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●前回のあらすじ
計画達成まであとわずかのところまで来た”幸せの時”
巨大なヨロイ”バースデイ”の乗り込んだ”カギ爪の男”は、世界を生まれ変わらせようとする。

各々の理由・信念から計画を阻止しようとするヴァンの仲間たちは、それぞれの場所でそれぞれの戦いを繰り広げていた。


そしてついにエレナの仇であるカギ爪の男の眼前に降り立ったヴァン。

そんな彼に対し”カギ爪の男”の出した提案は、死んだエレナを生き返らせるというものだった・・・・






  カンカンカン・・・・・(鐘が鳴り響くのは結婚式場。式を挙げようとするヴァンとエレナの前にカギ爪の男が立つ)

「一人の男が楽園を夢見た」

  (ヴァンの肩にカギ爪を置きその体を引き裂くカギ爪の男)

「一人の男は地獄の悪夢に落ちた」

  (式場に飛び込んでくるガドヴェド。そこには惨劇が広がっていた)

「二人に刻まれた絆は、多くの人々と世界を巻き込み、ついに最後の瞬間を迎える」

  (カギ爪の男に従ったオリジナルセブンの面々)

「始まったものは必ず終わる」

  (ヴァンと仲間たちの集合写真)

「どんな旅もいつかは終わる」

「人はその終わりに何所へたどり着くのか?」

「ここは見捨てられた流刑地」
「絶望と希望が渦巻く宇宙の再生地点」
「惑星エンドレス・イリュージョン」

  (流体に覆われつつあるエンドレス・イリュージョン)







●最終話 タキシードは明日に舞う





  (浮遊した大陸・テラフォーミングベース。ガーディアンガーデンによって遮られた端にぶつかりそうになる子犬たち)

カギ爪の男「マザーが残した囚人惑星破壊システム。このエネルギーを使い、近辺の時系列を圧縮し、歴史をやり直します」
     「つまり・・・・・・」
     「死んだ人間が生き返る」
ヴァン「・・・・・・・」

  (バースデイに乗ったカギ爪の男とダン・オブ・サーズデイに乗ったヴァンが対峙する)

  (わずかに表情が動くも無言のヴァン)

カギ爪の男「わたしはいなくなり、あなたの花嫁は生き返る」
     「世界は平和になり、あなたにとってもこの星にとっても、素晴らしくご都合のよろしい世界になるのです」

  (バースデイの手を動かすカギ爪の男)

カギ爪の男「ああ・・・わたしはあなたを救いたい。最後にあなたの友達に・・・・・」
ヴァン「!!」

  (怒りの表情を浮かべるヴァン)

カギ爪の男「友達になりたいのです」

  カキッ!(言いながら手を差し伸べるバースデイだが、ダンはそれを振り切る)

ヴァン「でやああ!!!」
カギ爪の男「あら?」
ヴァン「エレナは死んだ!! お前が殺したんだ!!!」

  (剣を構えるダン)

ヴァン「俺からエレナの死まで奪う気か!!」「死んだ奴はなあ! 絶っ対に生き返らねえんだ!!!」
   「俺はそんな与太話を聞きに来たんじゃねえ!!」
   「俺はお前をぶっ殺しに来たんだ!!!」

  (カギ爪の男に吼えるヴァン。その声は施設にも響いている)

研究員「完全起動のバースデイをオリジナルシリーズで斬るつもりとは・・・・・」

  (流体で一瞬青く染まるダン)

カギ爪の男「??? ヴァン君、わたしの話を聞いていますか??」
ヴァン「俺の話を聞けーーー!!」
   「エレナの仇!!!!!」

  (刀を構え突進するダンだが、空から降ってきた流体の壁に阻まれる)

ヴァン「ぐあっ!!」
   「こ、このヤロウ! 空から!?」
カギ爪の男「そうか、わかりました!」「君はつまり・・・馬鹿なんだ!!!」

  キイイン!!!(流体に吹き飛ばされるダン)

ダン「ぐああああああ!!」

  (吹き飛ばされたダンはガーディアンカーテンに衝突する)


プリシラ「ヴァン!! くっ!!」

  (ヴァンに気をとられたプリシラ。背後からワン・オー・ワン(101)の攻撃を受け倒れる)

ネロ「穣ちゃん!」

  ガン!(ブラウニーを心配するエルドラだが同じく攻撃を喰らう)

バリヨ「カルロス! あのバリヤを!」
カルロス「今調べてる!」

  (エルドラソウルの操縦席で解析中のカルロス)


ヴァン「てっめえ〜〜〜〜〜!!! この死ね〜〜〜〜〜〜!!!」

  (再び突撃するダンだがバースデイの両手に挟まれてしまう)

カギ爪の男「そうか、これが馬鹿というものなのか!」「ああ馬鹿よ・・馬鹿馬鹿・・・・愛しき馬鹿よ!」
ヴァン「うおおおおお!!」

  (バースデイに握られたダン。剣が折れてしまう)



  (一方、震える手で銃を構え、ミハエルと対峙するウェンディ)

ミハエル「どくんだ。ウェンデイ」
ウェンデイ「・・・・・」

  (震えながらもはっきり首を横に振るウェンディ)

ミハエル「何故邪魔をする?」
ウェンデイ「兄さんが間違ってるから・・」

  カツカツ・・・(ウェンディの方へ歩いてくるミハエル)

ウェンディ「!!」
ミハエル「間違っているものか。同志が夢見た世界は、みんなが望んだ幸せだ・・・・」
ウェンディ「そんなもの、誰も望んでないわ!」

  (ウェンディの目の前まで来たミハエル)

ウェンディ「幸せしかない世界なんておかしいわ。そんな幸せ無いのと同じよ。それも誰かに無理やりだなんて間違ってる!」
ミハエル「!」
ウェンディ「そんなの幸せじゃない。ただの心の暴力だわ!!」
ミハエル「!!」

  (ウェンディの銃を払うミハエル)

ウェンディ「!?」
ミハエル「黙れ!」

  (言いながら進むミハエル)

ウェンディ「止まってよ! ミハエル兄さん!!」
ミハエル「止められるものか・・・・・・うっ!!??」

  ガン!(突如苦しむミハエル。右腕から血がにじむ。ウェンディが発砲したのだ)

  (震えながら銃を構えているウェンディ)

ウェンディ「いっちゃ・・・・ダメ!!」
ミハエル「・・・・・・ウェンディ!!」

  (愕然とした表情のミハエルだが、すぐに歩き出す)

ウェンディ「いっちゃダメ!!」

  (ミハエルの背中に抱きつくウェンディ)

ミハエル「無理だ・・離せ」
ウェンディ「嫌よ!」
ミハエル「離せ!!」
ウェンディ「!!」

  (腕を振るうミハエル。飛ばされるウェンデイ。カメオのブローチがはずれて宙に舞う)
  (床に倒れるウェンデイ。銃も飛ばされる)

ミハエル「ぐっ!」

  (ミハエルの右腕から血が溢れる。袖を縛って止血しようとする)

ウェンディ「兄さん!!」

  (なおもミハエルに抱きつくウェンディ)

ミハエル「くうう!! ウェンディ!!」
ウェンディ「みんなこの世界が好きなのよ! つらいこともいっぱいあるけど、だから好きなの!!」
ミハエル「狭い視野で語るな! お前に世界の何がわかる!!」
ウェンディ「私はこの目で見てきたわ! この足で確かめてきた! 兄さんこそあの人以外に何を知ってるっていうの!!??」
ミハエル「同志以上のものなどない!!」

  (再びウェンディを払うミハエル。正面から対峙する兄妹)

ウェンディ「どうしてあの人しか見ないのよ!」
     「・・・!! そうよ、わかったわ。あの人は世界や夢という言葉でごまかして、本当のみんなを見ていないのよ!」
     「自分のわがままを押し付けるだけの人を兄さんは・・・・ただ信じたいだけなんだわ!」
     「あんな偽物を!!」
ミハエル「!!!」

  (怒りのあまりウェンデイの首を締めるミハエル)

ミハエル「同志を否定するということは、僕を否定するということか!!??」「それだけは・・・それだけは!!!」

  (首を絞められ空ろな表情のウェンディ。と、その時・・・・)

ミハエル「!?」

  (ウェンディの首を絞めているミハエルの手にカメオが噛み付いている)

カメオ「クォ〜〜!!」

  (ミハエルに抗議するように声を上げるカメオ)

ウェンディ「!!ゲホッ!! ゲホッ!!」

  (手の力が抜けたミハエル。ウェンディは解放された)




  (こちらはヴァン。バースデイに向けてつっこむが・・・)

ヴァン「とぉりゃあ!!!」

  (やはり弾かれ流体を受けるダン)



  ズン!(ダンとバースデイの戦いの衝撃が、ウェンディとミハエルにも響く)

  (兄を見上げるウェンディ。空ろな表情で首を振るミハエル)

  ズゴン!!(衝撃で瓦礫が落ちてくる)

ウェンディ「!!!」




  (またしてもバースデイに捕まったダン)

カギ爪の男「ヴァン君、君は純粋だなあ」
ヴァン「離せ! この野郎!!」

  (ダンが抵抗するもまったく効果が無いバースデイ)

ヴァン「左腕ぐらいで!!」
カギ爪の男「勝算など考えない純粋な衝動、そうでなくては・・・・」

  (なおも抵抗するダン。だが、さらに流体を浴びる)

カギ爪の男「人は夢など見られないものです・・・・」
ヴァン「ぐああ! このっ!!」



  (施設内。ジョシュアとユキコ)
  (忙しくパソコンを動かしているジョシュア。銃を備え敵に警戒するユキコ)

ジョシュア「兄さんはずっと僕の憧れで、僕は兄さんの背中ばかりを追ってきました」
     「でも、これから何を追いかければいいんでしょうね・・・?」
ユキコ「追いかけなくてもいいんじゃない?」
ジョシュア「??」

  (ユキコの言葉に振り向くジョシュア)

ユキコ「お兄さんだって、本当は静かに暮らしたかったはずよ。普通の暮らしの中にも生きる意味はあるわ」
ジョシュア「・・・・・」
ユキコ「・・・・ううん、私はそっちのほうが多いと思う」「無理しなくても、あなたにはあなたのやり方があると思うけど」




  (バースデイの攻撃を喰らうダン)
  (ヴァンの胸に紋章が浮かぶ。オーバーヒートだ)

ヴァン「! こんな時に・・!!」

  ガチイイン!!(地面に落ちるダン)




  (こちらはカルメンとファサリナ。花の設置場所で戦い続けている)

ファサリナ「私、やっぱりあなたとは仲良くなれそうにありません」
カルメン「あ〜〜ら、残念!」




ヴァン「おおおおおおおあああ!!!!」

  (雄叫びを上げてつっこむダン。だがやはり通じない)
  (吹き飛ばされ倒れこむダン。その中のヴァン)



  ピキイン!(バースデイの準備が整った音)

研究員「同志、すべてそろいました、いけます。今こそ誕生の時です!」
カギ爪の男「わかりました」
     「ヴァン君、最後に君と出会えてよかった」

  (バースデイの手に押しつぶされ地面にめり込んだダン)

カギ爪の男「馬鹿がこれほど興味深いものとは知りませんでしたよ」「すぐにあなたとわたしはひとつになる」
     「あとでゆっくり心の中で語り合いましょう」


  キィィ・・・・(バースデイの内部。最後の鍵がそろいつつある・・・・)

アナウンス「誕生までのカウントダウンに入ります」
     「60」
     「59・・・・・」



  (カウントダウンが始まる中、戦い続けているエルドラソウルとブラウニー)

「58」

ネロ「くそっ! なんか始まったぞ!」
プリシラ「え〜〜いっ! 私がバリヤを乗り越えて!!」

  バシュ! バシュ!(ジャンプするブラウニーだが、101の放ったランスを背中に受ける)

プリシラ「あああ!!!」




「52」

「51」

ファサリナ「始まった! 私たちの勝ちです。ウフフフフフ!!」

「48」

カルメン「くっ! まさかヴァンが・・・!!」



「46」


  (施設内。警護兵がユキコとジョシュアを見つける)

警護兵「いたっ! サブ回線だ!」

  パパパパ!(警護兵を銃で追いはらうユキコ)

ユキコ「ジョシュア君!」

  (ひたすらパソコンを動かすジョシュア)

ジョシュア「探してます! でもメインケーブルの場所が!!」




  ドガン!(爆発を起こし突撃するエルドラソウル)

ネロ「弾丸ボンバディーロ!!」

  (ガーディアンカーテンを攻撃するエルドラソウルだがびくともしない)

ホセ「何だこの硬さは!?」
ネロ「おいヴァン!!」「寝るな起きろ!!」「お前しかいないぞ! ここで倒さないとこの世界は・・・・!!」

  (倒れたダンに呼びかけるネロ)

プリシラ「起きてよ、ヴァン!!」

  (101をニードルで迎え撃ちながら呼びかけるプリシラ)

プリシラ「ヴァ〜〜〜〜〜〜ン!!!」



  (倒れたままのヴァンに声が届く)

ヴァン「・・・・・・・ああ、聞こえてるよ」

  (プリシラの、エルドラチームの姿を思い浮かべるヴァン)

ヴァン(わかってる・・・・)(あれ・・・・・?)

  (旅の途中で出会ったたくさんの人、たくさんの出来事を脳裏に浮かべるヴァン)

ヴァン(なんだ・・・これ・・?)(おいヤバイっての・・・・ヤバイだろこれ・・・)
   (ああ・・・・・そういうことか・・・?)
   (くそ・・・・・・)

  (ウェンディの姿も思い浮かべるヴァン)

ヴァン(あ、こいつ覚えてるかなちゃんと・・・・・)
   (”お嫁さん”てのは・・・・・幸せで、幸せで、幸せの絶頂の時に・・・・・・・・)

  (ヴァンがそう思った時、脳裏に浮かんだのは花嫁姿の・・・・・・)






ヴァン「エ レ ナ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!」






  (ダンの全身からほとばしる光。ゆっくりと起き上がる)

カギ爪の男「ん??」

  (青い光の包まれゆっくりと立ち上がるダン・オブ・サーズデイ)

プリシラ「ヴァン!!」
ネロ「そうだ! それでこそ!!」
ホセ「俺たちの弟子だ!!!」

  (再びバースデイと対峙するダン)

研究員「な・・・なんだこれは!?」
スタッフ「オーバーフロー・・・・・」
研究員「何っ!?」

  (呟いたスタッフに顔を向ける研究員)

スタッフ「お・・おそらく・・・欠番メンバーはもともと改造などしなくても動かせる力があったとしか・・・」
    「マザーの技術と、新たな可能性の融合!」


  (天に掲げられたダンの腕に光が、流体が集まる。それは巨大な剣のようで・・・・)

ヴァン「チェヤ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」

  (剣を振り下ろさんとするダン)

カギ爪の男「おおお〜〜〜」



クジョー「急いで下さい! カウントダウンを速めて!!」

  (狼狽する組織のものたち。だがモニターに異変が・・・・)



ジョシュア「やった! メインをキャッチしました!!」
ユキコ「速く隔壁を降ろして!!」
ジョシュア「はい! でもその前に、メインに繋がるラインを!!」



  (カルメンとファサリナが戦う部屋でも明かりが消える)

ファサリナ「!!」
カルメン「!!」

  (隙をついてヨーヨーを振るうカルメン。花の保管されたケースを破壊する)

ファサリナ「同志の花を! やめて!!」

  (かけよるファサリナ。瓦礫が落ちてくる)



ヴァン「うあああ!!!」

  (光の剣を振り下ろすダン。それを片手で受けるバースデイ)

カギ爪の男「やめなさいヴァン君 このままでは計画が水泡に・・・・・・」
     「どうしてあなたはこんなことを? どうして・・・・?」
ヴァン「決まってるだろ!」
   「それはな・・・・・お前が・・・・俺を怒らせたからだっ!!!!!!」

  (激しい戦いの中、やがてPPDとバースデイの接続が解ける)

カギ爪の男「!!!!」

  (カギ爪の男の計画は今、水泡に帰した・・・・・)


研究員「信号消失・・・・プリズン・プラネット・デストロイヤー・・・・・・離脱を・・・・始めました・・・・」
   「各セクションシステム・・・・補修不可能・・・・・」
   「並びに・・・・・計画続行・・・・・不可能・・・・・」



  (ウェンディとミハエル。落ちてきた瓦礫からウェンディを庇ったミハエル)

ウェンディ「兄さん・・・・・?」
ミハエル「ウェンディ・・・お前が正しいのかもしれない・・・・」
ウェンディ「えっ?」
ミハエル「でも、僕が選んだ道も正しいと思うんだ」

  (背中にぶつかった瓦礫を落とし、立ち上がるミハエル)

ミハエル「計画が無くなっても僕は僕の道を進みたい。だから、お前はお前の道を・・・・・」

  (ウェンディに銃を・・・かつては自分ものだった銃を差し出すミハエル)

ウェンディ「・・・・」
ミハエル「お前に・・・・持っていて欲しいんだ」
ウェンディ「・・・・・うん」

  (ミハエルから銃を受け取るウェンディ)

ウェンディ「わかったわ兄さん・・・」

  (のそのそと歩いてくるカメオ。その前に膝を着き顔を寄せるミハエル)

カメオ「クゥ〜〜〜」
ミハエル「カメオ。ウェンディを頼むよ」
カメオ「クゥ〜〜〜!」

ウェンディ「・・・・・・あっ・・・・」

  (そのまま振り返らず歩いていくミハエル)

ウェンディ「さよなら・・・・兄さん・・・」





  (こちらは夢破れたカギ爪の男)

カギ爪の男「あああ・・・・はははははは・・・・・本当に・・・あなたって・・・・人は!!」

  (光の剣が砕かれ、破片が当たるダン)

ヴァン「ぐっああああ!!!」

カギ爪の男「やり直しです!!」
スタッフ「同志!?」

  (戸惑いを隠せない施設内のスタッフたち)

カギ爪の男「皆さん聞いて下さい!! 今回の計画はヴァン君の活躍によって頓挫しました」

  (光が解けてもなお剣を構えるダン)

カギ爪の男「遺憾ではありますが事実です。そこでもう一度計画を最初からやり直します!」
     「ああ・・・わたしは嬉しい! また皆さんと共に歩めるとは!」
     「夢をかなえるその日まで、わたしは何があっても死にません!!!」

ヴァン「死〜〜〜〜〜〜ね〜〜〜〜〜〜!!!」

  (剣を構えて突撃するダン)

カギ爪の男「そう・・これもヴァン君のおかげです!」

  (飛び上がり宙を舞うダン)

カギ爪の男「わたしは! 彼を彼こそを!」

  (バースデイの腹部に剣をつきたてるダン)

カギ爪の男「新計画にとっての最初の友人に迎えたいと思います!」
     「前計画に欠けていたファクター・・・馬鹿代表として!!」

  (ダンを掴むバースデイ)

カギ爪の男「ヴァン君! ありがとう!! ありがとう!!!」

  (バースデイに払われ、吹き飛ばされるダン)

ヴァン「この野郎!!」
カギ爪の男「ありがとう!! ありがとう!!」

  (光の剣を手に取り振るうバースデイ)

ヴァン「この野郎!! この野郎!!」

  (光を発しながら剣を避けるダン)

ヴァン「この野郎〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」



  (浮かび上がった大陸を見守る人々)

カギ爪の男「ありがとう! ありがとう! ありがとう!!」

研究員「101を戻してください! 同志の守りを!!」
スタッフ「ダメです! 反応が・・・!」
    「反応が・・・・全て消えました・・!」


  (全ての101を倒したエルドラソウルとブラウニー)



カギ爪の男「ヴァン君! 生まれ変わった気分です!」「ありがとう! お友達!!」

  (バースデイの巨大な手がダンに覆いかぶさろうとする)

ヴァン「この野郎!! この野郎〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

  (剣でバースデイの手を押さえたダン。バースデイの手にヒビが入っていく)

シオン「同志! 今、救出班を向かわせます!」

  パシッ!(ガーディアンカーテンに異音が響く)

プリシラ「ネロさん! これでバリアが壊れたはずだから!!」

  (ガーディアンカーテンが解かれ、ダンが落ちてくる)

ヴァン「うあああ!!!」
ネロ「おっと!」

  (落下したダンを受け止めるエルドラソウル)

ヴァン「ええ?!」
ネロ「よう!」
カルロス「はじめましてカルロスです!」
ホセ「やっと合流できたな」
バリヨ「エネルギーは残っているか?」
プリシラ「お帰り、ヴァン!」
ヴァン「・・・・・・・!!」

  (仲間たちに支えられたヴァン。その顔は正面のバースデイに向けられる)

ネロ「さあ、決着をつけて来い!!」

  (ダンを片手で持ち上げ、思いっきり振りかぶるエルドラソウル)

ネロ「たああ!!」

  (エルドラソウルに放り投げられたダン。剣を突き出し、一直線にバースデイへ)

カギ爪の男「おおお! すごい!!」

  (バースデイと衝突するダン。激しい光が飛び散る)

カギ爪の男「新しいお友達がいっぱいです!!」

  キイン!!(上空に飛ばされるダン。そこへ・・・・)

ウェンディ「ヴァ〜〜〜〜〜ン!!」

  (タンダーに乗ってきたウェンディ。ダンにむけてうなずく)


ヴァン「うおおおお!!」

  (空中で剣を構えたダン。電撃を湛えバースデイを真っ向から斬り下げる!!)

ヴァン「ちぇや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

  (切り口から光を放つバースデイ・・・・・)



  コツ、コツ、コツ(ダンが空けた大穴からバースデイの中に入るヴァン。ゆっくりとカギ爪の男の棺の前に立つ)

  (一言もしゃべらないヴァン・・・・)

カギ爪の男「ふっ・・・ヴァン君・・・・わたしは・・・・あなたを・・・・愛してい・・・」

  (右腕のカギ爪をヴァンに差し伸べるカギ爪の男)

  シャキィイン!!(無言で剣を振るうヴァン)

  (地面に落ちるヴァンの帽子。それを拾うヴァン)
  (帽子の裏では、カギ爪が地面に突き刺さっていた・・・・)

  チリン・・・(帽子を押さえ去っていくヴァン)(その後ろでは、カギ爪の男の入った棺が、真っ二つに斬られていた・・・・)



クジョー「同志が・・・・崩御なされた・・・・・」
シオン「あああ・・・!!」

  (カギ爪の男の最後を見た組織のものたち。シオンはがっくりと倒れこむ)


研究員「ケースDCが発動した」
スタッフ「ワー!ワー!」

  (スタッフが逃げ惑う中、研究員の声がスピーカーから響く)

研究員「テラフォーミングベースは現状のまま落下する」「なお、ディファイトネットの安全性は保障できない」
   「脱出を希望するものは、至急セカンドブロックへ移動せよ」
   「これより先は、各員の判断にゆだねられる」



  (力を無くしカルメンに支えられているファサリナ)

ファサリナ「殺してください・・・・・」
カルメン「何言ってんのよいまさら!」
ファサリナ「もう、生きる理由が!」

  ドサッ!(支えていたファサリナを飛ばすカルメン)

カルメン「あっそう、わかったわ!」
?「離れろ・・・・・」
カルメン「!?」
?「ファサリナさんから・・・・・」
ファサリナ「・・・・・」

  (カルメンとファサリナの前に現れたのはミハエルだった)

  (傷を負った体で銃剣を構えるミハエル)

ミハエル「その人を・・・・・うっ・・そ・・の・・・人・・・」
カルメン「!?」

  ドサッ(やはり傷が深いのかその場に倒れるミハエル)

ファサリナ「ミハエルくん・・・? ミハエルくん!!」

  (倒れたミハエルに駆け寄るファサリナ)

ファサリナ「しっかりして! ねえミハエルくん!!」
ミハエル「・・・・・・・あ」
ファサリナ「大丈夫よ。今、救護室をおさえるから・・・・」
カルメン「あ〜〜あ あなたが生きる理由なんてそれで十分でしょ?」

  (懸命にミハエルの身を案ずるファサリナ。そんな二人を後に、苛立たしげに歩いていくカルメン)

カルメン「生き延びてよね。それがあなたの・・・・・・」

  ドゴォン!!(突然、カルメンの後方で響く音)

カルメン「!?」

  (カルメンが振り向くと、そこには大きな瓦礫。ファサリナとミハエルの姿は無い・・・・・)

カルメン「本当・・・・・憎らしいほど素直で・・・・・どこまでもムカつく女・・・・・・」


  (落下していくテラフォーミングベース)

  (轟音が響く中、脱出を図るスタッフたち)

スタッフ「速く! ハッチを閉じろ! 速く!!」

  (スタッフで埋まった中に、二匹の子犬が投げ飛ばされる)

スタッフ「何だ!?作動しているんだ! これで精一杯だよ!!」

  (閉じられていくハッチ。子犬を放り込んで外に残った母犬は、その様子をじっとみつめている・・・・・)


  ゴオ! (火を噴くエルドラソウルのジェットパック)

  (衝撃で体勢を崩すユキコ。そこへちょうど通信が入る)

ユキコ「ああ!!」
カルメン「ユキコ!」
ユキコ「カルメンさん!?」
   「ええ! おじいちゃんたちがフロアを突き破って! はい! ジョシュア君もいっしょです!」
カルメン「OK! こっちも、ウェンディと合流したから!」

  (ウェンディを後ろに乗せ、タンダーを操縦するカルメン)

  (ブラウニーとダン・オブ・サーズデイを乗せて飛ぶエルドラソウル)

ユキコ「避難場所は予定通りですか!? 海側に出てもこのままじゃ・・・!」
カルメン「当てはあるからそこで待ってて!」
ユキコ「当てって・・・!」

  (飛行限界が地面に落ちるエルドラソウル。その眼前にはテラフォーミングベース落下による巨大津波が迫っていた)

ジョシュア「!!」
ユキコ「ダメですよ! やっぱり海は!!」
?「海、サイッコー!」
ユキコ「??」

  (突然、通信に割り込んできた声)

  (見ると、波の上に船が乗っている)

?「レディース&ジェントルメン、アーンドおじいちゃん」「そんなにクールな顔じゃあ、海は答えてくれないよ」

  (船の上でソファに座っているのは水兵姿の男)

プリシラ「あの〜〜どなたでしょうか?」
?「キャプテン・カイジ」

  (タンダーがカイジの船の上を飛ぶ)

カルメン「さすがねえ! 契約通り!」

  (カイジの後方から、二人出てくる。それはキャサリン・ナカタとマンソンの夫妻)

キャサリン「ふん! こっちだって勝手に変な考えを植えつけられるのはゴメンだからね!」
カイジ「カイジとしてもナンセンス」
カルメン「フフ、じゃあ脱出といきましょう!」


  ピカッ(激しく輝く空。主を失い微動だにしないバースデイ)

  (崩壊していく施設)

  (カギ爪の男の側近たち3人は、逃げることもせず施設と運命をともにする)

  (やがて炎がすべてを包んだ)

  (エンドレス・イリュージョンを覆わんとしていた流体が離れていく・・・・・・







「「「「「乾杯!!!」」」」」





  (全てが終わり、どこかの宿屋でヴァンの仲間たちによる勝利の祝宴が開かれている)

ヴァン「!!」

  (ベッドに寝かされているヴァン。隣にはウェンディも横になっている)

ヴァン「・・・・・・・」

  (体を起こし、ベッドから立ち上がろうとするヴァン。ふと後ろを向くとウェンディがタキシードの裾を掴んでいる)

ヴァン「・・・・・・・・・」

ネロ「酒が無くなったぞ!」
カルメン「飲むの速すぎるのよ!」「せっかく生き延びたんだから命は大事に使いなさい」
バリヨ「気にするな俺たちは不死身だ!」
キャサリン「でも知らなかったわ。そんな大事の片棒を担いでたなんて・・・・・」
ヴァン「・・・・・・・」

  (大いに飲み騒ぐ仲間たちをよそに、ひっそりと宿屋を出て行くヴァン)


ジョシュア「ダンには、別の衛星の座標をセットしておきました」「音声入力だったんですね、あれ・・・・」
ヴァン「世話になったな」

  (ヨロイたちが立つ外。座るジョッシュの後ろから歩いてくるヴァン)

ジョシュア「そんな・・・・友達じゃないですか」
ヴァン「お前が言うとなんかムカつくな・・・・・・」
   「なあ、お前これからどうする?」
ジョシュア「ムーニエルに行きます。ビビアンさんとザナックさんにお願いして、兄さんとヴォルケインを引き上げようと・・・」
ヴァン「はあ? 何百年かかるかわからねえぞ?」
ジョシュア「ユキコさんも手伝ってくれますし、どれだけかかってもやります!」
ヴァン「・・・・・・まあ、がんばれよ・・・・」

  (顔を一瞬ほころばせ、歩いていくヴァン)

ジョシュア「はい。ヴァンさんもお元気で」


カメオ「クゥ?」

  (首を伸ばすカメオ)


カルメン「あらっ、お帰り〜」
プリシラ「ヨロイの修理、後でもよかったのに」

  (飲み会の会場と化した部屋に戻ってきたジョシュア)

ジョシュア「いやあ、応急手当しただけですから」
ユキコ「みんな揃いましたね。上の二人起こしてきます?」
ジョシュア「ああ、でも・・・・・」
バリヨ「行ったか・・・・・・」
ジョシュア「はい」
ネロ「そうか」
ホセ「やはりな」
プリシラ「? なに??」
ウェンディ「あの〜」

  (2階から降りてきたらしいウェンディの声)

プリシラ「あっ、起きたの?」
ウェンディ「ヴァンは?」

  (遠くで座るダンに向け、ゆっくり歩いていくヴァン)

  ダン!(机を叩くプリシラ)

プリシラ「そんなのない! 黙って行っちゃうなんてどうして!?」
カイジ「ガール。目的を果たした男は、新たな海に誘われるものなんだよ・・・Ok?」
プリシラ「ぜんぜんOkじゃない!」
ジョシュア「止めたほうがよかったんでしょうか?」
ユキコ「ううん、好きにさせたほうがいいのよ、今は」
ウェンディ「・・・・・・」
ホセ「どうしていいか、わからないのさ」
ネロ「だから、新しい何かのために歩き出したんだ」
バリヨ「運がよければまた会える」
プリシラ「何よそれ! デートさせてくれるって言ったのに!!」
ネロ・ホセ・バリヨ「「「!!」」」

  (さすがにバツが悪そうな三人)

カルロス「俺じゃあ、ダメか?」
プリシラ「!!!!」

  (顔を真っ赤にしたプリシラ)

プリシラ「バカッ! バカバカバカッ!!!」

  (叫んで飛び出していくプリシラ)

カルメン「ちょっと! プリシラ!」

  (カルメンの呼びかけにも答えず走り去ったプリシラ)

カルメン「はあ〜〜〜」「・・・あっ」

  (ため息をついたカルメン。何かを思い出す)



  (ブラウニーの肩に乗っているプリシラ。ロケットの中の、ヴァンいっしょにとった写真を見ている

プリシラ「すぐには無理・・・かなあ?」
    「ヴァン。わたしヨアンナのところに戻るね」
    「戻るけど・・・・また会いに行くよ!」
    「答えをもらいに・・・・・・・」


ヴァン「・・・・・・・??」

  (歩き続けているヴァン。そこへタンダーに乗ったカルメンがやってくる)

カルメン「ハーイ!」
ヴァン「なんだお前? 何しに?」
カルメン「あんたこそ何よ。挨拶ぐらいしたら」

  タン!(タンダーから降りたのはウェンディだ)

ウェンディ「あ・・・」
ヴァン「・・・・・」
カルメン「私はここでお別れ。これから死ぬほど稼がなきゃいけないんでねえ」
ウェンディ「いままでお世話になりました。お元気で!」
ヴァン「ああ。ありがとな、カルメン」
カルメン「えっ!・・・・・・ウフフフ」

  (女性の名前をほとんど覚えないヴァンに初めて名前で呼ばれたカルメン。思わず笑い出す)

カルメン「ねえヴァン!」
ヴァン「はあ?」
カルメン「私あんたのこと好きだったみたい!」
ヴァン「えっ?!」
カルメン「それだけ・・・じゃ、またねっ!」

  (頬を赤らめたカルメン。言い終わるとタンダーを飛ばして去っていく)

ヴァン「はあああ」

  (その場に座り込むヴァン)

ヴァン「・・・? お前、背伸びたか?」
ウェンディ「そうかも・・・・」
ヴァン「始めて会った時はガキだったのになあ・・・・」
ウェンディ「・・・・・ねえ、これからどうするの?」
ヴァン「ん?・・・ああ・・・・まっ、ゆっくり考えるさ」「じゃあな」

  (腰を上げ歩いていくヴァン)

ウェンディ「あ・・・待ってよ!」

  (追いかけようとするウェンディだが思いとどまる)

  (立ち止まるヴァン)

ウェンディ「・・・・・・」

  (少し考えた様子のウェンディ。ヴァンに背を向け、反対方向に歩き出す)

  (振り返らず、まっすぐ歩き出すヴァン)

ウェンディ「・・・・・・!」

  (決心したかのように走り出すウェンディ)

  キュオン!(ウェンディの後ろから響く大きな音)

  (ウェンディが振り向くと、ダン・オブ・サーズデイが空へ昇っていった・・・・)





ウェンディ「それが、ヴァンを見た最後です」
?「なるほど、確かに窺っているととても死にそうに無い方ですねえ」
ウェンディ「はい。”不死身のヴァン”ですから」
?「なのに亀は苦手だったと? このサイズではねえ・・・」

  (ヴァンと別れてどれくらいたったのか、髪形はそのまま成長したウェンディ)
  (記者らしき男の取材を受けているようだ)

  (テーブルに座っている二人)
  (その隣には、テーブルほどの大きさに育ったカメオ。甲羅にお皿を乗せて運んできたようだ)

ウェンディ「あ、いえ。当時は小さかったんですけど、最近いきなり・・・・」
     「あの、記事の参考になるかと作ってきたのですが・・・・」

  (カメオの甲羅の皿に乗っているのは、パスタのようなもの)

記者「助かります。話だけではどうも・・・・」
ウェンディ「少しだけ、かじってもらえれば・・・」
記者「から〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!!」
ウェンディ「・・・・すみません。それぐらいが彼の好みだったもので・・・・」
記者「いやあ、よくわかりました!」
ウェンディ「彼が来たらごちそうしようと思っているんですが・・・」
記者「ほ〜お? ではロックストーンで見つかった黒ずくめの男の死体はヴァンではないと?」
ウェンディ「ええ」
記者「はははっ! 実はですね、関係者全員が同じ意見なんですよ」
ウェンディ「そうでしょうね。だって、世界を救ったヒーローなんですから!」
     「だから、きっといつか会えます」

  (笑顔を見せるウェンディ。と、そこで突然何かの音が)

ウェンディ「?」

  ウィーーン、ガチャ(音がして開くドア。入ってきたのは・・・・・・・・)

ヴァン「すいません、なにか食い物とミルクを・・・・・・」
カメオ「クゥ〜〜〜」
ヴァン「うわああ!」

  (大きなカメオに驚いたか、おもわず仰け反るヴァン)

  ゴトッ!(驚いた拍子に、ヴァンの懐から何かが落ちた)

  (それはいつかの、仲間たちとの集合写真の乾板・・・)

ウェンディ「・・・・・・・ええっ!!」

  (物音に振り向いたウェンディ。ヴァンの姿を見て硬直する)

ヴァン「・・・・・・・・・ああっ!!」

  (一方、ヴァンもまたウェンディの姿を見て硬直する)


  (カメオをはさんで見詰め合う二人・・・・)







ガン×ソード THE END











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