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仮面ライダーV3の最終回


デストロンさい


デストロンの恐るべきプルトンロケットを爆破して
空へと散っていったライダーマンに
仮面ライダー4号の名を贈ったV3は
しかし 尚も襲ってくるザリガーナたちと
死に物狂いで戦いつつあった


V3と怪人ザリガーナたちとの激戦が続く。
戦闘員の1人が発煙筒を投げる。
煙に紛れ、ザリガーナが退散する。

V3「どこへ行った……? どこへ消えたんだ……!?」


少年ライダー隊本部の立花藤兵衛のもとへ、風見志郎からの通信が入る。

立花「何、プルトンロケットは爆破された? 良かった……! で、結城丈二は? ……え? 死んだ!?」
志郎「俺は彼に……仮面ライダー4号の名を贈った。冥福を祈って下さい……」
立花「仮面ライダー……4号か……!」
志郎「今から、デストロンの城の位置を探ります。親父さん、後は頼みますよ!」

通信を切る志郎。
プルトンロケット発射基地の司令室に入ると、既に中は無人。機器は破壊されている。

志郎「デストロンめ……いつものようにアジトを破壊して、引き上げたと見える……」

ふと、志郎は壁に飾られているサソリ型のデストロンの紋章が気になる。
それを叩き割ると、中から小型通信機が。

志郎「なるほど……この無線受信機を通じて、首領の指令が送られていたのか。待てよ? するとこの受信機は……首領の発信する電波だけ傍受するように作られているに違いない! 波長を辿れば、首領のところへ辿り着くかもしれんな……」

通信機から信号音が響く。

志郎「しめた! この受信機はまだ壊れていなかったのか」
首領「デストロン幹部に告げる! 貴重なプルトンロケットを破壊された以上、もはや猶予はできぬ。私は最後の決意をした! 幹部は速やかに、D作戦を開始せよ!」
志郎「D作戦……何のことだ?」


街中。

ダムが決壊し、大量の貯水が溢れ出す。
ビル群が次々に破壊され、炎が上がる。
石油コンビナートが炎上する。
人々が逃げ惑う。


ライダー隊本部の立花と珠純子のもとに、ライダー隊のシゲルから通信が入る。

シゲル「ライダー隊本部、ライダー隊本部!」
立花「こちら本部! どうした?」
シゲル「大変です! 少年ライダー隊の隊員たちが、デストロンに襲われています!」
立花「何!?」

街中で、再生怪人・死人コウモリ、鬼火セイウチが少年ライダー隊を襲っている。

シゲル「隊長、応援頼みます!」
立花「場所はどこだ!? ……おい、シゲル! 場所はどこなんだ!?」

そのとき突如、地震のようにライダー隊本部が揺れ始める。

純子「会長!?」
立花「何だこりゃあ!?」

床を突き破り、怪人ザリガーナが出現。

立花「うわっ、デストロン!? 純子!」

続いてドアをぶち破り、鬼火セイウチも出現。
立花が鬼火セイウチに果敢に挑むが、到底敵う筈もなく、ザリガーナにロッカーに叩きつけられて気を失う。

純子「会長!?」


やがて、ライダー隊本部に帰還した志郎。
気を失った立花が倒れている。純子の姿はない。

志郎「親父さん、親父さん!? しっかりして、親父さん!」

立花が意識を取り戻す。

立花「はっ……志郎! 奴ら、ライダー隊員に逆襲をかけてきた」
志郎「やっぱり……! D作戦と聞いて、もしやと思って帰って来たんですが」
立花「純子がさらわれた! ライダー隊員も危ない!」
志郎「わかりました、すぐ助けに行きます。奴らの本拠地は、およそ見当がついているんですよ。さぁ!」
立花「よし……わしも行く」

立花が立ち上がろうとするが、ふらふらとよろける。

志郎「お、親父さん!? その体じゃ無理だ……少し、休んで下さい」

志郎が立花を椅子に座らせる。

志郎「純子さんやシゲル君は……必ず俺が!」
立花「すまん……頼む!」
志郎「はい!」


古寺のような場所へやって来た志郎。

志郎「首領の電波の発信地は……確かこの辺りだ」

戦闘員が出現。
次々に群がる戦闘員たちを、志郎は素手で倒してゆく。

やがて、石灯籠の陰に地下への隠し階段を見つけ、降りていく。

中は明らかにデストロンのアジト。
そして志郎がある部屋へ入ると、そこには既に倒されたはずの怪人・死人コウモリ、鬼火セイウチ、バショウガンが。
思わず身構える志郎だが、怪人たちはピクリとも動かない。
試しに志郎が怪人をつついてみると、怪人は動かないまま倒れてしまう。

志郎「剥製か……」

そこにヨロイ元帥が出現する。

ヨロイ元帥「よぉく来た! 風見志郎、待っていたぞ」
志郎「ヨロイ元帥……純子さんや子供たちをどこへやった?」
ヨロイ元帥「あいつらは、あそこだ」

壁が開き、戦闘員たちに捕われた純子やシゲルたちが。

シゲルたち「助けてくれぇ」「助けてぇ」
純子「志郎さん!」
ヨロイ元帥「あいつらは今まで、デーストロンに盾突いた罰に、間もなく死刑にされることになっている!」
志郎「何!?」

再び壁が閉まり、志郎と純子たちは仕切られてしまう。

志郎「待て!! やめろ!! くっ、ヨロイ元帥……許さんっ!!」
ヨロイ元帥「風見志郎、周りをよぉく見ろ!」

剥製かと思われていた3怪人が動き出し、志郎を襲い始める。

志郎「おのれぇ……変・身……V3──!!」

変身したV3が反撃に転ずる。
V3が怪人を壁に叩きつけたとき、さきほど開いた壁が再び開く。
すかさずV3が壁向こうへ。

V3「純子さん! シゲル君!」

しかし、純子たちの姿はもうない。
突然、V3の足元の床が開く。罠だったのだ。

V3「わぁ──っ!?」

地下室へ落とされてしまったV3。
そして頭上から、大量の粉末が注がれ始める。

ヨロイ元帥「ハハハ……それは特殊金属の粉末だ。いくら仮面ライダーV3でも、それには勝てぬぞ。貴様の体は、やがて溶けてゆく!」


一方で純子たちは、海の上にかかる桟橋から逆さ吊りにされている。その真下は海。
ヨロイ元帥は悠々とその様子を眺めている。

シゲルたち「助けてくれぇ!」「助けてぇ!」
ヨロイ元帥「そろそろ満ち潮だ。あと10分もすれば、あいつらは完全に水の中だ。ハッハッハ……せいぜい苦しむがいい!」
純子「助けて、V3!!」


その頃V3は、既に首まで金属粉末に埋まっていた。


一方で立花は、信号受信機を片手に、アジトのある古寺までやって来ていた。

立花「信号の発信源は確かこの辺だなぁ……」


処刑場では海水が満ち始め、純子たちの頭に次第に海面が近づいてくる。

純子「みんなで祈りましょう、V3が来て助けてくれるように……V3、デストロンの悪の手から人間を救って下さい!」


V3は既に、粉末の山の中に、頭の上半分がかろうじて出ている状態である。

V3「私は……私はまだ死ぬわけにはいかん。よし、ダブルタイフーンをフル回転して、V3の全エネルギーを放出しよう。V3──全エネルギー、開放!!」

V3のダブルタイフーンが作動──


処刑場。海面が純子たちの頭に迫る。

純子たち「助けてぇ!」


V3が地下室から見事脱出。

そのとき、壁が開き始める。また怪人か!?

V3「おのれぇ……」

身構えるV3。だが現れたのは、立花であった。

立花「わ、わぁっ!?」
V3「親父さん!?」
立花「V3! 純子たちは海岸の処刑場だ。早く!」


V3と立花が外に出て、ハリケーンに乗る。


処刑寸前の純子、シゲルたち。

シゲルたち「助けてくれぇ!」

そこへV3の乗ったハリケーンが飛来。

純子「V3──!!」
立花「純子ぉっ!!」

ハリケーンが着地。
群がる戦闘員たちを、V3が蹴散らす。

V3「親父さん、みんなを早く!」
立花「よし!」

ヨロイ元帥「V3……貴様、まだ生きていたのか!?」
V3「デストロンが滅びぬ限り、仮面ライダーV3は死なん!!」

なおも群がる戦闘員を、V3が倒してゆく。
その間に立花は、純子たちを救出する。

立花「さぁみんな、早く!」
シゲルたち「はい!」


V3が戦闘員を一掃。残るはヨロイ元帥ただ1人だ。
最後の幹部、ヨロイ元帥とV3の一騎討ちが始まる。
ヨロイ元帥は左腕の鉄球を鎖で振り回しつつ、V3に投げつけるが、V3はそれを受け止め、逆にヨロイ元帥の顔面目掛けて叩きつける。

ヨロイ元帥「むぅっ……ライダーV3め!!」

ヨロイ元帥が怪人ザリガーナに変身。
これまで同様の姿ではなく、背中には無数の脚を備えた甲羅を背負っている。

V3「ヨロイ元帥は……ザリガーナ!」

ザリガーナに挑むV3。
その手刀で、甲羅から生えた脚を次々に叩き折る。

ザリガーナ「おのれV3……こうなったら奥の手だ!」

ザリガーナが背の甲羅を外して踏み砕くと、棘だらけの甲羅の破片を次々にV3に投げつける。

ザリガーナ「甲羅崩し! 食らえ!」

甲羅の破片をよけ続けるV3。

ザリガーナ「どうだV3、どうだ!」

攻撃を避けつつ、隙をついてV3の体がザリガーナ目掛けて宙を舞う。

V3「V3──フル回転キィ──ック!!」
ザリガーナ「ぐわぁっ!!」

渾身の必殺キックがザリガーナに命中。
ダメージを受けたザリガーナが、ヨロイ元帥の姿に戻る。

ヨロイ元帥「V3……」

フラフラと逃げ出すヨロイ元帥。

V3「待てっ!」


とある灯台の中へと、ヨロイ元帥が逃げ込む。
V3が追う。その中もデストロンのアジトらしい。

V3「待て!」
ヨロイ元帥「首領! 私を見捨てないでくれ……」
首領「偽善者め! お前はもう役に立たん。死ぬのだ!」
ヨロイ元帥「え!? あぁ──っ!!」

ヨロイ元帥が爆死──

V3「デストロンの首領は……幹部までも!?」


爆発で壁には大穴が開いている。
V3がその奥へと進んでいく。

その先には、前回でも姿を見せた、頭巾とローブで身を包んだあの“首領”の姿が。

V3「いたな、首領!」

すかさず親衛隊員が襲来。
V3が群がる親衛隊員を一掃する。

さきほどの“首領”の姿が消える。
前方は壁で仕切られており、デストロンの紋章があるのみ。

V3がその紋章に手をかけると、壁がドアの如く開く。

そこにいたのは──全身を白い布で覆った何者か。
中で誰かが動いている。前回のように、もぬけの空ではない。紛れもなく、今度こそデストロン首領が目の前にいる。

首領「ハッハッハ……とうとうここまでやって来たな、仮面ライダーV3」
V3「貴様がデストロンの首領か……正体を見せろ!」
首領「私の正体を見た者は死なねばならん! それがデストロンの掟だ!」
V3「黙れ!! そんなこけおどしに乗るV3ではない。今、俺が貴様の正体を暴いてやる!」

V3が布をはぎとる。
現れた姿は、何と骸骨。

V3「骸骨……!?」
首領「フハハハ……いかにも私は、地球の人類に死をもたらす、死神なのだ!」

骸骨の姿の首領が、V3に迫る。
ふとV3がその胸を見ると、肋骨の中に内臓が見え、心臓が脈動している。

V3「はっ……心臓が生きている! よぉし、死神は地獄に行けぇ!!」

V3が手刀で首領の骸骨の腕を叩き折り、頭蓋骨を叩き飛ばし、そして肋骨を叩き割る。
心臓が床に飛び散って砕け、体液が流れ出る……

V3「これが首領の本当の姿だったのか……?」

そのとき、倒したはずの首領の声が、どこからともなく響く。

首領「仮面ライダーV3、よく私の正体を突き止めた。褒めてやろう」

V3が頭蓋骨を叩き割る。中にはテープレコーダーが。

首領「これで私は死ぬ……だが、貴様も一緒に死ぬのだ!!」

アジトが各所が爆発を始める。


そして、灯台が大爆発を起こして粉々に砕け散る──


海岸で夕陽を見つめる立花、純子、シゲル。

立花「素晴しい夕陽だ……そう思わんかね、純子」
純子「えぇ!」
立花「地上からデストロンが消えた……これで平和がやって来る! みんな、仮面ライダーV3のお陰だ……」
純子「V3……志郎さんはどこへ行ったのかしら……」
立花「……あいつはきっとどこかにいる。人類に危機が訪れるとき、あいつはきっとやって来る!」

海に向かって、純子とシゲルが叫ぶ。

純子「志郎さぁ──ん!!」
シゲル「風見さぁ──ん!!」
純子「志郎さぁ──ん!!」


その頃、風見志郎は1人バイクを駆って、夕陽の中、どこへともなく旅立って行ったのであった……。


首領が消え去り
デストロン組織は壊滅した

目的を果たした改造人間・風見志郎は
今 1人 何処ともなく去り行こうとしている

だが 地上の平和が脅かされる日
彼は 仮面ライダーV3として
再び 我々の前に現れるだろう……


おわり
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