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●前回のあらすじ

魔界都市のエネルギーを集める魔宮バビロンにて、羅摩さやかの肉体を乗っ取り転生を図る邪悪の女王セミラミス。
これを阻止せんとするドクター・メフィストは、セミラミス復活を目論むネブカドネザル二世と対峙する。

一方、ヒマラヤでの念法修行を終えた十六夜京也は、修行により開眼した”奥義”を持ってバビロン宮に帰還。
彼に倒された兄弟の仇討ちを図る”真紅の騎士ビアン”との死闘を繰り広げる。

バビロンの魔宮にて繰り広げられる最終決戦の行方は!?










●最終話 魔界都市の怒り












  (木刀”阿修羅”を構える十六夜京也と、長剣を振るう真紅の騎士ビアン)




京也&ビアン「ぜ え りゃ あ あ!!!」




  ギュオオオオ ガキイイン(気合の声と共に得物を振るう二人)





  (ビアンの長剣を掻い潜った京也。身を沈め、阿修羅の切っ先をビアンの腹に突き立てる)



ビアン「ぐおう!」


  サラサラ(紙一重だったのか、京也の髪の毛が切れて落ちる)


  ガシャーン(後方に倒れたビアン)


ビアン「ぬうう・・・」
京也「大丈夫か?」

  ググ(ビアンに声をかける京也。と、庭園の水場がいきなり盛り上がる)

京也「なにっ!?」


  ザバア、ザー(現われたのは石造りの巨人)


京也(この巨神像はさやかちゃんの太古の記憶に出てきたというあいつかーーーー?)

  グシャ

京也「ビアン!?」

  (厭な音が響くと、倒れたビアンが巨神像に踏み潰されていた)

京也「野郎!!!」

  ゴオ、ズガ(怒りの京也。巨神像に飛び掛り、阿修羅で足に切りつける)


  ぐおおおおおお(苦しみの声を上げる巨神像)


  ギュオ(パンチを繰り出す巨神像)

  ガッ(阿修羅でそらす京也)

  ビシュッ(さらにパンチで攻撃する巨神像。間一髪かわす京也)

京也「うわっ」


  ザッ(空中で反転し着地する京也。だが、巨神像を見失う)

京也「!?」
  「あんな巨体がどこへ?」
  「うぁ」

  グイイン(いきなり床から現われる巨神像の腕)

京也「くそっ」

  ガッ(阿修羅で腕を突く京也)

  バカーン(砕け散る巨神像の腕)

  (なんとか体勢を立て直す京也だが、奇怪なものを見る)

京也「なんだ!? 水の色が真っ赤に」
  「メフィスト見ろ!!」
  「プールの水が血の色に!」
  「草花もだ」


  ゴボゴボ(京也の言葉どおり変色しているプール)


メフィスト「魔界都市の潜在エネルギーを吸収して妖女復活の糧とした結果の奇現象だろう」
     「むっ」
     「上だ 京也君!!」

  (ドクター・メフィストの言葉どおり、京也の頭上から降ってくる巨神像の足)

京也「どわっ」

  ズズーン(間一髪回避する京也。地響きを立てる巨神像の足)

京也「てめェ!!」

  スー(怒りの京也だが、またしても巨神像は消えてしまう)



  (周囲を見渡す京也。ある壁の一点に注目する)



京也「あそこか?」

  (阿修羅を振り上げる京也)

京也「でやああ」

  (念をこめて阿修羅を振り下ろす京也)

  ドシュ(京也の念により亀裂が生じる空間)

  ズズズ(亀裂より現われる巨神像)


メフィスト「ふむ・・・空間歪曲で姿を隠した敵を空間を斬って引きずり出したか」


  ザバーン(プールの中に着地する巨神像)


メフィスト「巨像は私にまかせろ京也君!」
京也「たのむぜメフィスト!!」


  ピューン(メフィストがどこからか取り出した針金の束を伸ばす)


  キュキュキュキュ(メフィストが伸ばした針金は巨神像を瞬時に縛り上げる)


メフィスト「シッ」

  (針金を持ち腕を振るうメフィスト)

  ズゴゴゴゴ(針金によって巨神像がバラバラに分断される)

  シュイイイン(メフィストの手元に戻る針金)


メフィスト「これぞドクター・メフィストの針金細工!!」


  ドドドド、バシャバシャ(分断された巨神像が凄まじい音を立てながらプールに落ちていく)


  (一方、京也は巨神像に踏み潰されたビアンに駆け寄っていた)

京也「しっかりしろ」
ビアン「敗北には死をーーーーーそれがバビロンの掟だ・・・勇士と戦えて感謝してるよ」
京也「待てビアン!」
  「あんた最高の剣士だ」
ビアン「イザヨ・・・イ」
京也「魂だけになるなら俺に取り憑いてくれ。肉体(からだ)ならいくらでも貸すぜ」
ビアン(・・・・・・・・・・・・・・・)
   「アリガ・・・・・・トウ」


  (鎧の中で微笑を浮かべ、誇り高き剣士ビアンは逝った・・・・・・)


  ズッ ゴトン(守るべき肉体を失い落ちる甲冑の頭部)


京也「くそ〜〜〜〜〜〜おおおっ」


  (怒りの表情を浮かべる十六夜京也。視線の先にはさやかを連れた仮面王ネブカドネザル二世)


京也「うおおおお」

  ゴウ(雄叫びを上げながら仮面王に突撃する京也)

仮面王「チィ」
   「ぬおおおおおっ 死と殺りくの女王セミラミス復活を目前にして きさまごときに倒されてなろうかーーーーーっ!!!!」

  グワッ(京也に攻撃をかけようとする仮面王)

京也「させるか仮面王ーーーーーっ!!!!」
  「でああああああ」



  ドガ(激しい気合の声とともに振り下ろされる木刀”阿修羅”)

  ガシャ、ドッ (腕を振り上げて攻撃を受けようとした仮面王だが、腕と仮面を切り落とされる)

  (眉間から血を流した仮面王ネブカドネザル二世)

仮面王「ぐおおおお」
   「バ・・・バカな・・・こやつ いつの間にこれほどの力を・・・」
   「ヤツの念の力が消えん・・・・・・肉体がく・・・崩れる・・・」
   「うごぐわ」

  ドサ(苦しみ倒れ伏す仮面王)  



京也「!!」

  ゴボゴボゴボ(京也の視線の先にあるのは液体に包まれた美女の肉体)

メフィスト「セミラミスの保存されていた肉体だ京也君」
京也「なに!?」
仮面王「セミ・・・ラミス 野望叶わず・・・・・・か」


  (力を失い横たわる仮面王)

  (その時、さやかからもうひとりのセミラミスが抜け出した)

京也「げっ もう一人!?」
  「そうか こっちはさやかちゃんの中に封じ込められていたセミラミスの霊体か!」

  グワッ(駆け寄ろうとする京也だが、霊体のセミラミスが発した力に阻まれる)

京也「くっ」
セミラミス「ほほほほ 私の勝ちよ 小娘は自由にならずともーーーーー」
     「この都市(まち)のエネルギーを浴びた私の霊体がこの肉体に入れば」 
     「その時こそ世界は再び私の血の嗜好を満たす道具となるのだ!!」

  (肉体に向けて進むセミラミスの霊体。だが・・・・)

?(だめよ 入らせない)
セミラミス「うっ!」

  カッ(輝きがセミラミスの霊体を阻む。それは羅摩さやかの霊体だ)

セミラミス「うぐぐ おのれ まだ・・・・・・」
     「くくっ なんという”白き力”」
     「もう少しで不死身の肉体を取り戻せるというのに・・・」

  (さやかの放つ光を浴びて苦しむも、なお諦めないセミラミス)


?「よせ」
セミラミス「!!?」

  (霊体のセミラミスの足をつかんだ者・・・・それはなかばミイラ化した仮面王ネブカドネザル二世だった)

仮面王「よさぬかセミラミス・・・・・・もはや 我らの命運は定まった」
   「まさか・・・ゼムリアとファウスタスがこの世にいようとは」
セミラミス「く・・・ううネブカドネザル王・・・・・・・・・」

  (無念の表情を浮かべるセミラミス。その様を見つめる十六夜京也、ドクター・メフィスト)

  ファ(ネブカドネザル二世の亡骸に覆いかぶさったセミラミス)

  ス〜〜(虚空に消えていくセミラミス)

  グチグチ、グズグズ、バシャーン(同時にネブカドネザル二世の亡骸も崩れ、消滅した)



  (元の肉体で意識を取り戻したさやか)

京也「終わったよさやかちゃん」
さやか「京也さん!」
   「でもセミラミスはどうして・・・?」
メフィスト「君は無事だ つまりあの女は君に勝つことができなかった ああなる運命(さだめ)さ」
     「”白い力”がまさったのだ」
     「古代の魔道士は間違っていなかったようだな」
さやか「ドクトル・ファウスタスでしたわね」
   「そして剣士ゼムリア」

  (ドクター・メフィストと十六夜京也の面影を持つ古代の魔道士と剣士の姿を思い出すさやか)

さやか(私が夢に見たとおり お二人は2500年前に固い絆で結ばれ そして今もこうして・・・・・・)




  ゴゴゴゴ(崩壊しつつあるバビロン宮)

メフィスト「この建造物も終わりだな」
     「ほら見たまえ 吸収されている魔界都市のエネルギーが今 この宮殿を破壊しようとしているぞ」

  (メフィストの言葉どおり、膨大なエネルギーの奔流が荒れ狂っている)

メフィスト「魔宮バビロンかーーーーー」
     「しかし魔界都市のエネルギーをもてあそぶには器が小さすぎた」



  ゴオオオオ(建物全体から炎が噴出しているバビロン宮)


メフィスト「さて どうやって脱出する? この炎じゃ下へ降りられんぞ 消火ヘリ部隊が来るまでは持つまい」
京也「そりゃまずい なんとかしろメフィスト」
メフィスト「ところで どうやってヒマラヤからここへ来た?」
京也「空中浮遊ができるオッサンがつまんねえこと聞くんじゃないよ」
  「遠隔移動(テレポート)さ ヨガの奥義だろ」
  「紺の騎士バレンとやりあっている時 土壇場で成功した」
メフィスト「もう一度できるかね? それからオッサンとは呼ばないでもらいたい」
京也「やってみよう!!」

  (阿修羅を構え念を凝らす京也。彼に掴まるメフィストとさやか)

京也「もし・・・しくじったら?」
さやか「大丈夫ですわ絶対!」

  (不安げな京也に対し、笑みを浮かべるさやか)




京也「どわありゃ!!!」





  ガラガラ、ドドドド(建物が崩壊し、ついに原形をとどめなくなりつつある魔宮バビロン)




  (その様子を見ている地球連邦政府情報局局長・山科大と、<新宿>区区長)

山科「魔球が・・・崩れ落ちる」
区長「山科局長 ここは危険じゃぞ もっと下がるんじゃ」
山科「なんということだ これではさやかさんとメフィスト医師も・・・」
  「京也君は間に合わなかったか」

  (苦い表情を浮かべる山科)

  ファ(と、山科の後方で何かが光った)

山科「!?」
  「おお あれは!!」

  (振り返り笑顔を浮かべる山科。そこには・・・・・・)







京也「ーーーーーーらよっとォ!!」







  (崩壊するバビロン宮から見事に生還した京也、さやか、メフィストが立っていた・・・・・・)








                   魔宮バビロン完結







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