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前回のあらすじ

最後の六神体ラーの攻撃により、壊滅的打撃を受けた東京。ラーを破壊すればガイアーが爆発するため反撃できないマーズは、
人々の憎しみを受けながら反撃の機会を窺う。

そしてついに、神体を内部から壊せば爆発しないことが判明。地球の運命を賭けた最後の戦いに挑むマーズだが・・・





    終局




  バッ(ラーの攻撃をかわすマーズ。やがてその攻撃はおさまる)

マーズ「うん? ラーが攻撃を中止したぞ」


  (ラーの内部では、探知ロボットの破壊により画像が消滅していた)

監視者「いかん、探知ロボットをすべて破壊された」

  カチカチ(他のカメラを作動させる)

監視者「これで作動するのは、前方に取り付けたカメラだけだ。しかしこのカメラは四五度角の前方しか見えん。マーズに後ろや
横にまわられたらその姿を発見できんぞ」「よし、ひとまずおりてマーズのでかたをみてみよう」

  カチッ(スイッチを押す監視者)
  ヒュン、ヒュン、ヒュン(地上に降りるラー)


マーズ「動こうとしないな。それに探知ロボットも打ち上げない。ぼくの姿をみてるはずだのに探知ロボットを打ち上げないとは…
探知ロボットがなくなったのか」「そうだとしたら面白くなったぞ。よし確かめてやる」

  (素早い動きでラーの前を横切るマーズ)


監視者「うっ!マーズめ、まだシャアシャアとしてたか!!」

  ピュッ、ピュッ(ラーから放たれた怪光線でマーズを襲うが避けられ、その姿を見失う監視者)

監視者「いかん、どこへいった。くそっ!!」


  カチャカチャ(いらだたしげに機械を操作する監視者)
  ピュピュ(ラーの触手から光線が周囲に放たれる)

マーズ「うん? この攻撃のしかたはメチャクチャだ」「正確だったのは最初の攻撃だけだ。ますますもって様子がおかしいぞ」
「よし、もう一度ためしてやる」

  (ラーの目の前まで走っていくマーズ)


監視者「うっ!マーズめ、わしをなめるか!!」

  ピュッ、バッバッ(怒りの監視者に操作されるラー。触手から光線を放ち周囲を破壊するも、マーズは素早く身をかわす)


マーズ「また的はずれを攻撃しはじめた」「どうやら読めたぞ。探知ロボットをこわされたラーはいまほとんど外がみえないんだ」
「おそらく正確に攻撃した箇所だけがみえるだけなんだ。そうとわかれば攻撃しやすくなったぞ」

  (素早くラーに接近し、その隅にもぐりこむマーズ)

マーズ「やはり攻撃をしてこなかった。ぼくのみかたが正しいんだ」

  (慎重にラーの様子を探るマーズ)

マーズ「さあ、このあたりだ。この方向だけは正確に攻撃をくりかえしたからな。どこかに外を見る箇所があるはずだ」

  (ラーの表面を探るマーズ。小さな穴のようなものを見つける)

マーズ「あれだ。あの穴だけ外が見えるんだ。なにかあの穴をふさぐものはないかな」

  (上着のポケットを探るマーズ。ガムを取りだす)

マーズ「ガムだ。こいつはいいものがあった。これで十分ふさげるぞ」

  クチャクチャ(その場でガムをかみまわすマーズ。カスを取り出して丸める)

マーズ「これでよし」

  (匍匐前身で進むマーズ。カメラの穴にガムのカスを突っ込む)


監視者「どうしたマーズ、なぜ姿をみせん。でたらめ攻撃で負傷でもしたのか」「うっ!!」

  (カメラの画像が真っ暗になり驚く監視者)

監視者「故障か」

  (機械を点検する監視者)

監視者「いや故障はしていない。すると、外がわからなにかがカメラをふさいだのか」「いかん、このままでは
外の様子がかいもくわからん」


  ヒュン、ヒュン(その場で大回転するラー)


監視者「だめだ、とれん」

  カチャカチャ(画像は相変わらず真っ黒。さらに操作する監視者)
  ザザザッ、ガンガン(飛び上がり地面にぶつかるラー。だが画面は変わらない)

監視者「むむむ、これだけやってもとれんとは・・・・おれ自身の手でとるよりしかたがなさそうだな」

  キリキリ(上部のハッチをあけ、外に出てくる監視者。その様子を窺っていたマーズ)

マーズ「いまだ」

  (風のような速さで行動するマーズ。ハッチよりラーの内部に潜入する)

  (一方、外に出た監視者。カメラ穴が何かにふさがれているのを発見し、それを取り除く)

監視者「ガムだ。こんなとろころにガムをつめこむとは。こんなまねのできるやつはただ一人、マーズだ。どこにひそんでいる」

  ボーーーン!(突然、ラーの中で爆発が起こる)

監視者「うっ!!」

  (驚いた監視者、一ッ飛びでラーの内部に戻る)
  (そこは煙に覆われ、機器が破壊されていた)

監視者「うっ!」

  (煙の中を探る監視者。その中からマーズが現れる)

監視者「マ、マーズ。お、おまえというやつは・・・・」
マーズ「外はまったくの無傷だ。外部から破壊されたのではないからガイアーも爆発せん」
監視者「おまえはそこまでになっていたのか!?」「こうなればおれ自身でたおす!」

  (マーズに飛び掛る監視者。蹴りを放つが避けられる)
  (さらに殴りかかるがマーズは身をかわし外へ)

監視者「逃がさん!!」

  (ラーから飛び出したマーズと監視者。地上でにらみ合う)
  (その様子を見ている人々)

自衛隊員1「おっ、みろ。マーズがだれかと戦ってるぞ」
自衛隊員2「あのラーに乗ってたやつにちがいない」
自衛隊員3「マーズ、まけるな!」
民衆1「みろ、あれがマーズだ」
民衆2「あ、あいつがこの事件の張本人か」



  (人々が見守る中、ついに始まった最後の戦い。人間をはるかに越えた力で殴りあうマーズと監視者)

  バン!バキッ!ドス!

  (激しい戦いの末、マーズの拳が監視者の首筋、さらに腹に直撃する)
  (血を吐いて倒れる監視者)

マーズ「立てっ!」
監視者「岩をも砕く我々の腕力、まともにくらっちゃ立ちたくとも体が動かん」

  (血まみれとなり倒れふした監視者)

監視者「だがマーズよくきけ。まだチャンスは残されている。おまえが正常に戻ればだ」

「この地球上で、人間ほどおそろしい動物はいないんだ」
「かれらは地球上の動物を」
「次から次へと滅ぼし」
「さらに大自然までの破壊を進めている」
「川を汚し、海を汚し」
「人類発展のためと称してとどまるところをしらない」
「いま地球上で異常な繁殖を続けているのは人間だけだ」
「いまにかれらはこの地球を死滅させ、かならず宇宙にとびだしてくる」
「そして他の星で同じ事をくりかえす」

監視者「地球人こそ、宇宙で一番危険な動物なんだ」「マーズ、はやくそれに気がつけ、正常に戻れ」

   「も・・・・・・もどれ・・・・・」   

  ガクッ(ついに息絶えた監視者。複雑の思いでそれを見るマーズ)

マーズ「これですべてが終わった」「うん?」


  ワーワー(どこかで上がる喚声。武器を持った人々が暴徒となって押し寄せてくる)

暴徒「地球が爆発するとかなんとかおどかしやがって!」「みろ、地球なんともないじゃないか!」
「あのイカサマ師め、ただじゃおかん!」「殺しちまえ!」

  (マーズにつめよる人々)

マーズ「ま、待ってください」
暴徒1「うるせえ!いままでのうらみをはらしてやる」
暴徒2「おれの子供をかえせ!」「おれの家財産をかえせ!」

  バッガキッ(暴徒の攻撃を受け滅多打ちにされるマーズ)

自衛隊員「いかん、暴徒を止めろ!」「マーズに万一のことがあるとそれこそ大変だぞ」

  (自衛隊が慌てて暴徒を止めようとする)

自衛隊員「やめろ!やめんとうつぞ!」「マーズに手をだすな!」
暴徒1「なんだと、おまえらまだマーズのいいなりになるつもりか」
暴徒2「こいつは人間じゃない!」
暴徒3「宇宙人のあやつり人形の言いなりになるつもりか!」
自衛隊員「だまれ!マーズに手をだすとうち殺すぞ」
暴徒4「へっ殺せるものなら殺してみろ。いままでなにもできなかったくせにくせに大きな口をたたくな」

  (いっこうにとどまる気配のない暴徒)

暴徒「こんなやつ俺達の手で殺してやる!」「そうだそうだ!!殺せ殺せ!」

  (マーズに更なる攻撃を加える暴徒) 

自衛隊員「ああっ!!」「やめんか」
暴徒「そうはいくか!」

  (止めようとする自衛隊員にまで襲い掛かる暴徒)

自衛隊員「やむをえん、うてーっ!!」

  ドドドドドドドドド(自衛隊員が発砲し、暴徒が射殺されていく)

  (そんな地獄さながらの光景が広がる中、血まみれのマーズがゆっくりと起き上がる)

  バリバリドドドド(暴徒と自衛隊の衝突はおさまらない)

マーズ「ナントイウミニクイ姿ダ。コレガ人間カ・・・・・・・・・・・・ドウシテボクハコノ動物ヲ守ロウトシタ」






     「ガイアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」





  (両手を天に掲げたマーズがガイアーによびかける。すると・・・・)

  ピカッ(全てが光に包まれた)


「この一瞬、太陽系第三惑星は宇宙から消滅した」
「銀河系恒星は一千億以上、さらに恒星の数を宇宙に求めるとその数は銀河系恒星の一千億倍といわれる」
「その恒星をとりまく惑星の数にいたっては数知れず・・・・・・・・・」
「いまその中の一つの惑星が歴史をとじた」



  (宇宙に広がる無数の星々。その中に地球の姿はない・・・・・)


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