戻る TOPへ

機動刑事ジバンの最終回


宿敵マッドガルボを倒したジバンのもとに、立体映像のドクターギバの姿が現れる。

ギバ「ジバン!」
ジバン「ドクターギバ!? まゆみちゃんを返せ!」
ギバ「返して欲しくば私のところまで来い! ワハハハハ!」

ギバの姿が消える。

ジバン「まゆみちゃん……待っていてくれ! 今すぐ助け出してやる!」



愛の最終決戦!!


セントラルシティ警察署。

洋子「えっ、何ですって? ジバンが?」
清志郎「あぁ、マスクが話をしているのを聞いたから間違いない。バイオロンのアジトが大津郷付近にあるらしいんだが、そこへ乗り込んだというんだ」
洋子「行ってみる!」
清志郎「恭子ちゃん! 入り口にはマスクがいるんだぞ!」

署の入口を占拠している、バイオロンの戦闘員・マスクたち。
そこへ片桐洋子が飛び出し、マスクたちを叩きのめす。
村松清志郎も洋子を追って来て、必死にマスクを羽交い絞めにする。

清志郎「洋子ちゃん、早く行くんだ!」
洋子「わかった!」

洋子がパトカーに飛び乗り、出動。

洋子 (ありがとう、清志郎。ジバン……!)


一方でバイオロン要塞へ乗り込んだジバンは、遂にドクターギバと対峙する。

ジバン「ドクターギバ!」
ギバ「待っていたぞ、ジバン。いよいよ、最後の決着を着ける時が来たようだな!」

傍らでは、作戦に失敗した侍女マーシャとカーシャが怯えている。

ギバ「マーシャ、カーシャ、貴様らもジバンと一緒に地獄へ行け!」
マーシャ「お許し下さい、ギバ様!」
カーシャ「ギバ様!」
ギバ「言っておいたはずだ。マッドガルボと運命を共にしろとな! おめおめと逃げ帰りおって、許さん!」
マーシャ「嫌、嫌ぁ! ジバン!」
カーシャ「ジバン!」

マーシャとカーシャがジバンにすがろうとするものの、ギバの光線が2人を捉える。

2人「あぁ──っっ!?」「嫌ぁ──っっ!」

マーシャとカーシャが液体となって溶け、消滅する。

ジバン「ドクターギバ!? 貴様、自分の部下の命さえも!」
ギバ「命? ハハハ! 命など、人間だろうが怪物だろうが、私にとっては虫ケラ同然だ!」
ジバン「何ぃ!?」
ギバ「フン、虫ケラ扱いしているのは人間も同じだな」
ジバン「……」
ギバ「今さら驚くにあたるまい。そう、私も人間の手によって誕生したのだ」
ジバン「何だって!?」
ギバ「見るがいい、私の真実の姿を!」

驚くジバンの目の前で、ギバの姿が奇怪な怪物・ギバノイドに変貌する。

ジバン「ドクターギバ、それが貴様の正体か!」
ギバノイド「聞け! 私は、五十嵐が所長を務めていた国立科学アカデミー・バイオ研究所の廃液処理場から誕生したのだ! バイオ実験で出たカスが溜まり、偶然そこに一つの生命が誕生し、やがて怪物に成長した。それが私だ。人間どもも、科学の名のもとに平気で命をもてあそび、自分の欲望だけを満たそうとしている」
ジバン「……」
ギバノイド「この地上で、誰も命を大事にしている者などいない。バイオロンとどこが違うと言うのか!?」
ジバン「ふざけるなぁ! この地球では、生きとし生けるものすべてが命を尊び、大切に育んでいる! 命は美しい……何よりも重く、かけがえがない!」
ギバノイド「黙れ、ジバン! 私の怖ろしさを知るがいい!」

ギバノイドの体から触手が伸び、ジバンの体を締め付け、装甲を抉る。
膝をつくジバン。体からは火花が飛び散り、煙が吹き出す。

ギバノイド「フフフ、どうした、ジバン? まだ倒れるのは早いぞ」
ジバン「負けてたまるか……俺には地球を守る義務があるんだ!」


一方で洋子はパトカーを飛ばし、ジバンのもとへ急いでいる。

洋子「ジバン……」

その脇を、無人のレゾンとバイカンが追い越していく。
空にはスパイラスも舞っている。

洋子「はっ……レゾン、バイカン、スパイラス!」


依然、ギバノイドの攻撃に翻弄され続けるジバン。

ギバノイド「どうやら最期の時が来たようだな!」

そのとき、壁を突き破ってレゾンが突入してくる。

ギバノイド「むっ!?」
レゾン「ジバン!」

体当たりでギバノイドを突き飛ばすレゾン。

ギバノイド「ぐっ、小賢しい真似を!」
ジバン「レゾン!」

ギバノイドの放つ光線がレゾンに炸裂。レゾンが炎に包まれる。

ジバン「レゾン!?」
ギバノイド「ジバン、次は貴様だ!」
バイカン「ジバン、危ない!」

ギバノイドが光線を放った瞬間、そこへ駆けつけたバイカンがジバンの身代わりとなって光線を浴びる。
バイカンが爆発炎上。

ジバン「バイカン!?」

なおもギバノイドの攻撃がジバンを苦しめる。

ギバノイド「どうだ、ジバン?」
ジバン「うわぁっ! くっ……許さん! オートデリンガー・ファイナルキャノン!!」

最強武器オートデリンガーの砲弾がギバノイドに炸裂。
さすがのギバノイドも苦悶の声を上げ、膝をつく。

ギバノイド「……おのれっ!」

ギバノイドの姿が消える。

ジバンがギバノイドを追い、要塞奥へと突入。
ギバノイドが五十嵐まゆみを捕らえている。

まゆみ「うっ……」
ジバン「まゆみちゃん!」
まゆみ「お兄ちゃん!」
ギバノイド「まゆみの命が惜しくないか?」
まゆみ「お兄ちゃあん!」
ジバン「卑怯な!」
ギバノイド「ジバン、私の最終計画を教えてやろう。この地上にバイオロン帝国を作り上げ、人類をすべて抹殺するのだ」
ジバン「何!?」
ギバノイド「貴様も人類と一緒に滅びるがいい! もうすぐこの要塞も爆破される。さらばだ!」
まゆみ「お兄ちゃん!」
ジバン「まゆみちゃん!」

ギバノイドがまゆみを捕らえたまま、壁向こうへ消える。

要塞から1機の飛行船が飛び立つ。
ジバンはギバノイドを追ってさらに奥へ突入するが、そこには無人の格納庫があるばかり。
そこへスパイラスが突入してくる。

スパイラス「ジバン、ギバノイドは飛行船で脱出したぞ!」
ジバン「よし、わかった!」

バイオロン要塞が次々に爆発。
間一髪のところでジバンが脱出する。
空中にはギバの飛行船が。

スパイラス「ジバン!」

ジバンがスパイラスに飛び乗り、さらにギバの飛行船に飛び移る。

ギバノイド「小癪な……!」

ギバノイドが飛行船のレーザーでスパイラスを狙撃。
スパイラスが撃墜される。

ジバン「スパイラス!?」


洋子のパトカーがジバンたちのもとへ追いつく。依然、飛行船に張り付いているジバン。

洋子「ジバン……!」

ジバンが飛行船の窓を叩き割り、中に飛び込む。

まゆみ「お兄ちゃん……」
ジバン「まゆみちゃんを返せ!」
ギバノイド「動くな!」

ギバノイドが、操縦席のボタンに手を伸ばす。

ギバノイド「これはミサイルの発射ボタンだ」
ジバン「何ぃ!?」
ギバノイド「このボタンを押せば、ミサイルが世界中にばら撒かれ、人類はすべて滅びる!」
ジバン「バカな真似はやめろ!」
ギバノイド「ジバン! 貴様、愛のために鬼になったと言ったな? ならば私を倒し、まゆみと地球を救ってみろ!」

まゆみを盾にするギバノイド。

ギバノイド「どうした? 幻影のまゆみは斬れても、本物のまゆみは斬れないのか? 貴様の言う鬼など、口先だけだ!」
まゆみ「お兄ちゃん! 私のことならどうでもいいから、地球を救って!」
ジバン「まゆみちゃん……!」

ジバンがマクシミリアンソードを構え、じりじりとギバノイドに歩み寄る。

ギバノイド「どういうつもりだ、ジバン!?」
ジバン「私の言っている鬼とは、愛と正義を守るために、まやかしの優しさを捨て、非情の鬼となることを言っているのだ! ドクターギバ、覚悟!」

マクシミリアンソードが繰り出される。
まゆみの顔の脇ギリギリをかすめ、ソードの剣身がギバノイドの胴を貫く。

ギバノイド「ぐぉぉ……!?」

がっくりと膝をつくギバノイド。まゆみを締め上げていた触手がゆるむ。

まゆみ「お兄ちゃん! お兄ちゃん!」

ジバンの方へ駆け出すまゆみ。
しかしギバノイドが操縦席の装置を操作するや、床に穴が開き、まゆみが機外へ落とされる。

まゆみ「きゃあぁぁ──っ!?」
ジバン「まゆみちゃん!?」

ジバンもまゆみを追い、床の穴から空中へ。
成すすべもなく空中を落ちてゆくまゆみを、ジバンが必死に追う。

洋子「まゆみちゃん!? ジバン!」
まゆみ「きゃあぁ──っ! 助けてぇ──っ!」

まゆみの眼下に地面が迫る……。

ジバン「ダイダロス!」

飛行ユニット・ダイダロスが飛来し、ジバンの背中に合体。
ジバンの体が宙を舞い、まゆみを受け止め、地上に着地する。

まゆみ「お兄ちゃん……!」
ジバン「まゆみちゃん!」
洋子「ジバン、まゆみちゃん!」

2人に駆け寄る洋子。

ジバン「洋子さん!」
まゆみ「お姉ちゃん!」
洋子「ジバン……!」

依然、ギバノイドの飛行船は空を舞っている。

ジバン「洋子さん、まゆみちゃんをお願いします」

ジバンはまゆみを洋子に任せ、自らはダイダロスで空を舞う。

まゆみ・洋子「ジバン……!」


ギバノイド「地球を……地球を粉微塵にしてやるぅ……!」

ギバノイドの手が、操縦席のミサイルのボタンに伸びる。
その手を、ジバンの手が押さえる。

ギバノイド「ジバン!?」
ジバン「地球の破壊は許さん! オートデリンガー!」

ジバンがオートデリンガーを操縦席に向ける。
しかしギバノイドが伸ばした触手でオートデリンガーがジバンの手から落ち、爆発。
付近の機器が誘爆し、火の手が上がる。

炎に包まれた機内で、ジバンとギバノイドの戦いが続く。

制御を失った飛行船がフラフラと宙を漂い、墜落。


大爆発──


もうもうと上がる爆煙の中から、ゆっくりとジバンが現れる。

まゆみ・洋子「ジバ──ン!」
ジバン「まゆみちゃぁん!」
まゆみ「ジバ──ン!」

まゆみがジバンに駆け寄り、抱きつく。

ジバン「まゆみちゃん、洋子さん!」
洋子「ジバン!」
ジバン「まゆみちゃん……」
まゆみ「お兄ちゃん……逢いたかった……逢いたかった!」
洋子「お兄ちゃん……? まさか、直人が……?」

涙をあふれさせるまゆみを、ジバンが抱き上げる。

まゆみ「お兄ちゃん!」


後日。

旅行鞄を手にした田村直人が、丘の上で夕日を見つめる。


まゆみちゃん

やっと地球に平和がもどって来ました、
五十嵐のおじさん、おばさんも無事に帰り、
まゆみちゃんも、新しい生活に向かって
がんばっていることと思います。
兄として、これからまゆみちゃんと一緒に
くらしたかったけど、僕は旅に出ることに
しました。
ドクターギバが言ったように、この地球には
かけがえのない命を大事にしない人たちが
まだまだ大勢います。
そういう所には、必ずバイオロンのような悪
がひそんでいるに違いありません。
それを見つけ、倒すのが僕の仕事だと
思っています。
本当の平和が訪れるまで、何年かかるか
わかりませんが、まゆみちゃんが大きくなる
までにはきっと帰って来ます。
それまで元気でいて下さい。

おじさん、おばさんによろしく。

直人


まゆみ「お兄ちゃん……」

直人の置手紙を、まゆみが涙を流しつつ読んでいる。そこへ両親がやって来る。

母「まゆみ……」
父「直人さん、必ず帰ってくるよ。まゆみ」
母「そうよ。だって、まゆみの本当のお兄さんなんだもの」

ベランダの外を見るまゆみ。
バイオロンを逃げ出してきたブビたちが庭で戯れているのを見て、思わず顔がほころぶ。

ブビ「バイオロンの基地を逃げ出して、本当に良かったね〜!」
ムク「マユミちゃん、ばんざぁい!」


セントラルシティ警察署。

清志郎「犬コロがいなくなったぁ? そんなの、刑事課の仕事じゃないでしょ!」

憤慨して電話を切る清志郎。

清志郎「まったく何考えてんだ……バイオロンが倒れ、平和が甦った途端に人類は勝手なことばかり言い出す」
洋子「人類だなんてオーバーね。その言葉を使っておかしくないのは、ジバンだけよ」
清志郎「そっかぁ……そうだよな。アッハハハハ!」

窓の外を見つめる洋子。

洋子 (直人、きっとあなたがジバンだったのね……さようなら、ジバン……)


教会。

直人が3つの墓に花束をたむける。
恩人の五十嵐博士と柳田誠一、自分をサポートしてくれたハリーボーイの墓である。

直人「五十嵐博士、柳田さん、ハリーボーイ……いつの日かまた逢いに来ます。それまで、さようなら……」

直人が十字を切り、荷物を手にして墓を後にする。


直人 (まゆみちゃん、洋子先輩、清志郎さん……楽しい思い出をありがとう……みんな元気でいて下さい!)


ついに バイオロンを倒したジバン
君のおかげで地球に平和が甦った

ありがとう ジバン
いつかまた 君と逢える日を待っている

それまで さようなら 田村直人

さようなら 機動刑事ジバン


おわり

inserted by FC2 system