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忍風戦隊ハリケンジャーの最終回


(前回のハイライト、ハリケンジャー3人によるナレーション)

鷹介「御前様やシュリケンジャーだけでなく、ゴウライジャーやおぼろさん、館長までもが……俺たちの前からいなくなっちまった……!」
七海「『アレ』が出現した今、地球を、宇宙を守れるのは……私たちハリケンジャーしかいない!」
吼太「俺たちは今、みんなの想いを胸に、『アレ』に立ち向かう!」


3人がハリケンジャーに変身し、最後の戦いに臨む。

レッド「忍風戦隊」
3人「ハリケンジャー!!」
レッド「行くぜぇっ!」
ブルー・イエロー「おぉっ!!」

3人が旋風神に飛び乗る。

レッド「行くぜ! 『アレ』の向こうへ!」
ブルー・イエロー「おぉっ!!」
レッド「旋風神・ハリーアップ!」

旋風神が旋風神ハリアーに変形。
地面に落ちている「嘆きの弓」の拾い上げ、飛び立つ。
宇宙忍群ジャカンジャの追い求めた「アレ」の正体は、この世の全てを吸い込むブラックホール。
怒りと嘆きの弓矢でそれが起動した今……宇宙を救う唯一の方法は、ブラックホールの中に飛び込んで内部から怒りの矢を撃ち、力を相殺すること。

レッド「『アレ』の向こう側から、怒りと嘆きの弓矢を撃つんだぁ!」


最終巻
風と水と大地


ブラックホールの中に飛び込んだ旋風神が、空間内を突き進む。

レッド「七海、吼太、見ろ!」

前方の空間に「怒りの矢」が浮かんでいる。

ブルー「やった!」
イエロー「あそこか!」
レッド「嘆きの弓が……いや、みんなが託してくれた想いが呼び寄せたんだ!」

旋風神が怒りの矢に近づくが、空間の中に電撃が走り、旋風神に炸裂する。

3人「うわぁ──っ!!」

悪の根源「邪悪なる意志」の声が響く。

邪悪なる意志「邪魔はさせん……」
レッド「邪悪なる意志かっ!!」
邪悪なる意志「この日が来るのをどれほど待ったか! 絶対に邪魔はさせん」

邪悪なる意志の攻撃の前に、旋風神のコクピットが火を吹く。

ブルー「実体じゃない……攻撃できない!」
イエロー「ど、どうすればいいんだぁ!」
レッド「ハリーダウンまであと30秒……進むしかない! うぉぉ──っ!!」

矢を目掛けて突進する旋風神に攻撃が炸裂し、装甲のあちこちが次々に砕け散る。

ブルー「あと20秒よ!!」
イエロー「急げ!!」

目の前に怒りの矢が。

3人「うぉぉ──っ!!」

怒りの矢を手にしようとした時、凄まじい攻撃に旋風神が弾き飛ばされる。

レッド「負けるわけにはいかないぜ!!」

攻撃を受けながらも、遂に旋風神が怒りの矢を手にし、嘆きの弓につがえる。

3人「うぉぉ──っ!!」
レッド「食らえ──っ!!」

怒りの矢が放たれ、虚空に突き刺さる。
周囲の空間で次々に爆発が起きる。

邪悪なる意志「うぉぉーっ! うぉぉ──っ!!」
レッド「やったか!?」
イエロー「見ろ!」
ブルー「ブラックホールが……消える!」

その爆発に、旋風神も巻き込まれる。

3人「うわぁぁ──っ!」

ブラックホールから弾き飛ばされ、もとの世界に戻った旋風神が、大地に墜落。
既に全身がボロボロ。
ハリーアップのタイムリミットが過ぎ、旋風神ハリアーから元の重機モードに戻る。
レッドが空を見上げると、ブラックホールが消滅し、青空が広がっている。

レッド「あっ……あぁっ!」
ブルー「あぁっ……消えたぁ!」
イエロー「やったぁーっ!」


ブラックホールの影響で混乱に陥っていた街中。
ニュースの声が響く。

「奇跡です! 天変地異が収まりました! 世界が、この星が救われました!」

倒れていた七海のマネージャーの馳、鷹介の職場のかなえ社長が目を覚ます。

馳「こっ、これは一体〜!?」
かなえ「一体、何が起こったのぉ〜っ!?」
馳「あっ、企画会議! ナナちゃんの新曲! こうしちゃいられなぃ〜!」
かなえ「そうだった! 新人に説教! こうしちゃいられないんだわぁ!」


邪悪なる意志「我が野望を阻んだ貴様らを……絶対に許さん!!」

ブラックホールが消えたはずの空から、声が響く。
そして、空から出現したのは──死んだはずのタウ・ザント。

ブルー「タウ・ザント!?」
イエロー「生きていたのか!?」
邪悪なる意志「我が力は滅びし者どもの思念を蘇らせ……操る……!!」

タウ・ザントが攻撃を繰り出す。

レッド「違う! 邪悪なる意志だぁ!」
イエロー「あいつ……タウ・ザントの体を借りて!」
ブルー「この世に蘇ったのね!」
レッド「ってことは……もしかしたら!?」

3人の脳裏に、サンダールがタウ・ザントの眉間を貫いたときの記憶が蘇る。

イエロー「こいつも、本物のタウ・ザントと同じく……」
ブルー「眉間がウィークポイント!?」
タウ・ザント「食らえ……」

攻撃を受け、旋風神のコクピットが火を吹く。

3人「うわぁ──っ!」
タウ・ザント「くたばれ……」

猛攻の前に、遂に旋風神が倒れる。
タウ・ザントが歩み寄る。

レッド「忘れるな……俺たちには、みんなから託された想いがある!」
ブルー「絶対に……!」
イエロー「絶対に、負けられない!」

タウ・ザント「さらばだ……」

旋風神目掛け、タウ・ザントの鉤爪が振り下ろされる。

レッド「カラクリボール発動!!」

旋風神の胸からカラクリボールが飛び出し、タウ・ザントに叩きつけられる。

タウ・ザント「むぉぉっ……!?」

カラクリボールのソードスラッシャーを手にした旋風神。
タウ・ザントが怯んだ一瞬の隙を突き、その眉間に剣を突き立てる。

タウ・ザント「うぉぉ──っ!! おおおぉぉ──っ!!」
レッド「やったか!?」
タウ・ザント「まだ……まだ……」

タウ・ザントが、ハリケンジャーを道連れにしようとばかりに、旋風神にしがみつく。

レッド「みんな、脱出だ!」

タウ・ザントが旋風神もろとも大爆発。
とっさに飛び出す3人。
地面に着地し、変身を解く。

七海「みんあ、無事ね?」
吼太「あぁ! 勝ったんだな!」
鷹介「あぁ……邪悪なる意志を、倒したんだ!」


爆発跡から黒い影が飛び出し、鷹介たちの目の前で、7つの姿に変わる。
その姿は──倒したはずのジャカンジャ上忍7人、暗黒七本槍。

3人「あぁっ!?」
鷹介「何ぃっ……!?」
吼太「あいつら!?」

フラビージョ「一の槍、フラビ〜ジョ!」
チュウズーボ「二の槍、チュウズーボ!」
マンマルバ「三の槍、マンマルバ!」
ウェンディーヌ「四の槍、ウェンディーヌ!」
サーガイン「五の槍、サーガイン!」
サタラクラ「六の槍、サ・タ・タ・ク・ラ!」
サンダール「七の槍、サンダール……!」
七本槍「我れら、ジャカンジャ暗黒七本槍!!」
ウェンディーヌ「参上……」
フラビージョ「ね!」

吼太「どういうことだ!?」
七海「みんな倒したはずなのに!?」
鷹介「いや……こいつらも同じだ! 邪悪なる意志だ!」
ウェンディーヌ「失礼しちゃう……パワーは前より上よ〜」
フラビージョ「せっかく揃ったんだもんね〜七本槍」
サーガイン「我れらの間の全ての因縁は消え……」
サンダール「貴様らを倒すために……今!」
サタラクラ「七つの力を合わせちゃうんだもんねぇ〜」
マンマルバ「行くぞ! ジャカンジャ七重連!」

チュウズーボが構えた槍を、6人が掴む。

ウェンディーヌ「ターゲット」
フラビージョ「ロックオン!」
チュウズーボ「暗黒ボンバー!!」

槍から凄まじいビームが放たれる。
その時、飛来した何者かがビームをはね返す。

七本槍「うわぁぁ──っ!!」
3人「!?」

ビームをはね返したのは──2つの人影。

3人「あぁっ……!?」

死んだと思われていた、一甲と一鍬。

鷹介「一甲……!!」
吼太「あぁっ……!!」
七海「あぁ……一鍬!!」
鷹介「無事だったのか!!」

鷹介たちが一甲に駆け寄る。


回想。
サンダールと刺し違えた轟雷神。
轟雷神のコクピットが火を吹き、内部の一甲と一鍬が炎に包まれる。
サンダールもろとも轟雷神が爆発……寸前、空に雷が閃く。
大地に雷が轟き──地面に一甲と一鍬が。


一甲「あのとき、雷が我らを守ってくれた……二度と影にはならぬ、一緒に戦い続けるという、お前たちとの誓いを果たすために!」
一鍬「今、我らは帰って来た……!」
鷹介「一甲……一鍬……」
吼太「待ってたぞ……!」
七海「今度消えたら……許さないから!」

チュウズーボ「おのれぇ〜っ!」
サーガイン「許さんぞぉ、ガキども!」
吼太「ガキってぇのは、俺たちのことか!?」
七海「今までの私たちと思ったら、大間違いよ!」
鷹介「俺たちは……ヘン! 伝説の後継者なんだぜ!!」
サーガイン「ほざけぇっ!!」
鷹介「行くぞぉ!!」
4人「おぉっ!!」

鷹介「風が泣き、空が怒る……空忍・ハリケンレッド!!」
七海「水が舞い、波が踊る……水忍・ハリケンブルー!!」
吼太「大地が震え、花が詠う……陸忍・ハリケンイエロー!!」
鷹介「忍風戦隊!」
3人「ハリケンジャー!!」
鷹介「あ、参上〜っ!!」

一甲「真紅の稲妻……角忍・カブトライジャー!!」
一鍬「蒼天の霹靂……牙忍・クワガライジャー!!」
一甲「電光石火!」
2人「ゴウライジャー、見参!!」

変身前の素顔のままで名乗りを決める5人。

サンダール「今こそ決着の時だ……!」
サタラクラ「おいでおいで〜ボクちゃんたちぃ!」
吼太「望むところだぁっ!!」
鷹介「忍風!」
一甲「迅雷!」
5人「シノビチェンジ!! ハァッ!!」

鷹介たちがハリケンジャーに、一甲たちがゴウライジャーに変身。


レッド「ハヤテ丸!」
サンダール「行くぞぉっ!」
レッド「ジャイロ手裏剣!」
サンダール・サタラクラ「どわぁ──っ!!」

ブルー「超忍法・水面走り! ガンモード!」
ウェンディーヌ・フラビージョ「きゃぁーっ!」

クワガ「スタッグブレイカー!」
チュウズーボ「ぐわぁ──っ!」

イエロー「超忍法……舞獅子!」
サーガイン「がぁぁ──っ!!」

カブト「ホーンブレイカー!」
マンマルバ「おぉぉ──っ!!」


ハリケンジャーとゴウライジャーが、七本槍を次々に追い詰めてゆく。
今までの苦闘を経、5人は最強の忍者に成長を遂げたのだ。

レッド「邪悪なる意志! これが地球を守る、忍者の力だぁっ!!」
ブルー・イエロー「暗黒七本槍!!」
カブト・クワガ「見切ったり!!」
サタラクラ「こしゃくなぁっ!!」

七本槍が5人に突撃する。

レッド「疾風流剣技・疾風斬!!」
サンダール「あぁぁ──っ!」
ブルー「疾風流剣技・激流斬!!」
フラビージョ「わぁ──っ!」
イエロー「疾風流剣技・大地斬!!」
ウェンディーヌ「いやぁ──ん!」
カブト「迅雷流剣技・雷撃斬!!」
サーガイン「ぎゃぁ──っ!」
サタラクラ「うわぁ──っ!」
クワガ「迅雷流剣技・雷牙一撃!!」
マンマルバ「うおぉ──っ!」
チュウズーボ「ぐぉ──っ!」

5人の必殺剣の前に、七本槍が大爆発。

レッド「やったぁーっ!!」

しかし、その爆炎のなかから、またもやタウ・ザントの姿が現れる。

レッド「またか!?」
タウ・ザント「許さん……許さん……!」

タウ・ザントが攻撃を繰り出す。
ブルーとイエローが斬りかかるが、タウ・ザントは2人を跳ね飛ばす。

ブルー・イエロー「うわぁ──っ!」

凄まじい攻撃の前に、カブトも、クワガも、そしてレッドも吹き飛ばされる。

レッド「ぐわぁーっ!」
イエロー「鷹介!」

タウ・ザントが火を吐き、5人の体を焼く。

5人「わあぁ──っ!」
レッド「つ……強い……!」
カブト「力というより……執念!」


崩壊した、おぼろ研究所跡。
瓦礫の中から、下敷きになったかと思われたおぼろが、必死に這い出してくる。
モニターに、戦いの様子が映っている。

おぼろ「よいしょ……ふぅ〜えらい目に遭うたぁ……ゴホゴホッ、ん? こいつは……タウ・ザント?……いや、邪悪なる意志か!」

その声が通信でレッドのもとに届く。

レッド「そうです。あれが……え!?」
イエロー「おぼろさん!?」
ブルー「えぇっ、嘘ぉっ!?」
おぼろ「みんな、頑張りや! つまり、そいつを倒せば完全勝利や!」

「その通り」

館長の声。
研究所の瓦礫の中から這い出してきたのは……ハムスター館長ではなく、人間の姿に戻った館長。

館長「お前たちの本当の力を見せるのは、これからじゃ」
おぼろ「お父ちゃん……元に戻れたんや!?」
館長「え? あっ……おぉっ!」
おぼろ「お父ちゃ〜ん、良かったぁ〜!」
館長「おぼろぉ〜!」


レッド「えぇっ、館長がぁ!?」
おぼろ「話は後や、早よ倒すんやぁ!」
タウ・ザント「無駄だ……無駄だ……」
レッド「よっしゃぁ〜っ!!」

5人が立ち上がる。

レッド「おぼろさん! 館長! 元気もらったぜぇ!! みんな、行くぞぉっ!!」
4人「おぉっ!!」
タウ・ザント「フハハハハ……」
イエロー「俺たちは挫けない! 風のように!」
ブルー「それが未来……疾風の心!」
クワガ「過去からの絆……それが迅雷の心!」
カブト「二つの心……合わさる今こそ!」
レッド「宇宙統一忍者流の名のもとに! 超忍法・五人影の舞!!」

5人が「影の舞」の連続攻撃でタウ・ザントを翻弄する。

タウ・ザント「うっ……うぉぉ……」
レッド「みんな、今だぁ!!」

ハリケンジャーの3つのハリケンガジェット、ゴウライジャーの2つのゴウライガジェットが合体。

レッド「五重連!」
5人「ビクトリーガジェット!」
カブト・クワガ「とどめだぁっ!!」
レッド・ブルー・イエロー「ビクトリ──ッ!!」

最強武器ビクトリーガジェットが炸裂。

タウ・ザント「がぁっ! があぁ──っ!!」
レッド「セイ!!」
4人「バイバイ!!」

大爆発。

そして爆炎の中から「邪悪なる意志」の霊体が飛び出す。

邪悪なる意志「ぐおぉ──っ!!」

邪悪なる意志が上空で大爆発、消滅──。


館長「やりおったぁ!!」
おぼろ「やったぁ〜っ!!」

ブルー「イエーイ!!」
イエロー「イエーイ!!」
レッド「よっしゃぁ〜っ!!」


最後の戦いは終わった。


海岸。
ヘルメットを脱いだ5人が海を見つめている。

七海「ジャカンジャを倒しました……御前様」
吼太「邪悪なる意志を、やっつけました……」
一甲「シュリケンジャー……この星を、宇宙を守ったぞ!」
一鍬「安心してお休み下さい……御前様、シュリケンジャー……」

鷹介「終わったんだな……長かった戦いが……」


二ヶ月後。

おぼろ研究所。
黒子ロボたちが壁に「疾風・迅雷両派合同卒業式」の看板を貼っている。
紋付袴姿の館長。
着物姿のおぼろが、せわしなく式場の支度をしている。

館長「本日この良き日に、ハムスターではなく、忍風館館長・日向無限斎としてあの子たちを送り出せる奇跡に、感謝じゃ!」
おぼろ「またその話ぃ〜? お父ちゃん」
館長「いやいやいや! あの時は、崩れてきた瓦礫の中からお前を救い出そうとして、思わず正しい呪文を思い出したぁ! 親子の絆は深いということじゃなぁ」
おぼろ「はいはい、散々聞いたがなぁ! でも……大きくなったなぁ、あの子たち。よう鍛えてくれたわぁ、シュリケンジャーも」
館長「うむ。卒業させて、よろしいですな? 御前様……」

壇の上に祀られた、シュリケンジャーのシュリケンボール、御前様の帯刀。

おぼろ「そやのに……」

2人の後ろ。5つの座布団。
鷹介たちの姿はない。

おぼろ「なんで肝心のあの子らがおらんのやぁ〜っ!!」
館長「……ったく、あいつら……最後の最後まで!」

館長が壇の上の5本の巻物を取り上げ、どこかへ去る。

おぼろ「あ、ちょっと……お父ちゃん!?」


滝壺のそばに、鷹介たち3人が佇んでいる。
鷹介が柿を齧りながら溜め息をつく。

鷹介「卒業かぁ……」

鷹介が柿を放り、吼太が受け止める。

吼太「みんなとも、今日限りか……」

吼太が柿を一口齧り、鷹介に投げ返す。
鷹介が差し出した柿を、七海が受け取り、握り締める。

七海「……なんか……淋しいね……」

一甲と一鍬が現れる。

一甲「だが今日から……俺たちはOBだ」
一鍬「うむ。これからが……本当の忍者の仕事だ」
七海「……そうだよね! 私たち、離れ離れになっても……この星を守っていくんだもんね!」
吼太「うん。人も知らず、世も知らず、影となりて悪を討つ!」
鷹介「……俺たちの本当の戦いは……これからなんだ」

鷹介が手を差し出す。
4人が手を重ねる。

鷹介「一甲……一鍬……七海……吼太……俺たち、たとえバラバラの道を歩もうとも、いつまでも気持ちは一つだぜぇ!!」
4人「うん!」
館長「バッカモ〜ン!」

どこからか、館長が現れる。

館長「それもこれも……卒業してからじゃ!」
鷹介・七海「館長!?」

館長が懐の巻物を示す。

館長「こんな日にまで遅刻するような奴らに、卒業証書は渡せん。欲しければ実力で奪ってみよ!」

館長がどこかへと消えてゆく。

鷹介「ヘン! よぉ〜し!!」
5人「行くぜぇっ!!」


以下、5人と館長の巻物の争奪戦と、5人のその後の姿が交互に映る。


林を走る館長。
目の前に巨大な一甲の姿。
踏み潰される!?
館長が怯んだとき、幻影が消え、本物の一甲がすかさず巻物を奪う。
続いて、空から舞い降りた一鍬が、館長の懐から巻物を抜き取る。


工事現場。
力仕事に汗を流す一甲、一鍬。
荷物の重さに顔を歪める一甲を、一鍬が茶化す。

一鍬「兄者、まだまだ修行が足りないな」
一甲「待て、一鍬!」


林を走る館長。
ターザンのように吼太が蔦を伝って館長に飛び掛り、巻物を奪う。

吼太「どんなもんですか、館長!」


吼太の仕事場の介護センター。
足の不自由な少女に、吼太が歩行を指導をしている。

吼太「1、2、1、2……その調子……いいぞ秀子ちゃん! ちょっと休んだらもう1回頑張ろっかぁ!」


林を走る館長。
その顔にジャケットがかぶさる。
視界が塞がれた館長に七海の蹴りが飛び、巻物が懐から抜き取られる。

七海「イェ〜イ! やりィ〜!!」


アイドル歌手に転向した七海の姿。
ステージで熱唱する七海、観客から大歓声。


林を駆ける館長に、鷹介の蹴りが飛ぶ。
空駆けで館長を大木に叩きつける鷹介。
その隙をつき、懐から巻物を抜き去る。

鷹介「いっただきぃ〜っ!!」
館長「うむ……見事!」


派遣会社の仕事で、ビル掃除に汗を流す鷹介。
他の社員にぶつかり、社員たちが将棋倒しになってしまう。

社員「社長〜!」
かなえ「またあんたねぇ〜! いつまでも新人じゃないんだからねぇ、しっかりしなさいよぉ!」
鷹介「すんません……」


蕎麦屋の扉が開き、店内に鷹介たち5人が入ってくる。

鷹介「ちわぁ〜っす!」
吼太「おじさん、5人ねぇ〜」
5人「あっ……!」

店内で蕎麦をすすっているのは……
かつてシュリケンジャーが変装した姿である、橋本、鼓、浜田、羅門、菊池ら。

5人「あぁっ!?」「シュリケンジャー!?」「シュリケンジャー!?」「生きてたのぉ!?」
店員「あ、あの、皆さんお静かに……」

店内が大混乱に陥る。

店員「ストォ〜ップ!!」

鷹介たちがピタッと止まり、5人の視線がその店員に集中する。

鷹介「わかったぞ! お前だな、シュリケンジャー!」

たまらず店を飛び出す店員。
鷹介たちが追いかける。

店員「何なんだよぉ〜!」
鷹介「何で逃げるんだよぉ〜!」
七海「待てぇ〜シュリケンジャー!」


おぼろ研究所、卒業式場。

    免 宇 こ 全 忍 貴     
    許 宙 れ 過 風 殿     
    皆 統 を 程 館 は     卒
    伝 一 も を 空       業
    と 流 っ 終 忍       証
    す の て 了 科       書
    る     し 第 
            五 
  忍         〇 
  風         七     椎 
日 館         期     名 
向 館         生       
無 長         と     鷹 
限           し     介 
斎           て     殿 

館長「見事、免許皆伝……全員、卒業じゃ!」

めでたく卒業証書を受け取った5人。

吼太「よっしゃぁ〜っ!」
鷹介「やったぁ〜っ!」
七海「館長〜ありがとうございます!」


Say bye bye
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