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ゲッターロボ(ゴウ)の最終回


人質になっている科学者たちを救おうと 最後の決戦に挑む號たちとともに
敵の本拠地ベガゾーンに乗り込んだレミは
自分の父の命を奪ったラセツ伯爵をも助けようとして 命を絶った



ゲッターよ永遠(とわ)に眠れ



(ごう)「ナルキスぅ──っ!」
ナルキス「目障りなランドウは、今度こそ完全に葬った。一文字くん、これで心置きなく戦えるな?」

ゲッター號がソードトマホークを振るい、ナルキス子爵のメタルビースト・カローンに挑むが、ナルキスの超能力で動きを封じられる。

ナルキス「フフフ。どうした? この私が憎いのだろう?」
號「くッ…… 叩き斬ってやる……!」
ナルキス「情念だけで私が倒せるかどうか、とことんやってみるのだな。でなくては、面白みに欠けるというもの。フフフ」
號「舐めやがってぇ……! 二度と、デカイ口をきけないようにしてやるぅ……っ! ぐぅっ……っ!」

ナルキスの放つエネルギーの前に、ソードトマホークの剣身が消滅してゆく。

號「何ぃっ!?」
ナルキス「フフフ。私に刃を向けること自体が間違っているのだ」
(がい)「ソードトマホークが!? 號!」
號「畜生っ! くそぉ、G(ジー)アームライザー・オフ!」

ソードトマホークのエネルギーを維持するGアームライザーが、ゲッター號から分離。

剴「號!?」
號「ソードトマホークを失ったんだ。もう用はない! レッグブレード!」「ブーメランソーサー!」

身軽になったゲッター號だが、武器は次々に跳ね返される。

ナルキス「ハハハ」
號「くたばれぇ!」

ゲッター號が飛び蹴りを放つが、カローンはゲッター號を捕え、逆に振り回す。

號「うわぁ──っ!?」

痛烈に氷原に叩きつけられたゲッター號。

號「ナルキスぅっ!」
ナルキス「フフフ……」
號「貴様だけは、絶対に許さん! 剴、翔、俺に命を預けてくれ!」
剴「今さら何だ!」
翔「もう覚悟はできてるわ」
號「嬉しいぜ、その言葉…… 行くぜぇ!」

再びゲッター號が飛び蹴りを放つが、バリアーで跳ね返される。

ナルキス「一文字くん。私に立ち向かうということは、己の不甲斐なさを知るだけなのだ。それでも向かって来るのなら、愚かとしか言いようがないが、私は君のそんなところが好きだ」
翔「號、僕に替って! ゲッター翔で戦わせて!」
號「倒してやるぅ……!」
剴「號、ナルキスを憎む気持ちはみんな同じだ! 翔の言う通りにしろ!」
號「翔……」
翔「何も言わないで。死ぬときは一緒よ!」
號「わかった…… チェンジ・ゲッター・オフ!」
翔「チェーンジ・ゲッタ──翔──!!」

ゲッター號が3機のゲッターマシンに分離。再合体してゲッター翔となる。

翔「ナルキス、お前に思い知らせてやる。お前の野望のために、愛する人たちと二度と語り合うことができなくなった人たちの怒りを! ストリングアタック!」

ゲッター翔の攻撃も、カローンに指1本で封じられる。

翔「何!?」
ナルキス「フフフ……」

カローンの力で、ゲッター翔が振り回される。

翔「きゃあぁ──っ!?」

宙に放り出されたゲッター翔が、氷原に叩きつけられる。

翔「うぅっ……」
剴「翔、替れ!」
翔「こんなことでくたばったら…… 今まで犠牲になった、多くの人たちが…… 浮かばれない! ブレストボンバ──!」

だがゲッター翔の攻撃はまたしても、カローンに跳ね返される。

翔「うぅっ!」
剴「替れ! ここで挫けたら、地球の平和はない! 翔、替れ!」
翔「……最後まで、戦わせて!」
剴「気持ちは皆、同じ! 自分に替れ!」
翔「……僕と號のぶんまで、頼んだわよ!」
剴「うむ。急げ!」
翔「チェンジ・ゲッター・オフ!」
剴「チェーンジ・ゲッタ──剴──!!」

ゲッター翔が分離、再合体してゲッター剴となる。

ナルキス「まだ懲りないと見えるな? 一文字くんと仲間たちよ。私は君たちが好きだ。だから、わからせてあげたいのだ。力のない者たちが力ある者に立ち向かう、愚かさを」
剴「自分に、この大道剴に任せろ! ハープンキャノン!」

だがゲッター剴の攻撃も、カローンに跳ね返される。

剴「バカな!?」
號「剴、怯むな!」
剴「號、大丈夫か!?」
號「当たりきよ! 剴、ヤツの武器は超能力。でもヤツだって、俺たちと同じ人間だ。俺たちにないパワーを使おうとすれば、どこかに必ず無理がくるはず。恐れるな!」
剴「恐れてなんかいやしない! 行くぜ! ブレストビ──ム!」
ナルキス「ムダなことを」

やはり攻撃は通じず、カローンに跳ね返される。

剴「うわぁぁっ! くそぉ!」
號「許せせねぇ。ナルキスだけは許せねぇ! 剴、俺に戻せ!」
翔「繰り出す技は、ことごとく封じられているのよ!?」
號「翔、俺に命を預けてくれると言ったな?」
翔「はっきりと!」
號「だったら、預けてくれ」
翔「いいわ…… でも、エネルギーはもう残り少ない」
號「わかってる。剴!」
剴「ナルキスは確かに手強い。でも、自分たちだけでも命ある限り、ヤツを許せんという気持ちをぶつけようぜ!」
號「あぁ、とことんな!」
剴「號、お前に賭ける! 行くぜ! チェンジ・ゲッター・オフ!」
號「チェーンジ・ゲッタ──號──!!」

ゲッター剴が分離し、再びゲッター號に合体する。

號「俺たちの青春を、お前に叩きつけてやる!」

ゲッター號が突進するが、強烈な電撃が体を襲い、動きが封じられる。

號「うぅっ! ナルキスぅっ! くそぉ!」
ナルキス「これでわかっただろう? 3人寄ってたかっても、私に対しては無力だということが。無能な多くの人間を守って、君たち3人が命を落とす。これを愚かと言わずして何と言う?」
號「はっきり言ってやる! 俺たち3人は、お前に服従しないとな!」
ナルキス「失望だ、一文字くん。君も所詮、地を這いずり回り泣き叫ぶだけの、無用の長物の虫ケラだったとはね」
號「虫ケラ、それで結構! でも貴様に教えてやる。一寸の虫にも五分の魂があるってことをな! ゲッター、お前と俺は一心同体。行け! 悪の超能力などブチ破れ!」

號が操縦桿を握る手に力を込め、ゲッター號が渾身の力で歩み出す。

ナルキス「神よ、私に力を……!」

強烈なパワーの中で足を進めるゲッター號。体のパーツが次々に砕け、吹き飛ぶ。

號「見せてやるぜ、ナルキス! 虫ケラの魂をなぁ!」
ナルキス「もっと…… もっと力を……!! 神よぉぉ──っ!!」

一際強烈なパワーがゲッター號に浴びせられる。

號「ぐわぁぁ──っ! うぅっ!」
翔「きゃあぁぁ──っ!」
號「翔!?」

翔の乗るゲッター2(ツー)のパーツが、ゲッター號の体から引きはがされて吹き飛び、氷原に叩きつけられる。
気を失った翔の脳裏で、仲間たちが自分を呼びかける。

(「翔!」「翔!」「翔さぁん!」)

意識を取り戻した翔。その視界に、依然として苦しめられ続けるゲッター號の姿が映る。

翔「……はっ!? 號、剴、あなたたちだけを死なせはしない!」
號「ぐぅぅっ! ゲッター、俺と最後まで戦ってくれ!」
ナルキス「はぁ、はぁ…… 私を、ここまで消耗させるとは…… しかし一文字くん、私の勝ちだ。私は…… 神なのだ!」
號「うっ、うぅっ!」
ナルキス「はぁ、はぁ……」

ゲッター號の全身に亀裂が入る。コクピットに警報が鳴り響き、計器類の光が消える。

號「ダメだ! エネルギーがない…… 畜生ぉ──っ!!」
ナルキス「はぁ、はぁ…… 神に従わぬ者の…… 定めだ!」
翔「まだ終わってないわ!」

空の彼方から翔のゲッター2が飛来。カローン目がけて、決死の特攻を見舞う。

ナルキス「おわぁぁっ!?」
號「翔!?」

さらにゲッター2が旋回してカローンに挑むが、逆に捕えられ、氷原に叩きつけられる。

號・剴「翔!?」「翔!?」

思わぬ攻撃で、カローンの胴体に惨たらしい傷跡が残っている。

號「ゲッター、力をくれ! お前が死ぬときは、俺たちが死ぬときだ! 動け! 動いてくれぇ!!」

計器類に再び光が宿る。

號「ゲッター……! 剴、行くぞ!」
剴「翔の気持ちを、ムダにするなぁ!!」
號「あぁ! ナルキスぅっっ!!」

ゲッター號が突進。カローンの振るう触手を、剛腕で引きちぎる。

號「おりゃあぁぁ──っっ!!」
ナルキス「おぉっ!?」

翔の残した傷跡目がけ、ゲッター號がパンチを撃ち込む。
さらに装甲を引っぺがす。強烈なエネルギーがあふれ、ゲッター號を襲う。

號「うわぁぁっ!」

ゲッター號の胸の装甲が砕け、コクピット内の、傷だらけの號の姿が露わとなる。

號「ナルキスぅぅ──っっ!!」

ゲッター號が傷を負いながらも、渾身のパンチ。カローンの上半身が大爆発。

翔「號、剴!?」
號「ナルキス、覚悟!」

砕けたカローンの中に見えるナルキスを目がけ、號がゲッターチェンジャーの銃を構える。
だがナルキスの超能力が、號の指の動きを封じる。

號「何っ!? 指が、指が!?」
ナルキス「一文字くん、一つだけ聞いておきたい。そうまでして、なぜ私に立ち向かってきた?」
號「くそぉ…… う、うっ……」

號の握る銃口が、次第に號自身へと向けられる。

ナルキス「答えろ、いや、答えてくれ」
號「お前が…… 虫ケラだと言う、人間が好きだからだ! それで満足か!?」
ナルキス「本当に、それだけで!?」
號「俺たちはちっぽけだ! 貴様のように人の自由を奪い、思いのままに動かせる超能力など、持ち合せちゃいない。でもな、仲間のために、人のために、嬉しいときは共に喜び、悲しいときは泣く。能力があろうとなかろうと、仲間のことを思いやる── そんな人間が好きなのさ!!」
ナルキス「フ、フフフ…… 私は…… そんな君たちに負けたというのか」
號「……負けた?」

ナルキスの胸に、鋭利な機械片が深々と突き刺さっている。

ナルキス「でも…… 私はそんな君たちを認めはしない! ましてや、そんな君の持つ銃の弾などで、体を汚されたくもない!」

かすかに微笑みを残し、息絶えるナルキス。超能力が解け、號の体が自由となる。

號「ナルキス!?」

カローンの体内から、膨大なパワーがあふれる。

號「うわあっっ!?」

とっさにゲッター號が大ジャンプして、氷原に降り立つ。カローンが大爆発。
ナルキスの野望は潰え、ゲッターロボは勝利をおさめた。

號「ナルキス…… ゲッター、俺を守ってくれたんだな」

コクピットの計器類の光が消える。

號「ゲッター!?」


日本国際航空宇宙技術公団NISAR(ネイサー)の仲間たちが到着する。

団員の1人「報告します! 世界各地に配備されたメタルビーストの機能が、停止しました!」


號たち3人、NISARの仲間たちが、戦いを終えたゲッターの姿を見つめる。

翔「終わったのね……」
剴「終わった……」

號「ゲッター…… ありがとう。もう、お前の体を傷つける戦いはない。静かに、眠ってくれ……」


(終)
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