戻る TOPへ

仮面ライダーの最終回


ゲルショッカーは 大攻勢の準備のために
ヒルカメレオンを使って次々と怪人たちを
甦らせようとしていた

それを知った本郷猛は アジトに潜入したが
ヒルカメレオンの罠に落ちて
仮面ライダーに変身できないのである


ゲルショッカー全滅ぜんめつ!
しゅりょうさい!!


本郷猛は捕われの身の立花藤兵衛、滝和也や少年ライダー隊を救うべく、ゲルショッカーのアジトへ乗り込んだものの、変身ストップシステムに閉じ込められ、変身しようと変身ポーズをとったまま凍結されてしまった。
立花らの目の前で、ヒルカメレオンが今にもユリから血を吸おうとしている。

猛「ユリ……!」
ユリ「あ……あぁっ……」

猛は変身できず、手も足も出せない。まさに絶体絶命──!

そこへ仮面ライダーが現れ、ヒルカメレオンに一撃を加える。それは海外で戦っていたはずの仮面ライダー2号であった。

2号「ライダー2号を忘れていたな!?」
ヒルカメレオン「くそぉ、いつの間に来た!?」

立花と滝の縛めを、2号が引きちぎる。

2号「滝、みんなを助けるんだ!」
滝「よし!」
立花「さぁ、逃げるんだ!」

皆が逃げた後、2号がヒルカメレオンと戦いを繰り広げる。
パンチ、キックが次々にヒルカメレオンに炸裂する。

ヒルカメレオン「このアジトはあと5分で爆発する!」

そう言い残し、ヒルカメレオンが忽然と姿を消す。

2号が猛を変身ストップシステムから救い出す。

猛「おぉ、隼人!」
2号「急げ、本郷! 変身しろ!」
猛「おぉ! ライダー……変身!!」

猛が仮面ライダー1号に変身。

2号「時限爆弾を探すんだ」
1号「よし!」


2人がアジト内を探し回る。
やがて、行き止まりの壁に行き当たってしまうが、その向こうから時計の針のような音が聞こえる。

2号「聞こえる……秒を刻む音だ」
1号「あと30秒だ」

壁目掛けて2人が同時にパンチを繰り出すが、びくともしない。

2人「よし、ヘッドクラッシャー!」

2人同時の頭突き技、ヘッドクラッシャーで壁を突破。
大広間に抜け出る。
周囲を探すと、片隅に時限装置が。

1号「あれだ!」

1号が手を伸ばす。
その手を突如、ヒルカメレオンがつかむ。

ヒルカメレオン「余計な真似はさせんぞ!」

1号がヒルカメレオンに挑む。

1号「隼人、行くんだ!」
2号「よし!」

1号がヒルカメレオンを押さえ、2号が時限装置の解除にかかる。

2号「本郷、スイッチは切ったぞ!」
1号「さぁヒルカメレオン、ブラック将軍のいる場所は!?」
2号「白状しろ!」

どこからともなく、ブラック将軍の声が響く。

ブラック将軍「ライダー1号、2号」
1号「ブラック将軍……?」
2号「ヒルカメレオンは捕えた! 出て来い!」
ブラック将軍「仮面ライダー、ゲルショッカーの人体実験用の囚人どもを解放する。ヒルカメレオンを渡せ!」
1号「囚人を解放だと……? よし、条件は飲むぞ!」
ブラック将軍「場所はパルパル遊園地の怪人展示館。時間は明朝4時」
1号「よし、わかった!」


約束の日時、場所へ、猛と隼人がヒルカメレオンを連れてやってくる。

猛「この中が怪人展示館か……」
隼人「ゲルショッカーらしい場所を選んだな」
猛「……間もなく夜が明けるぞ」

怪人展示館の中へ入る。
中には剥製とおぼしき、かつてライダーたちが倒した怪人たちが並んでいる。
ガラオックス、イノカブトン、ハエトリバチ、ムカデタイガー、クモライオン、エイドクガー、サボテンバット、クラゲウルフ、ウツボガメス……

隼人「何だこれは……? よくできた作り物だな」
猛「4時きっかりだ! ブラック将軍、どこだ!? ヒルカメレオンを連れて来たぞ!」

壁面の電光掲示板に「ようこそ仮面ライダー」とメッセージが浮かぶ。
さらに掲示板にブラック将軍のシルエットが浮かび、それが次第にこちらへ歩いてくるようである。

ブラック将軍「フハハハ! とうとう来たな、本郷猛、一文字隼人! 私は目の前にちゃんといる!」
隼人「ヒルカメレオンは……ブラック将軍!?」

ヒルカメレオンが2人の拘束を振りほどく。

ヒルカメレオン「そうだ! ブラック将軍の声は俺の腹話術なのだ! なぜなら、貴様たちをこの中に誘い込むために!」
猛「……何の目的だ!?」
ヒルカメレオン「このヒルカメレオンが、怪人どもを生き返らせたのだ!」
隼人「何ぃ!?」

作り物と思われた怪人たちが動き出し、猛たちに襲い掛かる。

ヒルカメレオン「馬鹿め、よく見るのだ! ヒルカメレオンの今ひとつの顔を!」

怪しげな光と共にヒルカメレオンが変身──その姿はブラック将軍。

猛「ブラック将軍……」
隼人「思った通りだな!」
ブラック将軍「……それはどういうことだ!?」
猛「ハハハ……俺たちを甘く見たな、ブラック将軍。ゲルショッカーの最高幹部は常に怪人であるはずだ」
隼人「その正体を見るために、罠と知ってやって来たんだ!」
ブラック将軍「えぇい、くそぉ!」

ブラック将軍が忽然と消え、怪人たちも一斉に逃げ出す。

猛「待てっ!」

怪人たちを追おうとする猛たちのもとへ、滝が追いすがる。

滝「本郷、隼人! 怪人は俺が尾行する。ブラック将軍の方を頼む!」


ブラック将軍の居所を探す猛たちのもとへ、戦闘員が群がる。

猛「隼人、変身だ!」
隼人「わかった! ……変・身!!」
猛「ライダー……変身!!」

猛が1号ライダーに、隼人が2号ライダーに変身。
戦闘員たちが1号に群がる。

2号「待てぇ! 行くぞ!」

2号も参戦。
遊園地内の遊戯施設各所を舞台に、2人のライダーと戦闘員たちが戦い続ける。
2大ライダーの前に、たちまち戦闘員は一掃。

突如、ジェットコースターに乗って登場するヒルカメレオン。

ヒルカメレオン「ライダー、来い!」
2人「行くぞ!」

2人のライダーも大ジャンプでジェットコースターに飛び乗り、客車上で激闘が繰り広げられる。
ライダーの手刀が、パンチが、ヒルカメレオンに炸裂。
ヒルカメレオンの手が、1号の首を締め上げる。

ヒルカメレオン「死ね……ライダー……!」

1号が拘束を振り解き、渾身の力でヒルカメレオンを投げ飛ばす。


遊園地外の岩場に叩きつけられるヒルカメレオン。
岩場に身を伏せると、保護色でヒルカメレオンの姿が消える。
そこへ駆けつけた2人のライダー。岩場にダブルチョップを叩き込むと、ヒルカメレオンが正体を現す。

ヒルカメレオンは既に虫の息──そしてブラック将軍へと姿を変える。

ブラック将軍「おのれ仮面ライダー……う、うぅっ……フフフ、時間は良し。俺の役目は終わった! 栄光のために私は死を選ぶ! ライダー、よぉく聞け! うぅっ……最後に笑うのは……うっ……最後に笑うのは、ゲルショッカーだ! 我が偉大なる首領に、栄光あれぇ──っっ!!」

大爆発──大幹部、ブラック将軍は最期を遂げた。

2号「ブラック将軍は死んだ……」
1号「ゲルショッカーの幹部は皆、それぞれ勇敢だった……」
2号「残るは首領、ただ1人!」
1号「滝がうまく尾行できていればいいが……」


2人が変身を解き、猛が無線機を手にする。

猛「滝、いいか? 深追いするな!」
隼人「今度こそゲルショッカーの首領が姿を見せるぞ」

怪人たちを乗せたトラックを、滝がバイクで尾行している。

滝「了解だ。首領の始末は任せる」


海岸沿いの道路をトラックが走る。
突如、建物も何もないところでトラックが停車する。

滝「おかしいな? こんなところで首領に会うはずはない……よし」

意を決した滝がバイクを降り、トラックに近づき……思い切って荷台の幌を開く。
ところが、荷台に乗っていた筈の怪人は1人もいない。

滝「消えた……? 一体、いつの間に消えたんだ?」

突如、荷台の隅に潜んでいた怪人が滝に襲い掛かる。
トラックの外からも怪人が現れる。
イノカブトン、クモライオン、サボテンバット、ガラオックスだ。

滝「貴様らぁ……!」
イノカブトン「滝! お前の役は終わったのだ!」

クモライオンとサボテンバットが滝を捕え、イノカブトンのパンチが容赦なく滝の胴に叩き込まれる。

イノカブトン「どうだ、滝! 我らのブラック将軍は立派だった。自分の死を承知の上で最後の罠をかけたのだ!」
滝「最後の罠……!?」

ガラオックス「本郷猛、一文字隼人を我々のもとにおびき寄せる」
イノカブトン「貴様と少年ライダー隊の前で、2人を殺す!」


少年ライダー隊本部。通信音が鳴る。

ユリ「きっと本郷さんたちよ!」

立花が無線機をとる。

立花「おい本郷! 一晩中、連絡待ちだったぞ」
首領「少年ライダー隊の諸君……」
ヨッコ「ゲルショッカーの首領の声よ!?」
首領「君たちの組織は今日で解散することになる」
立花「解散……!? 冗談言うな! 貴様たちの組織ある限り解散なんかするもんか!」
首領「我々ゲルショッカーは今日、日本に大攻勢をかける! 1日にして日本は、ゲルショッカーの手中に落ちるのだ!」
チョコ「私たちには仮面ライダーがいるわ!」
首領「その仮面ライダーがどんな最期を遂げるか、その目でよぉく見ることだな……」
立花「……仮面ライダーの最期だと!?」
首領「ここの諸君を、仮面ライダーの処刑場まで案内してやれ」
立花「何だとぉ!?」

突如、本部内に怪人ハエトリバチ、エイドクガー、ムカデタイガーが出現。

ユリたち「きゃあっ!?」
立花「貴様たちは、本郷や一文字に始末されたんじゃなかったのか!?」
ムカデタイガー「貴様たちを仮面ライダーの処刑場へ案内してやる。それぇっ!」


一方、ショッカーのアジト内に設置された通信機。

猛「滝、聞こえるか? 滝!」
滝「滝だ。浜名湖の付近が怪しい」
猛「よし、動くな。すぐ行くぞ!」

この滝の声は滝本人ではなく、ショッカーが罠として人工的に合成した声であった。
そして滝本人は、アジトに囚われの身となっていた。

滝「本郷、俺じゃない! 俺の声じゃない!」

どこからともなく、首領の声が響く。

首領「叫んでも無駄だ! 滝……コンピューターの声は、貴様と全く同じ声を出す。本郷猛とて気がつかん!」
滝「本郷たちをどうする気だ……?」
首領「日本の中心、浜名湖地底にある日本ゲルショッカー本部において処刑……!」


猛と隼人が、浜名湖へやって来る。

猛「滝が連絡した位置はここだ……」
隼人「滝ぃ──!」

どこからともなく、首領の声が響く。

首領「ようこそ本郷猛、一文字隼人」
隼人「ゲルショッカーの首領!?」
首領「今日はゲルショッカーが、君たちに贈る最後のもてなしを受けてもらおう」

再生怪人たちが一斉に出現する。

隼人「地獄の亡者め!」
猛「油断するな! ライダー……」
隼人「変身!」
猛「変身!」

猛が1号ライダーに、隼人が2号ライダーに変身。
再生怪人との戦いが始まる。
だが、既に倒したことのある怪人などライダーの敵ではない。数の上では2対9という劣勢ながら、ライダーは次々に怪人を倒してゆく。

怪人全滅後──

浜名湖の上に、赤いフードに赤いコートで包んだ謎の姿が浮かび上がる。ゲルショッカー首領だ。

首領「仮面ライダー!」
1号「おぉ……遂に姿を見せたな、首領!」
2号「貴様を倒せば世界の平和は守れる!」
首領「愚かなり仮面ライダー! 見ろ!」


遥か先、立花や滝、少年ライダー隊の面々がいる。

1号「おやっさん!?」
2号「滝!」
首領「ライダー! 仲間を助けに行け!」

その首領の言葉に疑問を抱きつつも、ライダーたちは立花の元へ走る。

立花「ライダー、来るな!」
滝「罠だ、近寄るな!」
ヨッコ「危ない、来ちゃ駄目!」

制止を聞かず、ライダーたちは走り続ける。

立花「来ちゃ駄目だ!」

突然の爆発。地雷が仕掛けてあったのだろうか。

1号「大丈夫か!?」
2号「おぅ……!」

再び2人が走り出すが、一際大きな爆発。
ライダー2人が倒れる……

ヨッコ「しっかり! 頑張って立つのよ!」
1号「しっかりしろ、隼人……今俺たちが死ねば、全ては無駄になるんだ……」

ライダー2人が、力を振り絞って立ち上がる。

ヨッコ「ライダー!」
立花たち「ライダー、立つんだ! ライダー、立つんだ!」」

2人が立ち上がり、手を取り合う。

1号「一文字……」
滝「頑張るんだ、ライダー!」
立花「ライダー!」
2号「本郷……」
1号「隼人……」

2人が必至に立花たちに駆け寄ろうとするが、遂に倒れてしまう。
そんなライダーたちに、立花が駆け寄る。

立花たち「ライダー!」「ライダー!」


ゲルショッカー本部内。

本部へ帰還した首領のもとへ突如、1号ライダーが現れる。

首領「仮面ライダー!?」

振り向くと、反対側には2号ライダーの姿が。

2号「首領、もう逃げ道はない!」

ライダー2人に背を向ける首領。

1号「待てぃ! 世界制服の野望を捨てろ!」
2号「正体を見てやる!」

2号が首領の頭巾を引き剥がす。
中から覗いた素顔は──顔中から無数の蛇が生えたような奇怪な姿。

首領「ライダー、とうとう俺の姿を見たな!?」
1号「それが首領の正体だったのか……!?」
首領「貴様たちのためにゲルショッカーは全滅だ! 地獄の道連れに貴様たちも連れてゆく……!」

首領が凄まじい閃光とともに衝撃波を放ち、2人を吹き飛ばす。

2人「うわぁっ!」

苦しみつつも、尚も首領へ挑むライダーたち。
しかし今度は首領は毒ガスを放ってライダーたちを苦しめる。

2人「うわぁっ!」

苦痛に耐え抜き、なおもライダーたちは首領に飛び掛る。
奇怪な顔を掴み、それを引きちぎる。
なんとその顔は仮面。その下から現れたのは、巨大な一つ目しかない真っ白な顔。
異様な姿に、思わずライダーたちはたじろぐ。

首領「ゲルショッカーの最期だ……! わしと一緒に死ね!!」

咄嗟にライダーたちが首領のもとから飛び去る。

首領が自爆──

1号「ゲルショッカー首領の劇的な最期だ……」
2号「本郷、あれは……」

自爆後に、あの一つ目の眼球が転がっている。

1号「首領の頭脳の本体だ!」

ライダーたちが近寄り、その眼球に手を近づける。
突如、基地の各所が爆発を始める。既に自爆装置が起動していたのだ。

ゲルショッカー本部が大爆発──


滝「アジトが爆発だ!」
立花「まさか、ライダーも一緒に……!?」
ナオキ・ミツル「ライダー……」

彼方からライダー1号・2号が、サイクロン号で駆けて来る。

ナオキ・ミツル「あっ、サイクロン号だ!」


東京国際空港の前。

日本を発とうとする滝を、立花が見送る。

立花「滝、向こうへ行っても元気でやれよ」
滝「親父さん、別れるのが辛い……このまま、みんなに会わずに出発したいです……」
立花「意気地のないこと言うな! さぁ!」

立花が滝を、猛や隼人、ライダー隊の皆のもとへ連れてゆく。

滝「俺は……みんなのことを決して忘れない!」
猛「滝……」

滝が猛と握手を交わす。

猛「長く、辛い毎日だった……」
隼人「それも、平和が甦った今……」

隼人が自分の手を、2人の握手に重ねる。

隼人「いい思い出になるさ!」
立花「そうだとも!」

立花も自分の手を重ねる。

立花「滝、きっとまた来いよ!」
滝「えぇ……!」
ユリ「滝さん、少年ライダー隊は、私たちで立派にやっていくわ」
滝「頼むぜ!」
ヨッコ「滝さん……お元気で」

チョコは無言で、微笑みつつ頷く。

ナオキ「滝隊長、きっとまた来て下さいね!」
ミツル「きっとね!」

滝がしばし、皆と視線を交し合う。

本郷「さぁ、時間だ」
滝「ここからは……1人で行かせてくれ。じゃ、みんな元気でな!」

滝が1人、空港へ向かう。


猛たちは空港の展望台から、滑走路を見つめる。

ナオキ「あの飛行機だよ!」

滝を載せた旅客機が、空へ飛び立ってゆく……

ナオキ・ミツル「滝さぁ──ん!!」

一同が大きく手を振り、滝の旅立ちを見送る──


ゲルショッカーは全滅した
そして 恐るべき首領は死んだ

ゲルショッカーとの激しい死闘を乗り越えた
仮面ライダー 本郷猛 一文字隼人にとっての
長い苦悩の日は終わった

平和が 今や甦ったのである


おわり
inserted by FC2 system