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模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG(ジー)の最終回


パーツC
「ビギニング30」


ホビーショップ・アクシズで、ハルたちがガンプラバトル選手権の映像に魅入る。
空、海、氷原。あらゆる場所でモビルスーツたちが激闘を繰り広げている。

リナ「凄ぉい!」
ハル「これが、ガンプラバトル選手権……!」
店長「全国にいるガンプラビルダーが集まって、その腕を競い合うんだ。3人1組での勝ち抜き戦。出てみる気、あるかい?」
一同「はい!!」
リナ「私のニュー・ベアッガイのお披露目ねぇ〜!」

リナの愛機は、アッガイをクマのぬいぐるみ風に改造した「ベアッガイ」。ランドセルを背負い、縦笛まで持っている。

ケンタ「さんざん俺たちに手伝わせたクセに……」
リナ「感謝してるぅ〜!」
店長「あぁ、それから」
ハル「何です?」
店長「これ、バンダイ・ホビーセンターから送られてきたんだけど」

店長が1枚の、プラモのランナーパーツを出す。

リナ「ガンプラ、かなぁ?」
ケンタ「けど、1枚しかないぜ」
リナ「確かに」
ハル「……あぁっ! このパーツ、もしかして!?」
店長「あぁ。おそらく、ビギニングの強化パーツだ」


後日。ハルの家を訪ねたリナを、ハルの母イレイ・ウララが迎える。

ウララ「ごめんね、リナちゃん。ハルったら部屋に閉じこもって、出て来ないのよ。1つのことにあんなに打ち込んでるハルを見るのは、初めてだわ」
リナ「ハルくん、がんばってるんだ……」
ウララ「フフッ。勉強も、あれぐらいやってくれるといいんだけどね」

リナ「がんばれ…… ハルくん!」


バンダイ・ホビーセンターで、ボリス・シャウアーと、ハルの父イレイ・ヒノデ。

シャウアー「あのパーツを、少年に託しましたか」
ヒノデ「あぁ」
シャウアー「透明パーツでの多色成形…… フッ、ムチャな仕様だ」
ヒノデ「君のフォーエバーに、どこまで近づけるかな?」
シャウアー「楽しみは、選手権まで取っておくことにしますよ」

シャウアー「では、大会当日」
ヒノデ「あぁ」

チームメイトのダイアン・リーとサムの2人を引き連れ、シャウアーがセンターを発つ。

シャウアー「行くぞ、マイスターズ!」
ダイアンたち「はっ!」

ヒノデ「本当に楽しみだよ、ボリス・シャウアー……」


そして、いよいよガンプラバトル選手権。
宇宙空間を舞台に、様々なガンプラが戦いを繰り広げる。
第2話でハルに敗れた、タツ・シマノの改造ザク、スーパーカスタムザクF2000の姿もある。

タツ「ハッハッハァ! ガンダムを見ると心が躍るよぉ!」

重武装の機動性低下でハルに敗れたスーパーカスタムザクF2000が、ガンダムステイメンのビームをヒラリとかわす。

タツ「今度はプラ板で軽量化してるんだよぉ!」

ザクの巨大ヒート・ホークの前に、ステイメンが真っ二つに斬り裂かれる。

タツ「ハッハッハァ! 次はどいつだぁ!?」


一方、会場の片隅のケンタたち。ハルの姿はない。

店長「えぇっ! まだ来てないの!?」
リナ「携帯にも出なくて……」
ケンタ「おかしい。どうしたんだ?」
店長「困ったなぁ。もうすぐ、バトルが始まってしまう」

ボリス・シャウアーも会場に到着している。

シャウアー「少年が?」
ダイアン「はい」
シャウアー「臆したか、少年……?」

『第7試合出場チームは、月光堂、おもちゃのグラナダ、UCモデルズ、ホビーショップ・アクシズ……』

リナ「あぁっ、呼ばれちゃった!」
ケンタ「こうなったら、俺たちだけで出よう!」
リナ「2機でぇ!?」
ケンタ「何もしないで負けるなんてゴメンだ!」
リナ「……うん」


ケンタとリナが2人だけで出場。2人がコクピットに入る。

ケンタ「リナ、準備はいいか!?」
リナ「えっと……」
ケンタ「おい、リナ!?」
リナ「だ、大丈夫! やってやるんだから……」
ケンタ「その意気だ! サザビー、サカザキ・ケンタ、出る!」
リナ「ベアッガイ、ノヤマ・リナ、行っちゃいます!」

2人のガンプラが、仮想空間の宇宙へ飛び立つ。
ケンタのサザビーは順調に進むが、リナのベアッガイは宇宙での挙動に苦戦し、手足をジタバタさせている。

ケンタ「あ〜ぁ。ステージは宇宙なのに、なんで水中用かなぁ」
リナ「えっ? これ、水中用なの?」
ケンタ「知らねぇのかよ!?」

彼方からビームが迫る。

リナ「何、あれ!?」
ケンタ「ビグザムだ!」

巨大モビルアーマー、ビグザムが突進して来る。

ケンタ「あれ? サイズが……」

原典ではモビルスーツより遥かに巨大なはずのビグザムが、サザビーより遥かに小さい。

ケンタ「小っちゃ!」

サザビーのキック1発で、ビグザムがあっけなく吹っ飛ぶ。

ケンタ「1/550かよ!」
リナ「きゃあぁ──っ!」

敵陣のビームが飛び交い、戦い慣れしていないリナが翻弄される。

リナ「やめて…… 怖いよ…… ハルくん、助けて…… ハルくうぅぅ──ん!!」

その声に応えたかのように、一筋のビームが轟き、ベアッガイを狙ったガンプラを吹き飛ばす。

ケンタ「何だぁ!?」
リナ「あれ!」

新パーツで強化されたビギニングガンダム、ビギニング30(サーティー)ガンダムが飛来。

ハル「ごめん! ギリギリまで手を入れてたから!」
ケンタ「遅いんだよ!」
リナ「で、でもカッコいい!」

突然のファンネルの攻撃。とっさにビギニングがバリアーを展開し、サザビーらをビームから守る。

ハル「あのファンネルは! Hi-ν(ハイニュー)!」

第1話でハルに敗れた、コウジ・マツモトのHi-νガンダムが飛来。

コウジ「今度はちゃんと、自分で作って来たよ!」
ケンタ「ファンネルは俺が!」

ケンタのサザビーがファンネルを射出し、Hi-νのファンネルを食い止める。
ビギニング30ガンダムとHi-νガンダムの戦闘。Hi-νの放つビームを、ビギニングのバリアーが弾き返す。

コウジ「なんだぁ、あの光!? ビームを弾いてる!」
ハル「ifs(イフス)ユニット…… 機能してる! 行きます!」

ビギニング30ガンダムが長大なビームサーベルを繰り出し、Hi-νを叩き斬る。

コウジ「バカな!? 僕が作ったんだぞぉ──っ!」

Hi-νガンダムが大爆発、敗北。

ケンタ「すげぇ……!」
リナ「でっかいビーム!」
ハル「クリアパーツも綺麗に作ったんだ。効果はあったかな?」
声「見事だな、少年」
ハル「……!」

シャウアーのフォーエバーガンダムが、サムのジム・ブルーディスティニー、ダイアンのケンプファーを引き連れて登場。

ハル「ボリス・シャウアーさん!」
シャウアー「だが、それはビギニング30の基本性能のおかげ。君自身のビルダーとしての実力、計らせてもらおう! サム、ダイアン!」
サム「ラジャー!」
ダイアン「イエッサー!」

フォーエバーガンダムがファンネルでバリアーを展開。
しかしビギニングのビームがバリアーを貫き、フォーエバーのシールドを撃ち抜く。

シャウアー「フン、やる!」

続く攻撃をフォーエバーがファンネルで防ぎ、今度はフォーエバーのハンマーがビギニングのシールドを砕く。
さらにフォーエバーの繰り出すファンネル攻撃を、ビギニングはIフィールドでなんとか避ける。

ハル「速い!」

フォーエバーの連続攻撃に気を取られている間に、ビギニングの頭上にサムのジム・ブルーディスティニーが回り込む。

サム「もらったぁ!」
ハル「くッ!」

だがケンタのサザビーが、ジムの攻撃を阻む。

ケンタ「こいつは任せろぉ!」
リナ「ハルくんは、そいつを!」
ダイアン「生意気ぃっ!」

ダイアンのケンプファーが飛来。ロケット弾をベアッガイ目がけて放つが、ベアッガイはどうにか避ける。
ベアッガイが、背のランドセルに刺さった笛を咥える。

ダイアン「笛!?」

間の抜けたリコーダーの音色とともに、ビームが発射。

ダイアン「フザけた改造してぇ!」
リナ「まだまだぁ!」

さらにランドセルが開き、ミサイルが発射されるが、ケンプファーは素早くかわす。

ダイアン「遅い!」

突進したケンプファーが、ベアッガイと組み合う。

ダイアン「そんな改造で勝てるなどと……」
リナ「どうかしら!?」

両目からメガ粒子砲を発射。とっさにケンプファーがよけ、かすかにボディをビームが掠める。

リナ「惜しい〜!」

一方でケンタのサザビーはジム・ブルーディスティニーと対戦。サザビーの放つファンネルを、ジムがサーベルで斬り裂く。

サム「ファンネルなど、私には通用せんぞ!」
ケンタ「やっぱ強い!」

ビギニング30ガンダムとフォーエバーガンダム、宇宙を飛び回りつつ戦闘が続ける。
やがて前方に立ちはだかる、他チームの10体近くのガンプラたち。
だがビギニングとフォーエバーの攻撃で、あっという間に他チームは全滅。

再びビギニングとフォーエバーの一騎討ちとなり、互いにビームサーベルを抜く。
凄まじい鍔迫り合い。両者の戦いぶりは、まったくの互角。

シャウアー「フフフ! 楽しい…… 楽しいな、少年!」
ハル「はいっ! ガンプラは、楽しいです! それに奥深い。そして、なんといっても…… こんなにも、面白い!!」

ガンダム同士の凄まじい戦い。会場外でスクリーンを見ている観衆が、歓声を上げる。
その中に、ハルの父ヒノデの姿もある。

ヒノデ「ビギニング、そしてフォーエバー。この2つが、新たなガンプラビルダーを育ててゆく…… 30年目の始まり(ビギニング)、そして、永遠(フォーエバー)に……!」


ビギニングガンダムとフォーエバーガンダムのビームサーベルがぶつかり合い、閃光が飛び散り、光があふれる──


1年前。ガンプラに出逢い、僕はガンプラビルダーになった。ガンプラの楽しさを知り、奥深さを知り、そして……


2010年、東京・お台場の夜。夜空の下にライトアップされた、実物大ガンダム立像。
出店の商品棚には、たくさんのガンプラが陳列されている。
ビギニングガンダムやフォーエバーガンダムなど、1年前のガンプラバトルで活躍したガンプラたちに、2人の子供が目を見張る。

「わぁ…… すっごいぉ!」「カッコいい!」「俺にも作れるかなぁ?」」

「もちろんだよ」

その声に2人が振り向く。ハル、ケンタ、リナの3人がいる。

ハル「僕も初心者だったけど、そこに飾ってあるビギニングで、作れるようになったから」
子供たち「えぇっ! ホントに!?」「このガンプラ、お兄ちゃんが作ったの!?」
ハル「うん」
ケンタ「年前まで初心者だったのに……」
リナ「今は立派な、ガンプラマイスターになったのよ」

ハル「だから…… 一緒に作ろうよ。ガンプラ!!」


(終)
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