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仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVEのエンディング


宇宙空間。
カブトが、加々美(あらた)の乗った救命ポッドに背を向ける。

加賀美「どこへ行く……?」
カブト「俺は天の道を往き──妹を救う」
加賀美「……?」
カブト「お婆ちゃんが言っていた。『ちゃぶ台をひっくり返していいのは、よほどメシが不味かった時だ』ってな」

地球を迫り来る巨大隕石のもとへと、カブトが飛び立つ。

カブト「ちょっと7年前までひっくり返しに行ってくる」


地上、ZECT本部。

岬「カブトは……ワームの卵を運ぶ隕石に向かっています!」
田所「だが今さら、カブトに何ができると言うんだ……?」
加賀美『大丈夫です……』
田所たち「……!?」

加賀美「あいつは……天の道を往き……総てを……司る男です……」


カブト「さぁ一緒にドライブだ。7年前のお仲間に会わせてやる。ハイパークロックアップ!!」

『Hyper Clock Up』

閃光と共に、カブトが巨大隕石もろとも宇宙空間から姿を消す。


7年前。まだ地球が青かった時代。

地上すべてを荒野へ変えた忌わしい隕石が、地球へと迫り来る。
その隕石の前に閃光と共に、時空を超え、7年後の世界から巨大隕石とカブトが現れる。

カブト「受取れ……俺からのプレゼントだ!」

カブトが7年後の巨大隕石を支え、7年前の隕石目掛けて突進。
2つの隕石が衝突し、粉々に砕け散る。

カブト「うわあぁっ! ぐわぁぁ……!」

凄まじい衝撃で、カブトが地球へと吹き飛ばされてゆく。
砕け散った隕石が無数の光の粒子となり、地球へと降り注ぐ。


7年後の世界、ZECT本部。
無数の光の粒子が、雪のように静かに降り注ぐ。

岬「これは……?」

教会に佇む加々美陸と三島のもとにも、光が降り注ぐ。

三島「我々の選択は……間違っていたんでしょうか?」
陸「世界が終る……なんて美しいんだ……」


救命ポッドの中の加々美のもとにも、光が降り注ぐ。

加賀美 (天道……俺はもう一度……ひよりに逢えるんだな……)


病院のベッドで息を引き取った日下部ひよりのもとにも、光が降り注ぐ。

ひよりが光に包まれ、消えてゆく。

加々美が力尽き、そして消えてゆく。


7年前の世界。

砕け散った隕石の破片のひとつが、地上に落下。渋谷の街に巨大な爆煙があがる。
廃墟と化した渋谷。7年前の幼いひよりや天道が、瓦礫の下敷きとなっている。

ひより「うぅっ……ひよりは、ここだよ……助けて……」

空から光が降り注ぎ、ゆっくりとカブトが舞い降りる。
呆然とそれを見上げる天道とひより。
カブトの背から光の粒子が、さながら天使の翼のように迸る。

変身を解く天道総司。ライダーベルトを外し、幼い日の自分に差し出す。

天道「ベルトを付けろ」

言われるがままに幼い天道が、瓦礫の中で身を起こし、必死に胴にベルトを巻く。

天道「ひよりを頼むぞ……」

幼い自分がベルトを付けたのを見届け、天道が光の中へと消えてゆく。

ベルトを付けた幼い天道の体にみるみる力が漲り、瓦礫を押しのけてゆく。
ひよりが懸命に手を伸ばす。

かつて救えなかった妹の手を、天道が力強く握り返す。


天道「大丈夫だ。俺がそばにいる」


別の7年が流れ──


公園の草原に寝転がるひよりが、自分の描いた妖精の絵を見上げる。

ひより「大丈夫。僕がそばにいるよ……僕がそばに」

青空を仰ぎ、大きく伸びをするひより。どこからか天道の声が響く。

天道 (大丈夫だ。俺がそばにいる……俺がそばに……)


東京タワーの見下ろす道を、ひよりが自転車で駆ける。


天道邸。

居間のベッドで寝転がる天道のもとに、妹の樹花(じゅか)がいつもの如く元気に登場。


ビストロ・ラ・サル。

いつものように横柄に席につく天道。無愛想に料理を出すひより。
鯖の味噌煮に舌鼓を打つ天道に、ひよりがクスリと笑う。
店に駆け込んでくる加々美。鯖を指で突いて戯れる加々美、ひより、弓子。


波が引いては押し寄せる砂浜。天道、加々美、ひよりがやって来る。
波打ち際で戯れる加々美とひより。
天道が空を仰ぎ、ゆっくりと天を指差す。


穏やかな日常が流れてゆく……。


(終)
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