ポケットの中の戦争 |
アル、いいかい? よく聞いてくれ。 この包みの中には、俺の証言を収めたテープや、証拠の品が入っている。 このコロニーが核ミサイルの標的になったわけを、知る限り喋った。 もし俺が死んだら、これを警察に届けてくれ。 大人が本当だと信じてくれたら、このコロニーは救われると思う。 俺が直接、警察に自首しようかとも思ったんだが、何て言うか、そうするのは逃げるみたいに思えて…… ここで戦うのをやめるのと、自分が自分でなくなるような…… 連邦が憎いとか、隊長たちの仇を討ちたいとかいうんじゃないんだ。 うまく言えないけど、あいつと……ガンダムと戦ってみたくなったんだ。 俺が兵士だからなのか、理由は自分でもよくわからない。 アル……俺は多分死ぬだろうが、そのことで、連邦軍の兵士や、ガンダムのパイロットを怨んだりしないでくれ。 彼らだって、俺と同じで、自分がやるべきだと思ったことをやってるだけなんだ。 無理かもしれないけど、他人を怨んだり、自分のことを責めたりしないでくれ。 これは俺の……最後の頼みだ。 もし、運良く生き延びて、戦争が終わったらさ、必ずこのコロニーに帰ってくるよ。 逢いに来る……約束だ! これでお別れだ! じゃあな、アル。元気で暮らせよ! クリスによろしくな! |