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CLANNAD−AFTER STORY−の最終話


ロボット「一面白い世界・・・」

女の子の手を引く

ロボット「ああ、僕はこんな所で何をしてるんだろう?」

何かを思い出す

ロボット「そうだった、僕はずっとこの子と一緒にいた。この子と二人きりでずっといたのだ。この誰もいない物悲しい世界で」


                            
                            小さな手のひら
 


ロボット「こんな事になるなら、連れてこなければ良かった。僕はただ、彼女を苦しめただけだ」

そして現実での朋也は同じ事を考えていた

朋也「そうだ。俺はこの時、渚に声をかけるべきではなかったのかもしれない。俺と出会わなければ渚は・・・」

ロボット「ここが僕らの旅の終わりなのだろうか?そんな事は認めたくはなかった。こんな冷たい場所で彼女を眠らせてしまいたくはなかった」

朋也と渚が初めて会った坂で渚が去っていこうとする

ロボットは女の子を起こすので必死だった

女の子「ねえ、君はそこにいるよね?」

ロボット「もちろん、僕はいつでも君の側にいるよ」

女の子「ありがとう」

ロボット「え?」

女の子「君の声やっと聞けたね」

ロボット「本当だ」

女の子「私はもうすぐ人じゃなくなるから、だから君の声も聞こえる。夢を見ていたの。そしたら、色々な事がわかったの。私の事、君の事。聞いてくれる?」

ロボット「うん」

女の子「私と君は同じ世界にいたの。それもすぐ近くに、ずっと昔。ううん、今でもそうなのかもしれない」

ロボット「それじゃ、やっぱりこの世界にいるべきじゃなかったんだ。帰ろう、一緒に」

女の子「ごめんね。私はここに残らなければならないの」

ロボット「どうして?」

女の子「私はこちらの世界では、この世界そのものだったから」

ロボット「分からないよ、だって約束したじゃないか。一緒にこの世界を出ようって」

女の子「私がいなくなったら、この世界も無くなってしまうの。そうすればたくさんの光達が不幸になる」

ロボット「光?あのたくさん舞っていた光?」

女の子「そう。あれはね、向こうの世界の住人達の思いだったの君も光の一つだったんだよ。一番遠くて一番近いもう一つの世界。私達はずっとそこにいたんだよ。そう、同じ場所にいたの。ただ見え方が違うだけ」

ロボット「もう一つの世界?そこにもう一人の僕がいるの?」

女の子「君には分かるはず。だって君は二つの世界に存在してるから。世界という距離を越えて、私達は出会うことが出来た。私はそれで十分」

ロボット「・・・・・」

女の子「君はこれから、この世界での意識を閉じる。そして向こうの世界で目覚めるの。色んな人と出会って、色んな事があって、そして君は私と出会う」

ロボット「また会えるの?向こうの世界で?」

女の子「大勢の人の思いがこちらの世界では光になって見えるように、私の思いも向こうの世界ではいくつのも光になって輝くの。一つ一つの光は小さくても、たくさん集まればきっととても不思議な大きな力になるはず」

光の方を見るロボット。女の子が口づさんでいる歌はどこかで聞いたことある歌だった

ロボット「その歌、知ってる」

女の子「そう、いつも私に歌ってくれていた歌」

大きな光が降りかかり、ロボットの体はバラバラに

女の子「さようなら、パパ」

女の子も消えた。そして現実世界の朋也は

朋也「渚!」

反応はなかったが思わず走りだし

朋也「渚!」

渚「・・・・」

渚を抱きしめる

朋也「渚、俺はここにいるぞ!」

渚「朋也君・・・よかったです、声掛けてもらえて」

朋也「渚」

渚「もしかしたら朋也君、私と出会わなければ良かったとかそんなこと思ってるんじゃないかって凄く不安でした」

また強く抱きしめる

渚「私、朋也君と出会えてよかったです。とても幸せでした」

朋也「渚」

渚「だからもう迷わないで下さい。これから先、何が待っていようとも私と出会えたこと後悔しないで下さい。ダメでしょうか?」

朋也「そうだよな・・・ありがとう」

そしてまた光が

?「お連れしましょうか?この町の願いが叶う場所に」

?「ああ、今終わる。長い長い旅が」

産声が上がり意識を取り戻す朋也

朋也「渚?」

悪夢の光景が頭をよぎる

朋也「渚・・・渚・・・」

目を覚ます渚

渚「朋也君・・・」

朋也「渚!」

渚「どうかしましたか、朋也君?」

朋也「今、俺達一緒にいたよな?」

渚「私達はずっと一緒です。朋也君とそうお話してました」

朋也「ああ、そうだな」

助産師「岡崎さん、赤ちゃんもお母さんももう心配いりませんよ。よく頑張りましたね」

秋生「お前もよくやってくれた。ありがとうよ」

早苗「朋也さん。汐を産湯につけてあげてくれませんか?」

朋也「あ・・・はい!」

助産師「右手で首を支えてあげて下さい。お湯が入らないように耳を押さえて、そうゆっくりね。ほら気持ちいいね。頭はまだ濡らさないで、ガーゼで拭いてあげて下さい。汐ちゃん、パパに綺麗綺麗してもらって嬉しいね」

渚「ご苦労様でした、朋也君」

早苗「元気な赤ちゃんですね」

渚「大きくなっても、ずっと元気でいて欲しいです」

朋也「大丈夫だ。心も体も強い子になる、絶対にな!」

渚「はい・・・朋也君、窓の外見て下さい。とても綺麗です」

朋也、秋生、早苗「え?」

朋也「雪のことか?じゃないこれは?」

汐の側でだんご大家族を歌ってあげる渚と朋也

渚「もし、町というものに人と同じような意思や心があるとして。そして、そこに住む人達を幸せにしようってそんな思いでいるとしたら、こんな奇跡も町の仕業かもしれないです」

外でタバコを吸っている秋生、母子ともに無事だったことを喜ぶ早苗と助産師

渚「でもそれは奇跡じゃないですよね?町を大好きな人が町に住み、人を好きな町が人を愛する。それはどこにでもある当たり前のことのはずです」

元気に成長する汐

渚「私達は町を愛して、町に育まれてるんです」

朋也「町は大きな家族か」

渚「はい、だんご大家族です」

朋也「そうだな。俺にもやっとわかった気がする」

朋也と渚は汐を連れて菜の花畑に行く。そして汐が元気に走り回る

その後の仲間達はというと杏は汐の通う幼稚園の保育士になっていた。外には成長したボタンがいる

椋は看護婦になっていた。アメリカに戻っていたことみは車でどこかに移動していた

春原は教習所に通っていたが手こずっているようだった。その他の仲間達も元気にしているようだった

祖母(汐にしてみれば曾祖母)の所を訪ねる朋也達

小さい頃父親に菜の花畑に連れられて行ったことを思い出す朋也

その後の伊吹姉妹

公子「そんなにへそ曲げないの」

風子「曲がりまくりです。さっきの人はとても失礼です。風子小学生じゃないです」

公子「風ちゃん、体小さいから間違えられても仕方ないよ」

風子「体が小さくても大人の風格で気付いてほしいです」

公子「風ちゃん、自分が思ってるほど大人の風格ないよ?」

風子「今の言葉、胸に突き刺さりました。風子、傷つきました。もう傷物です」

公子「変な言葉使わないの」

風子「風子大人です!」

公子「あ、それじゃない?自分の事「風子」って言うのが子供っぽく思われる原因なのかも」

風子「何て言えばいいですか?あたいですか?」

試しに言ってみる

風子「ねえ、あたい十分大人なんだよ・・・ですか?・・・Hです!」

公子「自分で言って自分でつっこまないの。普通に私でいいと思うよ?」

風子「私ですか?・・・ねえ私十分大人なんだよ・・・ですか?・・・Hです!」

公子「その台詞だとどう言ったってHだと思うよ?」

風子「風子お腹がすきました」

公子「もう諦めたんだね」

風子「ファミリーレストランに行きたいです」

公子「うん、検査が終わってから行こうね」

風子「もう風子どこも悪くないです・・・なので今から行きます」

公子「ダメ!」

風子「早く行かないとハンバーグがなくなってしまいます」

公子「たくさんあるから大丈夫」

風子「一週間前から皆がハンバーグを頼み続けていたらなくなります」

公子「そんな偶然ないから大丈夫。ほら、もうすぐ病院だよ。ハンバーグがなくなったらお姉ちゃんが作るから」

風子「冷めない鉄製のお皿で出てきますか?」

公子「出します、出します」

風子「なら仕方ないです」

公子「それにね、体が悪くなくても健康かどうかを定期的に調べないと。風ちゃんが健康だって言われたらお姉ちゃんも安心出来るから。ね?」

風子「風子心配かけてますか?」

公子「え?ううん。そんなにはかけてないよ」

歩道で大の字になり

風子「全身介護して安心して下さい」

公子「もう、風ちゃん!」

風子「お姉ちゃん、歩くの遅いです!ちゃっちゃと行きましょう」

公子「本当にこの子はもう・・・」

急に立ち止まる風子

公子「風ちゃん、今度は何?」

風子「匂いがします」

公子「ハンバーグの?」

風子「お姉ちゃんと一緒にしないで下さい!」

公子「今の必死に風ちゃんに合わせてみたんだけど」

風子「失礼です。もう一度言い直すので何の匂いか聞いて下さい」

公子「はいはい」

風子「匂いがします」

公子「何の?」

風子「この匂いはそう・・・可愛い匂いです」

公子「それ、答えになってないよ?」

風子「ニュアンスで分かってほしかったです」

公子「なぞなぞ?」

風子「失礼です。アートです」

公子「またわけ分かんない事言ってる。風ちゃん、自覚ある?」

風子「お姉ちゃんは学校の先生だったから現実的すぎるんです」

公子「お姉ちゃんは美術の先生だったの。アート。分かる?」

風子「なら、風子の言う事捉えて下さい」

公子「捉え所がないです」

風子「そうですか・・・では分かりやすく言います。もう一度言うので何の匂いか聞いて下さい」

公子「はいはい」

風子「誰かがいます」

公子「え?」

風子「え?じゃないです」

公子「質問変わってるよ。今の質問に何の匂いか聞くの?」

風子「そうです」

公子「それだとお姉ちゃん、変な人だよ」

風子「大丈夫です。風子がフォローします。もう一度行きます」

公子「はい」

風子「誰かがいます」

公子「何の匂い?」

風子「きっと風子に会いに来たんです」

公子「全然フォローしてくれてないよね」

風子「どうして驚いてくれないんですか?誰かが風子に会いに来たって言ってるんです」

公子「どうか、こんな子でも友達がたくさん出来ますように」

風子「もう一度いきます」

公子「お望み通りに」

風子「誰かがいます」

公子「何の匂い?」

風子「きっと風子に会いに来たんです」

公子「え?どういう事ですか?」

風子「可愛らしい匂いです」

公子「もう、文脈滅茶苦茶だよね」

風子「そこで眠っています。誰かに起こされるのを待っているんです。ですので・・・行ってきます!」

公子「風ちゃん、どこ行くの?」

風子「お姉ちゃんも会いたかったら早く来て下さい。あそこの木の下です」

公子「誰かいるの?」

風子「分からないです。でもとても可愛らしい子です」

公子「風ちゃん!風ちゃんってば!本当、あの子はもう・・・」

森の奥に行く風子

風子「いますか?風子です」

誰かの気配を感じている

風子「あなたのお名前は何ていうんですか?教えて下さい。風子とお友達になって一緒に遊びましょう」

木の下で眠っていたのは汐だった

風子「楽しいことはこれから始まりますよ」

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