがえるぞ〜」
「人間共!その日を楽しみに待っているがよい。」
「必ず、力を取り戻すぞ〜」
今まで、カクレンジャーによって倒された妖怪達が、
フォークダンスの真っ最中!

楽しそうに笑うサスケ、鶴姫、サイゾウ、セイカイ、ジライヤを乗せ、
富士山に向かって走っていく猫丸…


〜 完 〜

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