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仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー THE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE YELLOW お宝DEエンド・パイレーツのエンディング


夜の光写真館。

コハナ「泥棒さんのいう『お宝』って、人の想いのことだったのね」
海東「さぁね。僕はそんなもの、とっくの昔に捨ててしまったけど」
コハナ「だから今でも、お宝を捜してるってわけ?」
海東「……失われた時間は、戻らないさ」
良太郎「どうかな? 人の想いが積み重なれば、それが時間になっていくんじゃないかな」


黒崎レイジが手紙を見つめる。
自分を捨てたと思った母親が、自分に宛てて出していた手紙。差出人は「水島さゆり」の名。

花屋を訪れるレイジ。

「あぁ、もう閉店なんですが」

店の後片付けを始めている女性店員。名札に「水島さゆり」の名がある。

レイジ「花束…… 適当に見繕ってほしいんだけど」
さゆり「……わかりました」

嫌な顔ひとつせずに、さゆりが花を選び始める。その姿をじっと見つめるレイジ。
傍らを見ると、花の並んだ棚に、写真立てがある。

さゆり「息子です。今はもうちょっと大きくなってると思うけど」
レイジ「会ってないんですか?」
さゆり「もう2年以上も。事情があってね。きっと『冷たい母親だ』って、恨んでるわ。……あ、やだ。ごめんなさいね、こんな話」

レイジ「自分の母親を恨む子供なんて…… いないと思います」
さゆり「……だといいけど」
レイジ「絶対に」

笑顔で振り向くさゆりに、レイジも頬を緩める。

さゆり「お代は結構です。今の言葉、嬉しかったから。こんな感じでどう? どなたにプレゼント?」
レイジ「……お袋に」
さゆり「……お母さん、きっと喜ぶわ」

さゆりの差し出した花束をレイジが受け取り、手が触れる。

レイジ「ありがとう……」

レイジが深々と頭を下げ、背を向ける。

さゆり「また、来てください」
レイジ「えぇ、いつかきっと」

店を去るレイジ。

レイジ「未来で……」

店の写真立てには、さゆりと幼いレイジ、仲睦まじかった頃の2つの笑顔があった。


そして、デンライナーの面々。

モモタロス「あ〜、ムカつくぅ! あの大樹とかいう盗っ人野郎!」
ウラタロス「言葉の裏に何かあると思ったら、何もなかったし」
キンタロス「結局、拳銃はまんまと、せしめよったしなぁ」
リュウタロス「自分だけお宝を手に入れるなんて」
モモタロス「おい良太郎! お前、随分肩入れしてたけど、あいつ結局なんだったんだよ!?」
良太郎「彼はお宝を守った。ただそれだけだよ」
モモタロス「守っただと!?
ウラタロス「そのために僕たちは、こんなに苦労させられたわけ!?」
コハナ「でも、失われた時間は、ちゃんと届いたよ」
モモタロス「はぁ? 何だよ、それ!? どういうことだよ!?」

トランクを抱えたオーナーが現れる。

オーナー「まぁ〜、いいじゃないですか。とにかく彼のおかげで、時間警察は見直され、我々も旅を続けられるようになったんです。ということで…… 駅長、そろそろ」

ターミナルの駅長も、なぜかゴルフバックを手にして現れる。

駅長「どうも〜! ようやく幕が開けられそうですねぇ〜! 新たなる戦いの」
コハナ「戦い?」
ウラタロス「それって…… 今まで意味がないと思っていたけど、もしかして重要な?」
オーナー「ナオミくん」
ナオミ「はぁ〜い」

ナオミが、大きな中華鍋に山盛りのチャーハンを運んでくる。

モモタロス「おい、あれ!?」

オーナーと駅長の背後が、ゴルフコースの背景となる。
そしてナオミの放ったいくつかの皿が、あちこちのテーブルにセットされる。

駅長「どうぞ〜」
オーナー「いえ、どうぞ」
駅長「いいえ、どうぞ〜」
オーナー「フンフ〜ン♪ では、中華の一番で。11メーター40……」

オーナーがケースからお玉を取り出し、中華鍋からチャーハンを掬い、ゴルフスイング。
ゴルフボールよろしく放られたチャーハンが、皿のひとつに盛られる。

駅長「ナイスショ〜ット!」

さらにオーナーが、小さな旗を投げる。
旗がチャーハンに突き刺さるが、ゆっくりと倒れる。

駅長「残念でしたね〜! いいショットでしたが〜。では私は、手堅くレッドの柄杓で。8メーター17……」
ウラタロス「ここのこと?」
駅長「アン・ドゥ・トロワ〜!」

ゴルフバッグから出したお玉で投げたチャーハンが、別の皿に盛られる。
オーナーの投げた3本の旗が、3本ともチャーハンに突き刺さる。

リュウタロス「すごぉい!」
オーナー「やりますね〜。では私は、秘蔵のお玉を」

リュウタロス「面白ぉい!」
モモタロス「はぁ…… 何が『もしかして重要な』、だよぉ!」
ウラタロス「ごめん。恥かしいって思ったの、久しぶりだよ……」
モモタロス「ったくぅ!」
リュウタロス「僕もやりたぁい!」

オーナー「11メーター03……」
駅長「ブラボ〜!」

良太郎「ナオミさんが一番凄いと思うな」
コハナ「かもね……」
ナオミ「はぁ〜い、コーヒー入りましたぁ!」
リュウタロス「わぁい、やったぁ!」
ナオミ「はぁい、どうぞ」

一同がコーヒーにありつくが、良太郎の分だけ、コーヒーカップではなく湯飲み茶碗。

良太郎「あれ、僕のは?」
ナオミ「なんかぁ、良太郎ちゃんのカップだけ見当たらないんですよぉ」
良太郎「え? ……あ、もしかして!?」


光写真館では、海東が良太郎のカップを手にしている。

海東「君たちと会うことはもうないだろう。だけど決して、忘れはしない……」

夜空にカップを掲げる海東。
その頭上で、デンライナーがどこか彼方へと走り去って行く。


(終)
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