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仮面ライダーXの最終回
さらばXライダー
神啓介がキングダークのアジトを探し出すため、バイクで走り回る。
啓介「キングダークは遂に活動を始めた……あの大巨人が暴れ出したら、大変なことになる! 一体キングダークのアジトはどこにあるのか……一刻も早く探し出して、破壊しなければ」
その前方を走る立花藤兵衛のジープ。チコ、マコも同乗している。
チコ「啓介さ──ん!」
啓介「おぅ、左だ、左!」
立花「OK!」
立花と啓介が路肩に駐車する。
啓介「親父さん、おれは東の方向を探しますから」
立花「そうしれくれ。それにしても……一文字や風見はどこに行っちまったのかなぁ」
啓介「いや、彼らは彼らで違う活動をしているんでしょう。そのことを当てにしちゃだめですよ」
マコ「そうよ! 私たちがここにいるじゃない! ねぇ?」
チコ「そうよ、そうよ!」
立花「あぁ、わかった、わかった!」
啓介「おい、あまり親父さんの邪魔をすんじゃないぞ。じゃ、みんな気をつけてな」
マコ「うん、任しといて!」
啓介がバイクで走り去る。
チコ・マコ「頑張ってね──!」
立花「行くぞ!」
一方、立花が走らせるジープの前に突然、老人が飛び出す。
老人「停まれぇ、停まれぇ──!」
慌ててジープを停める立花。
立花「おい、気をつけてくれなきゃ困るじゃないですか!」
チコ「本当よ!」
老人「頼みます、頼みます! 孫が、孫が急病で……病院まで頼みます!」
マコ「お孫さんはどこにいるの?」
老人「家の中に……」
マコ「さぁ、お乗りなさい! 親父さんを病院まで運びましょう!」
立花「お……おい、ちょっと」
老人「頼みます!」
立花「は、はぁ」
老人を乗せ、老人の家があるという方向へジープが向かう。
老人「と、停めて! あそこじゃ」
一同がジープを降りる。そこには貧乏そうな家が。
立花「お孫さん……どこにいるんですか?」
立花が振り向くと、老人の姿が忽然と消えている。
立花「あれ……? どこ行っちまったんだ?」
チコ「あ? お爺さぁん! お爺さぁん!」
マコ「お爺さぁん!」
そのとき、チコとマコのもとに1匹のサソリが現れる。
チコ・マコ「きゃあっ!!」
立花「おい、どうしたんだ!?」
チコ・マコ「サ、サソリ!!」
サソリがたちまちGODの怪人に変身。
その姿は、かつてXライダーが倒した怪人、サソリジェロニモに瓜二つ。
立花「GODか!?」
ジェロニモ「その通り! 俺の名はサソリジェロニモJrよ!」
立花「逃げろ!」
チコ・マコ「はい!」
しかし立花はサソリジェロニモJrに、チコとマコは戦闘員にたちまち捕われてしまう。
ジェロニモ「お前たち3人は、人質だ! 逃げられはせんのだぁ」
一方、啓介は立花のコーヒーショップで立花らの帰りを待つ。
啓介「遅いなぁ、親父さんたち……いくら遠くに捜査に行ったからって、もう帰ってもいい頃だがなぁ」
車が停まる音。
啓介「ん? 噂をすれば影とはよく言ったもんだ」
店を出る啓介。
啓介「親父さん!」
ところがそこには立花のジープが停まっているものの、誰も乗っていない。
啓介「確かに親父さんの車だが……?」
ハンドルのところに、サソリがとりついている。
啓介「サソリ!?」
サソリジェロニモJrの声が響く。
ジェロニモ「聞け、神啓介」
啓介「GODだな……」
ジェロニモ「立花藤兵衛と2人の小娘は、我々が捕えた。3人は、お前が持つ最後の1枚の設計図と引き換えに渡す! 場所は多摩丘陵だ!」
啓介が約束の場所へ、バイクでやって来る。
立花とマコは逆さ吊りにされ、チコは柱に縛り付けられ、戦闘員が見張っている。
啓介「何てひどいことを……見張りは2人か、よし!」
立花らのもとへ向かう啓介。
立花「啓介、来るな!」
マコ「来ないで、啓介さん!」
どこからともなく槍が飛んできて、啓介のバイクの目の前の地面に突き刺さる。
ジェロニモ「神啓介、そこで停まれ」
啓介「約束通り設計図は持ってきた、出て来い、GOD悪人軍団!」
サソリジェロニモJrと戦闘員たちが、バイクに跨って登場。
啓介「貴様……死んだ筈のサソリジェロニモ!?」
ジェロニモ「その息子の、ジェロニモJrだ!」
立花「やめろ、啓介! 俺たちの命はどうでもいい! 設計図を渡したら地球は破滅だぞ!」
ジェロニモ「黙らせろ」
戦闘員が立花を殴り、気絶させる。
ジェロニモ「2人の小娘の頭の皮を剥いでみせようか?」
戦闘員がチコとマコの顔にナイフを突きつける。
チコ「きゃあっ!?」
マコ「やめてぇっ!!」
啓介「待て……設計図は渡す。これだ」
ジェロニモ「投げろ」
啓介「受け取れ!」
啓介がサソリジェロニモJrに、設計図を投げ渡す。
啓介「俺はGODとは違う……約束は守った。3人は渡してもらうぞ」
ジェロニモ「動くな、神啓介。これからが本番だ!」
啓介「何ぃ!?」
ジェロニモ「俺の親父を殺した仇をとるのだ!」
啓介「……卑怯な!」
ジェロニモ「かかれ!」
戦闘員がバイクで啓介を襲う。
立花「啓介──!」
マコ「啓介さ──ん!」
啓介「大・変・身!!」
啓介が仮面ライダーXに変身。
たちまち戦闘員らを撃退し、立花たちを救い出す。
立花「Xライダー、助かったぞ!」
X「親父さん、チコとマコを!」
立花「よし!」
Xが愛車クルーザーに跨り、尚も追いすがる戦闘員のバイク部隊と戦い続ける。
X「クルーザー大回転!!」
空中回転からのクルーザーの体当たりが炸裂。戦闘員たちは一掃される。
ジェロニモ「1対1の勝負!」
X「勝負は受けるぞ!」
XとサソリジェロニモJr、互いにバイクに跨っての一騎打ちだ。
立花「ジェニモJrの腕も凄い! まるで馬に乗るようにマシンを扱っている……そうか、奴にはインディアンの血が流れていたのか!」
Xが再びクルーザー大回転をしかけようとしたとき、サソリジェロニモJrの投げた槍がXに炸裂。
地面に落下したXの姿が岩陰の向こうへ消え、そして爆発──
立花「はっ、Xライダーが!?」
ジェロニモ「Xライダーがパワーアップしたように、このジェロニモJrもパワーアップしたのだ! 地球の最期をその目で拝ませてやる!」
立花「地球の最期だとぉ!?」
ジェロニモ「そうだ! キングダーク様が活動を始めたし、設計図も手に入った!」
立花たちはサソリジェロニモJrと戦闘員たちに捕われ、キングダークへのアジトへと連行される。
ジェロニモ「しっかり見張っていろ!」
サソリジェロニモJrが単身、アジトの入口である地下トンネルへと入っていく。
立花「Xライダーは死んだ……これでも、GODに立ち向かう手段はないのか……?」
戦闘員が立花を殴りつける。
チコ・マコ「マスター!?」
そのとき、神啓介が登場。
啓介「待てぃ!!」
立花「啓介、やっぱり無事だったのか!」
啓介「親父さん、心配かけてすまない。死んだと見せかけて後をつけるより他に、キングダークのアジトを探す方法がなかった」
戦闘員「おのれ神啓介、やれっ!」
啓介が戦闘員をたちまち一掃。
立花「啓介、早く行くんだ! キングダークが暴れだすぞ!」
啓介「はい! 親父さん、もう少し辛抱して下さい!」
立花「あとのことは心配すんな!」
トンネルをくぐり、奥の扉を開くと、そこは地下の大空洞。
啓介「キングダークはここに潜んでいたのか……」
どこからともなく、キングダークの声が響く。
キングダーク「ワッハッハ……俺を探しにきて、とうとう罠にかかったな!」
啓介「キングダーク! どこだ!? 出て来ぉい!!」
突然、洞穴全体が大きく揺れ始める。
啓介が扉に手をかけるが、既に扉は開かなくなっている。
キングダーク「ワッハッハ……その洞穴の中で、埋もれて死ねぇ!!」
地上。立花たちの目の前の建物が、大きく揺れている。
マコ「あっ、あの建物は!?」
立花「啓介が入ったトンネルの上だ!」
そしてその建物から遂に、キングダークがその巨体を現す。
チコ・マコ「きゃあっ!!」
立花「キングダーク!?」
キングダークがその巨体で足を踏みならすたび、地底の洞穴で落石が啓介を襲う。
キングダーク「死ね……神啓介!」
啓介「大・変・身!!」
啓介がXライダーに変身、地上へ飛び出す。
立花「おぉっ!」
マコ「Xライダー!」
キングダーク「Xライダーか……」
X「俺が貴様を倒す!」
キングダーク「そのちっぽけな体で、このキングダーク様と、戦えるとでも思っているのか?」
X「何!?」
キングダーク「破壊光線!!」
キングダークの両眼から破壊光線が放たれる。
Xがかわし、破壊光線を浴びた鉄塔がたちまち爆発。
キングダーク「愚か者め!」
今度は指先からミサイル攻撃。
Xがジャンプで必死に交わす。立花らもその爆風を必死に避ける。
X「危ない!」
キングダーク「貴様らから先に、片付けてやる」
チコ・マコ「きゃあっ!!」
キングダークの巨大な足が、掌が立花たちに迫る。
そうはさせまいと、Xがクルーザーに飛び乗る。
「クルーザージャンプ!!」
クルーザーでキングダークの顔面に体当たりするが、全く手ごたえがない。
キングダーク「ワッハッハ!」
再びXはクルーザーでの体当たりを試みるが、キングダークはそれを手で叩き落してしまう。
X「駄目か……キングダークの急所はどこなんだ!?」
キングダーク「キングダークは無敵なのだ。不死身の巨人なのだ! 死ね!!」
Xが大ジャンプでキングダークの頭に取り付き、顔面にパンチの連続。
キングダーク「うるさい奴め!」
キングダークがXを振り落とす。
そして口が開き、暴風が吹き出してXを襲う。
X「そうだ、あの口から奴の中へ!」
クルーザーに飛び乗ったXが、自らキングダークの口を目指す。
キングダーク「生意気な……噛み砕いてやる!!」
Xがキングダークの口の中へ──
マコ「きゃっ!」
立花「Xライダーがキングダークに……」
チコ「食べられちゃったぁ!」
キングダーク内部に侵入したX。
途端に銃弾がXを襲い、さらに戦闘員が現れてXを迎え撃つ。
キングダーク「Xライダーを防げ! キングダークは全東京を破壊するのだ!!」
次々に現れる戦闘員と戦い続けるX。
一方キングダークは、地上を我が物顔で歩き始める。
立花「また動き出したぞ!」
X「コントロール室はどこだ……?」
Xがさまよう廊下、ガスが吹き出し始める。
X[むっ、毒ガス!?」
Xが壁を叩き壊して隣の廊下へ。
しかし今度は、廊下両面の壁から無数の槍が飛び出す。
X「コントロール室はどこなんだ!?」
複数の戦闘員たちに警備された、ひときわ厳重そうな一室。
戦闘員たちを一掃する。
X「これがコントロール室か?」
ドアが開く。
そこにいたのは、異様な姿の……人間?
その頭には無数のコードが繋がり、コントロール用とおぼしき周囲の機器に接続されている。
彼こそGODの各員に指示を与えていた総司令の正体、呪博士だ。
X[お前は……!?」
呪「Xライダー……わしの名は呪博士。そしてお前の父親の親友」
X「親父の親友!? 聞いたことがある……悪魔の天才・呪博士の名は」
呪「そしてわしがGODであり、キングダークはわしの体の一部分なのだ」
X「そうか……!」
呪「地球はとうとう、わしのものだぁ!」
X「そうはさせん!」
突如、Xの背後からサソリジェロニモJrが登場。 Xライダーが振り向いた瞬間──
ジェロニモ「死ね!!」
サソリジェロニモJrの槍が、Xの胴を貫通する。
呪「わしの目の前で、Xライダーを殺すのだ!!」
ビル街を闊歩するキングダーク。
立花「どうしたんだ……Xライダーは中で何をしているんだ!?」
X「う……うぅっ……」
呪「ワッハッハッハ……!」
Xが自分に刺さっている槍を叩き折ると、槍の切っ先が胴に刺さったまま、ライドルホイップを引き抜く。
X「ライドルホイップ!」
呪「やめろぉ!」
X「GODの最期だぁ!!」
呪「わしを殺せば、キングダークは爆発する。お前も死ぬぞ!!」
X「……覚悟の上だ。2人とも死ねぇっ!!」
呪博士をかばうサソリジェロニモJr。
Xの繰り出すライドルホイップが、サソリジェロニモJrと呪博士を、2人まとめて貫く。
呪「バ……馬鹿な……今一歩のところで……成功したものを……貴様も道連れだぁ!」
キングダークの動きがとまり、あちこちから火を吹き始める。
そして首がちぎれ飛び、地面に転がる。
立花「やったぞ……! Xライダーがやったんだ!」
マコ「Xライダーが!?」
そして、キングダークが大爆発──
立花「爆発した……!?」
チコ「……Xライダーも?」
マコ「一緒に……?」
飛び散る機械片、もうもうと上がる黒煙を呆然と見上げる立花たち。
コーヒーショップに帰る一同。チコとマコは泣きじゃくっている。
立花「メソメソするな! ……俺まで泣けてくるじゃないか」
そのとき──カウンターの上に一通の封筒。宛名は「立花藤兵衛様」。
立花が封を切り、中の手紙を読み始める。
立花「……生きてる! 生きてるぞ!」
チコ「えっ!?」
マコ「Xライダーが生きてる!?」
おやじさんへ、チコ、マコ
先輩の仮面ライダーとおなじように
俺も又、新しいたたかいのために 旅に
出ます。
Xライダーの名をはずかしめない活躍
を、期待して下さい。
いつの日か、必ず又、もどってきます。
それまで、さようなら。
神 啓介
その頃啓介は、バイクに跨り、どこかを走っていた。
立花たちへの置き手紙のメッセージが脳裏に過ぎる。
啓介 (親父さん、チコ、マコ。先輩の仮面ライダーと同じように、俺もまた、新しい戦いのために旅に出る……Xライダーの名を辱めない活躍を期待してくれ! いつの日か、必ずまた戻って来ます。それまで……それまでさようなら!)
これまでの激闘の数々の記憶が、啓介の胸に甦る。
そして立花たちへの置き手紙の、最後のメッセージが……。
啓介 (いつの日か……必ずまた戻って来ます! それまで……それまで、さようなら!)
啓介が1人、どこへともなく走り去っていく──
おわり