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仮面ライダー(スカイライダー)の最終回


ネオショッカーを支配する大首領の正体は
地球侵略を目指す 暗黒星雲の宇宙怪物であった

スカイライダー・筑波洋は
大首領の召使いにされていた母を助けて
氷漬けの父に別れを告げ 地上を目指した

だが 大首領の引き起こした大地震によって
筑波洋と母に 危険が迫っていた


喫茶店ブランカも、大地震に見舞われていた。
谷源次郎たち一同がテーブル下に避難。
そこへ、がんがんじいが飛び込んで来て、ナオコのテーブル下に飛び込む。

がんがんじい「うわぁ、えらい地震や、こらぁ!」
ナオコ「嫌ぁ! がんがんじい、割り込んでこないでよ! あっち行ってよぉ!」
がんがんじい「そんな冷たいこと言わんと、割り込みさせてぇな!」

今度はがんがんじいが、ユミとアキの隠れているテーブルに飛び込む。

がんがんじい「こんなこと初めてや! ちょっと割り込みさせて」
ユミ「向こうへ行ってよ! 天下のがんがんじいが情けない声ださないで!」
アキ「そうよぉ!」
がんがんじい「そやかて地震、雷、火事、親父、この4つが大の苦手やで」
アキ「アリコマンドが抜けてるわよ!」
がんがんじい「アリコマンドなんか恐いことないわい! しかしこらぁ、ほんまにヤバイんやないかい? あ、マスター、マスター、さっきのラジオで、震源地は魔神湖の付近や、言うてましたで」
谷「何、魔神湖の付近だぁ?」

テーブル下に隠れていた谷が立ち上がる。

谷「もしや……もしや、洋の身に!?」
ナオコ「マスター、立ち上がったら危険ですってば!」
谷「魔神湖のところには、洋が行ってるんだ!」
ナオコたち「えっ!?」

やがて地震がやみ、皆もテーブル下から出てくる。

谷「みんな、大丈夫か」
がんがんじい「あぁ、収まった収まった!」
アキ「良かったぁ!」
ナオコ「ねぇマスター、洋さん……お父さんお母さん、見つけられたかしら?」
谷「……」
ユミ「無事なら無事だと、連絡してくれればいいのよ」
がんがんじい「無事に決まっとるやないか! もしなんだったら、このがんがんじい様がすぐに助けに走ろやないか! 大船に乗ったつもりでドーンと……」

天井から吊り下げられていた装飾品が落ち、がんがんじいの頭に命中。がんがんじいがひっくり返る。

ナオコたち「あははは!」「嫌ぁ!」
谷「ほら、がんがんじい、大丈夫か?」

そこへ、仮面ライダー2号こと一文字隼人、ストロンガーこと城茂が訪れる。

隼人「マスター、洋から連絡は?」
谷「いや……まだ何も。一文字くん、城くん、何かあったのかい?」
茂「洋はお母さんを助け出して、ネオショッカー本部から脱出はしたんですが……」
ナオコ「洋さんのお母さん、無事だったんですか!?」
茂「あぁ、無事だったよ」
ナオコ「あぁ、良かったぁ……! だけど洋さん、どうしちゃったのかしら?」


一方のネオショッカー本部、大首領の間。

大首領直属の暗殺部隊であるドクロ暗殺隊の隊長が号令をかける。

隊長「ドクロ暗殺隊、集結せよ!」

たちまち、暗殺隊が集う。

大首領「草の根を分けても、筑波洋を探し出せ! 奴を殺し、母親を連れ戻すのだ!」

ドクロ暗殺隊が出動。

大首領「科学者グループ集合せよ!」

続いて、白い装束に身を包んだアリコマンドの科学者グループが集結する。

大首領「ネオショッカーの優れた科学者たちよ。日本を乗っ取るV作戦を開始する。酸素破壊爆弾を用意しろ」


丘の上に立つ一文字隼人、城茂。

隼人「変身……!!」
茂「変身……ストロンガ──!!」

隼人が2号ライダーに、茂がストロンガーに変身。
それぞれ愛車サイクロンとカブトローに跨り、駆け出す。

世界各地で戦っていたライダーたちが、次々に駆けつけてくる。

1号「1号ライダー、メキシコから到着!」
V3「V3、ギリシャから到着!」
X「Xライダー、エジプトから到着!」
ライダーマン「ライダーマン、南アフリカから帰ったぞ!」
アマゾン「アマゾンライダー、ペルーから到着!」


1号からストロンガーまでの7大ライダーが、遂に集結した……!


さらばつくひろし!
にんゆう永遠えいえんに…


2号「みんな、聞いてくれ。大首領が日本を侵略基地にするために、自ら行動を開始した。俺たちがスクラムを組んで、奴の野望を打ち砕くんだ!」
一同「おぅ!」
アマゾン「スカイライダーはどうした?」
ストロンガー「スカイライダーは……母親と共に消息を絶った。俺と2号ライダーで探す。皆は、大首領との戦いに備えてくれ」
一同「よし!」

それぞれが活動を開始する。


その頃、ネオショッカー本部から派遣されたドクロ暗殺隊もまた、洋たちを探しに木々の間を縫って駆け回っていた……。


ネオショッカー本部、大首領の間。

アリコマンド「大首領様、お食事の時間でございます」

天井から大首領の巨大な手が飛び出し、たちまち差し出された食料を払いのける。

アリコマンドたち「駄目だ……大首領様は、あの女に逃げられたのをお怒りなさって、決して食べようとしない」「大首領様は筑波洋の大切な者を、自分の意のままに支配なさりたいのだ」

そこへ、科学者グループのアリコマンドが現れる。

アリコマンド「大首領様、酸素破壊爆弾の用意ができました」
大首領「よし、ただちに東京上空に向けて発射しろ」


風船で吊るされた酸素破壊爆弾が、ネオショッカー本部から魔神湖湖面へと浮上、湖上空から東京上空へと運ばれてゆく……

人々「あっ、あれは何だ!?」「何だ、ありゃ!?」

沼「マスター、マスター! 早く早く! あれ、何ですかね?」
ナオコ「原子爆弾じゃないかしら……?」
がんがんじい「アホなこと言うな! 日本にそんなもん、あるかいな!」
シゲル「あっ、一文字さんと城さんだ!」

隼人と茂がブランカに駆けつけてくる。

ナオコ「一文字さん、洋さんの行方は?」
隼人「それは全然わからんのだ……」
シゲル「城さん、あれ爆弾なの?」

上空に浮かぶ爆弾のもとから、大首領の声が響く。

大首領「仮面ライダーに告ぐ……24時間以内に姿を現し、ネオショッカーの支配下に入ることを承諾せよ。さもなくば、空気中の酸素を破壊する、酸素破壊爆弾を爆発させる」
隼人「あれは大首領の声だ……!」
茂「酸素を破壊する爆弾だと? 酸素が切れたら、生物は全部窒息してしまうぞ!」
大首領「いいか、24時間! 24時間以内に、YESかNOか返答せよ!」
隼人「24時間……そんな馬鹿な!? 大首領!! 酸素がなくなればお前たちも生きてはいられないぞぉ!!」
大首領「ハハハハハ! 愚かなリ一文字隼人! 我らネオショッカー、安全の策もなく行動すると思うな。酸素など必要ない!」
茂「大首領、姿を現せ!」

ビルの谷間に、大首領の姿が現れる。
前回でも見せたその姿は、改造人間でも怪人でもなく、身長数十mはあろうかという巨大ドラゴンのような怪物だ。

人々「わぁ、怪獣だぁ!」「きゃぁ!」

茂「谷さん、皆を連れて避難して下さい!」
谷「よしわかった、みんな行くんだ!」
隼人「早く行くんだ!」
大首領「馬鹿め……お前たちに俺が倒せるか!」

隼人が2号ライダーに、茂がストロンガーに変身。それぞれ愛車を駆って大首領に挑む。
ところが、大首領の姿が忽然と消えてしまう。

ストロンガー「消えた!?」
大首領「こっちだ!」

全く別の方角に大首領が突如、現れる。
そちらへ向かうとする2号を、ストロンガーが制する。

ストロンガー「待て! 幻の術だ!」
2号「そうか……本体は大神殿で指令を発しているに違いない」


一方で筑波洋は、ようやく母・寿子と共にネオショッカー本部脱出を果たし、寿子をおぶって海岸の砂浜を歩いていた。

洋「母さん……憶えてるかい? 子供の頃の俺は、母さんの背中におぶさって眠るのが好きだった……」
寿子「えぇ……」
洋「母さんの背中は……どんな揺りかごより温かかったよ」
寿子「今は、母さんがあなたの背に揺られてるのね……あの洋が、こんなにたくましく成長するなんて……」

むせび泣く寿子。

洋「母さん……」

そんな母子の再会の喜びをぶち壊すかのように突如、砂浜の中からドクロ暗殺隊が出現する。

隊長「筑波洋! 大首領の命により貴様を殺し、母を貰い受ける!」
洋「貴様ら……母は誰にも渡さん!」
隊長「我らネオショッカードクロ暗殺隊、雨のように襲い風のように人を刺す!」

洋は寿子を降ろし、母を守りつつ暗殺隊と戦いを繰り広げる。
そこへ隼人がバイクで駆けつける。

洋「一文字さん!?」
隼人「洋、話は後だ!」

隼人も参戦し、戦いの末に遂にドクロ暗殺隊は全滅。


洋「一文字さん……俺はひとまずお袋を安全な所へ連れて行く。それから駆けつけるよ……」
隼人「そうか……」
洋「すみませんが、先に行っていて下さい」
隼人「……よし、わかった!」

隼人がバイクで駆け去る。

寿子「洋……すぐ行きなさい!」
洋「母さん……? 母さんをこのまま放り出しては行けないよ」
寿子「洋、私は大丈夫よ……早く行って、皆と手を合わせて戦いなさい」
洋「母さん……!」
寿子「死んだお父さんも、きっとその方が喜ぶわよ」
洋「母さん……」

そのとき──
倒されたかに見えたドクロ暗殺隊の隊長が、息を吹き返し、密かにボウガンで洋を狙う。

隊長「死ね、筑波洋……」

寿子「洋……!」

寿子が洋に抱きつく。
洋を狙ったボウガンの矢が、寿子に突き刺さる──!

洋「……母さん!?」

寿子が崩れ落ちる。

洋が怒りに任せた鉄拳と蹴りで、暗殺隊長の息の根を止める。
そして寿子に駆け寄り、体を抱き起こす。

洋「母さん……!」
寿子「洋、お聞きなさい……完璧に見える大首領にも、急所があるんです……その急所は、右足の裏にあります……」
洋「右足の裏に……急所が?」
寿子「私は……召使いにされていたときに……偶然に、気付いたんです……」
洋「わかった……!」
寿子「洋……行きなさい……早く行きなさい……!」

洋の胸の中で、寿子が息絶える。

洋「母さん……母さん……? 母さんっ! 母さあぁぁん!」

死んだと思われていた母と再会できたにもかかわらず、洋は今また母を、永遠に失った。
しかしその目から涙は出ない。
その目は、母を奪ったネオショッカーへの怒りに燃えている。

母の命を奪ったボウガンを拾い上げ、海に向かって絶叫する。

洋「母さああぁぁ──ん!!」


ところ変わって三たび、喫茶店ブランカ。がんがんじいが飛び込んでくる。

がんがんじい「来ましたで、来ましたで! 仮面ライダー勢揃いや!」

谷たち一同が店から飛び出す。
7大ライダーが各愛車を駆り、店の前を駆けて行く。

2号「さよなら、マスター!」
谷「頼むぞ!」
一同「さよなら!」「頑張って!」
がんがんじい「待ってぇ! わいも、がんがんじいも連れてってぇな! ちょっと待ってくれぇ!」

ブランカの一同は、ライダーの出撃を手を振って見送り続ける。

シゲル「頑張って!」
沼「張りきってんなぁ!」
谷「スカイライダーは遂に現れなかったな……」


ライダーたちを追うがんがんじいが、遂に鎧の重さに疲れ果てて倒れこむ。
だが彼がなぜか、急に起き上がる。

がんがんじい「あれ、体が軽ぅなったで? 誰や、誰や?」

彼を助け起こしたのは、洋であった。

洋「がんがんじい……元気でな!」

洋はバイクに跨ると、ライダーたちを追って走り去る。

がんがんじい「間違いない……洋さんは仮面ライダーや! おぉい、洋さ──ん! 生きて帰って来るんやでぇ! わかってるなぁ!?」


バイクに跨ったまま、変身ポーズをとる洋。

洋「スカイ! 変・身!!」

洋がスカイライダーに変身。バイクもスカイターボに変形し、そのまま疾走を続ける。


その頃7大ライダーは、魔神湖近くにまで到着していた。

1号「よし! これよりネオショッカー本部を襲撃する!」
一同「おぅ!」


ネオショッカー本部の大首領の間。
大首領がその巨大な姿を現す。

大首領「フハハハ! 来たな、仮面ライダー! お前たちは皆殺しにしてやる!」


ライダーたちが遂に湖畔に辿り着く。

2号「俺たちが負けたら、日本はネオショッカーに支配される。いいな!?」
一同「おぅ!」
2号「行くぞ!」

7人が一斉にジャンプし、魔神湖へ飛び込む。
だが突然、逆に湖中から弾き飛ばされ、地面に逆戻りしてしまう。

大首領が自ら、湖中からその姿を現したのであった。

大首領「待っていたぞ、仮面ライダー! 今日こそお前たち全部を、まとめて殺してやる!」
ストロンガー「大首領! 俺たちは負けるわけにはいかんのだ!」
大首領「馬鹿め! お前たちが俺に勝てると思っているのか!?」

湖畔に上陸した大首領目掛け、ライダー7人が大ジャンプ。
その脳天に、一斉にキックを浴びせる。
だが大首領には全く通じず、はじき返されてしまう。

大首領の巨大な尻尾が、口からの火炎攻撃が、次々にライダーたちを襲う。
巨大な足が、尻尾が、鉤爪がライダーたちに叩きつけられる。
その都度ライダーたちも反撃を試みるが、あまりの強大さに、まるで通用しない。

1号「こうなったら大首領に突撃して、大首領もろとも……」
2号「俺たちが死んでも、俺たちの志は子供たちが継いでくれる!」
ストロンガー「そうだ! 悪を憎み、正義を愛する心を!」

そこへ遂に、スカイライダーが現れる。

スカイ「その通りだ、みんな! 俺も戦線に復帰するぜ!」
ストロンガー「スカイライダー、来たのか!」
2号「スカイライダー、お母さんはどうした!?」
スカイ「母は……大首領に殺された! みんな、俺にやらせてくれ!」
大首領「来たな、スカイライダー! 貴様も両親のもとに送ってやるぞ!」
スカイ「行くぞ!」

スカイライダーが大ジャンプして大首領の頭に飛びつき、チョップの連続。
だが大首領は、これも難なく跳ね除ける。
それでもスカイライダーは、渾身の大ジャンプ。

スカイ「スカイキィ──ック!!」

渾身のスカイキックを繰り出すも、全く通用せずにはじき返されてしまう。

スカイ「駄目だ……スカイキックも効かない」
大首領「おのれ! 踏み潰してくれる!」

大首領が右足を振り上げる。
巨大な足の裏が、スカイライダーに迫る……

スカイ「今だ!」

スカイライダーが隠し持っていたボウガンで、右足の裏を射る。

大首領「ギャアアァァ──ッ!?」

すかさず1号からストロンガーまでの7人が大ジャンプ。
大首領の脳天目掛けて集中キック。

7人「キィィ──ッック!!」
大首領「グワァ──ッ!!」

あれほどの無敵を誇っていた大首領が、遂に倒れる──


2号「やったぜ!」
スカイ「やったぜ!」
2号「やったな、スカイライダー! 大首領の急所は、足の裏にあったのか……」

だが、倒れたかに見えた大首領が再び立ち上がる。

大首領「おのれ、このまま死んでたまるか! こうなったからには酸素破壊爆弾もろとも自爆して、皆殺しだぁ!!」

大首領が翼をはためかせ、空へと飛んでいく。

スカイ「そんなことはさせてたまるか! みんな、8人の力を合わせるんだ!」
一同「おぅ!」

8人ライダーが円陣を組み、手を取り合う。
8人のエネルギーが全てのエネルギーを集中。

スカイ「セイリングジャ──ンプ!!」

8人ライダーが円を組んだまま、大首領を追って空へと舞い上がる。


大首領が酸素破壊爆弾に取り付く。
だがライダーたちもそれに追いつき、円を組んだまま大首領を締め上げる。

スカイ「大気圏外に運ぼう!」

ライダーたちが大首領を捕らえたまま、空高く、果てしなく上昇してゆく。

それを見上げる谷たち。

谷「仮面ライダーは……大気圏外で、大首領を始末する気だ!」
がんがんじい「おぉい、待ってくれぇ! あぁ、とうとう追いてかれてもぅた……わしも皆と一緒に英雄になりたかったのに!」

遥か彼方へと飛び去るライダーたちの姿が、一筋の光となり、空へと消えてゆく。


そして、空の彼方で大爆発──


爆発がやんだ後、8つの星が瞬き、そして消える。


息を飲む谷たち。
ナオコたちがむせび泣く。

谷「泣くんじゃない、みんな……仮面ライダーは死んだんじゃない、必ず生きている! 君たちが呼べば、必ず……必ず、どこからともなく飛んで来るんだ」

ナオコたちが涙を拭い、ライダーたちが消え去った空を見上げる。


どこまでも続く青空。
その空に、スカイライダーをはじめ、8人のライダーたちの雄姿が浮かび上がる。

ナオコたちが大きく手を振る。

8人のライダーたちも、優しく手を振り返す……。


仮面ライダー8人の活躍で
ネオショッカーは滅び
日本の危機は救われた

ありがとう 仮面ライダー!

さようなら 我らの仮面ライダー!


おわり
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