戻る TOPへ

仮面ライダーZOのエンディング


ネオ生命体ドラスにさらわれた望月宏少年を救う為、ドラスのアジトである廃工場へ乗り込んだ仮面ライダーZO。
だが逆に、ZOはドラスの体内に取り込まれてしまう。


望月博士と息子の宏に、ドラスが迫る。

ドラス「仮面ライダーは死んだ。さぁパパ、僕を改造するんだ。でないと、宏君をバラバラにするよ」
宏「パパぁ……」

宏へ腕を伸ばすドラスに、望月博士が食って掛かる。

望月「やめろ、離せ! 宏、大丈夫か!?」

ドラスが望月博士を振りほどき、床に叩きつける。

宏「パパぁ!」

なおもドラスの腕が宏へ伸びる。

宏「パパ……」

そのとき、宏の懐からオルゴールが転げ落ち、音色が響き渡る。

かつて宏が、誕生過程のドラスにオルゴールを聞かせていたときの記憶が、ドラスの脳裏に甦る。

(宏『君も……この曲が好きなの?』)

宏と共に聞いていた音色の前に、ドラスに隙が出来る。

宏「ライダー!!」

宏の渾身の叫びが、ドラスの体内に捕われた麻生勝のもとへ届く。
息絶え絶えの望月博士が、ドラスの生命維持プールを破壊。
苦しみ出すドラスの体内からZOが分離、外へ飛び出す。

そしてZOの体がドラスを目掛けて宙を舞い、渾身の力を込めたキックがドラスを吹き飛ばし、生命維持プールに叩きつける。

ドラス「パパ……パパ……」

ドラスが消滅し、生命維持プールも崩壊。
ネオ生命体は最期を遂げる──。


しかし、望月博士も既に虫の息である。

望月「うぅ……宏……」
宏「パパ……」

涙ぐむ息子の目の前で、望月博士が息絶える。

宏「パパァ──っ!」

工場内の各所が爆発し始める。
ZOが専用バイク・Zブリンガーの後ろに宏を乗せ、脱出する。

ZO「宏君!」
宏「パパぁ! パパ、パパぁ! パパ──っ!」

炎に包まれる廃工場から、ZOが脱出……


夕暮れの道端。 変身を解いた麻生勝が、バイクから宏を降ろす。

宏「お兄ちゃん……行っちゃうの?」

勝が身を屈めて宏と視線を合わせ、彼の肩を抱く。

勝「宏君……元気出せ! 君にはお爺ちゃんや、道場のお兄さんやお姉さんがいるじゃないか」

そこへ宏の祖父・清吉が駆けて来る。

清吉「宏──っ!」
宏「お爺ちゃん!」
清吉「はぁ、はぁ……大丈夫か?」
宏「うん!」

勝が自分の上着を脱ぎ、宏に着せ、肩を優しく抱く。

勝「元気でな……」
宏「うん」
勝「よし!」

勝がバイクに跨る。
一度、別れを惜しむように宏を振り向き、そして走り出す。
清吉が手を振って見送る。


宏「お兄ちゃぁん!」

勝が宏に背を向けたまま、バイクを止める。


宏「ライダー!!」

勝が笑顔で振り返り、その顔に仮面ライダーZOの姿が重なる──


(終)
inserted by FC2 system