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ゲッターロボの最終回


ゲッターロボによってマシンランドを破壊された帝王ゴールは
大魔人ユラーによって 危うく救われた

しかしユラーは 最後の無敵戦艦ダイにゴールを乗せ
決死の総攻撃を仕掛けてきた

迎え撃つゲッターロボは 苦戦の末
メカザウルス・ゴダとガイを打ち倒し
バット将軍を死に追いやった
しかし ゲッターウイングに故障を起こし
東京湾に不時着したところを
メカザウルス・ザロとモバ そして無敵戦艦ダイに囲まれ
重大なピンチを迎えたのである


きょうりゅう帝国ていこくのほろびる


ゴール「ゲッターロボめ、空を飛べないとは惨めなものだな! いよいよ貴様も最期の時を迎えた……この無敵戦艦ダイは、ゲッターロボ如きの攻撃では、かすり傷ひとつ負わない。従って、搭乗員の流竜馬、神隼人、巴武蔵の3人に告ぐ! すぐ出てきなさい。そうすれば命だけは助けてやる。降伏するのだ!」
竜馬「俺たちは、恐竜帝国の奴隷にはならん! たとえ炎に焼き尽くされてもだ!」

機内同士の通信機を手にする竜馬。

竜馬「おい隼人、ゲッターウイングの修理状況はどうなってるんだ? まだか?」
隼人「……よぉし。竜、いいぜ! 飛べるぞ!」
竜馬「よし、お前は早く席に戻れ」
隼人「了解!」

竜馬「おいゴール! ゲッターロボは、恐竜帝国と最後まで戦うぞ! ゲッターウイング!!」

ゲッターロボがゲッターウイングで宙に舞う。

ゴール「むっ、小癪なゲッターロボ!」
竜馬「トマホークブーメラン!」「ゲッタービーム!」

ゲッターロボが次々に戦艦ダイ目掛けて攻撃を繰り出すが、いずれもバリヤーに阻まれてしまう。

竜馬「くそぉ……バリヤーか!」
ゴール「ワハハハ! 武器はそれだけか?」
武蔵「竜! 次はおいらだ!」
竜馬「よし、オープン・ゲット!」
武蔵「チェンジ・ゲッター3・スイッチオン!」

ゲッター1がゲットマシンに分離、再合体してゲッター3となる。

武蔵「ゲッターミサイル!」「ゲッター3ぶちかまし!」

ゲッター3が次々に攻撃を繰り出すが、これも通用しない。

武蔵「よし、オープン・ゲット!」
隼人「チェンジ・ゲッター2・スイッチオン!」

ゲッター3がゲットマシンに分離、再合体してゲッター2となる。

隼人「ドリルアーム!」

ゲッター2がドリルアームで攻撃を繰り出すが、やはり通じず、逆に戦艦ダイを支える恐竜がゲッター2に噛み付いて捕えてしまう。


早乙女研究所。早乙女博士、息子の元気が状況をモニターしている。

元気「このままじゃゲッター2が危ないよ、お父さん!」
博士「隼人くん、聞こえるか? 応答しなさい!」
隼人「こちら隼人!」
博士「これ以上戦うのは無謀だ、全力をあげて脱出しろ! 早く研究所へ引き上げるんだ!」

隼人「ドリルアーム!」

ゲッター2が何とかドリルアームで拘束を振り解き、退却する。

ゴール「ワハハハハハ! ゲッターロボは遂に逃げてゆきよったぞ。いざ、進めぃ!!」

戦艦ダイが港へと突き進む。

艦上のゴールの前に、兵士たちが整列する。

ゴール「我が誇り高き恐竜帝国の兵士諸君! もはや我々に恐れるものは何も無い! よってこれより東京に恐竜帝国の基地を打ち建てる!」

空に輝く太陽をゴールが指差す。

ゴール「見よ! この眩しい太陽が、本日只今より我が恐竜帝国のものだぁ!!」
兵士たち「恐竜帝国、万歳──!!」
ゴール「よぉし、作戦開始──!!」
ガレリィ「戦略爆撃隊、出動!」
兵士「スタンバイ・ゴー!」

戦艦ダイから爆撃機の編隊が出撃。
建築物や乗物が爆撃され、人々が逃げ惑い、たちまち東京は火の海となる。

博士「東京地方一帯は、ほぼ全滅だ……うーむ……」
竜馬「博士、何とかもう一度出撃して、戦略爆撃機だけでも追っ払いたいと思うんですが」
博士「無駄だね、竜くん。あの海の要塞は、ゲッターロボの力の限界を、遥かに上回っておる」
武蔵「だからって博士、地上の人間が無茶苦茶にやられてるってのに、おいらたちゃこうやって、基地からただ眺めてるだけなんですか!?」
博士「それじゃ、何かね? 武蔵くんは特攻隊のように、ゲッターロボで突っ込むべきだと言うのかね?」
武蔵「場合によっては仕方ないでしょう!?」
博士「だがそいつは犬死にだ。奴はびくともせんだろう」
武蔵「……」

そこへ包帯姿のミチルが、早乙女博士の妻の和子に付き添われて現れる。

竜馬「ミチルさん……大丈夫なんですか!?」
ミチル「えぇ……何だかじっとしていられないのよ」
竜馬「無理しないで、休んでいてほしいな……」
武蔵「そうですよミチルさん、おいらたちに任せてさぁ」
元気「あぁ! お父さん、国防軍のジェット機だ!」

モニターに国防軍のジェット機の出撃の様子が映る。
しかし、恐竜帝国の爆撃機の前に次々に撃墜されてゆく。

博士「まるで、歯が立たん……」
竜馬「凄い威力だ……」


やがて、夕暮れを迎える。

戦艦ダイが遂に地上へ上陸。


そして夜。

戦艦ダイが地上の建築物を我が物顔で踏み潰し、艦内から建築材を取り出し、基地の建設に取り掛かる。

竜馬「とうとう奴ら、東京のど真ん中に基地の建設を始めたぜ」
博士「君たち、ちょっとこっちへ来たまえ」

早乙女博士が別のモニターを3人に見せる。

博士「これを見たまえ。これは、スロービデオの分析再生モニターなんだがね、さっきの戦闘で面白いことがわかった。それを君たちに、見せようと思ってね」

戦艦ダイを支える2頭の恐竜の口が開き、その中へ爆撃機が帰還してゆく。

竜馬「おっ、見ろ。ダイの口が開いた」
隼人「お、戦略爆撃隊が帰還するぜ」
博士「そう、そこなんだ。つまりあれだけ派手にドンパチやりながら、この限られた飛行コースだけは、空白になっている」
竜馬「すると博士、このコースから突入すれば……攻撃は可能なわけですね!?」
博士「爆撃機は、先端からの特殊誘導電波で誘導されておるから、コースが狂うことはまずない。しかし、万一このコースを外れると、たちまち集中砲火を浴びて、一巻の終わりというわけだ」
竜馬「博士……やります!」
武蔵「行かして下さい!」
博士「しかし、大変危険な作戦だ……だが、今やそれしかないだろう」
竜馬「やります、博士!」
博士「よし、すぐ攻撃訓練をする! あぁ、その前にまずパターンを説明しよう」

モニターにゲットマシン3機が表示される。各機とも、機体下部に円柱状のロケット弾を抱えている。

博士「武器は3段式のゲッターロケット弾だ。目標を捉えたら、20度の角度で、イーグルで竜くんが所定のコースを辿って飛ぶ。そこへ隼人くん、武蔵くんが続いてロケットをドッキングさせる。それから……敵の有効弾幕は半径2000m。従ってここでロケット弾を発射し、急旋回して脱出する。ここが、最も難しいところだ。早過ぎても遅すぎてもいかん」


ゲッターロケット弾攻撃のシミュレーションが開始される。
ダミーのロケット弾を抱えたゲットマシン3機が出撃。

博士「ゲッターロケット弾、ドッキングフォーメーション!」

3機が1列に並ぶ。

博士「ドッキング開始!」

ジャガー号がイーグル号後部に接近、両者のロケット弾が接続される。

博士「よぉし、武蔵くん!」
武蔵「は、はい!」

ベアー号がジャガー号に接近……だが合体に失敗してしまう。

武蔵「す、すいません」
竜馬「落ち着け、武蔵! もう一度だ!」
武蔵「わ、わかった」

もう一度合体を試み、今度は成功。3本を連結した長大なロケット弾が完成する。

元気「うまいぞ、その調子ぃ!」
博士「ゲッターロケット、発射!」

ロケット弾を切り離し、3機のマシンは旋回して離脱。
地上に描かれた標的目掛け、ロケット弾が突き刺さる。

博士「よし……これで威力は5倍になる。成功だ」


恐竜帝国。

ゴール「何? ゲッターロボが動き始めたと?」
兵士「はっ、諜報部からの連絡です」
ゴール「フン、どうせたいしたことはできまいて」
兵士「放っておいてよろしゅうございましょうか?」
ゴール「いや、メカザウルス・モバを出動させろ。完全に息の根を止めるのだ!」


ゲットマシン3機が、いよいよ本物のゲッターロケット弾を積んで発進準備をする。

竜馬「博士、発進準備OKです。どうぞ!」
博士「うむ、あくまでも慎重にな。幸運を祈る……ゲットマシン発進!」

3機のマシンが出撃する──


前方から迫るメカザウルス。

竜馬「博士、メカザウルスがやって来ます!」
博士「構うな! 君たちは危険な爆弾を抱えているんだ。そのまま目標へ直進しろ! 敵は気づいてない!」
竜馬「しかし……それでは、メカザウルスは研究所を攻撃するでしょう」
博士「構わん、行け!」
竜馬「すみません、博士! 命令に背きます! 隼人、武蔵、行くぞ! 背面飛行だ! 俺に続け!」

3機が規定のコースを逸れてメカザウルスに立ち向かう。

竜馬「攻撃!」

3機のレーザー、ビームでメカザウルスを撃破。
再び3機は規定のコースへの飛行へ舞い戻る。


やがて、3機の視界に戦艦ダイが。

ガレリィ「あぁ!? おい、ゲットマシンの襲撃だ! 迎え撃てぃ!」
竜馬「目標接近、高度1万、距離4万5千! ゲッターロケット・ドッキングフォーメーション、角度20度……行くぞ!」
竜馬「2号、ドッキング!」
隼人「了解!」

戦艦ダイの迎撃が降り注ぐ中、イーグル号とジャガー号のロケット弾が合体。

竜馬「OK……3号どうぞ!」
武蔵「了解!」

ベアー号がロケット弾の合体を試みるが……失敗。

武蔵「うぅっ!」
隼人「何をしてる、武蔵!」
竜馬「急げ! あと500mで射程内に入るぞ!」
武蔵「よぉし……!」

再び武蔵が合体を試みるが、またもや失敗。

武蔵「わぁっ!?」

次第に戦艦ダイに接近するゲットマシン3機が、砲撃の嵐を浴びる。

竜馬「しまった、射程内に入った! ロケットを切り離せ、脱出だ!」

3機がロケット弾を切り離して退却。
しかし集中砲火を浴び、機体が炎を上げる。

竜馬たち「うわぁぁ──っ!!」

3人はパラシュートで脱出したものの、マシン3機は火を吹きつつ墜落……


ゴール「ワハハハハ! 遂にゲッターロボは粉砕した! もはや恐竜帝国に歯向かう者はいない」
ガレリィ「おめでとうございます、帝王ゴール様」
ゴール「おぉガレリィ長官、よく働いてくれた。礼を言うぞ」
ガレリィ「はぁっ、かたじけのぉ存じます。只今の戦闘をつぶさにご覧遊ばされて、恐れ多くも大魔人ユラー様は、暗いジメジメした地底の世界にお別れを告げ、いよいよこの東京へ移り住むとのことでございます」
ゴール「おぉ……では早速、粗相のないようにお迎えの準備を致そう」


早乙女研究所。
竜馬と隼人は深手を負い、ベッドに寝かされている。

武蔵「すまん、竜……許してくれ、隼人……おいらがヘマさえしなきゃ、こんなことには……」
竜馬「気にするな……武蔵」
隼人「ただよ……ついてなかっただけさ……」
武蔵「おいら……どうすりゃいいんだ……ねぇ博士!」
博士「……ゆっくり、休んでくれたまえ」
武蔵「おいらのために、大事なゲットマシンがやられちまって……」
博士「また造ればいいさ。それより、君たちが生きて帰ってくれたことが、わしにとっては何よりも嬉しい」

武蔵が涙を拭う。

博士「元気を出したまえ、武蔵くん」

早乙女博士が部屋を去る。

武蔵「博士! どうすりゃいいんだ、どうすりゃ……!」
ミチル (残ったのはコマンドマシンだけだわ……)


地上に築かれた恐竜帝国の基地。

兵士「大魔人ユラー様のおなりぃ──」

兵士たちが迎える中、帝王ゴールのもとに、大魔人ユラーが現れる。

ユラー「よくやった、ゴール。褒めてつかわそう」
ゴール「ははぁっ!」


玉座につくユラー。目の前ではゴールが跪いている。

ユラー「面を上げぃ、ゴール」
ゴール「ははぁ」
ユラー「東京征服は済んだ。これより全世界を我が恐竜帝国のものとせねばならぬ」
ゴール「ゲッターロボ亡き今、恐るる者はございません」
ユラー「この地上が1億4千万年ぶりに恐竜の手に戻って、とにかくめでたい。まずは宴の準備をせぃ」
ゴール「ははぁっ!」


早乙女研究所。

一室で和子がコーヒーを入れている。
そこへ早乙女博士がやって来る。

和子「あなた……?」

博士がロッカーを開け、白衣を脱ぎ、パイロットスーツに着替え始める。

和子「出撃なさるんですか……!」
博士「五体満足なのは、わしだけだからな」
和子「でも、どうやって?」
博士「コマンドマシンに、小型の高性能ミサイルを積んだ……後を頼んだぞ」

和子が夫を止めようと言葉をかけようとするが、決死の覚悟の夫に、言葉が見つからない。
博士が部屋を去る。

博士「じゃ……」
和子「あなた……行ってらっしゃい……」


コマンドマシンへの乗降タラップを昇ろうとするミチルに、武蔵が追いすがる。

武蔵「どこ行くんです!?」
ミチル「武蔵くん、ほっといてちょうだい!」
武蔵「おいらが行く!」
ミチル「離してよ、邪魔しないで!」
武蔵「ミチルさんが危険過ぎる!」
ミチル「いいえ!」

武蔵がミチルに当て身を食らわし、気絶させる。
そしてミチルを床に寝かせ、自分のマントをかぶせる。

武蔵「ごめんよ、ミチルさん……おいらはミチルさんが、大好きです! だから危険な目に遭わせたくないんです!」

自らコマンドマシンに乗り込み、常に身につけていたドカヘルと日本刀を投げ捨てる。

武蔵「こんなもの、荷物になるだけだ!」

そこへ駆けつける早乙女博士。

博士「あぁっ!? 武蔵くん、降りろぉ!!」
武蔵「大丈夫っすよ! 今度はうまくやりますから!」
博士「いかん! 降りろ、武蔵くぅん!!」

コマンドマシンが出撃──


博士「武蔵くん、今さら戻れと言っても君は聞くまい」
武蔵「もちろんです」
博士「この上は君の成功を祈る。必ず、無事に戻って来てくれ」
武蔵「わかりました、博士。だっておいら、まだやらなきゃならないことが一杯ありますからね。そうだ、まずミチルさんに謝らなきゃならないんだ……ごめんよ……」


恐竜帝国の基地では、勝利の宴が開かれ、皆が勝利の美酒に酔っている。

ユラー「おいゴール、お前も飲め!」
ゴール「頂いております」
兵士「敵襲──! 敵襲だぁ!」
ガレリィ「えぇい、わめくな、べらぼうめぇ! ゲッターロボはいねぇんだい!」

コマンドマシンが接近して来る。

ガレリィ「ヘッ、蝿じゃねぇか。よし、景気づけに一丁、いたぶってやるとするか。メカザウルス・ザロを飛ばせ! 砲撃用意だ!」
武蔵「よぉし、今だ! 行くぞぉ──っ!!」

戦艦ダイに挑むコマンドマシンが、砲撃を浴び、炎を上げる。

武蔵「くっ、くそぉっ……あっ、エンジントラブルだ! しまった、ミサイルが発射しない!」

戦艦ダイを支える恐竜が、口を開けて迫る。

武蔵「こん畜生ぉぉ──っっ!!」

そのままコマンドマシンが口の中へ突入。
中へ中へと突き進み、遂に戦艦ダイの中枢部に体当たりする。

中枢部が大爆発。


ユラー「何の音だ!?」
ゴール「何、祝いの花火の音でございましょう。それより、どうぞお飲み……おぉ!?」
ユラー「おわあぁぁ──!?」

基地が大きく揺れ、天井が落盤し始める。
中枢部を破壊された戦艦ダイが暴走し、基地を荒しまわっているのだ。

ユラー「うぅっ、折角地上を取り戻したのに、何とぉぉ──!?」

戦艦ダイを支える恐竜の足が、ユラーを踏み潰す。

そして、地上の基地、戦艦ダイが、メカザウルスをも巻き込んで大爆発──


元気「恐竜帝国の最期だ……」
博士「武蔵くん! 武蔵くん!? 応答しろ、武蔵くん! 武蔵く──ん!!」


研究所の外。夕陽に向かい、竜馬たちが武蔵の名を呼ぶ。

元気「武蔵さ──ん!」
ジョーホー「武蔵先輩……」
竜馬「武蔵ぃぃ──っっ!!」
隼人「武蔵──っ!!」

武蔵を呼ぶ声がこだまする。

竜馬「武蔵、なぜ死んだ……? なぜ……」
博士「武蔵くん、君の死を無駄にはしない。早乙女研究所は引き続き、ゲッター線開発を進め、世界平和のために貢献する!」
ミチル「武蔵くん……」


武蔵の命を賭けた働きで
恐竜帝国は滅び
地上に平和が戻った

誰もがそう思った

ところが──


どこかの基地の広間。
そこに大勢の兵士たちが集まる。一見人間のようだが、その額には1本の角──“鬼”である。

「我々百鬼一族は、人間どもに勝る頭脳と力を持っておる。従って我々は、本日只今より、人間を奴隷にし、全世界を征服する作戦を展開する!」


恐竜帝国の滅びた直後に
突然現れた百鬼帝国

早乙女研究所の宇宙開発の前途に
早くも戦雲が渦巻く

頑張れ ゲッターロボ!!


(終)
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