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●前回までのあらすじ

地球連邦軍によるジオンの宇宙要塞ア・バオア・クーへの総攻撃がついに開始された。
だが連邦軍はソーラ・レイシステムで大打撃を受けており、戦況は不利な状況である。
連邦軍の一部隊として戦いに参加したホワイトベースもまた、熾烈なる戦場を必死に生き抜いていた。

一方、打倒ガンダムに燃えるシャア・アズナブルは、ニュータイプ専用MSジオングに搭乗し、アムロが駆るガンダムに戦いを挑む。

二人のニュータイプによる最後の戦いが、ここに幕を開けた・・・・



●最終話 脱出



  (宇宙空間で激しく戦うガンダムとジオング)
  (オールレンジ攻撃を行うジオングに対し、その動きを読んだガンダムが有線の腕を狙う)

シャア「ムッ! ガンダムめ!!」

  (両腕と口からのメガ粒子砲を乱射するジオング。四方八方から放たれるそれを避け続けるガンダム)

アムロ「シャア!」
シャア「誰だ!?」



  (ア・バオア・クーのフィールド付近でも激しい戦闘が続いている)
  (セイラが搭乗するGファイターがその中を進む。何かを探しているようだ)

  (ホワイトベースも死闘を繰り広げている)

ブライト「右舷の攻撃に集中させろ!」「フラウ・ボゥ。ガンタンク、ガンキャノンはどうか?」
フラウ「健在です。敵基地の入り口に接近中です」


  (フラウの言葉通り基地に接近しているガンキャノンとガンタンク)

カイ「外からドンパチやったって、埒あかないのよね」
ハヤト「カイさんだけに良い思いはさせないぞ!」

  (言いながら攻撃をかける二人)
  (だがその隙を突いて連邦軍の別の部隊が内部に突入した)

カイ「野郎! ここの一番乗りは俺だってのに!!」

  (だが突入した部隊は敵の反撃を受けてあっさり壊滅する)

カイ「ほらみろ!!」

  (攻撃から身をかわし影に隠れる二機)

ハヤト「うわっ!?」



  (ガンダムとジオングの戦いは続いている)

シャア「!?」

  (ジオングに突撃するガンダム。すれ違いざまに腕を破壊していく)

シャア「ガンダム!!」
アムロ「!!」

  (その時、アムロの顔に稲妻が走る)
  (ガンダムがジオングに急接近している)

アムロ「こう近づけば四方からの攻撃はムリだなシャア!!」
シャア「な、何だ?!」
アムロ「なぜララァを巻き込んだんだ!? ララァは戦いをする人ではなかった!!」
シャア「ちいっ!!」

  (ガンダムを引き離し攻撃するジオング)
  (盾を破壊されながらそれを避けるガンダム)

アムロ「シャア!!!」

  バキューン!!(ガンダムのビームライフルが放たれるがジオングにかすめただけ)
  ビキューン!!(ジオングの腕から放たれたメガ粒子砲がガンダムの左腕を破壊した)
  
  (ひるまぬガンダムはさらにビームライフルを放ち、ジオングの腕を破壊する)



  (ホワイトベースが戦いながら進む)

連邦軍兵士「おいしっかりしろ! 死ぬんじゃないぞ!」

  (倒れている同僚を抱きかかえている兵士)

連邦軍兵士「後はモビルスーツ隊に任せろ!」

  (ジムに攻撃を任せ、ア・バオア・クー内部へ入っていく連邦軍兵士たち)



  (その戦いの中、両腕を破壊されたジオングが進む)
  (ジオングのコクピットでノーマルスーツを着ているシャア)

シャア「ガンダムのパイロットはアムロといったな。どうする!? あのニュータイプに打ち勝つ方法は!?」

  (シャアが悩む間も無くガンダムが襲来する)

シャア「ララァ、教えてくれ! どうしたらいいのだ!?」



  (一方、ホワイトベース。基地からの攻撃が左エンジンを直撃する)

オペレーター「うわあああああああああ!!」
ブライト「エンジン急速閉鎖!!」

  (爆発する左エンジン)

ブライト「エンジン切り離せ、ミライ!!」
ミライ「はいっ!!」

  (切り離された左エンジンが爆発する)

ミライ「着艇します!」
ブライト「まかせる! 全員に告げろ! 白兵戦の用意をさせろ!!」
オペレーター「はいっ!」

  (ア・バオア・クーに降下していくホワイトベース)

ミライ「コ、コントロールが!?」

  (翼をたたみ、どうにか着地するホワイトベース)
  (急速な着地のため浮き上がってしまうクルー)

カツ、レツ、キッカ「うわああああ!!」
ミライ「ああああっ!!」
ブライト「周囲に気をつけろ! どこから敵兵が出てくるかわからんぞ!」

  (そう言う間に現れたザクとリックドムがホワイトベースの右エンジンに攻撃をかける)

ドガアアアアン!!(激しい爆発の衝撃で移動するホワイトベース)

  (カイのガンキャノンがかけつけてくる)

カイ「うわあっ!! ホワイトベースのエンジンが両方とも!?」

  (ガンキャノンに遅れてガンタンクもかけつける)

ハヤト「ああっ!! 乗組員のみんなは!?」

  (ホワイトベースの足元におりていくガンキャノンとガンタンク)


ブライト「カイとハヤトには援護を頼む」
フラウ「はい!」
ブライト「フラウ・ボゥも拳銃を!」
フラウ「はいっ!」



  (一方、ジオングを探して戦場を飛びまわるアムロのガンダム)

アムロ「どこだ!? シャア!!」

  (邪魔なリックドムを蹴散らしていくガンダム)
  (そこへメガ粒子砲が。フィールドに陣取ったジオングの攻撃だ)

  (攻撃にまぎれて姿を消すガンダム。それを探すシャア)

シャア「!?」

  (突然、現れたガンダム。ジオングの胸元にビームライフルを叩き込む)

アムロ「違うか!?」

  (ジオングの胴体から首が離れて飛行する)

シャア「ガンダム!!」

  (口部分からさらにメガ粒子砲で攻撃をかけるジオング)
  (それを受けてガンダムの頭が吹っ飛んだ)

アムロ「ぐうっ!! シャアめ!!」

  (攻撃にひるまずビームライフルを連射するガンダム。岩陰に隠れるジオングの頭部)

アムロ「まだだ! たかがメインカメラをやられただけだ!!」

  (頭部と左腕を失った状態でなおも進むガンダム)



  (ア・バオア・クーの司令室では・・)

ジオン兵「ジオング撃墜! 識別信号解除!」
キシリア「赤い彗星も地に落ちたものだな・・・・・」
兵士「Nフィールド応答なし!」「Sフィールド応答なし!」「何、ミサイルが!?」「24ブロックへ弾丸を送れ!!」「スネイク!」

  (口々に混乱した状況を伝える兵士たち)

キシリア「しかし、ガンダムのパイロットがニュータイプとして異常発達したものなら、やむを得ぬというところか。そうだな?」
トワニング「はっ! 閣下!」

  (トワニングの返事にうなずくキシリア)
  (キシリアの側へ行くトワニング。小声で話し合う)

キシリア「私の脱出15分後にここを降伏させるがいい」
トワニング「しかし・・・」
キシリア「グラナダの戦力と本国の戦力が残っているうちに・・」
トワニング「し・・しかし、今となっては脱出こそ至難の技かと・・・」
キシリア「私が生き延びねばジオンは失われる」
トワニング「降伏後、私の身柄は?」
キシリア「捕虜交換の折に引き上げよう」
トワニング「はっ」
キシリア「艦の用意を」
トワニング「直ちに・・・」



  (ア・バオア・クーに着地して戦闘を続けているホワイトベース)
  (四方八方から攻撃が襲ってくる)

カイ「まるでアリじゃねえか、あっちこっちと!」

  (地上部隊を率いるブライト)

ブライト「敵の陸戦部隊が出てくるぞ! 総員バズーカ・ライフルで立ち向かえ!」

  (そういいながら敵に向けて銃を撃つブライト)



  (半壊しながらも戦いを続けるガンダムとジオング)
  (ア・バオア・クー内部に逃げ込んだジオングの頭部を追ってガンダムも侵入する)

アムロ「シャアだってわかっているはずだ。本当の倒すべき相手がザビ家だということを。それを邪魔するなど・・・」

  (ボロボロになった回廊を進んでいくガンダム)

アムロ「シャア・・・いるな・・!」

  (コクピットから外へ出て行くアムロ。自動操縦になったガンダムは進んでいく)

  (大きな穴が開いた場所まで来たガンダム。右腕を天に掲げ、ビームライフルを撃つ!)
  (と、同時に上空からジオング頭部のメガ粒子砲が放たれる!)

  (ビームライフルはジオング頭部の右部分を破壊し、メガ粒子砲はガンダムの右腕と右側を砕く)
  (ジオングの頭部は落下して完全に破壊され、ガンダムは横たわって動かない・・・・)

アムロ(うわあああああああああ!!!)

  (爆風で吹き飛ばされながら、背中のジェットでバランスをとって着地するアムロ)

アムロ「今の僕になら、本当の敵を倒せるかもしれないはずだ。ザビ家の頭領が・・・わかるんだ・・・」
?「その力・・・ララァが与えてくれたかもしれんのだ。ありがたく思うのだな・・」
アムロ「きさまがララァを戦いに引き込んだ!」

  (突然聞こえてきた声に反応し、銃を構えて振り向くアムロ)
  (銃口の先にはシャアがいる)

シャア「それが許せんというのなら間違いだ、アムロ」
アムロ「何!?」
シャア「戦争が無ければ、ララァのニュータイプへの目覚めは無かった」
アムロ「それは理屈だ!」
シャア「しかし、正しい物の見方だ」

  (話しながらアムロのほうへ近づいていくシャア)

アムロ「それ以上と近づくと撃つぞ!」
シャア「今君のようなニュータイプは危険すぎる。私は君を殺す・・・・!」

  バズッ!(シャアの言葉と同時に発砲するアムロ)
      (大ジャンプして避けたシャア。空中でアムロを狙い銃を撃つ)

  (銃撃戦の末、一撃がかすったシャアが撤退する。それを追うアムロ)
  (降りようとしている隔壁の向こうへ逃げるシャア。さらに追うアムロ)



  (一方、ホワイトベース。ガンタンクのキャタピラが破壊される)

ハヤト「うわあっ!!」

  (ひるまず敵を攻撃するが、ついに全身が破壊されてしまった)

ハヤト「うわああああああああああっ!!!」

  (ガンタンク頭部のコクピットから脱出するハヤト)

カイ「馬鹿野郎! あれじゃ援護にならねえじゃねえか!」

  (言いながら戦うカイのガンキャノンだが、攻撃を足に食らい倒れてしまう)
  (倒れながらも肩のキャノンで敵を破壊するガンキャノン)

カイ「白兵戦かよ!!」

  (コクピットで銃を構えるカイ)


  (ア・バオア・クーに不時着するセイラのGファイター)

セイラ「みんなは・・?」

  (彼女の目の前でホワイトベースが戦っている)

セイラ「!? 兄さん!?」

  (何かを察知したセイラ。通路の奥へ進んでいく)



  (ジオンの戦艦ザンシバルでは兵士たちが騒いでいる)

ジオン兵1「外には敵がうようよいるんだ!」
ジオン兵2「ドム中隊をまわせ! いくらなんでもザンシバル1隻じゃ・・・!」
ジオン兵3「冗談じゃないよ! 死にに行くわけじゃないんだ! 護衛機をまわせ! ザクでいいザクで!」

  (ア・バオア・クー脱出のためザンジバルに乗り込むキシリア)

キシリア「手間取るようか?」
側近「もうしわけありません」
キシリア「急がせい。他の兵に気取られるな」


ジオン兵「24ブロックで中隊長どのが!」

  (ジオン兵が動き回る通路を進んでいくセイラ)

ジオン兵「陸戦が始まっているって?」
セイラ「あの向こう・・・・」


  (セイラが目指す部屋ではアムロとシャアが争う声が聞こえる)

シャア「貴様が最強の兵だからだ!」
アムロ「本当の敵はザビ家ではないのか!?」
シャア「私にとっては違うな!」

  (フェンシングの一騎打ちをしているアムロとシャア)

シャア「わかるか!? ここに誘い込んだわけを!?」
アムロ「ニュータイプでも身体を使うことは、普通の人と同じだと思ったからだ!」
シャア「そう! 身体を使う技は、ニュータイプといえども訓練をしなければ!」
アムロ「そんな理屈!!」

  (さらに激しく戦う二人)
  (そこへセイラが割ってはいる)

セイラ「やめなさいアムロ! やめなさい兄さん!」「二人が戦うことなんてないのよ!! 戦争だからって二人が戦うことは・・!!」

  (セイラの言葉は二人に届かない)

シャア「!!出やああ!!」
アムロ「ちいいいいいっ!!」

  (同時に剣を突き出す二人)
  (アムロの剣はシャアのヘルメットを貫通して額に傷をつけ、シャアの剣はアムロの右肩を貫いた)

  (勢いで顔が接触する二人。するとララァのイメージが浮かぶ)

セイラ「!?」
アムロ「い・・今・・ララァが言った・・・・ニュータイプは・・・こ・・殺しあう道具ではないって・・・!」
シャア「戦場では強力な武器になる・・・やむをえんことだ・・」
アムロ「貴様だってニュータイプだろうに!!」
セイラ「やめて! 二人が・・・!! ああああああああっ!!!」

 ドガアアアアアアン!! (二人を説得しようとするセイラだが、爆風で吹き飛ばされる)

シャア「うわああああああっ!!」
アムロ「うわっ!!」

  (吹き飛ばされたセイラが二人にぶつかる)
  (シャアは弾き飛ばされ、アムロはセイラに押されて肩を痛めた)

セイラ「アムロ! 大丈夫!?」
アムロ「うううっ!」

  (肩を抑えて苦しむアムロ)

シャア「アルテイシア!」
セイラ「兄さん、止めてください! アムロに恨みがあるわけではないでしょう!?」
シャア「しかし、敵にするわけにはいかん相手であれば、倒せる時に・・・・!」
セイラ「兄さんの敵はザビ家ではなかったの!?」
シャア「ザビ家打倒などもうついでのことなのだ、アルテイシア」「ジオンなきあとはニュータイプの時代だ。アムロ君がこの私の
言うことがわかるのなら・・私の同志になれ。ララァも喜ぶ」
アムロ「何!?」
セイラ「兄さん、なんてことを・・!?」

  (シャアの言葉に絶句するアムロとセイラ。そこへまたしても爆発が起こり、三人は吹き飛ばされる)
  (爆風で吹き飛んだセイラを支えるシャア)

セイラ「に・・兄さん・・?! 額の傷は・・・!?」
シャア「ヘルメットがなければ即死だった・・・」



  (一方、爆風で通路に流されたアムロ。痛む右腕を抱える)

アムロ「ううううっ・・・!!」

  (痛みを堪えながら刺さった剣を抜くアムロ。ポーチから止血帯を取り出し傷口にあてる)



  (シャアとセイラは通路にて横たわる兵士を看取っていた)
  (シャアはマスクをはずしている)

兵士「キシリア閣下が脱出されるので護衛にと思いましたが・・・残念です。た・・・大佐なら・・!」
シャア「安心しろ。貴様に代わって、閣下は必ずお守りしてみせる」
兵士「あ・・ありがとうございます。噂の火傷は・・・ございませんな・・・」

  (力尽き目を閉じる兵士)

シャア「ここもだいぶ空気が薄くなってきた。アルテイシアは脱出しろ」
セイラ「兄さんはどうするのです?」
シャア「ザビ家の人間はやはり許せぬとわかった。その蹴りはつける」
セイラ「兄さん!」
シャア「おまえももう大人だろう? 戦争も忘れろ」

  (セイラの肩に手を置くシャア)

シャア「いい女になるのだな。アムロ君が呼んでいる」
セイラ「アムロが・・・・」

  (バズーカを持って通路を進んでいくシャア)
  (手を伸ばすセイラだが、シャアは振り返ることなくジェットで飛んでいった)

  (通路を飛んでいくシャア)

シャア「キシリア閣下は?」
ジオン兵「出航される所であります!」

  (キシリアの乗るザンシバルの眼前まで飛んでいくシャア)

ジオン兵「上空、サラミス接近中! 急速発進!」
ジオン士官「さわれぬものは床に伏せさせろ!」
ジオン兵「10・・・・・9・・・・」

  (発進のカウントダウンが始まる機内)
  (ふとキシリアが外を見るとシャアが飛んでいる)

シャア(ガルマ・・・私の手向けだ・・・姉上と仲良く暮らすがいい・・・・)
キシリア「シャアか!?」

  (キシリアに敬礼するシャア)

  (発進するザンシバルに向けてバズーカを構えるシャア)

キシリア「!!!???」
シャア「!!」

  (無言でビームバズーカを放つシャア)
  (放たれた攻撃はキシリアの頭を貫通した)

  (それでも浮上したザンシバルだが、外へ出た直後サラミスに撃墜される)
  (爆発はア・バオア・クーの一部分を覆うほどの規模だった)



  (爆風がとどろく中、脱出を試みるアムロ)

アムロ「ダメか!?」

  (兄と別れ壁にすがりながら歩くセイラ)

セイラ「み・・・みんなの所へなんか・・行けない・・!」「行ったって・・・生き延びたって・・・兄さんが・・・!」


  (爆風で吹き飛ばされながらも進むアムロ。だがその顔にはもはや諦めの色が濃い)

アムロ「ちくしょう・・・ここまでか・・・」

  (通路を落ちていくアムロ。その眼下には大破したガンダムが横たわっている)

アムロ「まだ、助かる・・・!?」

  ララァ・・・ララァ・・・(ガンダムのもとへたどり着くアムロ。ララァの音が聞こえてくる)

  (ガンダム0の上半身Aパーツを射出するアムロ)

アムロ「しかし・・・ホワイトベースのみんなは?・・・セイラさんは?」

  (痛みを堪えながらコア・ブロックに乗り込むアムロ)

アムロ「ララァのところへ行くのか・・・・・・」
ララァ「殺しあうのがニュータイプじゃないでしょ・・・」
アムロ「えっ!? そ・・・そうだな、どうすればいい?」
ララァ「アムロとはいつでも遊べるから・・・」
アムロ「ララァ・・!」
ララァ「決まってるでしょ・・・?」

  (突然どこからか聞こえてきたララァの声に促され、目を閉じるアムロ)

アムロ「見えるよ! みんなが・・・!」

  (ブライト、ミライ、フラウ・ボゥ、カイ、ハヤト・・・・必死に戦うホワイトベースクルーの姿が浮かび上がる)

ララァ「ねえ? アムロなら見えるわ・・・!」
アムロ「セ・・・セイラさん・・・! 立って・・立つんだ!」



  (爆風が吹き込む通路で伏せているセイラ)

セイラ「アムロ・・! アムロなの!?」「・・・でも、ここはどこだかわからないのよ!?」
   「・・・・・・・・・・・・・ここをまっすぐ?」

  (アムロの声に従い通路を進むセイラ)

アムロ「そうです。そして500メートルいったら、左へ90度曲がってください」
セイラ(500メートルいって・・・・・!!)

  (背後のジオン兵に気がつき、銃で倒すセイラ)



  (一方、こちらはブライトたち)

ブライト「第16ハッチは封鎖だ!」
フラウ「はい!」
ブライト「・・・・アムロ!?」「・・・・・・・・・・・・・・退艦命令を出さないと全滅する・・・・!?」

  (ハッチの手前で戦っているミライたち)

ミライ「ハッチを閉じて! もう向こうには味方はいないわ!」
クルー「はい!」
ミライ「・・・・アムロ!?」「・・・・・・・・・・・・・・そ・・・そうね! ランチの発進準備をさせるわ!」

  (子供たちといっしょにいるフラウ・ボゥ)

フラウ「・・・アムロ!?」
アムロ「僕の好きなフラウ・ボゥ・・・次に銃撃がやんだら、一気に走り抜けられるよ・・・・」
フラウ「アムロなのね!? どこにいるの?!」
アムロ「ランチの所に行くんだ! いいね!」

  (うなずいたフラウ・ボゥ。子供たちの方を向く)

フラウ「私が走ったら走るのよ! いいわね!」
子供たち「うん!!」

  (銃撃がやむと同時に走り抜けるフラウたち)

  (ホワイトベースの周囲で銃撃戦をしているカイとハヤトは・・・)

カイ「ええええい! ホワイトベースだけを狙って!」
ハヤト「この船目立ちますからね!」
カイ&ハヤト「「!!??」」

  (同時にアムロの声が届いたらしい二人)

ハヤト「き・・・聞こえましたか!?」
カイ「ああ! アムロだ!」
ハヤト「ここはもう撤退ですって!」
カイ「そう思うな!」

  (頭を下げて話す二人)

ハヤト「連邦軍は優勢らしいし・・・」
カイ「勝つとなりゃここを引き上げても良かろう!」
ハヤト「さあっ!」

  (戦場を走り抜けていくカイとハヤト)


  (通路を行くセイラはついにホワイトベースへたどり着く)

セイラ「ホワイトベース・・・!」

  ドガアアアン!!(そこへさらに爆発が起き吹き飛ばされるセイラ)

セイラ「ああああああああっ!!」

  (体を丸めて吹き飛ばされた先には、ホワイトベースのクルーが乗った脱出艇ランチが)

カイ「セイラさん! こっちよ!」
ミライ「セイラ!」

  (手を上げたカイがセイラをつかみ、ランチに乗せる)

セイラ「カイ!」
ブライト「ようし、いいぞ!やってくれ!」
クルー「了解!」

  (ゆっくりと飛行していく二隻のランチ)
  (その背後でホワイトベースが爆発していく)

カイ「ホワイトベースが・・・!」
ハヤト「ホワイトベースが・・・・沈む・・・!」

  (爆発は徐々に大きくなり、ついにホワイトベースの姿を消し去った・・・・)
  (敬礼するホワイトベースのクルー)

ブライト「アムロが呼んでくれなければ、我々はあの炎の中で焼かれていた・・・」
セイラ「じゃ・・じゃあ・・・このランチにアムロはいないの!? ブライト!?」
ブライト「いない・・・セイラやミライのほうが聞こえるんじゃないのか?」
セイラ「えっ!?」
ブライト「ジオンの忘れ形見のセイラのほうが、我々よりよほどニュータイプに近いはずだ。探してくれ! アムロを!」
セイラ「で・・でも・・・どうやって!? わからないわ!」
ブライト「・・・・・」

  (無言で前を向くブライト)

ハヤト「アムロだけいないんだ! わからないかって!」
フラウ「そ・・そんなこといったって・・!」
レツ「さっきアムロ兄ちゃんの声聞こえたろ!」
キッカ「うん!」
セイラ「私がホワイトベースにたどり着く前にはあれほどに・・・・アムロ・・・・!」

  (爆発は衰えを知らず、ア・バオア・クー全体を包んでいく・・・)

セイラ「人が・・・そんなに便利になれるわけ・・・ない・・・・」

  (涙を流すセイラ)
  (と、その時、子供たちが突然しゃべりはじめた)

キッカ「そう! チョイ右!」
フラウ「キッカ!?」
レツ「そう右!」
カツ「はい、そこでまっすぐ!!」
フラウ「どうしたの三人とも?」

  (口々に案内をするかのようにしゃべる子供たち)

セイラ「・・・・・・・アムロ!?」
ミライ「わかるの!? ど・・どこ!?」
キッカ「いい!?」
子供たち「「「よ〜ん!! さ〜ん!! に〜!! いち〜!! ぜろ〜!!」」」

  ドガアガガガガン!!!!(爆発と共にア・バオア・クーからアムロの乗ったコア・ファイターが飛び出してくる!)

  (笑みを浮かべるセイラ、ミライ)

子供たち「「「うわ〜〜〜〜〜〜い!!!!」」」

  (大喜びの子供たち)



  (コア・ファイターのコクピット内でうずくまっていたアムロ)

フラウ「アムロ!!」

アムロ「み・・みんなは・・!」

  (宇宙空間を探すアムロ。ランチが光で位置を知らせている)
  (笑みを浮かべるアムロとホワイトベースのクルー)

  (コア・ファイターで接近していくアムロ)

アムロ「ごめんよ! まだ僕には帰れるところがあるんだ! こんなうれしいことは無い・・・!」
   「わかってくれるよね! ララァにはいつでも会いにいけるから!」

  (コア・ファイターから身を躍らせるアムロ)
  (大きく手を広げてアムロを迎えるホワイトベースの仲間たち)



「宇宙世紀0080。この戦いの後、地球連邦政府とジオン共和国との間に終戦協定が結ばれた・・・」


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