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名探偵コナン 戦慄の楽譜のエンディング
名推理で譜和訪を追い詰めたコナン。
すると譜和が拳銃を取り出す。
譜和「堂本を呼んでもらおうか!」
目暮「譜和さん、落ち着きなさい!」
譜和「ご安心を。これは自殺用だ……皆さんを傷つけるつもりはない。コナン君、部屋を出て行きなさい」
コナン「やだね! 大きな罪を犯したのに、その償いもしないで死んじゃうなんて、そんなずるいことさせないよ!!」
蘭「コナン君……」
目暮「譜和さん、バカな真似はやめるんだ!」
譜和「うるさい! さっさと堂本を呼べ!!」
「譜和君……」
一同「え?」
そこへ堂本がやってくる。
堂本「私ならここにいるよ……」
目暮「堂本さん!」
堂本が譜和に近づく。
堂本「譜和君、すまなかった。君が、それほど思いつめているとは知らずに……」
譜和「やっとわかったか! お前の身勝手のせいで、私がどんなに……」
堂本「そうではないんだ譜和くん! 私がピアニストを引退したのは、君の調律が微妙に狂ってきたことに気づいたからなんだ……」
譜和「え?」
堂本「君のプライドを考え、指摘することができなかった。かといって今更、別の調律師と組む気にもなれない……そこで、ピアノから引退したんだ」
譜和「バカな! 私には絶対音感が……」
堂本「確かに、君は絶対音感を持っている。だが、年をとって聴覚が衰えてきたんだろう……自分でも気づかずに、音をずらしてしまうことが間々あったんだ……」
譜和「くっ……うそだ……うそだ、うそだ! うそだ……」
堂本「こんなことになるなら、君に本当のことを言うべきだった。本当に、すまなかった……」
譜和「今更謝っても遅い! 全てあんたのせいだ!」
「違うわ!」
譜和「え?」
園子「私がもし、親友に同じことをされたとしたら……それは何かのっぴきならないわけがあるんだろうなぁって。そしてそれは、もしかしたら親友本人よりも、私のことを思いやってくれていることかもしれないって、そう考えると思うわ……なぜなら、その親友を信じているから」
蘭「私も同じです」
この言葉に譜和は拳銃を落とし、泣き崩れる。
外ではホールの炎が消える。
歩美「外でこんな爆発があったなんて……」
元太「ちっとも気づかなかったな」
光彦「コナン君、何か活躍したみたいですよ」
歩美「やっぱりね。歩美の言ったとおりだったでしょう?」
博士「それにしても新一はよくあのリコーダーのサインがわかったのぉ……」
哀「音名をアルファベットに置き換えるのは、推理小説にも出てくるしね。ドイツ式の音名だと……「シ」は「H」だけど、私の母親がイギリス人だってこと、彼知っているから……「シ」が「B」になるイギリス式の音名を……私が使ったって、とっさに推理したんだと思うわ……ま、後は彼の絶対音感にかけてみたってわけ」
博士「なるほどのぉ……」
哀(それに、私も彼を信じてるから……相棒としてね)
小五郎「う―――ん。てっきりあのベートーベンが犯人だと思ったんだけどなぁ……」
蘭「お父さん、まだ言ってんの?」
園子「でもさぁ……結局来なかったね。あの推理野郎」
蘭「ああ、新一? どうでもいいよ、あんな奴! ほら行こうコナン君。あれ? さっきまでここにいたのに……」
すると森の奥からバイオリンの演奏が響く。
蘭「あれ? ねぇ、この音……」
園子「え? あ、バイオリン! 「アメイジング・グレイス」だね」
蘭「そうじゃなくて、この弾き方……」
園子「弾き方?」
蘭「新一?」
園子「あ、ちょっと蘭!」
蘭は森の奥に走っていく。
やがて広場に出てくる。
蘭「新一? 新一!!」
「新一兄ちゃんなら行っちゃったよ」
蘭「え?」
蘭の前にコナンが姿を現す。
蘭「コナン君……」
コナン「事件だってさ」
蘭「やっぱり新一来てたのね?」
コナン「うん。玲子さんの歌を聴いて、3年前のことを思い出して……それで、楽屋に合ったこのバイオリンで、さっきの曲弾いてたみたいだよ。蘭姉ちゃんと、自分自身に、聴かせるために……新一兄ちゃん、蘭に悪いことしたなって言ってたけど……」」
蘭「え?」
コナン「ケンカでもしたの?」
蘭「ううん、なんでもないの(今更来ても許してやんないんだから……)」
次の日
コナン、蘭、玲子の3人が川原に来ていた。
玲子「ここ、よく彼と来たんだ。私たちのデートコースだったの……」
蘭「へぇー、そうだったんですか……」
玲子「彼が事故で亡くなった春、彼との思い出の場所で、彼の好きだった歌を歌った……」
コナン「それが、「アメイジング・グレイス」だったんだね?」
玲子「そう。私ね……最初はあの4人のこと、すごく恨んでたわ。それはもう、殺してしまいたいぐらいね……でも、許すことにしたの。だって、「アメイジング・グレイス」は、許しの歌だから……じゃあ、もう行くわ。コナン君、またハモろうね……」
コナン「え? あ、あははは……」
玲子「じゃ」
蘭「さよなら……」
コナン「さよなら」
玲子が立ち去る。
コナン「ところで蘭姉ちゃん……どうしてあの時、新一兄ちゃんが弾いてるってわかったの?」
蘭「え? あ、だってあいつ、変な弾き癖があるんだもん。すぐわかるよ……」
コナン「ふーん、そうなんだ……」
コナン&新一(変な弾き癖ってなんだ?)
(終)