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仮面ライダーキバ 魔界城の王のエンディング


森羅高校の文化祭。数々の出し物がにぎわう。
大ホールでは、紅 渡の提案したバイオリン同好会による演奏会が開かれている。

ステージに立つ渡と音也、親子2人の二重奏の音色が響く。
満席の観客の中には、麻生ゆり・恵の母娘、野村静香、襟立健吾、机なつき、なつきの担任教師の姿もある。

演奏が終わる。
観客席から拍手喝采。スタンディングオベーションまで起きる。
気取った仕草で応える音也。深々と頭を下げる渡。

静香「やったじゃない、渡! 凄ぉい!」

ステージに昇ったゆりが渡に、恵が音也に花束を贈る。

割れんばかりの拍手に応え続ける音也。
ふと、何かに気づいたように表情が曇る。

音也「時間だ! 幕を下ろすんだ」
恵「……?」

音也の合図で、幕が下りる。
幕に隠れてゆく音也とゆりの姿が、徐々に光に包まれてゆく。

渡「父さん……?」
音也「……お別れだ、渡」
渡「……」

音也とゆりの全身が次第に光に包まれ、その姿がぼやけてゆく。

渡「ありがとう、父さん。父さんに逢えて……本当に良かった」
音也「自分らしく生きろ。渡……」

音也が差し出したバイオリンを、渡が受け取る。
渡が差し出したバイオリンを、音也が受け取る。

ゆり「強く生きよう、恵。私も……生きる」
恵「うん……母さん」

恵が涙を堪えて頷き、微笑む。

音也とゆりの姿が、無数の光の粒となって完全に消える。


渡「父さん……父さん、忘れません。僕、決して。父さんの魂を……」


拍手の続く中、再び幕が上がる。

渡とともに、母を憎んでバイオリンを嫌っていたなつみが、バイオリンを携えてステージに立つ。

なつみ「私、弾くよ。母さんへの想いを込めて」
渡「僕も……父さんへの想いを込めて!」


渡となつみの二重奏が、ホールに美しく響き渡る──


(終)
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